第1節 パナマ戦

イケイケのパナマを最後の最後でガーナが仕留める
52年ぶりのワールドカップ出場を果たしたパナマ。ブラックスターズとの異名をとるガーナとの対戦から久しぶりの本大会は始まることとなる。
立ち上がりはガーナの保持からスタート。CHがポジションを微妙にずらしてオウスがアンカー役を務める。5バックながらもパナマのプレスは非常にアグレッシブ。アンカーを囲いつつ、サイドの選手がプレスのスイッチを入れると一気に連動するようにプレッシャーをかけていく。
パナマにアグレッシブさがあったのは非保持だけではない。保持でも彼らはガーナを飲み込む気概は感じられた。3-4-3で自陣からポゼッションを敢行し、左右にボールを散らしつつガーナのSHを誘引。ガーナのバックラインにスライドを強要した後に、逆サイドに散らすことでWBから前に進撃。セメンヨの背中から進むムリージョからチャンスを迎えることができる。
相手に陣形を整えて守られてしまうとパナマとしては厳しい。よって、きっちりと誘引してそこから前に進んでいくというプロセスを徹底。ガーナを揺さぶりながら追い詰めていく。
ガーナは保持に転じた時に強引なワンツーで強気のパナマのラインをブレイクしようと試みたがなかなか苦戦。ハイドレーションブレイク以降はスレマナのサイドに流れての抜け出しを使う意識を強めるなど、少しずつ広い幅からチャンスを探っていく。
しかしパナマも抜け出す選手を素早く咎めることで対応。一度スピードを落とせば、前線の選手のプレスバックで挟み込むことができるのでここまで持っていくことがパナマの当面の目標という感じであった。
攻守にアグレッシブさが見えていたパナマ。ガーナに食らいつく形でハーフタイムを迎える。
後半もジリジリとサイドから勝負を仕掛けていくパナマ。ガーナは前半よりもプレスに強く出ていくことで割り切った様子。強度勝負によって、自分たちの得意な土俵で勝負をしたい様子が垣間見えた。
保持の局面に回ると少しずつサイドの裏にスペースを作っていくガーナ。アイェウの決定機など、サイドの裏抜けからの折り返しの形を作れるようになってくる。パナマもカウンターの局面ではラモスの攻め上がる形からのシュートなど、前半よりも少ない機会ながら反撃に出ていく。
ハイドレーションブレイク以降もガーナの優勢は変わらず。交代で入ったファタウのスピードにパナマがついていけないシーンが見られるように。
何とか耐えながらW杯初の勝ち点を取りたいパナマ。しかしながら、ガーナは最後の最後で打開に成功。イレンキの劇的なゴールでパナマの希望は打ち砕かれることに。W杯初の勝ち点は次節以降にお預けとなった。
ひとこと
パナマ、前半のイケイケの内に得点まで持っていきたかった。
試合結果
2026.6.17
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループL 第1節
ガーナ 1-0 パナマ
トロント・スタジアム
【得点者】
GHA:90+5‘ イレンキ
主審:グレン・ニーベリ
第2節 イングランド戦

粘りを見せたガーナが32強に前進
序盤からこの試合のコントラストはくっきり。ボールを持つのはイングランド側、受けるのがガーナ側という構図だった。
4-5-1で受ける選択をしたガーナはあくまでブロックをコンパクトに保つことを重視。2列目からは時折プレスに飛び出す選手もいるが、それに追従する選手はおらず、飛び出した選手は戻ってブロックの中に入っていく。あくまで狙いは相手に簡単に侵入を許さないこととなっている。
イングランドのポゼッションは後方のビルドアップが2CB+2CH。SBはある程度の高さをキープしつつ、ガーナのブロックの手前で相手を引き寄せるように動くことをしていた。おそらくはライン間を広げるためのアクションをしたいのだろうが、あまり効果は見えず。対角のマドゥエケにパスを出し、ここから1on1で勝負に行く形やライスの1枚剥がすキャリーの方が手応えはあった。
それでもボックス付近に迫る以上の効果を出すことはできないイングランド。手数をかけたスペース創出も不発で、ボックス付近のシュートはことごとくガーナの守備にブロックされ、ゴール方向に飛ぶことすらままならなかった。
押し込まれる時間が続くガーナはサイドの背後からカウンターで勝負。しかしながらこれもイングランドの帰陣の早さを前に武器になることはなし。トーマスのワンタッチでの背後を狙うパスも時折飛び出していたが、こちらもパスが出た後にイングランドの陣形回復が間に合っていたので効果は薄かった。
ガーナがプレスのスイッチを入れる瞬間を見せるなど、たまにリズムを変えるアクションも見られはしたが、基本的には展開は一本調子。イングランドがガーナのブロックをこじ開けられないままハーフタイムを迎える。
当然後半も試合の展開は同じ。イングランドはポゼッションをキープするが、相手を打開する術を見つけられず。ガーナはサイドの裏を中心に長いレンジでのパスを通すが、これもイングランドの陣形を乱すところまでには至らなかった。
流れを変えようとした選手交代から少しずつ試合は動いていった感。ガーナはアイェウに代わって入ったCFのアドゥの裏抜けがアクセント。ややサイドに流れつつCBの背中を取るようなアクションからの抜け出しでチャンスメイク。コンサやピックフォードにあわや大事故というような対応を強い続ける。
イングランドはサカ、ラッシュフォードの投入でWGをリフレッシュ。CHタスクとの二役ができるオライリーを投入したことにより、アンダーソンよりも攻撃的なキャラクターに中盤を入れ替えるなども敢行した。
ボックスの外からのサカのシュートやオライリーのボックスへの飛び込みなど、アクセントとなる動きは増えていた。だが、この日は最後の決定力のところが伴ってこない。86分にチャンスを迎えたケインもガーナの呪術師の影響か枠にボールが飛ばなかった。
結局、ガーナは粘り切ることに成功。イングランドと勝ち点を分け合い、突破の目をかなり濃くして最終節を迎えることとなった。
ひとこと
やるやん、ガーナの呪術師。
試合結果
2026.6.23
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループL 第2節
イングランド 0-0 ガーナ
ボストン・スタジアム
主審:サイード・マルティネス
第3節 クロアチア戦

利害関係が気にならない後半
現在3位のクロアチア。3位争いのテーブルの中では突破を見込める位置。すでに突破を決めているガーナに対して引き分け以上をもぎ取れば自力でのノックアウトラウンド進出が決まることとなる。
立ち上がりはクロアチアのポゼッションからスタートするこの試合。ガーナは2列目の5枚がかなりフラットであり、守備の開始位置はミドルゾーンから。強引に前から捕まえにいくアクションをかけることはしない。
一方、クロアチアのプレスのスタンスも似た形。4-4-2ベースにしつつ、強気で前から捕まえにいくわけではない。ゾーンの高ささえ保つことができれば、人を追いかける意識はガーナよりは強かったかもしれない。サイドに展開した時にはガーナの選手の方が相手の圧力を感じていたかもしれない。
基本的にはこの試合は交互にボールを持ちながら、ゆったりとする形が終始続くこととなる。相手にボールを持たれていたとしても、このままいけば突破なので特に守備側に試合を動かす必要がなかったのが実情だ。
その中でもどちらかといえばゴールに向かう素振りが強かったのはクロアチア。トランジッションからミドルや左サイドをつつくアクションがちらほら見られた。
先制点もミドルシュートから。左サイドからとった深さをミドルシュートという形で還元。股下2枚抜きを決めたスチッチがリードをもたらす。
スポットでセメンヨがシュートを打つなど、全く反撃の様子がないわけではないガーナだったが、基本的には突破を決めているため、強引に展開を動かそうという様子はなし。クロアチアのポゼッションのまま残りの時間が過ごされることとなる。
後半、ガーナは4-4-2にシフト。前からのチェイシングを再開することでクロアチアからボールを取って前に推進力を出していくシーンを作る。
しかし、クロアチアは時間の経過とともにプレスに対して余裕を持って対応ができるように。展開は再び落ち着いたものになる。
状況を動かしたのはセットプレー。ハイドレーションブレイク明けの一撃でガーナが追いつくことに成功。スタンドの魔術師も大盛り上がりだ。
だが、すぐにクロアチアはやり返しに成功。ヴラシッチが同じくセットプレーからスコアを動かして再びリードを奪う。
ガーナは終盤に出ていくがクロアチアの守備ブロックをこじ開けることはできず。試合はクロアチアが2位、ガーナが3位という形で決着した。
ひとこと
会場やそれに伴うトーマスの出場の可否も含めて、結構順位の利害関係のある試合だったけども、後半はそれに関係なく楽しめたのは良かった。
試合結果
2026.6.27
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループL 第3節
クロアチア 2-1 ガーナ
フィラデルフィア・スタジアム
【得点者】
CRO:31′ スチッチ, 83′ ヴラシッチ
GHA:73′ ルカッセン
主審:ドリュー・フィッシャー
Round 32 コロンビア戦

危なげない最小得点差決着
R-32の最後を飾るのはコロンビアとガーナの一戦。躍進が伝えられたアフリカ勢だが、ここまで勝ち上がったのはモロッコとエジプトのみ。ガーナは3つ目になれるか?という点でも注目が集まる。
序盤からボールを持つのはコロンビア。ガーナは中盤に構えながら、コロンビアのバックラインにはボールを持たせてOKというスタンスだ。
ゆったりしたポゼッションの中でプエルタが列落ちすることで後方のプレスを引き寄せて、ガーナを揺さぶっていく。あまりガーナが動かないということを悟ったコロンビアはまずはサイドからつっつく形。左サイドのディアスから探っていく。
一方でガーナは縦に速いプレーを一貫して選択。ポゼッションのコロンビア、カウンターのガーナという座組が決まりそうで決まらなかったのは序盤から負傷者で試合がバタバタしていたことにも起因するだろう。両チームとも15分までに1回ずつ負傷者での交代を行うなど、どこか落ち着かない展開だったことは確かだ。
その落ち着かない流れの中で先制したのはコロンビア。右サイドに流れたのは交代で入ったスアレス。ガーナの全体を右サイドに引き寄せるとディアスの外側からボックスに飛び込んだアリアスが先制ゴールを決める。
このディアスを使った引力は先制点以降も有効。セイドゥをディアスが引っ張ることで外に回るモヒカを捕まえる役がガーナにはいなくなってしまう。ディアスはマークがついていても反転から推進力を出せるため、ガーナからすると簡単に捨てられないのは難しいところであった。
非保持以上にガーナにとって悩ましかったのは保持の局面だろう。縦に速くというコンセプトを実行したいことはなんとなくロングボール偏重というスタンスから読み取れるのだけども、どこで勝算を持っているのか?というところが非常にわかりにくかった。
配球役としては一段上の存在であるトーマスがそもそも浮かない。かつ、浮いたところでどこに届ければいいのか?というところの迷いがガーナには明らかにあった。
大外からWGの突破力を活用するというパターンがシンプルながらも一番ダメージを与えられるかな?と思ったのだが、そうした場面はコロンビアのIHが外にスライドすることで圧縮。ダブルチームで呼吸する隙を与えなかった。
後半も試合のテンポは変わらず。静的な展開の中でもSBのオーバーラップを効果的に使っているコロンビアの方がゴールに向かう力がある状況。セメンヨに対しても早めにリオスをIHに投入することで潰しの機能を増やしていく。
カウンターでは右サイドから縦に進む形で決定機を数回作り出した点も評価することができる。そのうちの1回がパスの出しどころに困ったトーマスを潰したところからというのもこの試合のガーナの迷いを象徴するストーリーである。
最小得点差ながら終盤にかけてゴールに迫ったのはリードしているコロンビア。ガーナは反撃のきっかけを掴めないままフルタイムのホイッスルを聴くこととなってしまった。
ひとこと
1点差でこの大舞台という状況でも危なげない試合だったなというのはフルタイムの後の両チームのリアクションを見ても明らかだった。
試合結果
2026.7.3
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Round 32
コロンビア 1-0 ガーナ
カンザスシティ・スタジアム
【得点者】
COL:14′ アリアス
主審:クレマン・トゥルパン
