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「FIFA World Cup 2026 チーム別まとめ」~オーストリア代表編~

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第1節 ヨルダン戦

セットプレーの脆さがヨルダンの致命傷に

 ここまで好調のアジア勢。初出場となるヨルダンもこの波に乗りたいところ。この舞台が久しぶりとなるオーストリアとの一戦に挑む。

 序盤からボールを持ったのはオーストリア。2CB,2CHの組み合わせからポゼッションを敢行。ヨルダンの5-4-1に対して押し込んでいく。SBが絞りさえすれば、敵陣の大外へのパスルートはガラ空き。大外に迂回させることで一方的にヨルダンを押し込んでいくスタートとなった。

 一方のヨルダンは前線のアルダーマリのキープ力から陣地回復していく形。自陣に下がった苦しい状態からロングボールを受けてなんとか時間を作っていきたいところ。

 押し込む機会が多かったオーストリアは左サイドのタメを活かす形で先制点をゲット。マイナスのところでボールを受けたシュミットのミドルでスコアを動かす。

 ハイドレーションブレイクが明けたところからヨルダンは少しずつポゼッションを増やしていく展開。左サイドのクロスとセットプレーのチャンスからオーストリアのゴールに策を講じていく。アルダーマリのキープ力も前半に比べれば、高い位置で活かすことができる展開だった。

 オーストリアにとってはなんとも言えない状況。ヨルダンが前がかりになったところをひっくり返すようなシャープさはないが、押し込まれている状態自体がものすごく困っているわけではない。ひとまずリードを得ているのであれば問題はないのかな?と言える流れの中にいた。

 しかし、後半にもきっちりと押し込んだヨルダンは早々に結果を出すことに成功。前から噛み合わせるプレスで反撃に出ようとするオーストリアをひっくり返し、カウンターからオルクンがゴールを奪い取る。

 オーストリアのプレッシングは反撃のきっかけになるというよりはむしろ間延びのトリガーになった印象。左右にピッチを広く使うヨルダンに対して縦と横のコンパクトネスが足りない状態を招いてしまう。

 苦しくなったオーストリアは3枚交代を敢行。前線のオフザボールを活性化することで、勢いを取り戻しにいく。押し込む機会を回復させたオーストリアはセットプレーからアルナウトビッチがネットを揺らすが、これは直前のハンドで取り消し。

 しかし、ハイドレーションブレイク後に再びアルナウトビッチに合わせるところからオーストリアは勝ち越し。厳密にはオウンゴールではあるが、リベンジを果たした格好だ。ヨルダンはGKの飛び出しの不安定さが危うさを増幅させていた感がある。

 なかなか前に起点ができなかったヨルダンだが、終盤に再びハイプレスを起動。パス回しのスピードが足りず、プレスをいなし切ることができないオーストリアを攻め立てる。

 このままいけばあるいは・・・という展開を挫いたのが自陣でのPK献上。再びのアルナウトビッチが決定的な3点目を仕留めて万事休す。オーストリアが久々の本大会を勝利で飾った。

ひとこと

 セットプレーでの危うさがヨルダンの致命傷となってしまった。

試合結果

2026.6.16
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループJ 第1節
オーストリア 3-1 ヨルダン
サンフランシスコ・ベイエリア・スタジアム
【得点者】
AUT:21′ シュミット, 76′ アルアラブ(OG), 90+12′(PK) アルナウトビッチ
JOR:50′ オルワン
主審:ダハネ・ベイガ

第2節 アルゼンチン戦

メッシを中心に楽しい大暴れ

 第1戦ではメッシの大暴れで勝利。サウジアラビアにくじかれた前回大会とは打って変わって好スタートを切ることに成功。このグループでは最大のライバルになるであろうオーストリアを撃破すれば1試合を残してグループ突破を確定することができる。

 オーストリアは中盤で構えるスタンス。強引にプレスにはいかずに様子を見ていく。試合の流れをいきなり動かしたのはこの構えるプレスからのスイッチ。ザビッツァーが前から捕まえに行ったところに対して、アルゼンチンはモリーナを軸として脱出。加速するスペースを作ると、ボックス内に入り込み、ラウタロがPKを奪取することに成功する。

 しかし、このPKはメッシが失敗。オーストリアとしては事なきを得たが、前へのプレスのスイッチを外されてPKまで持っていかれたという傷は残るだろうなというようなシーンだった。

 基本的にはアルゼンチンは大外勝負のWGがいないので、インサイドをいかに強引にこじ開けるかの勝負。ロメロは浮き球でもライン間に入れていくし、リサンドロ・マルティネスは鬼のような速さと精度のパスを中央につけていく。

 インサイドの面々はそうしたパスでも簡単にコントロールし、少ないタッチから相手のプレスの逆を取っていく。大外レーンは相手の矢印を折るための手段という感じで、あくまでインサイドを空けるための方策として一旦噛ませる以上の意味合いはないように見えた。

 やはり圧巻なのはメッシだろう。パスがこの人に通れば確実に攻撃は加速する。4年前はほぼ動かなくて仙人のようだなと思ったのだけども、今の方が動けているように感じるのは勘違いだろうか。いずれにしても一度インサイドに差し込んで前を向ければそこからゴールまでの導線は保証されているようなもの。外に一旦叩くところからコースが空いたインサイドに走り込んだメッシがゴールを奪う。

 オーストリアもアルゼンチンと似たようなエッセンス自体は感じる。プレスに対して相手を引き込んで矢印を折りながら前進。質も高いように思うのだけども、やはりメッシのいるアルゼンチンが比較対象になってしまうのであれば、なかなか厳しいものがある。狭い距離感で少ないタッチ、相手をへし折るようなパスワークというのは個人的にはバスケットボールを見ているような感覚に近く、その枠の中でアルゼンチンがより上質なサッカーを展開していたというのがこの試合の全体に対する印象だ。

 後半、追いかける立場になったオーストリアはプレスを強化していくが、アルゼンチンのミスを誘うことは全くできず。むしろ、瞬間的に差し込むスペースを差し出してくれたという感じでオーストリアを置いていきながらスピードアップしていく。

 オーストリアは戦う土俵を変更し、ゴリっとザビッツァーからグレゴリッチュの空中戦を活かすような形からゴールに迫っていく。このスタンスの方が!というふうになるのは理解はできる。それくらい同じ土俵で戦うのはハードだった。

 終盤にはメッシがダメ押しのゴールをゲットしてアルゼンチンは完勝。前を向けば何かをしてくれるという期待に応えた神が2試合連続の複数得点でアルゼンチンをグループステージの突破に導いた。

ひとこと

 アルゼンチン、前回大会に比べて圧倒的に見ていて楽しい。

試合結果

2026.6.22
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループJ 第2節
アルゼンチン 2-0 オーストリア
ダラス・スタジアム
【得点者】
ARG:38′ 90+5′ メッシ
主審:アミン・モハメド

第3節 アルジェリア戦

3回の不意打ちが飛び交う偽デスマッチ

 立ち上がりにこの試合を担当する実況アナウンサーが「絶対に負けられない両チームの戦い」と評した。確かに間違いではないけども、「負けさえしなければお互い問題ない」という事実が隠れているのがこの試合。いわば、ともに助かる道があることがわかっているデスマッチだ。

 勝った方がスペインと試合をするという得のない条件を突きつけられていることもあり、決着をつけないままの手打ちの可能性を示唆された試合前だったが、蓋を開けてみれば完全なぬるま湯というわけではなかったこの試合。オーストリアはジリっとアルジェリアに対してプレスをしていくが、後方は無理についていくほどではないという感じ。

 アルジェリアは左サイドから攻撃を加速させていきながら対抗。オーストリアも縦にパスコースが見えれば、一気につけていく様子も見せる。思ったよりも緊張感や試合を動かそうとするパスがあるなという試合に見えるし、肘打ちをかましたアルナウトビッチを見れば、この試合はきっちりと両チームが勝敗を争っているものということがよくわかった。

 それでも肝心なキーパスはどこまで?というところは探り合いになっている感があったこの試合。先制点を奪ったアルナウトビッチの抜け出しはどちらかといえば不意打ちというような加速が伴う場面だった。

 手打ちじゃなかったんかい!というアルジェリアはボールを持ちながら解決策探し。右サイドから粘りに粘ったベルガリが左足でゴールを捩じ込むという力技が彼らの出した解決策。45分にアルジェリアが追いつくことに成功し、前半はタイスコアでハーフタイムを迎える。

 後半、アルジェリアはまったりとボールを持つ形。オーストリアは問題の種になりそうなアルナウトビッチをピッチから消し飛ばすなど再び様子を探るようなスタートを見せる。

 互いに後方を重たくするビルドアップが軸で攻め立てるシーンは少なめ。それだけに前半と同じく、急加速からあっという間にザビッツァーがミドルシュートを放ったシーンは不意打ちのような感覚だった。

 またしても解決策を探さなくてはいけなくなったアルジェリア。今度は左サイドから。アワールの大外を抉るアクションからマイナスのボールに遅れて飛び込んだマフレズ。アルジェリアを牽引するベテランがW杯で初めてのゴールを決める。

 2回のオーストリアによる不意打ちとアルジェリアの解決策探しを経て、平穏な展開となったこの試合。互いに後ろの陣形を厚くしながら攻守ともに安定感を高めるような形に収束する。

 アルジェリアのパス回しが続く展開に「さすがにこのまま終わるでしょう!」と思った93分にアルジェリアは縦パスを2つ。あっという間に抜け出したマフレズがこの試合で初めてリードを奪うゴールを決める。

 初めて不意打ちをかけられた側となったオーストリア。窮地となったチームを救ったのは最後の切り札としてパワープレー要員として投入されたカライジッチ。96分に試合を振り出しに戻す一撃を仕留めてスタジアムは熱狂の渦に。3回の不意打ちにいずれも両チームは解決策を見せて、W杯史に残るドロー決着が生まれることとなった。

ひとこと

 なんだよこの試合は。

試合結果

2026.6.27
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループJ 第3節
アルジェリア 3-3 オーストリア
カンザスシティ・スタジアム
【得点者】
ALG:45′ ベルガリ, 60′ 90+3′ マフレズ
AUT:28′ アルナウトビッチ, 55′ ザビッツァー, 90+6′ カライジッチ
主審:イルギス・タンタシェフ

Round 32 スペイン戦

ようやくここから本気のスペイン

 Round32も後半戦。スペインのノックアウトラウンドの初陣はオーストリア。グループステージの大トリを飾る試合でこのトーナメントの切符を手に入れたチームだ。

 序盤からボールを持つのはスペイン。オーストリアはミドルからローブロックのところで踏ん張る形を優先し、スペインに強引なプレスをかけに行かない。

 スペインはひとまずはWGにボールをつけることを優先。まずはヤマルのところからつついていく。オーストリアは対面のライマーが踏ん張りつつ、ザビッツァーがサポート役。後手を踏まない程度には食らいついていた。

 スペインは左右に散らしながらオーストリアのブロックを外に広げつつ、サイド攻撃はシンプルな二人称なものに終始。オーストリアはまだ無理なく跳ね返すことができる立ち上がりに。

 非保持においてもオヤルサバルが追うことに連動しきれないスペイン。この点でもオーストリアはずっと攻められているような圧力を感じるわけではない試合だったと言える。左サイドのライマーが変形に関与しつつ、外のザビッツァーに展開し、グレゴリッチュがあわやというシーンも作り出す。

 総じて互角の展開が動いたのはハイドレーションブレイク明け。右サイドでややインナーレーンで絡むようになったヤマルがオルモとのコンビネーションで破っていく。縦突破からライマーを置いていくシーンも含めて、かなり優勢に。

 左サイドもオヤルサバルが流れることにより三人称での攻撃が活性化。オーストリアはかなり後手に回るように。振り回され続けた結果がオヤルサバルのゴール。このゴールが生まれる段階ではすでにインサイドのマーカーに寄せられるような状況ではなかった。

 追いかけることになったオーストリアは徐々に前からのプレスを強めていくが、SBからのキャリーや浮いたロドリからひっくり返すことも多々。まずはコンパクトにという立ち上がりの前提が崩れてしまった感があった。

 後半の頭、オーストリアはCHを入れ替えてのスタート。プレスを強化していくが、スペインは流れるようにこれを外すことに成功。ロドリ、オルモのギャップの入り方は特に見事で、こういう展開はお手のものという感じ。捕まえにくる動きを利用して、相手の守備陣形にギャップを生み、そのスペースを活用するオフザボールが面白いようにハマる展開となった。

 非保持の圧力の掛け方もシャープでオーストリアはポゼッションから圧力を逃すことはできず。まだ残り時間がある段階でもかなり厳しくなった感。アルナウトビッチとカライジッチのツインタワー作戦を切り札として早々に提示せざるを得なかったのは仕方ないところだろう。

 それでも大きく流れは変わらず。相手の先手を取るパスワークでボックスまで背走させることに成功したスペインはポロのゴールで2点目を確保する。

 オーストリアはライマーが左サイドからポジションの良さを活かして抵抗をするが、いかんせんこちらは一人だけ。最終的にはスペインが3つ目のゴールを決めて完勝。危なげなくRound16の切符を手にした。

ひとこと

 ようやくここから本気のスペイン!

試合結果

2026.7.2
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Round 32
スペイン 3-0 オーストリア
ロサンゼルス・スタジアム
【得点者】
ESP:36′ 89′ オヤルサバル, 67′ ポロ
主審:グレン・ニーベリ

総括

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