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「FIFA World Cup 2026 チーム別まとめ」~アルゼンチン代表編~

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第1節 アルジェリア戦

別の領域にいるスター

 エンバペ、ハーランドに続き、本日の3試合目に登場するのはリオネル・メッシ。スター揃い踏みというべき大会6日目でアルゼンチンはアルジェリアと初戦を戦う。

 序盤からボールを持つのはアルゼンチン。中盤はかなり自由に変形。守備時には右のSHに入るデ・パウルは攻撃においては中盤に顔を出して3センターのように振る舞うのが特徴。その分、中央やや右寄りに2トップの一角であるメッシが入る形である。

 アルゼンチンの特徴はとにかくゆったりとしたリズムのパス回し。やり直すことに全く抵抗はなく、インサイドにパスを差し込むところを狙っていくスタート。当然狭いところを通そうとするので、アルジェリアはインサイドを固めて対応する。

 序盤のアルジェリアが一番不味かったのは奪った後のパスの精度。早々とミスが出てしまい、逆にアルゼンチンのカウンターの餌食に。オフサイドにはなったものの、メッシにネットを揺らされるなど致死性の位置でのパスのズレが起きてしまう。

 メッシがいるので前からガンガンというわけには行かないが、アルジェリアの降りる選手に対しては厳しくマークにいくアルゼンチン。保持での主導権を握ると、中央をぱかっと割るような縦パスから先制点。デ・パウルから列を超えたパスを受け取ったメッシがライン間から見事なミドルを差し込む。

 先制されたアルジェリアはベンタレブが最終ラインに落ちることで3バックに。SHはどちらもナローに絞り、インサイドのポイントを増やしにいくというアプローチ自体は若干アルゼンチンと似通っている部分はある。

 要は保持から手数をかけていきたいチームなのだが、アルゼンチンからなかなかボールを奪い返すことができずに苦戦。先制したらアルゼンチンはさらにゆったりとボールを動かすことができるし、CBやGKは困った時には精度の高いロングボールを蹴る余裕もあった。アルゼンチンはアルジェリアからボールを取り上げることで安定した試合運びを見せる。

 40分が過ぎたところで少しずつボールを持つことができるアルジェリア。サリーして最終ラインに入るベンタレブがボールと共に列を上げ直すことができた時に、アルゼンチンのマークは遅れがち。この状況を作れれば勝負ができそうな空気はあった。

 左サイドに張るアイト=ヌーリからのドリブルも相手を剥がす手段の一種として機能。インサイドに切り込むドリブルで少しアルゼンチンの守備が怪しいCH付近を狙っていく。

 アルゼンチンリードで迎えた後半。後半も土俵は同じく、互いにインサイドにフリーマンをどのように作るかという文脈で戦いが繰り広げられる。逆に52分のアルゼンチンの攻撃のようなトランジッションからのスピードアップはこの試合においては珍しいシーンでもあった。

 後半も先に試合を動かしたのはアルゼンチン。左に流れたメッシでアルジェリアのDFラインを片側にずらすと、ゴンサレス→マック=アリスターと繋いで放ったミドルのこぼれをメッシが仕留める。初手でややDFラインをずらした分の混乱を見事に本人が回収した格好に見えた。

 さらにメッシはもう1つゴールを決めてハットトリック。何度も見た形、何度も見たコースへのシュートを機械のように流し込んでリードを広げる。

 終盤はアルジェリアの攻撃を受けつつ、保持で時間を潰すなど安定した試合運びが光ったアルゼンチン。W杯歴代最多ゴールタイ記録を樹立したメッシの活躍で初陣を制した。

ひとこと

 アルゼンチン、あまりにも他の列強と別のフィールドで勝負している感が強すぎる。

試合結果

2026.6.16
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループJ 第1節
アルゼンチン 3-0 アルジェリア
カンザスシティ・スタジアム
【得点者】
ARG:17′ 60′ 76′ メッシ
主審:シモン・マルチニャク

第2節 オーストリア戦

メッシを中心に楽しい大暴れ

 第1戦ではメッシの大暴れで勝利。サウジアラビアにくじかれた前回大会とは打って変わって好スタートを切ることに成功。このグループでは最大のライバルになるであろうオーストリアを撃破すれば1試合を残してグループ突破を確定することができる。

 オーストリアは中盤で構えるスタンス。強引にプレスにはいかずに様子を見ていく。試合の流れをいきなり動かしたのはこの構えるプレスからのスイッチ。ザビッツァーが前から捕まえに行ったところに対して、アルゼンチンはモリーナを軸として脱出。加速するスペースを作ると、ボックス内に入り込み、ラウタロがPKを奪取することに成功する。

 しかし、このPKはメッシが失敗。オーストリアとしては事なきを得たが、前へのプレスのスイッチを外されてPKまで持っていかれたという傷は残るだろうなというようなシーンだった。

 基本的にはアルゼンチンは大外勝負のWGがいないので、インサイドをいかに強引にこじ開けるかの勝負。ロメロは浮き球でもライン間に入れていくし、リサンドロ・マルティネスは鬼のような速さと精度のパスを中央につけていく。

 インサイドの面々はそうしたパスでも簡単にコントロールし、少ないタッチから相手のプレスの逆を取っていく。大外レーンは相手の矢印を折るための手段という感じで、あくまでインサイドを空けるための方策として一旦噛ませる以上の意味合いはないように見えた。

 やはり圧巻なのはメッシだろう。パスがこの人に通れば確実に攻撃は加速する。4年前はほぼ動かなくて仙人のようだなと思ったのだけども、今の方が動けているように感じるのは勘違いだろうか。いずれにしても一度インサイドに差し込んで前を向ければそこからゴールまでの導線は保証されているようなもの。外に一旦叩くところからコースが空いたインサイドに走り込んだメッシがゴールを奪う。

 オーストリアもアルゼンチンと似たようなエッセンス自体は感じる。プレスに対して相手を引き込んで矢印を折りながら前進。質も高いように思うのだけども、やはりメッシのいるアルゼンチンが比較対象になってしまうのであれば、なかなか厳しいものがある。狭い距離感で少ないタッチ、相手をへし折るようなパスワークというのは個人的にはバスケットボールを見ているような感覚に近く、その枠の中でアルゼンチンがより上質なサッカーを展開していたというのがこの試合の全体に対する印象だ。

 後半、追いかける立場になったオーストリアはプレスを強化していくが、アルゼンチンのミスを誘うことは全くできず。むしろ、瞬間的に差し込むスペースを差し出してくれたという感じでオーストリアを置いていきながらスピードアップしていく。

 オーストリアは戦う土俵を変更し、ゴリっとザビッツァーからグレゴリッチュの空中戦を活かすような形からゴールに迫っていく。このスタンスの方が!というふうになるのは理解はできる。それくらい同じ土俵で戦うのはハードだった。

 終盤にはメッシがダメ押しのゴールをゲットしてアルゼンチンは完勝。前を向けば何かをしてくれるという期待に応えた神が2試合連続の複数得点でアルゼンチンをグループステージの突破に導いた。

ひとこと

 アルゼンチン、前回大会に比べて圧倒的に見ていて楽しい。

試合結果

2026.6.22
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループJ 第2節
アルゼンチン 2-0 オーストリア
ダラス・スタジアム
【得点者】
ARG:38′ 90+5′ メッシ
主審:アミン・モハメド

第3節 ヨルダン戦

30分で輝くスター

 すでに首位通過を決めているアルゼンチンと敗退が決まっているヨルダンのカード。結果的にも熱戦になった逆側のカードと比べると、コンペティティブな意味合いとしては薄めの試合。それでもヨルダンにとっては大いなる挑戦となる試合だ。

 メッシがいないせいかこの日のアルゼンチンはいつもよりも前からのプレスにジリっと進んでいくようなアクションが多め。ヨルダンは安全に直線的なロングボールを選択することでプレスから逃げる。

 よって、試合はアルゼンチンのポゼッションがベースに移行する。ヨルダンの5-4-1の守備ブロックの前でのポゼッションを敢行。LSBのタグリアフィコとCHのパレデスの列落ちから後方が重めの陣形を敷く。

 メッシがいなくてもアルゼンチンの攻撃の狙い目は同じ。ライン間に3-4人のアタッカーを入れつつ、前を向いて背後を狙う選手への裏抜けのラストパスを狙っていく。メッシがいなくても攻撃はスムーズに流れているのはさすがアルゼンチンという感じだ。

 押し込むアルゼンチンはロ・チェルソのFKで先制。飛ばない壁の先のコースはGKも反応することができず。ヨルダンの壁を作る連携がどうなっているかが気になる場面だった。

 失点してから少しずつポゼッションを増やしていくヨルダン。左右に散らしながらチャンスを探っていく。先制したこともあり、アルゼンチンのプレスはそこそこという感じであったが、ボールを持ててもブロックを崩すのは至難の業。サイドからCBのキャリーでサイド攻略を狙うが、ボックス内にアプローチすることはできないままだった。

 アルゼンチンは苦しむヨルダンをよそにPKで追加点。前半のうちにリードを広げることに成功する。

 後半はアップを始めるメッシに注目が行きつつ、前がかりのヨルダンをアルゼンチンがプレスで撃退。高くなったラインに対しては、ラウタロが絶えず駆け引き続けて決定機やオフサイドながらネットを揺らす場面も出てくるように。

 しかし、ヨルダンは後半の早い時間に一矢報いることに成功。内外内の流れるようなパスワークでアルゼンチンの陣形を伸縮させると、アルターマリがゴールを決める。

 メッシの投入とともにヨルダンのバイタル管理は一段と警戒度が引き上がった印象。ヨルダンは防衛で手一杯となり、なかなかここから前に出ていく意欲を燃やすことは難しそうな状況だった。

 そのメッシはこの日もゴールをゲット。またしても壁の作りが甘かったヨルダンの隙を見逃さず、30分のプレータイムで観客を沸かせることに成功。アルゼンチンの全勝でのグループステージ突破に花を添えた。

ひとこと

 スターたる所以を発揮したメッシだった。

試合結果

2026.6.27
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループJ 第3節
ヨルダン 1-3 アルゼンチン
ダラス・スタジアム
【得点者】
JOR:55′ アルターマリ
ARG:19′ ロ・チェルソ, 31′(PK) ラウタロ・マルティネス, 80′ メッシ
主審:イシュトヴァン・コヴァーチ

Round 32 カーボベルデ戦

王者を脅かし、観客を沸かし、夢舞台を去る

 3つの引き分けを並べてグループステージの突破を果たしたカーボベルデ。2位通過を果たした先のトーナメント初戦で戦うのは優勝候補の一角であるアルゼンチンだ。

 序盤は高い位置から組み合う姿勢も見せるカーボベルデ。しかしながら、敵陣でのプレスはそこそこに、ミドルゾーンで構える形に移行する。

 アルゼンチンはここまではインサイドに数本パスを通して繋ぐことで一気に加速することで勝利してきたチーム。しかし、カーボベルデは相手の最短最速のルートを塞ぐことは得意。アルゼンチンのように手段がはっきりしている中で切れ味勝負してくるチームは相性的には悪くない。

 序盤戦の戦い方はまさにそれを体現するような形。アンカー脇を狙ってくる相手に対して、センターラインをスライドさせることで簡単にフリーにさせない。アルゼンチンもモリーナの絞るアクションなど、インサイドにポイントを増やしていたが、カーボベルデはフリーで前を向く選手を作ることを許さない。

 エンソのサイドフロー、モリーナのバックドアなど、少しずつアルゼンチンはサイドに論点をずらしていく。中央よりは手薄ではあったが、アルゼンチンもサイドで必ず1枚剥がせるアタッカーがいない分、難しいところ。一時的に5バックにシフトして幅を守るなどカーボベルデの柔軟な対応も光った印象だ。

 保持に回るカーボベルデは左サイドから進撃を狙っていく。しかしながら、時間を作ることは簡単には許されず。ボックス内にボールを送り込む手段がなかった。

 前進の手段に苦しむカーボベルデに対して、ハイドレーションブレイク明けにアルゼンチンは先制ゴール。リサンドロ・マルティネスのタッチダウンパスに抜け出したメッシが恐ろしいくらい冷静にゴールを決める。

 先制点はゲームの形を変えることはなく、淡々と試合は進んでいく。それでもインサイドに少しずつパスを差し込んでいく。先制点のアシストと同様にアルゼンチンはCB陣の配球力を活かす格好だ。

 カーボベルデは引き続き左サイドを軸に攻撃を組み立てていく。だが、ロスト後のファウルが目立ってしまうなど、やや焦りが見られるシーンも。なかなか攻め筋を見つけることができない。

 後半も試合はアルゼンチンのポゼッションから入っていく形。カーボベルデは前半よりもインサイドに背負うパスをつけてサイドにスペースを与えていく。突破力は鋭くはないけど出口は変えられない。ならばその分、せめてスペースだけはというコンセプト。

 ひとまずはこれで押し下げられるようになったカーボベルデ。アルゼンチンはトランジッションでのパスの精度低下により、カーボベルデからボールを取り上げることができない時間が続く。

 そのツケを払うことになってしまったアルゼンチン。右の大外を起点にハーフスペースに突撃したデロイ・ドゥアルテのケアが遅れたことが致命傷に。DFの股、GKの爪先を通る針の穴を通すようなシュートを決めてみせた。

 再び押し込むのはアルゼンチン。インサイドのパスから瞬く間にメッシが抜け出すという必勝パターンも繰り出されるが、ボジーニャのファインセーブでカーボベルデは難を逃れる。ハイドレーションブレイク前の長すぎるアルゼンチンの攻撃を切ったことも含めて、彼の貢献度は非常に高かった。

 カーボベルデが前に出ていけなかったことを利用したアルゼンチンだが、彼ら自身も負傷者や足を攣る選手の発生でオフザボールの質は低下。最終的に空けたいインサイドを使うための仕掛けの部分を継続的に作ることができなかった。

 延長戦に持ち込むことができたカーボベルデ。しかし、セットプレーから早々に勝ち越しに成功したのはアルゼンチン。ファーに流れたボールをリサンドロ・マルティネスが冷静に叩き込む。同点ゴールのお返しをこの重要な場面で果たした。

 またしても追いかける立場となったカーボベルデ。救いだったのはアルゼンチンがこの試合を制圧して終わらせるほどのコンディションではなかったこと。最低限ブロックを守れば、多少マークが緩くなっても大丈夫という算段だったのだろう。

 確かに前半のカーボベルデのプレー精度を見ていればその気持ちもわからないでもない。だが、その予定調和を壊したのはロペス・カブラル。前半から再三仕掛けていたボックス外からの突撃がスーパーミドルという形で結実。1枚剥がされなければOKというアルゼンチン側の算段をぶち壊す一撃を食らわせる。

 なんとかPK戦まで引きずり込みたいカーボベルデだが、セットプレーでアルゼンチンは再び勝ち越し。味方も敵もまとめて吹っ飛ばすロメロのヘッダーがオウンゴールを呼び込む。

 最後まで敵陣に迫りながら枠内シュートも飛ばしていたカーボベルデだが、3点目には届かず。今大会最大のサプライズとなったカーボベルデは観客を沸かしながらもRound32で姿を消すこととなった。

ひとこと

 フットボール、最高かよ。

試合結果

2026.7.3
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Round 32
アルゼンチン 3-2 カーボベルデ
マイアミ・スタジアム
【得点者】
ARG:29′ メッシ, 92′ リサンドロ・マルティネス, 111′ ディネイ・ボルジェス(OG)
CPV:59′ デロイ・ドゥアルテ, 103′ ロペス・カブラル
主審:ドリュー・フィッシャー

総括

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