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「FIFA World Cup 2026 チーム別まとめ」~エジプト代表編~

目次

第1節 ベルギー戦

ルカクの一発回答で追いつくが・・・

 黄金世代の総決算とも言えるW杯が開幕したベルギー。対するはこちらも英雄・サラーにとっては重要なW杯となるエジプトである。

 立ち上がりに目立ったのは積極的な守備を見せるエジプト。ラインを上げてベルギーのバックラインに非常にタイトに体を当てていく。

 ベルギーの立ち上がりの前進は相手にハードに当てられた状態で何かができる選手次第という感じ。体のキレが好調で反転できるドクと、ポストプレーが安定していたデ・ケテラエルの2人が時間を作ることで味方をフリーにしたり、あるいはミドルシュートをお膳立てしたりなどチャンスを作っていく。

 エジプトの保持はアッティアが右にサリーするような形をメインとした後方3バック化。大外はSBとSHで分け合う形でSBが低い位置に下がってビルドアップに関与するケースもある。

 ベルギーは無理にプレスに行かずに4-4-2をキープ。プレスのスイッチ役となるのはデ・ブライネで、彼がプレスに行った際には後方の選手たちがついていくという格好だった。

 徐々に試合のリズムを掴んできたのはベルギーの方。エジプトのプレスのタイトさに慣れてくる選手が出てきて、無駄なロストが減少。前を向く選手を作るのが容易くなってくる。

 誤算だったのは前を向いても精度が定まらない選手がいたことだろう。オナナのパスミスの多さは流れを切ってしまう苦しさ先行のものだった。

 いい流れながら、守備でもミスが出て先制点を献上してしまうベルギー。サラーのパスを受けたアシュールのシュートは素晴らしいものだったことには違いないが、簡単にオナナの背中を通されて、ムニエのシューターへのアプローチが遅れてしまったことは痛恨だった。

 失点以降はベルギーの保持の時間が長引く展開に。SHの左右を入れ替えて、トロサールを左固定、ドクをフリーロールに変化させるなど配置の工夫も見えた。

 エジプトの守備ブロックはDF-MF間が空いていたが、そこを生かし切ることはできなかった印象。逆にベルギーはCHの背中に現れる降りるエジプトの前線を捕まえきれなかった。

 後半もビハインドのベルギーは引き続きポゼッション。デ・ブライネのFKなど、あわやという場面を早々に作る。流れの中の攻撃においてもインサイドに縦関係をいかし、ナローなスペースで前を向く選手を作るアクションを見せる。

 エジプトはカウンターにフォーカス。左に移動したジコをSBで追い越すなど厚みのある形からファストブレイクを狙っていく。自陣に押し下げられたとしてもマルムシュの爆発的なスピードがあれば、一気に陣地回復ができるのは魅力的だった。

 膠着した試合を打開したのは交代で入ったルカク。右サイドからのクロスに飛び込むことでオウンゴールを誘発。試合を振り出しに戻す。

 逆転を狙いたいベルギーは右サイドのフリーランを生かした攻略というここまでとは少し違う攻め筋から対抗。この攻め筋自体は悪くはなかったが、ボールを失った時に取り返すエネルギーがなかったことは痛恨。セットプレーからメシェレの決定機などはあったが、終盤はやや軟着陸気味のドローでの決着となった。

ひとこと

 守備でギアアップできないチームなのはベルギーの痛いところである。

試合結果

2026.6.15
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループG 第1節
ベルギー 1-1 エジプト
シアトル・スタジアム
【得点者】
BEL:66′ ハニー(OG)
EGY:19′ アシュール
主審:ラモン・アバッティ

第2節 ニュージーランド戦

混戦のグループGから抜け出したエジプト

 第1節は2試合ともドロー。やや混沌としているグループG。勝てば頭1つ抜けることができる重要な一戦となる。

 エジプトは左サイドの中盤を低めに構えることで起点作り。シャープにマルムシュが背後を取る攻撃を仕掛けていく。ニュージーランドは4-4-2のミドルブロックで構える形。自陣まで入ってこられると、SHとCHのどちらも最終ラインに入る格好でエジプトの大外からハーフスペースのアタックを封殺する。

 背後を埋める意識があまりにも強いと、ミドルやラストパスが飛んでくるバイタルの封鎖との両立が難しいところであるが、立ち上がりのニュージーランドは特に問題にはならなかった。

 押し込まれる機会が多かったニュージーランドだが、左サイドのユニットから反撃。ジャストとシンのスピードをウッドのポストで最大化する形で前進を狙っていく。

 静的な展開においても攻め筋は同じく左サイドから。近い関係性を使いながら左サイドから抜け出すところを探っていく。押し返したニュージーランドはセットプレーから先制。サーマンがフリーでヘディングを叩き込み、試合を動かす。

 先制してからはスピーディーな展開となったこの試合。両チームにも所属選手がいるプレミアリーグのような縦に行ったり来たりというような状況が続く。

 追いかけるエジプトは押し込む時間こそ増えるが、なかなか決め手となるようなシーンは作れず。右サイドからのクロスにアシュールが抜け出した場面はボックス内に人を増やした効果を感じるところ。ニュージーランドはサイドのローテーションに対して柔軟に対応していたように見えたが、ボックス内勝負では相手を逃がしてしまうところもあった。

 ビハインドのまま後半を迎えたエジプト。後半もポゼッションからスタート。左サイドから突っついていくが、ニュージーランドにとってはハーフスペースと大外のケアは前半もできていた部分。むしろ、前半から懸念があったシンプルなボックス内に枚数をかける形で同点に追いつく。

 少しオープンな展開となったこの試合。プレミアらしい行ったり来たりの展開の中でゴールを決めたのはエジプト。サラーのファストブレイクから勝ち越しゴールを仕留める。ニュージーランドとしてはその手前のファウルを取ってくれと言いたくなるようなシーンだった。

 追いかけていきたいニュージーランドだが、時間が経ったことで前線のレギュラーセットの精度が低下。逆にエジプトは相手を引き込みつつカウンターで脅かすという理想的な展開を迎える。

 優位に立ったエジプトはセットプレーからトドメ。ニアに入ったハッサンが決定的な3点目を仕留める。

 混戦となったグループGを抜け出したのはエジプト。このグループ初めての勝利を掴み、頭1つ前に出ることに成功した。

ひとこと

 2点目を活かしてエジプトは優位を構築した感があったので、あのゴールを認めたことがこの試合のターニングポイントになったのは間違いないだろう。

試合結果

2026.6.21
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループG 第2節
ニュージーランド 1-3 エジプト
BCプレイス・バンクーバー
【得点者】
NZL:15′ サーマン
EGY:58′ ジーコ, 67′ サラー, 82′ ハッサン
主審:オマル・アル・アリ

第3節 イラン戦

突破を決めきれなかったイラン

 引き分けが多く、ここまで抜け出すチームが存在していないグループG。エジプトはなんとか試合前に突破が決まったが、順位も含めて最後まで混戦模様という形になっている。イランは勝利しなければあとに控えるチームに祈る格好になる可能性も出てくる。

 序盤からアグレッシブな組み方となったこの試合。時間の経過と共に少しずつ保持で時間を使っていくのがエジプト。イランは5-4-1で自陣側にブロックを組むようにラインを下げていく。

 イランの中盤のブロックは両シャドーとWBが連動しながら重心を上げる隙を探っていく形。エジプトはやり直しを繰り返しながら、敵陣に入っていく動線探しをしていく。

 先制点のきっかけになったのは2トップの縦関係。ライン間のギャップを作るアクションからパス交換を繰り返し、最後はサベルがゴールを仕留める。

 ゴールを合図にイランのプレスはギアアップ。列を上げて捕まえにいくアクションを増やしていく。その甲斐があって敵陣でのプレーが増えたイランはPKを獲得。だが、アブデルモネムが与えたPKはタレミが仕留められず。イランは同点のチャンスを逃してしまう。

 しかし、すぐにそのミスを拭うことに成功したイラン。左サイドを破ったモハマディから最後はレザイーアンが仕留めて試合は振り出しに戻ることに。

 個々人のアタッカーの切れ味では優位に立っていたのはエジプトの方だろう。軽いターンが軸の動きはやりすぎて時にはファウルになってしまうほどだった。

 同点にしたところで再び列を下げるイラン。エジプトはポゼッションを軸に攻めていくが、なかなか展開を動かすことが出来ないままハーフタイムを迎える。

 後半も展開は同じ。エジプトと時々イランが交互にボールを持ちながら相手のブロックを崩す隙を狙っていく。エジプトはサラーが次節以降に影響しそうな負傷での交代をするというアクシデントに見舞われた以外は試合は危なげなく進んでいく。

 エジプトにとってはそれでも問題はないのかもしれないが問題はイラン。80分になってもなかなか試合を動かせずに苦しい展開に。最終盤に頼みの綱となったのはセットプレー。沈黙を破るように急な得点機を迎えたイラン。ネットを揺らすことに成功するが、これはまさかのオフサイド。後半追加タイムでの決勝ゴールは幻となる。

 試合は1-1。イランの突破は後のグループに託されることとなった。

ひとこと

 終盤ギアを上げることが出来ない要因がコンディション起因だったならなかなか切ないものがある。

試合結果

2026.6.26
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループG 第3節
エジプト 1-1 イラン
シアトル・スタジアム
【得点者】
EGY:5′ サベル
IRN:14′ レザイーアン
主審:シモン・マルチニャク

Round 32 オーストラリア戦

アジア最後の砦が陥落

 日本がブラジルに敗れてしまい、アジア最後の砦となったオーストラリア。エジプトも躍進が伝えられたアフリカ勢が次々と敗退に追い込まれていることからも大陸間での注目度が高いカードだと言えるだろう。

 互いに噛み合わないフォーメーションの中で慎重に入ったのはオーストラリア。ミドルゾーンに構える5-4-1でエジプトにボールを持たせることを許容する。

 エジプトのポゼッションは左サイドの片上げ。SBが高い位置をとり、SHは絞る形でローテーションを行っていく。

 オーストラリアは持たれる展開に焦れることが少しずつ増えていくように。前線がワンサイドカットしながら片側サイドに幽閉しようとするが、エジプトのCHのマークが甘いことで逆サイドに逃がされるシーンが多かった。

 逆サイドに逃がしながらの前進が安定してできていたエジプトは押し込むところから先制。セットプレーの二次攻撃からアシュールがゴールを決めてリードを奪う。

 一方のオーストラリアの保持に対して、エジプトはSHが前にスライドしながら枚数を合わせる強気のプレス。低い位置に相手を引きつけながら、ひっくり返すような縦に速い攻撃を見せる。右のWBであるボスからの加速は多少不利な体勢でも前に出るようなポテンシャルがある。瞬発力の点では明らかに優位のあるイランクンダとともに飛び道具として機能する。

 前半の終盤になると、徐々にオーストラリアの前からのプレスがすれ違わなくなってくることで試合の流れは変化。ショートカウンターからオーストラリアに手応えのある展開を呼び込むことに成功する。エジプトも少しずつオーストラリアのシャドーとWBの間にボールを届けることで落ち着かせることで対応。均衡した流れながらエジプトのリードでハーフタイムを迎える。

 後半の頭はオーストラリアが主導権を握ったスタート。徹頭徹尾空中戦の強さを生かすようなオーストラリアのパスワークから一気にゴールに向かう形。ボール奪回の際にも列を上げる圧力が効いており、エジプトは飲まれるような立ち上がりだった。

 その流れからセットプレーでオーストラリアは同点ゴール。サウターの一撃がオウンゴールを誘発し、試合を振り出しに戻す。

 以降もしばらくはオーストラリアの圧力は続いていたが、徐々にエジプトのCHがフリーになるとポゼッションは回復。この時間帯よりあとは非保持側のプレスがかかることはなく、交互にポゼッションを行っていくバトルとなった。

 サラーをトップに置く4-1-4-1→3バックという流れは右サイドを中心とした定点攻撃の整備という意味合いはあったが、これもプレスの圧力という観点では低下の方向。手当が保持の局面フォーカスだった分、展開自体は保持と非保持のタームが長くなるような傾向に流れていった。オーストラリアからすると疲れの見えるイランクンダを下げて、前線を入れ替えてもなおプレスのスイッチが入らなかったのはもしかすると想定外だったかもしれない。

 延長戦も含めて保持のターン制バトルは継続。チャンスの量が大きく違ったわけではないが、ハッサンとサラーが右サイドから交互に仕掛けるという方向性がきっちりしていたエジプトの方が優位だったか。PK戦までもつれた試合は2つのキックが枠に飛ばなかったオーストラリアが敗退し、アジア勢のワールドカップはここで幕を閉じることとなった。

ひとこと

 保持のターン制バトルになった時にオーストラリアは少し損をしていた感じがしたので、終盤戦にもう一度非保持で主導権を握りたかったなと思った。

試合結果

2026.7.3
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Round 32
オーストラリア 1-1(PK:2-4) エジプト
ダラス・スタジアム
【得点者】
AUS:55′ ハニー(OG)
EGY:13′ アシュール
主審:グスタボ・テヘラ

総括

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