第1節 ウルグアイ戦

またしても南米相手の勝ち点奪取で開幕
前回大会は開幕節でアルゼンチンを打ち破るというアップセットを引き起こしたサウジアラビア。今大会も同じ南米勢であるウルグアイから対戦をスタート。鼻息荒く前回大会の再現を狙っていきたいところだろう。
序盤はウルグアイがボールを持つスタート。CHが縦関係になるが、サリーするのではなく中央にとどまるケースが多め。サウジアラビアが構えるようなミドルブロックの4-4-2を組む形で迎え撃つ。自陣側ではSHがSBについていく構えを見せるなど、後ろに重たい陣形でサウジアラビアがウルグアイを迎撃する。
ウルグアイの狙い目となるのはアウトサイドレーンの裏抜けへの足の長いパス。大外を段階的に追い越していくアクションからサウジアラビアのDFラインの背後を取り、押し下げたところからクロスを入れていく格好だ。
ただ、ウルグアイのプレーは全体的には精度不足。サウジアラビアはウルグアイのミスを咎められそうなシーンもあったが、カウンターの質が足りず、彼らのミスをゴールに直結させるようなことはできない。
サウジアラビアは自陣ではゆったりとボールを持つ格好。こちらもCHが縦関係を使いながら、相手の中盤の陣形を間延びさせていく。ウルグアイの守備はオールコートマンツーではないが、どこかでマンツーに切り替えている様子であり、陣形を4-4-2でキープしようというスタンスはあまり見えなかった。
このマンツーを繰り出すタイミングが人によってまちまちに見えたウルグアイ。結果的に間延びしたスペースが危険な位置にあっさり空くことが多く、怖いシーンが続くことに。
加速はできるけどもその先のプレーには精度が伴わないサウジアラビア。一番ウルグアイを脅かすことができていたのはセットプレー。そのセットプレーから先制点を確保することに成功。カンノの競り勝ちからこぼれたところをアル・アムリが仕留めてリードを奪った。
ウルグアイも左右のサイドから鋭いクロスをとばしていくが、ここはGKのアルオワイスはクロスカットに成功。簡単にチャンスにすることを許さず。前半はサウジアラビアのリードでハーフタイムを迎える。
後半、試合はウルグアイの保持が支配的な状況でスタート。ヴァレラからビニャスがチャンスを迎える形。基本的には攻略のコンセプトは前半と同じで裏抜けから素早いクロスを入れていくことがウルグアイの狙い。サウジアラビアがサイドの守備を多少手厚くしても彼らの狙いは同じ。だからこそ、少し毛色の違うウガルテのミドルのような形が異彩を放っていた。
後半のサウジアラビアは自分たちがボールを持つ時間を作れずに苦戦。ひたすらウルグアイに叩き続けられる時間が続くことになる。
最終的には80分にアラウホがこぼれ球を仕留めて同点ゴールをゲット。殴り続けた成果を回収する。
しかし、反撃はここまで。試合は1-1の痛み分け。サウジアラビアは2大会連続で南米勢から勝ち点を確保する開幕戦となった。
ひとこと
ウルグアイ、大外裏街道からの強クロスパターンばかりだったのは気になるところ。
試合結果
2026.6.15
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループH 第1節
サウジアラビア 1-1 ウルグアイ
マイアミ・スタジアム
【得点者】
KSA:41′ アルアムリ
URU:80′ アラウホ
主審:マウリシオ・マリアーニ
第2節 スペイン戦

鬱憤を晴らす大量得点
開幕節ではカーボベルデ相手に得点を奪うことができなかったスペイン。同じミスを2回繰り返すことはできないという状態でサウジアラビア戦に臨む。
サウジアラビアは5-4-1での撤退が主体。当然、ヤマルにはアルハルビとアル=ドッサリーの2人がマークにつく格好に。サウジアラビアはスペインがバックパスをした際にはすかさずプレスをかけにいく。ウナイ・シモンならばあるいは?と思ったかは不明だが、GKまでプレスにいくシーンもあった。
しかしながら、さすがにスペインにとってはこの状況はお手のもの。サウジアラビアのプレスを誘引しつつ、間延びした中央のスペースにMFを下ろす形で撃退する。
微妙にラインを上げたい色気が見えていたサウジアラビアに対して、特効薬となったのは左サイドに流れたオヤルサバル。アル・アムリのラインを上げる判断は孤立してしまい、オンサイドで抜け出すと、ここからファーサイドのヤマルに正確なパスを飛ばされて失点。スペインは10分で先制。サウジアラビアはオヤルサバルに抜け出されてからはミス待ちという状態だった。
そのオヤルサバルはさらに2つの得点でチームに貢献。特に3点目を見るとわかるのだけども、すでにサウジアラビアは片側サイドへの圧縮が効かなくなっている。立ち上がりは2人でタイトについていたヤマル相手にもルーズになっていた。
スペインの保持は左サイドにはロドリを後方支援役として置くなど全体的に人数は多めなのだが、一番引力のあるヤマルは右サイド。片側は物理的にケアしなければいけないポイントが多く、もう片側は一番スペースを与えたくない相手がいるということで、サウジアラビアは揺さぶられた結果、サイドのスペースがガラ空きに。何気にポロが精度の高い対角を蹴れることがサウジアラビアにとっては厄介な状況となった。
ハイドレーションブレイク明けにもサウジアラビアの流れは変わらず。保持の局面になってもどこにボールを当てたいのかの狙いが見えないロングボールでポゼッションを捨ててしまい、再び終わりの見えないポゼッション沼に引き込まれる感じだった。
後半は試合の展開としてはフラット寄りに。オヤルサバルとヤマルを早々に引き上げたスペインは前半ほどは支配力を発揮しない展開に。それでも後半早々にファーサイドのククレジャをセットプレーから活かすオウンゴールで突き放す。
攻撃のユニットから積極的に交代を敢行したスペイン。フェラン・トーレスの裏抜けやニコ・ウィリアムスのドリブル突破など第1節では不発だった武器のキレを試すように残りの時間を過ごしていく。
受けに回る時間もいなし切ることに成功したスペイン。第1節の鬱憤を晴らすような大量得点でサウジアラビアを下した。
ひとこと
受けに回るけどもラインも上げたいという欲張りセットを早々に咎められてしまったサウジアラビア。ラインを上げようとする時のリスクヘッジの甘さは前回大会から変わっていないなという印象だった。
試合結果
2026.6.21
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループH 第2節
スペイン 4-0 サウジアラビア
アトランタ・スタジアム
【得点者】
ESP:10′ ヤマル, 21′ 24′ オヤルサバル, 49′ アル・タムバクティ(OG)
主審:ラファエル・クラウス
第3節 カーボベルデ戦

3つ負けなしを並べてノックアウトラウンドへ
勝ち点を取ればまだまだ突破の可能性は残している両チーム。逆会場のウルグアイの動向も気になるところではあるが、まずは目の前の相手から勝ち点を奪えないと話が始まらないという状態だ。
4-4-2というフォーメーションから組み合っていく両チーム。特にサウジアラビアはジリっと前から圧力をかけていく意識が高かった。保持においても相手を外すような仕組みづくりをしていたのはサウジアラビア。SBをインサイドに入れるなどポイントを作りながら優位を取りにいく。
序盤は押し込むサウジアラビアの方が手応えがありそうな展開ではあったが、時間経過と共に流れはカーボベルデに動いていった印象。特にサイドの上下動など強度的な部分でカーボベルデにアドバンテージがあった。
左サイドのセメドやフェルナンデスの上下動はサウジアラビアを出し抜くケースが多く、構造が云々というよりはシンプルに相手を強度で上回っているという感じ。左サイドからアドバンテージを取ることで押し下げることができるシチュエーションが出てくる。
逆にサウジアラビアは陣地回復のフェーズにおいて、ミスが出てきてしまうというところが悩ましい。カーボベルデから反転して攻撃に移行すべき場面を逃してしまい、なかなかリズムを取り戻すことが出来ない。
カンノのフリーランなど工夫が見えないこともなかったが、リズムを引き戻すところまでは至らず。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半は互いにブロックをきっちりと組む相手をどう崩していくかの展開が続く。絶対にゴールが必要なサウジアラビアは右の大外からチャンスを探っていくが、カーボベルデの人数を揃える守備に苦戦する。
一方のカーボベルデもサイドの二人称攻撃からゴールに向かうがなかなか手応えを得ることが出来ないまま停滞。試合は徐々に膠着していく。
不思議だったのはこのままでは良くないはずのサウジアラビアに動きたい意志がまるで見えなかったこと。ボールを奪いにいくアクションに行くにも腰が重たく、たまに前にプレスにいく意識を見せたら、1人の動きに連動ができずに逆にカーボベルデがカウンターに出ていくような動きでゴールに迎えるように。
中途半端で煮え切らない状態のサウジアラビア。早めに入れた交代選手もエネルギーにはならず。試合はむしろ、カーボベルデにノックアウトラウンドを決定的にする一撃が決められるかに焦点が移った感があった。
最後まで粘りを見せるアルオワイスが最後の砦として踏ん張ったサウジアラビア。だが、攻撃に打って出るエネルギーはなし。最後のアルハムダンの突撃まではほぼ湧く瞬間すら作れないままタイムアップ。逆に3試合負けなしで逃げ切ったカーボベルデが歴史に名を刻むノックアウト進出を決めた。
ひとこと
DAZN!それはうつしてよ!大賞だった。
試合結果
2026.6.26
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループH 第3節
カーボベルデ 0-0 サウジアラビア
ヒューストン・スタジアム
主審:フランソワ・ルトゥクシェ
総括

期待が徐々に萎んでいく展開に
アジアの常連組となりつつあるサウジアラビアだが、なかなか厳しい内容での敗退となった。開幕戦でのウルグアイ相手の引き分けは、前回大会でのアルゼンチン戦を彷彿とさせる好スタート。南米キラーとして勢いが出てくるのかな?と思われたが、ウルグアイがバラバラのチームであっただけというネタバレもあり、その後もクオリティが足りないまま敗退に追い込まれてしまった感があった。
端的にいってしまえば、どこで勝負をかけていきたいチームなのかがわからないまま終わってしまったなという感じ。従来であればショートパスから3バック変形で相手のプレスをいなすようなイメージもあったが、この試合では簡単なロングボールでポゼッションの機会を捨ててしまうケースも。
かといって、別に前線がロングボールを収める力に長けているわけではないので、簡単に相手に跳ね返されてしまう。相手のプレスに対して、明確な解答案が出せているなと感じる場面が少なかった。
より撤退守備が重要となるスペイン戦では守備があっさりと決壊。ヤマルへの対応法ははっきりとダブルチームで整理できていたのだけども、列を上げるアクションが間延びを呼び込んでしまい、インサイドにパスを通されると、そこからオヤルサバルに背後を取られてしまった。
実質この1点でゲームはクローズ。ミス待ちのサウジアラビアを前にスペインはミスなく試合を進めながら得点を重ねての完勝。手も足も出ない試合だった。
極め付けは最終節のカーボベルデ戦。勝てば突破というルートもあったのだけども、終盤の彼らを見れば「突破に必要なあと1点を取りにいく!」という気概もあまり見えず、逆にカーボベルデの方がゴールに迫るシーンも多かったくらいだ。
「内紛したウルグアイ相手にギリ耐えた」以上のものを残すことができなかったサウジアラビア。アジア勢の一角として予選突破を果たすことはできなかった。
Pick up player:モハマド・カンノ
CHとしてのイメージがあったけども、この大会ではもう1つ前で前線への飛び出しをやっていたのが印象的。キャラ変した?
