第1節 エクアドル戦

ディオマンデ、堂々たるW杯デビュー
ドイツが快勝して幕を上げたグループE。遅れて登場するのはエクアドルとコートジボワール。ドイツのフォロワーとしてまずはライバルを叩いて突破に近づきたいところだろう。
試合はジリっとしたスタートに。エクアドルの保持はインカピエを片上げする3バックがベース。相手をある程度惹きつけると、ロングボールからセカンド回収で敵陣に迫っていくという慎重な形からスタートする。
時間が経過すると少しずつ3バックという構造を活かす形で勝負をかける。コートジボワールのSHが数を合わせようと前に出てくるアクションをすると、そこから連鎖的に発生するズレを使って進撃。特にインカピエがフリーロールのように動き回っていた左サイドはかなり活発。ビテやカイセドをディオマンデの手前の支援役として置いたところから縦に縦に進んでいく。
ただ、どちらかと言えばボールを持つ機会が立ち上がりに多かったのはコートジボワールの方。エクアドルが特にハイプレスに来なかったこともあるだろうが、並びはオーソドックスな形をキープ。時折、インサイドに強引なパスをつけてサイドにボールを散らす形を作っていく。
特筆すべきはディオマンデだろう。正対した状態からインカピエをぶち抜けるのは大きな魅力。抜く方向が縦方向が多かった分、なんとかインサイドのカバーは間に合っていたが、停滞しそうな状況を動かせる大駒がいることを示した試合となった。
ハイドレーションタイムの前後はエクアドルがコートジボワールを一方的に攻め立てる展開。ディオマンデでチャンスを作られるのであれば、ディオマンデ周辺からチャンスを作ってやろうというエクアドルの左サイド中心の旋回からの攻め筋でコートジボワールをエクアドルが追い込んでいく。
ディオマンデ周辺を巡る駆け引きからつかみどころのない展開に突入していった感のあるこの試合。徐々に中盤のルーズさは失われていくが、フリーとなったホルダーもミスが出るなど締まりがない中で、ディオマンデはひたすら突破ができるという状況だけが残った前半となった。
後半もややつかみどころのないスタートに。共にポゼッションからスピードアップを狙える箇所を探っていくような立ち上がりとなった。前半との違いはさらにホルダーに対する守備者の距離が遠くなった分、どの選手も積極的にドリブルを選択しやすくなった印象。後方からのキャリーは相手を1枚剥がしてからというシーンも珍しくなかった。
ただ、敵陣での切れ味はやはりディオマンデが上。後半もクオリティを見せていく。
大きく流れが変わったのは60分手前の交代だろう。この交代をきっかけに主導権は一気にコートジボワールに転がっていった印象だ。左に移動したディオマンデを中心に攻撃を組み立てつつ、プレスの強度を上げることで展開をキープする。インサイドに入ったボニーにロングボールを当てられるのも頼もしかったはずだ。
エクアドルも右サイドからプレシアードのオーバーラップ(またディオマンデのサイドからだ)によって反撃を試みるが、コートジボワールに比べると明らかに単発。選手交代の効果は明らかにコートジボワールの方が上だった。
試合を決めたのはその交代選手の中の1人。カットインしたディアロが90分に先制ゴール。対面のインカピエはボニーのフリーランに釣られてしまい、悔しい失点となってしまった。
ドイツについていく3ポイントを手にしたのはコートジボワール。グループ突破に大きく近づく3ポイントを手にした。
ひとこと
ディオマンデ、堂々のW杯デビューだった。
試合結果
2026.6.14
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループE 第1節
コートジボワール 1-0 エクアドル
フィラデルフィア・スタジアム
【得点者】
CIV:90′ アマド・ディアロ
主審:フランソワ・ルトゥグシェ
第2節 ドイツ戦

逆転のきっかけはシンプルへの回帰
新興国のキュラソーに勝利し、好発進を決めたドイツ。第2節は打って変わって常連組のコートジボワールとの対戦に臨む。
ボールを持つスタートとなったのはドイツ。第1節と同じバランスで3バックでのポゼッション。LSBのブラウンを片上げする形で3-2-5の陣形を組む。揺さぶりをかけていたのは左サイド。ヴィルツとブラウンの陣形はかなり流動的で、外に流れるヴィルツでCBのコスヌを引き出すなど、少しレーン交換をしながら4バックの相手を揺さぶっていく。
外から仕掛ける分には手応えがあったドイツだが、インサイドはむしろコートジボワールが優位。ウライがインサイドを封鎖する形でハヴァーツをカットし、カウンターから進んでいく形も。
ドイツのハイプレスの際にも気になったことだけども、コートジボワールの中盤は割と運べる人が多く、ドイツの中盤がすれ違ってしまうと一気に走られる場面もある。コートジボワールのビルドアップの陣形自体は初期配置から大きく動かさない駆け引きの少ないものだったが、ミクロな1on1で逆を取られると一気に状況は悪くなる。
トランジッションから勝負をかけるのは左サイド。もちろん、ディオマンデがいるサイド。SBとの二人称から一気に加速していくことで高い位置でのアクセントとなる。この二人称で左サイドから攻略し切った形からケシエがゴール。コートジボワールが先行する。
追いかける展開となったドイツはインサイドに人をかけてポイントを作りつつ、大外はWGに任せる形。右のサネに攻撃の比重を傾ける形となった。当然、インサイドはコートジボワールが網を張っている部分。この辺りはコートジボワールの守備網に細かい穴を開けられるかの勝負。展開としては一進一退だった。
コートジボワールはサンガレのサリーからドイツのプレスを落ち着かせて少しずつギャップ作り。1枚剥がしてドリブルをするためのスペースを作りにいく。保持でもプレッシャーを逃す手段をつかんだコートジボワールがリードでハーフタイムを迎える。
後半もコートジボワールはいい入り。真っ向からハイプレスで潰しにくるドイツをいなして落ち着いた陣地回復。敵陣では右の大外のディアロをボールの落ち着かせどころとしながらボックス付近に迫っていく。
ドイツは相手を外せない展開で苦戦。押し込みながらもどうにもならない状態が続く。流れが変わったのは3枚交代の直後。手数をかけずにシンプルに!というコンセプトの違いを感じるレベリングのミドルから少しずつドイツの選択肢は力強さ重視という感じになる。
最終的に決め手になったのはインサイドにターゲットを増やしたことだろう。右サイドからのシンプルなクロスを押し込んだのはウンダフ。ニアのハヴァーツが巧みな動きで2人のCBを釣ったことでフリーになったウンダフのゴールで同点に追いつく。
一気に流れを持ってくるという展開にはならないドイツだったが、コートジボワールも交代選手がギアアップすることができず。試合は均衡した流れとなる。
ともに引き分ければ勝ち点は4ずつ。悪くはないよねという雰囲気が漂う中で空気を変えたのはヌメチャの縦パス。後半のドイツらしいダイレクトな展開の動かし方で得点を決めたのはウンダフ。ジョーカーの2得点で逆転勝ちしたドイツがGS突破を劇的な形で決めた。
ひとこと
シンプルさに舵を切ったドイツ、逆に新鮮。
試合結果
2026.6.20
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループE 第2節
ドイツ 2-1 コートジボワール
トロント・スタジアム
【得点者】
GER:67′ 90+4′ ウンダフ
CIV:30′ ケシエ
主審:ファン・ベニテス
第3節 キュラソー戦

余裕を持った危なげない2位通過
すでにドイツは首位通過が決定。コートジボワールにできることはこの2位の座を守ること。引き分け以上でそのミッションは達成ということになる。勝つしかないキュラソーに対して、最低限の結果を出さなければいけない状況だ。
序盤は縦ポンの応酬でのスタート。ガチっとハイプレスに出ていく姿勢を見せたキュラソーに対して、コートジボワールは落ち着いたボール回しでプレスを沈静化。オーソドックスな2CB-2CHの配置をベースにしていたが、さすがのスキルの差でゆったりとした保持に移行する。
敵陣に入ることが出来たら当然勝負のところはディオマンデ。キュラソーはダブルチームでの対応をするが、早々に左サイドを破られてしまって決壊。折り返しをぺぺが仕留めてコートジボワールが先制する。
コートジボワールは両サイドに勝負ができるアタッカーがいるという長所がある一方で、アウトサイドでの剥がしをインサイドで生かしきれないという難点が。具体的にはサイドで相手を剥がしてもそこからのインサイドの動き出しがなくて、相手を攻略しきれないというイメージだ。
先制点を取ったこともあり、キュラソーの保持には厳しく咎めるアクションはないコートジボワール。キュラソーはサイドの奥を取った際にはワイドのCBも攻撃参加ができるなど、枚数をかけた攻撃で勝負。だが、コートジボワールには反撃をすることができず。ファストブレイクから逆にコートジボワールは追加点を狙っていく展開となった。
後半もハイプレスでキュラソーは勢いのいい立ち上がり。コートジボワールは4-5-1に構える形に陣形を変更。キュラソーのCHを抑えて、ポゼッションの安定を切り崩しにいく。キュラソーがアンカー脇に選手を仕込めれば面白いなと思いながら見ていたのだが、前線の意識は奥。ダイレクトに背後をとりにいくが、クリティカルな一撃をお見舞いすることが出来ない。
サイドアタックでは前半と課題は同じ。 外と中の接続がうまくいかない状況のコートジボワール。なかなか追ってのチャンスが出てこなかったところだが、ボニーでラインを下げたところからサイドから抜け出したぺぺがそのままゴールをゲット。キュラソーはラインの乱れがゴールに直結するミスでコートジボワールに追加点を許す。
これ以降はキュラソーのプレスを安定して回避したコートジボワールが落ち着いた試合運びで逃げ切り。ミッションである2位通過を無事達成した。
ひとこと
キュラソー、アグレッシブなスタートだったが。
試合結果
2026.6.25
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループE 第3節
キュラソー 0-2 コートジボワール
フィラデルフィア・スタジアム
【得点者】
CIV:7′ 64′ ペペ
主審:グレン・ニーベリ
Round 32 ノルウェー戦

あまりにも静かに王国への挑戦権を確保
ドイツ、フランスという列強に続いてグループ2位通過を果たした両チーム。有力なタレントを擁しているだけに勢いをつけてブラジルへの挑戦権を勝ち取りたいところだろう。
序盤にボールを持ったのはノルウェー。CHが列落ちをするのがビルドアップの日常。ベルゲが最終ラインに入り、時にはウーデゴールもその近くまで寄るようなアクションが立ち上がりから目立つ。
ブロックの中には人がいない分、ボールは外循環。ヌサとセルロートのWGからSBのオーバーラップを活用してクロスを入れる。なぜWG?という起用が続くセルロートは抜き切らないクロスやロングボールのターゲットとして存在感を示していたのが面白かった。
可変の動きが多めの中盤にはコートジボワールはついていく動きを見せつつ自陣ではきっちりとブロックを組む展開。しかしながら、前傾になり過ぎてしまうことによる中盤の空洞化をノルウェーに突かれることはあまりなかった。
コートジボワールも攻め筋は同じ。WGにボールを渡したところからの仕掛けで勝負に出る。ノルウェーはウーデゴールが前のプレス隊に加わる4-4-2でプレスに出ていくが、幅をとるCBからコートジボワールは回避に成功。コスヌが微妙なコースの空きを咎めるようなパスを刺すことができるのは個人的には意外だった。
ポゼッションのやり直しを繰り返しながらディオマンデとぺぺの両翼から勝負をかけていくコートジボワール。ドゥエとコナンのSBも攻撃に積極的に絡んでいく。崩しの軸はディオマンデで逆サイドのぺぺはクロスに飛び込む役割にもトライしていたのが印象的だった。
アタッキングサードの攻め筋の切れ味勝負となっていたこの試合。決着をつけたのはヌサ。縦パスからの派手ではない横断の繰り返しから徐々にコートジボワールの陣形を下げていくと、カットインからそのままゴールを撃ち抜くことに成功。前半のうちにノルウェーが先制点を奪う。
このゴールからラッシュをかけるノルウェー。空中戦の強さを生かして決定機を創出。ハーランドにもチャンスはあったが、この決定機を仕留め切ることはできなかった。
後半、追いかけるコートジボワールはウライの強気なハイプレスなど前半以上に高い位置からボールを咎めることに注力。ボールを奪い取ったら素早くサイドに展開して糸口探しに転じる。
それでもなかなかこじ開けることができないコートジボワールは選手交代からテコ入れ。2列目にWGロールを3人並べる形で大外の可変性を高めながら勝負する。
この形が奏功したコートジボワール。トップ下に入りながらサイドに流れたディアロが大外からぺぺとの連携で進撃に成功。同点ゴールを決める。
しかし、終盤にやり返したのはノルウェー。ウーデゴールのフォローでサイドのナローなスペースを壊しにいくと、右サイドから打開に成功。SBでの起用となったアウルスネスのフリーランでCBを外に釣り出すことに成功すると、割れたスペースにベルゲが入って抜け出す。この折り返しをハーランドが静かに沈めて勝ち越す。
粘られながらも最後はコートジボワールを振り切ったノルウェー。Round16でブラジルと戦う権利を獲得することとなった。
ひとこと
決勝弾、あまりにも落ち着いた静かな一撃だった。
試合結果
2026.6.30
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Round 32
コートジボワール 1-2 ノルウェー
ダラス・スタジアム
【得点者】
CIV:74′ ディアロ
NOR:39′ ヌサ, 86′ ハーラン
