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「FIFA World Cup 2026 チーム別まとめ」~エクアドル代表編~

目次

第1節 コートジボワール戦

ディオマンデ、堂々たるW杯デビュー

 ドイツが快勝して幕を上げたグループE。遅れて登場するのはエクアドルとコートジボワール。ドイツのフォロワーとしてまずはライバルを叩いて突破に近づきたいところだろう。

 試合はジリっとしたスタートに。エクアドルの保持はインカピエを片上げする3バックがベース。相手をある程度惹きつけると、ロングボールからセカンド回収で敵陣に迫っていくという慎重な形からスタートする。

 時間が経過すると少しずつ3バックという構造を活かす形で勝負をかける。コートジボワールのSHが数を合わせようと前に出てくるアクションをすると、そこから連鎖的に発生するズレを使って進撃。特にインカピエがフリーロールのように動き回っていた左サイドはかなり活発。ビテやカイセドをディオマンデの手前の支援役として置いたところから縦に縦に進んでいく。

 ただ、どちらかと言えばボールを持つ機会が立ち上がりに多かったのはコートジボワールの方。エクアドルが特にハイプレスに来なかったこともあるだろうが、並びはオーソドックスな形をキープ。時折、インサイドに強引なパスをつけてサイドにボールを散らす形を作っていく。

 特筆すべきはディオマンデだろう。正対した状態からインカピエをぶち抜けるのは大きな魅力。抜く方向が縦方向が多かった分、なんとかインサイドのカバーは間に合っていたが、停滞しそうな状況を動かせる大駒がいることを示した試合となった。

 ハイドレーションタイムの前後はエクアドルがコートジボワールを一方的に攻め立てる展開。ディオマンデでチャンスを作られるのであれば、ディオマンデ周辺からチャンスを作ってやろうというエクアドルの左サイド中心の旋回からの攻め筋でコートジボワールをエクアドルが追い込んでいく。

 ディオマンデ周辺を巡る駆け引きからつかみどころのない展開に突入していった感のあるこの試合。徐々に中盤のルーズさは失われていくが、フリーとなったホルダーもミスが出るなど締まりがない中で、ディオマンデはひたすら突破ができるという状況だけが残った前半となった。

 後半もややつかみどころのないスタートに。共にポゼッションからスピードアップを狙える箇所を探っていくような立ち上がりとなった。前半との違いはさらにホルダーに対する守備者の距離が遠くなった分、どの選手も積極的にドリブルを選択しやすくなった印象。後方からのキャリーは相手を1枚剥がしてからというシーンも珍しくなかった。

 ただ、敵陣での切れ味はやはりディオマンデが上。後半もクオリティを見せていく。

 大きく流れが変わったのは60分手前の交代だろう。この交代をきっかけに主導権は一気にコートジボワールに転がっていった印象だ。左に移動したディオマンデを中心に攻撃を組み立てつつ、プレスの強度を上げることで展開をキープする。インサイドに入ったボニーにロングボールを当てられるのも頼もしかったはずだ。

 エクアドルも右サイドからプレシアードのオーバーラップ(またディオマンデのサイドからだ)によって反撃を試みるが、コートジボワールに比べると明らかに単発。選手交代の効果は明らかにコートジボワールの方が上だった。

 試合を決めたのはその交代選手の中の1人。カットインしたディアロが90分に先制ゴール。対面のインカピエはボニーのフリーランに釣られてしまい、悔しい失点となってしまった。

 ドイツについていく3ポイントを手にしたのはコートジボワール。グループ突破に大きく近づく3ポイントを手にした。

ひとこと

 ディオマンデ、堂々のW杯デビューだった。

試合結果

2026.6.14
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループE 第1節
コートジボワール 1-0 エクアドル
フィラデルフィア・スタジアム
【得点者】
CIV:90′ アマド・ディアロ
主審:フランソワ・ルトゥグシェ

第2節 キュラソー戦

仕留めきれないエクアドル、痛恨の1ポイント止まり

 第1節ではドイツ相手に得点を挙げるという奮闘を見せながらも7失点で敗れたキュラソー。第2節のエクアドルも強い相手ではあるが、なんとかW杯初の勝ち点を奪取したいところだ。

 序盤からキュラソーは非常に積極的な入り。サイドの高い位置で止める意識が高く、エクアドルのビルドアップを早い段階で阻害する。ラインを高く設定し、かつマンツーでホルダーを厳しくチェックしてこない相手には裏という定石でエクアドルは対抗。早々に背後に抜け出したエネル・バレンシアが決定機を迎える。

 徐々に押し込む時間が増えていくのはエクアドル。3-4-3と3-5-2の間のようなファジーな中盤の構成で微妙に相手に基準点を作らせない。CHのサリーから4バック化するケースもあり、今話題のミシャ式っぽくなっている場面もあった。

 攻略のパターンとしては外循環を軸に大外→ハーフスペースで相手の5バックに対してズレを作り、DFラインを押し下げたところからクロスというのが王道。インサイドに差し込むのはスペースがない分厳しいが、エストゥピニャンが手前で絞るなど変化をつけながら、ライン間に差し込めるような工夫もあった。

 基本は外循環でも相手を不意に下げるパターンを作ることができたので問題はなし。キュラソー目線でも前進はできておらずハードという展開だった。

 ハイドレーションブレイク明けにキュラソーはマンツーハイプレスを起動。エクアドルはかなり面食らった感があり、自陣でのロストから怪しいシーンを繰り返す。キュラソーの左サイドにカウンターの決め手があればあるいはという展開であった。

 しかし、負傷による一時的な数的不利からキュラソーのイケイケドンドンハイプレスは沈静化。それでも自陣側で相手のサイドアタックをマンツーで封鎖しギャップを作らせない。前半はスコアレスでハーフタイムを迎える。

 後半もエクアドルの保持が中心。前半の終盤のようなエクアドルが押し込み続けるが、決定機が量産されるわけではない展開が続く。

 キュラソーは左サイドからのカウンターに手応えが出てきた後半。ジュニーニョ・バクーナからのキャリーで陣地回復に成功する場面も出てくる。エクアドルは第1節でもほんのり見られた一歩遅れの迎撃で穴を広げてしまう様子が見られた。

 シンプルなエネル・バレンシアへのクロスでチャンスを掴んだエクアドルはWBにより攻撃色の強いアングロを入れることでさらに攻勢を強めていく。

 プレシアードを投入しての更なるサイドアタック強化に前線のターゲット増加などできることはやったエクアドル。だが、チャンスが巡ってきたエネル・バレンシアが枠をとらえられないのは立ち上がりと同じ。沈黙が続いたままのファイナルホイッスルで勝ち点1を分け合う結果となった。

ひとこと

 いくら首位通過が決まっているとはいえ、ドイツ残しのエクアドルはだいぶ追い込まれた感がある。

試合結果

2026.6.20
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループE 第2節
エクアドル 0-0 キュラソー
カンザスシティ・スタジアム
主審:マー・ニン

第3節 ドイツ戦

泥臭いモデルチェンジで逆転突破を果たしたエクアドル

 ここまでの2試合での勝ち点はわずかに1。前節はキュラソーをこじ開けることができず、崖っぷちに追い込まれているエクアドル。勝利しかない背水の陣で迎えるのはすでに首位通過を決めているドイツだ。

 しかしながら、その意気込みを挫くようにドイツは早々に先制点をゲット。左サイドのキープからサネがフィニッシュを決めてゴールをゲット。エクアドルからすれば直前のパヴロヴィッチのファウルを取って欲しいということだったが、主審はこの主張を認めなかった。

 この日のドイツの保持はかなりボールホルダーとの距離が近いのが特徴。左サイドに流れるハヴァーツの動きに合わせて斜めのランで内外を入れ替わるとか、あるいは重なるフリをしてスルーするスリーオンラインっぽい動きを入れるとかボール周辺に人を集めてのアクションが多めだった。

 エクアドルからすれば、圧縮自体はしやすそうではあるが、抜けられてしまえばピンチにもなる。そういう意味でも良し悪しという感じであった。

 ドイツの非保持は5-4-1で受ける形。右のWBの位置にサネが入ることで自陣を埋めるようなアクションからスタートする。ゆったりとボールを持つことを許されたエクアドルは切り崩しを探るところではあったが、ポジトラから浮いたアングロによってあっさりとゴールをゲット。ミドルを寄せられない甘さを見せたドイツの隙をついてノイアーを撃ち抜いて見せた。

 試合は一進一退という様子。エクアドルが押し込む時間もドイツが押し込む時間もありながらエクアドルの右、ドイツの左のサイドにフォーカスして人を集めて勝負を仕掛ける。どちらかと言えば人を集めた攻め筋はオフザボールでの連携が効いていたドイツが優勢という格好だった。

 後半になってもなかなか前からのプレスでドイツを捕まえられないエクアドル。ハイプレスに出ることで後半のドイツは擬似カウンターのようなスピードアップができるケースも。立ち上がりにいきなりPKを得た場面があったが、これは直前のドイツのファウルによって取り消しとなった。

 エクアドルの攻撃も直線的な形が多くなり、ポゼッションから落とし所を探っていた前半とは試合の流れは大きく変わったと言えるだろう。ドイツの攻め筋は前半からアイソレーションが多めだった右サイドからのものが増えたことは流れが変わった象徴とも言える。

 得点が欲しいエクアドルによって行ったり来たりという展開が続いた終盤戦。試合を引き寄せたのはセットプレーでの一撃。後半のゴリゴリというスタイルを象徴するような形でプラタがゴールに押し込んでついにリードを奪う。

 これで会場の空気は一気にエクアドル一色に。ドイツの保持が増えた終盤だが、交代選手たちは前任者たちほどのクオリティを発揮することができず。押し込むが何かを生み出すことができないまま時計の針は進んでいく。結局試合はそのまま終了。難しいミッションをコンプリートしたエクアドルが逆転で決勝トーナメントの切符を手にした。

ひとこと

 らしくないゴリゴリで扉を開いたエクアドル。泥臭くてカッコよかった。

試合結果

2026.6.25
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループE 第3節
エクアドル 2-1 ドイツ
ニューヨーク/ニュージャージー・スタジアム
【得点者】
ECU:9′ アングロ, 77′ プラタ
GER:2′ サネ
主審:トリ・ペンソ

Round 32 メキシコ戦

右サイド可変とハイプレスで得た貯金で逃げ切り

 グループAの首位を確保し、ノックアウトラウンドでも自国での戦いを続けることができたメキシコ。ドイツ戦の劇的なゴールによって生き残りを果たしたエクアドルとの対戦に臨む。

 序盤からボールを持つのはメキシコ。アンカーをケアしてコンパクトなブロックを保つエクアドルに対して、メキシコは右サイドのローテーションで対応。SHのアルバラードがインサイドに入ってきて縦パスを引き出すと、代わりに右サイドにモラがフローする形でスペースを使っていく。

 序盤はこの右サイドからの攻略にフォーカスしたメキシコ。フローするモラを起点にエクアドルのバックラインに混乱を与えていく。

 一方のエクアドルも保持にはじっくりと時間をかけて。左サイドに落ちるビテによってこちらのサイドが旋回。高い位置に出ていくインカピエは裏抜けでダイレクトに背後を取るシーンもあった。

 もう1つ、ポイントになっていたのは降りるアクションを見せるプラタ。ボールを引き取ったところからのドリブルで相手を剥がし続けて横断。あわやというシーンを作り出していく。

 このプレーで勢いに乗ったエクアドルは前からのプレスに出ていくように。だが、この強気の姿勢は逆にメキシコの攻勢を招いてしまった感。ファストブレイクでサイドからラインをダイレクトに破る動きからメキシコは決定的なチャンスを作り出す。

 先制点もこの形から。キニョーネスの華麗な一撃でメキシコはハイドレーションブレイク前にリードを奪う。

 以降も試合のペースはメキシコ。中盤のローテーションに対してエクアドルの面々は後手を踏むような展開が続出。左右を問わないモラのサイドフローは前半以降も効いていた。

 押し込み続けるメキシコの追加点の決め手になったのはハイプレス。オルドニェスのパスが短くなったところを咎めてカウンターを発動。先制点の立役者であるキニョーネスはミドルを打てそうな場面でも冷静にもう一手間かけることを選択。クールに追加点を呼び込んでみせた。

 エクアドルはサイドでアングロが根性を見せていたが、なかなか打開までは至らず。試合はメキシコのリードでハーフタイムを迎える。

 後半、エクアドルはメキシコのポゼッションから崩しにいくスタート。まだまだエネルギーがある状態であることは後半における希望と言えるだろう。

 逆にメキシコはエクアドルの保持に対して、無理なプレスに行かなかったため、展開的にはエクアドルの保持が中心に。サイドから押し下げられるとIHとCHが最終ラインに入るケースも多かったメキシコは自陣に下がってプレーすることに特に抵抗はないようだった。

 しかしながら、エクアドルの保持は基本的には外循環。重要なところにパスが刺さらないまま時間が過ぎてしまう。ハイドレーション明けからファークロスを中心に立て直したことで少しずつエクアドルは攻勢に出る。

 終盤はハイタワー戦略に出たエクアドル。メキシコは前線のメンバーを入れ替えてもハイプレスには出ていけないが、プレス回避からは安定した試合運びを見せる。

 結局前半のリードをキープした逃げ切りに成功したメキシコ。カナダに続いて無事開催国としてRound16に駒を進めた。

ひとこと

 可変で制圧した前半が全てだった試合だった。

試合結果

2026.6.30
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Round 32
メキシコ 2-0 エクアドル
メキシコシティ・スタジアム
【得点者】
MEX:22′ キニョーネス, 31′ ラウール・ヒメネス
主審:スラヴコ・ヴィンチッチ

総括

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