
一発回答のパワープレーで列強切り崩しに成功
日本を抑えてグループFの首位通過を果たしたオランダ。迎えるのはグループCをブラジルの次点で突破したモロッコである。
オランダはグループステージと異なる3バックを採用。ナチュラルな立ち位置で4-4-2をとるモロッコに対して、バックラインの数的優位を確保する。
時にはインサイドの反転から背後への急加速という形も持っていたオランダだったが、基本的にはボールは外循環。幅をとるWBもしくはシャドーから追い越すアクションから相手をサイドから削っていく。
逆にここまでのオランダの攻め筋のメインだったインサイドのブロビーを活かすような形は前半はほぼ見られず。あくまで外フォーカスというこれまでのオランダとは違ったプランだった。
しかしながら、アウトサイドでの攻め筋がうまくいっていたかというと微妙なところ。特に3人での連携は不確定要素が強く、右サイドからダイレクトにサマーフィルが抜けるなど、よりシンプルな形の方が有力だった。
モロッコの保持は片方のCHがアンカー役。後方はSBを枚数調整役としてのビルドアップを敢行。CHのサリーも含めて後方は3枚をベース。オランダはブロビーが背後で中盤をケアする慎重な守備体系だった。
モロッコの保持の特徴はどちらか片方のサイドに狙いを定めて人をかけていくスタイル。今日は左サイドがターゲット。トップのサイバリがファストブレイクでファン・ヘッケとガチンコ勝負をしつつ、ブアディとウナヒがサイドに流れながらポイントを作りにいく。
オランダが中央を固める流れになったのでこちらの攻撃もサイドから。しかしながら、オランダのDFを凌駕できないまま展開は膠着。セットプレーでニアに入ったエル・アイナウィに合わせたCK以外は得点の機会はなし。
サイドの削り合いとなった展開はオランダがポゼッションでは優勢もチャンスらしいチャンスがないまま展開が進む。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半は前半と比べるとモロッコの保持の局面が多くなったのが特徴。こちらもアウトサイドからの崩しにフォーカス。オランダと異なり、出張で人をあえて偏らせながら圧力をかけていく。
しかしながら、仕上げがトランジッション寄りなのはオランダと同じ。特にアケと対峙したハキミのフリーランは抜群に効いており、オランダの3バックを無効化してみせた。
オランダも押し下げられながらもサマーフィルとブロビーによって陣地回復を図っていく形。攻撃の形として得意なのはむしろこちらの方なのかなと感じるところもあった。
カウンターにフォーカスしたオランダはファストブレイクから先制。サマーフィルとガクポの2人で完全にやり切った速攻から先制点を生み出す。
反撃に出たいモロッコはここからは保持一辺倒。しかし、インサイドを固めるオランダはなかなかスペースを簡単に与えず、試合は膠着する。
だが、そんな状況をモロッコはシンプルなパワープレーで打開。高い位置に出ていったディオプが一発回答。ファン・ダイクを出し抜いてのゴールで土壇場で追いつく。
延長戦も構図は同じ。自陣を固めるオランダを一方的にモロッコの保持が殴っていく格好。時にはプレスにいきたい素振りも見せるオランダだったが、誰も彼もドリブルができるモロッコに対しては空振りに終わるケースばかりだった。
それでも自陣を固め切ったオランダ。勝負となったPK戦は互いに失敗が目立つ格好となったが、モロッコの5人目となったサイバリがエースとしての役目を果たして勝利を引き寄せる。オランダの夢はここで止まることとなった。
ひとこと
カウンターフォーカスの展開で前線を務められる交代選手がもう1人欲しかった感のあるオランダ。そして、あのパワープレーは3バックなら食い止めたい感。
試合結果
2026.6.29
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Round 32
オランダ 1-1(PK:2-3) モロッコ
エスタディオ・モンテレイ
【得点者】
NED:72′ ガクポ
MAR:90+1′ ディオプ
主審:ウィルトン・サンパイオ
