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「Catch up FIFA World Cup 2026」~2026.7.14 アメリカ・メキシコ・カナダW杯 Semi-final フランス×スペイン ハイライト

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2つの災難がフランスに降りかかる

 決勝までの残りの関門はあと1つ。ニューヨーク行きの切符を賭けて行う準決勝1つ目の試合はフランスとスペインのカードだ。

 立ち上がりの構造は比較的どちらの保持のタームでも似ていたように思う。非保持側が4-4-2をキープしつつ、GKまでの二度追いで高い位置からプレスにいく意志を見せるスタートだった。フランスの方がオリーズとエンバペが縦関係になる分、相手の中盤を消すことの意識は高かったように見えた。

 保持側が相手のCH周辺に圧力をかけるようなポジションを取るというアプローチも両チームの似ているポイント。スペインはオヤルサバル、オルモなどとにかく前の選手が降りてきてフランスの中盤が前に出ていく動きを牽制。オリーズがロドリについてくるのであれば、アンカーの選手を交換してみましょうとか、浮いているラポルトからボールを持ってみましょうで様子を見ていく。

 フランスも同様だが構造は微妙に違う。こちらはチュアメニが後方に下がって3バックを形成し、ビルドアップに関与しないSBが幅取り役を敢行。クンデのいる右サイドは大外をデンベレに託す代わりに自身がインサイドに突撃していくレーンチェンジもあった。

 スペインのCH-SHの間のゲートは少しギャップがあり、後方からはメニャンのフィードなどでスペインのプレスを誘引しながら間延びした中盤にフランスはボールをつけることができていた。ギャップに入り込んで反転して前を向くところまではできていたので序盤戦はフランスペースと言って良さげ。

 誤算だったのはこれまでのフランスであれば「この形さえ作れればチャンスが自動的に出力される」という状況を作ったにも関わらず、反転した前線の選手のボールのリリースのクオリティが低く、自動的な出力がされなかったことである。オリーズが前を向いたタイミングで対面に引っ掛けたり、エンバペからデンベレへの対角がつけられなかったことはこれまでのフランスとは少し様子が違った。

 もちろん、スペインの守備もフランスに焦りを与える仕組みにはなっていた。パスのレシーバーに対してスペインの両CBが厳しくチェックしてボールを遅らせて、ロドリの体の向いている方向に誘導しつつ、時間を稼いでる間に2列目のプレスバックでボール周辺の圧力を高めて奪い切る。

 それならばフランスは右サイドから大外アイソレーションを仕掛けたいところだが、バエナとククレジャのスペインの左サイドはインサイドとアウトサイドの守備の受け渡しが抜群。前を向いて仕掛けられるシーンがなかなか作れなかった。

 フランスもフランスでスペインのライン間の縦パスにはラビオが厳しくチェックをかけていたし、スペインのバックラインへのプレスの取捨選択もそんなに無理がなかった。余計なことをしないことで最後を咎められればOKというスタンスなのだろう。

 それだけに試合を変えるファクターが2つ、いずれもフランス側に災難として降りかかったのは大きかった。1つ目はもちろんディーニュが献上したPK。得点の匂いがしないクロスから先制点を得ることができたのはスペインにとっては非常にコスパがいい形となった。

 もう1つはサリバの負傷退場。これによって、この大会でプレータイムを積めておらず、クラブでは3バックでプレーしているラクロワを入れなきゃいけなかったことは誤算だろう。フランスにとってはビハインドシチュエーションはホルダーを積極的に追っていきたい場面。ただ、後方からサリバがいないとなると、前にスライドをしていいのかに迷いが出る。

 2つのファクターがフランスに与えた影響は「失点で前に出ていかなければいけない状況となったのに、負傷者で前に出ていく上での不安要素が追加された」ということになるだろう。スペインはこのファクターを見逃さず。降りるファビアンについて来ないことをすぐに見抜くと、ポゼッションは安定。オリーズはロドリを見ておけばいいとはならなくなり、センターラインの守備基準が乱れてしまう。プレスに来ようとした時にロングボール一撃での抜け出しをちらつかせるのもスペインの憎いところ。いちいち、フランスがプレスに来ることの牽制を入れていく。

 逆にスペインはハイプレスでさらにフランスに圧力をかける。このハイプレスからオルモとヤマルのコンビネーションでの決定機にたどり着いてみせた。

 フランスはエンバペがライン間での降りるアクションではなく、背後のフリーランを増やすシフトチェンジを敢行。紙一重の対応を迫ることはできていたと思うが、ウナイ・シモンの後方のスペースケアの準備の良さによって、決定的なチャンスを生み出すことを許されない。前がかりのままでフランスを封じ込めるのはこの試合の前半のスペインの強みだったと思う。

 後半、フランスはコネを投入。これまでのフランスの試合の文脈に噛み合わせるのであれば、前に出ていくアクションの起爆剤になってくれ!ということになるだろう。しかしながら、出ていくアクションを整理し切ることができたとは言えず、スペインの保持局面での安定感は変わらない。プレスに出るならどうぞ、来るならオルモがあなたの背中を取りますよという風情でスペインの保持局面にはまだまだ余裕があった。

 フランスの保持に対してもスペインは好戦的な状況を継続。後半のパフォーマンスが光ったのはククレジャ。中でもフロントカットでインサイドに入ろうとするオリーズの動きをCHと連携して封じることができたのは大きかった。

 やや持ち場を離れながらの対応になったので、大外から背後を取られてしまうのであればククレジャは苦しかったはず。けども、クンデやデンベレがククレジャの背後からクリティカルな一撃を喰らわせることはなかったので、ククレジャは対面に集中することができた。こういう時のククレジャがダルいことはプレミアファンならよく知っていることだろう。

 フランスが苦しかったのは非保持と保持の両面で左サイドの怪しさが増していたこと。保持では強気に来るスペインを外しきれなかったし、非保持では出ていくアクションをカバーする動きがない。4バックに慣れていないラクロワが後方で、ビルドアップへの関与に期待できないディニュとコネであれば保持が苦しくなるのは必然だし、連携面でのぶっつけ感があるユニットであれば、一人のアクションに連動しないことも必然。ヤマルがディーニュを明らかに出し抜き始めているので尚更である。

 個人的にはコネの投入はプレス局面の改善という風に考えているので、それ以外の局面で不具合が出るのはある意味仕方がないことなのかなと思う。どちらかといえば、プレス局面の改善ができない方が悪いでしょ的な。

 そんなフランスを尻目にスペインは相手のウィークサイドから攻略に成功。オルモに食いついたラクロワが空けたスペースに突撃したポロが2点目を手にする。

 フランスはククレジャとの対戦にフォーカスしていたオリーズを筆頭に目の前の相手をなんとかしなきゃいけないモードに突入。その影響で前後分断が激しかった。チェルキの投入はその状況を緩和するためのものだろう。ただ、チェルキもまたラクロワと同じく、この大会で文脈に乗れていない選手。投入直後からリズムを変えてはいたが、そのリズムにむしろ周りの選手が戸惑っているように見えた。ようやくリズムが合ってきたのは90分に差し掛かったところからであった。

 チェルキの投入は前後分断の解消という意味では効果はあったが、スペインのボール奪取に貢献するという意味では効果が薄かったのも辛いところ。コネの投入もそうだけども、ある局面での修正が特効薬にならず、他の局面では足枷になるのはこの試合のフランスの特徴だった。

 最後はバラバラ感のあるフランスに対して、スペインは粛々と試合を進めながらフルタイムを迎えることに成功。優勝候補最右翼であるフランスを下したスペインがニューヨーク行きの切符を手にした。

ひとこと

 フランス目線で言えばここまで変化を迫られる必要がなかったのが大きかったように見えた。サリバの負傷と速攻で刺しきれない前線のクオリティはどちらもこの大会でここまで問われなかった話。チェルキのフィットに要した20分はこれまでの試合で文脈に乗らなかったツケに見える。

 先制点の確保も含めてフランスのそうした要素を引き出したスペインは見事。ポゼッションで相手を殺すことを念頭に置きつつ、プレスバックでバックスを助け続けた中盤の面々は特に賞賛に値する。先に動かなきゃいけないフランスに対する応じ手を冷静に繰り出し続けた試合コントロールは監督も含めて評価されるべきだ。

試合結果

2026.7.14
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Semi-final
スペイン 2-0 フランス
ダラス・スタジアム
【得点者】
ESP:
主審:イヴァン・バートン

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