
再三狙っていたエリアから劇的な逆転でファイナルへ
決勝の椅子をまず確保したのはスペイン。もう1つの椅子に座るチームをアトランタで決める準決勝第2試合は因縁のイングランド×アルゼンチンである。
序盤はスタンスがはっきりしていた両チーム。まずはボールを持たせることを許容したのはアルゼンチン。4-5-1フラットの形でコンパクトに中盤を構えつつ、イングランドのバックラインにボールを持たせる。
イングランドは2CB+2CHで自由なポジショニングを敢行。大外レーンは基本的にはSBが取りながら、2列目は絞る形がメインとなっていたが、右の大外のジェームズが左サイドに出張するなどフリーダムな動きも許容されていた。どちらかといえば、アルゼンチンの右サイド側を狙っていこうという方向性もこの出張の補強材料になったかもしれない。
アルゼンチンは左のSHに立つアルバレスがスイッチ役となり、徐々にハイプレスの勢いを出していくように。イングランドはこのプレスのアクションにかなり戸惑いを見せており、自陣でのロストからピンチを迎える場面もあった。前に出ていく際にはエンソがスライドしてSHを務めるシーンも。逆サイドではジュリアーノが最終ラインに落ちる様子も見られており、いろんな意味で陣形を決めているのは両SHという感じだった。
プレスに来るアルゼンチンへの対抗策となったのはケイン。降りるアクションからボールを引き取り、反転からサイドの奥を狙っていくことで前がかりなアルゼンチンのプレスをひっくり返してみせる。右サイドの攻め筋は浮いたケインからの反転がメインとなっていた。
序盤は落ち着いてボールを持つシーンはほぼなく、狙いとしてはポジトラにフォーカスしていたアルゼンチン。メッシにボールを当てて、ジュリアーノの右サイドの縦方向へのスピードを生かすパターンか、ほかの2列目と合体してワンツーで中央を進んでいく。
徐々に出てきたアルゼンチンの保持に対して、イングランドは強気のハイプレスでスタート。WGが前に出ていき、後方のSBもそこにスライドする形で連動。メッシの番はアンダーソンが務めることとなった。
ただ、あまりアルゼンチンのバックラインがプレスに苦しんでいる様子はなかったため、イングランドが守備を自陣でのブロックに切り替えるケースもしばしば。ハイドレーションブレイク明けには4-4-2をキープしてゴードンの位置を下げて、アンダーソンのマーク対象をメッシからCHに変える様子も。おそらくはあまりハイプレスに手応えがなかったのだろう。
イングランドがプレスの圧力を下げたことでアルゼンチンのポゼッションの時間が増加。後方からはリサマルのキャリーなど、イングランドのブロックを揺さぶるようなアプローチを増やしていく。だが、試合の動きはないままハーフタイムに。スコアレスで前半を終える。
後半、いきなり牙を向いたのはアルゼンチン。ロングボールからのファストブレイクでアルバレスがチャンスを迎える。速攻ベースで試合のテンポが上がっていく中でアルゼンチンが先制するという展開だったが、最終的にその状況を利用して先制点を奪ったのはイングランド。降りるケインからの大きな展開がハマり、ゴードンのゴールでリードを奪う。後方からプッシュアップするライスのところで、あとはアルゼンチンからするとミス待ちみたいになった。
しばらく縦に速い展開が続く状況だったが、ジュリアーノをスペンスが止めたタイミングあたりで試合はアルゼンチンのポゼッションにシフトする。イングランドは両WGを下げる形で迎撃。ローブロックベースで固めていく。その中でもインサイドのメッシを封鎖するという作業は継続的に続けていくイングランドだった。
アルゼンチンは左にニコ・ゴンサレスという幅取り役を入れることで横の広さを確保する方向に。メッシが流れる右サイドは彼が幅取り役。メッシ自身がクロスを抜き切らないで上げるもよし、メッシの引力を利用してマイナスの位置の選手がアーリーで上げるもよしという状況に。
ハイドレーションタイムにトゥヘルは5-3-2への変更を決断。しかし、これは右サイドからのアーリークロスの手当てにはなっておらず。5バックでストーンズ周辺にクロスをひたすら入れられてアルゼンチンのアタッカーに先に触られる状況を変えることができなかった。
5-3-2でも結局ケインやベリンガムがサイドを埋めることに奔走していたので結局一手損感が否めないイングランド。それならば5-4-1でサイドの守備の枚数を確保することを選択。実際にサイドの守備に枚数が足りずに遅れることは減った。
しかし、メッシの引力を活用することでアルゼンチンは同点。3枚目のアンダーソンを引き寄せたところで中央の浮いたエンソのミドルで80分過ぎに追いつく。
イングランドには2枚の交代枠が残っていたが、この段階では動かず。押し込む状況を続けたアルゼンチンはまたしても右サイドからのメッシのクロスで逆転。再三狙っていたストーンズの背後に顔を出したラウタロのゴールで逆転に成功する。
イングランドの5バック攻略を間に合わせることに成功したアルゼンチン。またもメッシ中心の逆転劇で2連覇に王手をかけた。
ひとこと
5バックシフトの是非はどうしても出てきてしまうだろう。選手の中からも不満の声が上がっていたことが全てかなという感じはする。
試合結果
2026.7.15
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Semi-final
イングランド 1-2 アルゼンチン
アトランタ・スタジアム
【得点者】
ENG:55′ ゴードン
ARG:85′ エンソ・フェルナンデス, 90+2′ ラウタロ・マルティネス
主審:イルマイラ・エルファス
