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「Catch up FIFA World Cup QATAR 2022」~2022.11.30 Group D 第3節 オーストラリア×デンマーク ハイライト~

■フィニッシャー不在のデンマークをロングカウンターで粉砕

 勝てば今大会アジア勢初めてのグループステージ突破を決めることができるオーストラリア。対するは堅実な試合運びが目立つ一方で勝ちきれない試合が続くデンマークである。

 保持においてショートパスでの明確な前進を用意することができたのはデンマークである。CBにプレスをかけることを放棄したオーストラリアに対して、アンデルセンは自由にゲームメイクが可能。インサイドへのパスとアウトサイドのパスを使い分けながら前進する。

 インサイドのパスはブライズワイトへの楔をターゲットにしたもの。目立っていたのはパートナーとしてオフザボールを駆け回っているイェンセン。楔の落としを裏抜けしながら受けてみせる。イェンセンはこの試合ではフリーランの鬼。右の大外にボールがある時はほぼ自動的にハーフスペースの裏抜けを行ってみせていた。

 中央の楔を意識したオーストラリアがインサイドに注意を向けるべく、陣形を横にコンパクトにすると、デンマークの狙い目は左サイドに向く。大外を抜けるメーレとリンドストラムの2人からインサイド攻略を狙っていく。

 デンマークはどちらのサイドの攻略もオーストラリアのラインコントロールを意識させながらのクロスであったことは興味深い。裏を返せばラインを動かさない高さ勝負のクロスではオーストラリアには勝ち目はないということ。大外に抜けられてしまうメーレはともかく、ハーフスペースを機械的に抜けるイェンセンに対しては徐々に対応が慣れてきたオーストラリアだった。

 配置で殴られているといえば殴られているオーストラリア。だが、プランをどこまで変えるかは難しいところ。後ろに重たい布陣に修正すれば、独力で陣地回復ができないオーストラリアはモロにカウンターに影響が出る。引き分けでOKという状況も裏のカード次第では変容することもある。

 何より、カウンターからの攻撃は割といけていた。その理由は空中戦での強さ。長いボールの主導権は常にオーストラリアが握っており、アバウトでも収めることができたのは大きい。カウンターには厚みのある状況を作るオーストラリアは比較的得点の可能性がある形になっていた。

 プレッシングにおいても高い位置に出ていけば、比較的デンマークのバックラインを困らせることができていたオーストラリア。オープンな状況を誘発した際に、割とオーストラリア側にペースが流れたのはなかなか興味深い事象だった。

 両チームとも選手交代を敢行したハーフタイム。グッドウィンに代わってバッカスを入れて、中盤のアーヴァインを外にポジションを写す。デンマークは右のSBを入れ替える形である。

 それ以外の変更点としてはエリクセンがポジションを下げて2センターのような形でビルドアップを行っていたこと。そして、オーストラリアが再びプレスのスタート位置を自陣の深い位置に下げたことである。よって、後半もデンマークがボールを持ちながら右サイドを軸に攻略していく形だった。

 他会場の経過の関係で、後半早々に得点の必要性が出てきたオーストラリア。その注文を素早くクリアしてみせる。ロングカウンターから裏に独走したのはレッキー。完全に抜け出しきれないでDFを1人交わす必要があったシーンだったが、一度内側に進路をとることで外のコースを開けたドリブルの選択に加えて、股抜きでファーを狙ったシュートも見事。運ぶ過程からフィニッシュまで非常に優れたロングカウンターの完結と言っていいだろう。

 これで突破には2点が必要となったデンマーク。交代枠を早々と5枚使い切り反撃を狙う。右サイドの突破は選手交代後も問題なくできていたことと、エリア内に高さでオーストラリアのDF陣と張ることができるコーネリウスを入れることで反撃に出る。

 だが、これは押し切るための手段として考えるとどこまで効果的だったかは怪しいところ。フィニッシュをこなせる人材不足は大会を通しての課題で、この試合でもデンマークはその部分を解消することができなかった。

 最後は5バックにシフトし、ゲームクローズに走ったオーストラリア。デンマークから最後まで決定機を取り上げることに成功し、逃げ切りを達成。フランスに敗れた後の2連勝で逆転でのグループステージ突破を決めた。

試合結果
2022.11.30
FIFA World Cup QATAR 2022
Group D 第3節
オーストラリア 1-0 デンマーク
アル・ジャヌーブ・スタジアム
【得点者】
AUS:60′ レッキー
主審:ムスタファ・ゴーバル

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