【1位】アーセナル
26勝7分5敗/勝ち点85/得点71 失点25

デプス重視のスカッド作りで悲願達成
22年ぶりにタイトルに手が届いたアーセナル。やったぜ!一番のシーズン制覇の要因は基本的にはスカッド構築のところだろう。24-25シーズンから変わった欧州カップ戦のカレンダーを踏まえて、夏の移籍市場においてはスカッドの深さを作る方向に専念。
ほぼフル稼働したスビメンディはもちろんのこと、ギョケレシュ、マドゥエケ、エゼ、モスケラ、インカピエなどレギュラー~準レギュラー格を大幅に増やしたことで文字通り2チーム分のスカッドを実現。けが人が出る前提で組むしかなくなった現代サッカーにおいては、1つの正解といえるアプローチを取ったことでよそのクラブに差をつけることに成功した。
最終盤にはそれでもショートしそうになったところではあるが、エバートン戦でチームを救ったダウマンやパフォーマンスが落ちたスビメンディを救ったルイス=スケリーなどによりなんとか繋がった感。個人的には最後にヘイルエンドが命綱になったというのは感慨深い。
これにより、今季のアーセナルは安定した年間のパフォーマンスをキープ。延々と続いた週2の試合の中で波のないパフォーマンスができたのは明らかに今季のプレミアの中ではアーセナルが一番だった。
特に、守備の安定感は際立つものがあった。主力組の不在をモスケラとインカピエというプレミア初挑戦組が埋めることができたのは大きな収穫。「点が入らなそう」という試合はあっても「負けそう」という試合はそんなになかったのは間違いなく彼らの貢献だ。
その上でラヤ、ガブリエウ、サリバのレギュラーセットが別格のクオリティを見せたのも特筆すべき点だろう。タフな終盤戦でアーセナルが例年ほどの失速を見せずに2つのタイトルを争えたのは鉄壁のCB陣が2人揃っていたことが大きい。
攻撃のところは軸が定まらない中でなんとかそれぞれで負担をシェアしていた印象。絶対的に頼れる存在はこの人!という感じではなかったが、得意なプレーが分散している分、それぞれの持ち味を生かしながら多くの相手に対応できたように思える。
補った分野の代表例はもちろんセットプレーだろう。サカ、ライスというエクストラキッカーに加えて、ガブリエウという空中戦で無双できるターゲットの存在は非常に心強いものだった。
ただ、懸念をあえて挙げるのであれば、セットプレーを取れればOKというプレー選択がアタッキングサードで少し目立っていたこと。もちろん、それも間違いではないのだけども、CKを取れれば正解というハードルの下げ方をしてしまうと、オープンプレーで崩す精度が下がってしまう可能性がある。
チームとしての課題は一発勝負の決戦仕様に強くなることだろう。要素的なところでいえば、ハイプレス回避によって保持で呼吸する時間はもう少し欲しい。守れてしまうところはあるけども、ボールを持って楽に過ごせる時間はあればあるだけいいので。
攻撃的なタレントはもう少し天井を上げるような人材が出てきてほしいのも正直なところ。内製化なのか、あるいは外から呼び込むのかはわからないが、チームの攻撃の顔となる選手は欲しいところではある。
今季主軸として戦った選手たちには明らかなダメージの色があるのも気がかり。今年手に届かなかったものへの再チャレンジや、連覇という大いなる目標に向けて懸念は少なくなく、「強くあり続ける」という最難関ミッションへのハードルは高い。それでも足りなかったタイトルの実績を後押しにワールドカップ後のタフなシーズンに立ち向かっていきたいところだろう。
Pick up player:マイルズ・ルイス=スケリー
最後の最後に間に合ったヘイルエンドの有望株。相手にぶつかられながらも外すことができるスキルは今の中盤では間違いなく稀有。ビッグマッチでも物おじしないメンタリティも魅力的。課題は年間を通してのパフォーマンスの安定。多くの主力がリハビリやW杯での出遅れが想定される中で、序盤戦からチームを牽引する存在としての期待は大きい
今季の道のり

【2位】マンチェスター・シティ
23勝9分6敗/勝ち点78/得点77 失点35

功労者たちとの別れの時期
結果的にグアルディオラのラストシーズンとなったシティ。ベルナルド、ストーンズといった功労者と共に1つの時代を築いた名将の退任は間違いなく1つの時代の終焉ということが言える。
シティがグアルディオラと共に過ごした日々は素晴らしいクオリティだったことに疑いの余地はない。その一方で、今季の成績のみにフォーカスを当てるのであればなかなか難しいシーズンになったことは否めないだろう。
シーズン前半は苦しみつつ、冬以降は巻き返しという曲線自体は昨年と同様。冬の強化によって何とか体裁を整えて、2年連続でリーグタイトルを逃しながらも2つの国内タイトルをきっちりと手中に収めたというのが簡単なまとめになるだろうか。
恒例となりつつある、春以降の右肩上がりのパフォーマンスは今年も健在。冬の補強とオライリーやチェルキといったゲームチェンジャーといえる存在がパフォーマンスを上げたことで、チームの安定感を取り戻すことに成功。徐々に勝ち星を積み重ねていくことでアーセナルにプレッシャーをかけ続けた。
直接対決でアーセナルに勝利したのも実力の証明といえるだろう。カラバオカップで披露した4-2-4などの決戦仕様など、90分一発勝負においては経験値の差を見せつけた部分だった。特にプレッシングの整備に関しては近年のシティの泣き所でもあったので、そこが復活したことは大きな意味を持つと個人的には考えている。
その一方でシーズン単位で見ればシティにしては波が大きい1年だったといえるだろう。そもそも用意周到なチームなので、冬に2年連続で補強を敢行しているということ自体、シティが思うようなシーズンを送れていないことを示唆している。リバプールほどではないにしても、ややデプスを軽視したツケはシーズン全体としては見受けられる。
先に挙げた一発勝負の話に関しても欧州の舞台では同じく一発勝負の鬼であるマドリーに苦杯。どこが相手でも決戦仕様で上回れるほどの切れ味ではなく、冬から何とか仕上げたチームなりの緻密さに終始してしまったことも否めない。
どの土俵で戦っても強いチームではあるが、どんなコンディションでも安定した試合運びができるか?といわれると微妙なところ。揺らいだ時の失点までの距離感は明らかにアーセナルよりは近く、その点がシーズンの最後の最後でもうひと伸びを欠いた要因ではないかということが考えられる。
余談ではあるが、幅を取れるドクがいない時期にマルムシュやセメンヨなどのセカンドストライカーを中央に集めてシティ流の縦ポンをやっていたのは個人的には好きだった。この狂い咲き感こそグアルディオラのシティという感じだ。
マレスカになったことで時代を作り直す必要がある中で懸念となるのはスカッドの柔軟性だろう。冬に緊急補強を2年連続で繰り返している中で、ベルナルドのようなプレータイムを食える功労者の退団をどのように埋めるのか。いまいちフィットしきらない近年の補強選手の整理も含め、質と量の両面でフロントの舵取りは気がかりな夏となるだろう。
Pick up player:ラヤン・チェルキ
スピードとフィジカルのあるアタッカーが幅を利かせるプレミアの中で、時を止めるような間合いを使ったドリブルで相手を翻弄できるのが最大の強み。トランジッションの応酬のような早い展開においては主にハイプレスの負荷に耐えられるかという懸念もあるが、シティがシティらしくあるために今後一層重要な存在になることは間違いないだろう。
今季の道のり

【3位】マンチェスター・ユナイテッド
20勝11分7敗/勝ち点71/得点69 失点50

堅守速攻の正門突破
昨年はオール・オア・ナッシングというべきEL決勝でトッテナムに敗れ、欧州なしのシーズンを過ごすこととなったマンチェスター・ユナイテッド。初のプレシーズンを迎えたアモリムは開幕戦のアーセナル戦こそシャープさを見せたものの、国内専念というアドバンテージを生かすことができないまま、順位的には浮上ができないまま2025年を終えてしまった。
流れが変わったのは2026年に入ってきてからだろう。年末年始の過密日程の中でアモリムをあっさり解任すると、キャリックの就任からV字回復に成功。春先に明らかに疲れが見えるチェルシーやリバプールをあっさりと差し切り、3月以降は3位をキープし続けることに成功。正門突破から来季はCLにチャレンジすることができるようになった。
特筆すべきはやはりキャリックの手腕だろう。シティのように冬にテコ入れを図ったわけでもない中で持ち直しに成功したのは彼の手柄というのは疑いの余地がない。特にアモリム政権ではどうするねん!という状態だったCH陣を蘇生させたのは大きな価値があった。
カゼミーロは9人の相手に付き合って退場する愚行を働いたチェルシー戦とは見違えるような集中力でチームを統率。押し込む状況においてはセットプレーの的としても有用で、試合を動かす重要なゴールを叩き込むこともあった。
相棒となるメイヌーもまるでアモリムがいなくなることを待っていたかのような躍動ぶり。守備においての集中力も高くキープし、持ち味である保持の局面以外にも輝けることを証明する後半戦となった。
アタッキングサードにおいては直線的に攻撃を進めることにおいてはプレミアにおける第一人者といってもいいブルーノ・フェルナンデスを中心とした速攻がメイン。彼がシェシュコ、ムベウモ、クーニャといったアタッカー陣を操りながら、スムーズに打ち抜く形でゴールを陥れる。
4-4-2で手堅く守り、そこからシャープな速攻で仕留めるというのが後半戦のユナイテッド。アタッカーの新戦力にもこの戦い方は合っていたと思う。クーニャやムベウモは良くも悪くも元のクラブのスタンスを大きく変えることなく戦うことができて、コンスタントな1年を過ごすことができた。秘密兵器っぽくなったシェシュコも2桁得点に到達しており、新戦力は及第点だったといえるだろう。
来季以降の課題となるのは当然週2試合のスケジュールへの適応となるだろう。今季の快進撃の要因はリーグ戦に専念できた側面は大きく、日程が詰まったタイミングでパフォーマンスを落とすケースも見られたのは確か。チャレンジャーとして正門突破した25-26と立場が違う26-27で同じ競争力を維持できるか?のところは課題になってくる。
Pick up player:ルーク・ショウ
フィールドプレイヤーでブルーノ・フェルナンデスをしのぐプレータイムを記録したというのは非常に驚き。フル稼働で左サイドを支え続けた。
今季の道のり

【4位】アストンビラ
19勝8分11敗/勝ち点65/得点56 失点49

沈んで浮いて耐えて
非常に浮き沈みが激しいシーズンだったといえるだろう。開幕直後は4試合連続無得点で当然未勝利。初勝利を確保したのは第6節のフラム戦だった。
だが、ここから一気に反転攻勢に成功。11月から年末にかけては8連勝を記録するなど、破竹の勢いで首位を射程圏内に捉えるような時期もあった。
しかし、アーセナル戦に敗れて連勝が止まった後は再び粘る展開に終始。2026年の最後のリーグ戦の連勝は最終節の勝利によってもたらされたものだった。
1年の流れを見るとワトキンスやロジャーズといったアタッカー陣がスロースターターであるということがまずは序盤の低調具合に影響したといえるだろう。ワトキンスは例年立ち上がりが遅いので、ここはある意味予定調和といえるかもしれない。
そこから欧州カップ戦にフォーカスしないでいい時期までは好調を維持しつつ、最後はELとの並行での日程の過密化に息切れ。CHの手薄さなど具体的にスカッドにも投影されたところでまた一気に苦しくなってしまった感がある。
CHはまさに今季のチームの浮き沈みを示しているようなセクション。ティーレマンスは高い位置での決め手になるようなアクションを増やしつつ、自陣の低い位置ではサイドのフォローも含めて体を張る場面も増加。特に後半戦は充実したパフォーマンスであり、W杯にもいい流れを持ち込めたといえるだろう。
その一方でチームのかじ取り役となることができるカマラは例年通りの稼働不安に見舞われてしまったのがくるしいところ。ルイスとオナナの暴れん坊コンビだとパフォーマンスは日によってぶれてしまうというのは納得感がある。
ただ、今年のプレミアに関してはメガクラブも年間を通してパフォーマンスにブレがあったのは確かであり、その中でアストンビラは特に後半戦には粘りを見せたともいえる。中盤の疲労から一気に底が抜けてもおかしくはないだけに、むしろ終盤戦は粘りながらELタイトルに手をかけたことを評価すべきだろう。
貢献に見合うような格好でエメリの発言力はクラブの中で明らかに増している様子がうかがうことができる。ウェストミッドランズに築かれたエメリ王朝は来シーズン再びCLに挑むこととなる。
Pick up player:エミリアーノ・ブエンディア
大けがからのカムバックを果たし、今季はコンスタントに2列目で活躍。試合を決める重要な働きをすることもあり、着実に存在感を増している。
今季の道のり

【5位】リバプール
17勝9分12敗/勝ち点60/得点63 失点53

最大火力重視の編成が仇となる
アルネ・スロット初年度でリーグ制覇を成し遂げて、クロップの長期政権から滞りなくアクセルを踏み込むことに成功。今季はCLとPLの二足の草鞋で結果を出すことを目標としてイサクとヴィルツを獲得し、絶対王者として君臨するチャレンジをするためのスロットの2季目となった。
序盤戦の滑り出しは上々。早い時間に勝負を決める火力で相手を焼き尽くし、そこから後半を耐えて押し切るという仕組みを構築。アーセナルとの序盤の天王山も制し、連覇に向けての舵取りは上々のように思えた。
しかしながら、シーズン当初からの懸念は割と早く爆発してしまった感があった。ハイシーリングに寄ったスカッド構成は秋くらいから失速。序盤戦からあっさりと試合のコントロールを失ってしまう癖は週2試合のスケジュールが始まるタイミングから徐々に悪化。
ディアスやジョッタ(こちらは不測の事態であり仕方ないという側面があるが)など2列目を中心にプレータイムを食える選手の穴を埋めなかったことは致命的。ラッキーボーイ以上の扱いはしにくいキエーザとングモハでは少なくとも今シーズンをしのぐというのは厳しかった。
加えて、継続稼働しているベテランのパフォーマンスも低下。手が付けられないほどの活躍を見せていたサラーは明らかに別人。アーセナルあるあるである大型契約延長後のベテランのマネジメントの難しさはリバプールにも襲い掛かるのかと興味深く感じたところでもある。
ファン・ダイク、コナテのCBは例年ほどハイパフォーマンスではない中で酷使に次ぐ酷使でかなり終盤戦は苦しい運用。日によってはシンプルなクロスに対しての跳ね返しも安定しない試合もあり、強みであるはずのセクションが穴となるケースもあった。
新戦力もなかなかフィットが難しかったシーズン。三歩進んで二歩下がるようなヴィルツはまだいい方で、イサク、エキティケ、フリンポンは長期離脱にハマり込んでしまい、負のスパイラルに入り込んでしまった。
それもこれも基本的にはスカッドの厚みを軽視した編成が先にくる話だろう。契約延長後のベテランのパフォーマンス維持と新戦力のフィットがハマらなかったのはある種の賭けだったかもしれないが、その賭けが成功してもなおサイドアタッカーの薄さだけはどうにもならなかったので、やはり初期設定がミスっていたように思う。
変容する欧州カレンダーと激化するプレミアで求められるスカッドの強さを見誤った1年となったリバプール。監督を入れ替えて、来季は年間を通して安定したパフォーマンスを出すことができるか?に再チャレンジするシーズンとなる。
Pick up player:フローリアン・ヴィルツ
流れに乗れば一気に突き抜けられそうな空気をまといながら、そのままシーズンが終わってしまった感覚。スコアリングがついてきたタイミングで一気にブーストをかけることができなかったのが難しいところ。息が合っていたエキティケが早々にシーズンを終えてしまったのも痛かった。
今季の道のり

