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「基盤を覆せるか?」~2026.6.14 アメリカ・メキシコ・カナダW杯 グループF 第1節 オランダ×日本 プレビュー

目次

Fixture

2026.6.14
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループF 第1節
オランダ
×
日本
@ダラス・スタジアム

予想スタメン

予習

国際親善試合 アルジェリア戦

国際親善試合 ウズベキスタン戦

展望

右サイドの人選で微妙な変化がある

 日本の2026年のワールドカップの初陣の相手はオランダ。南アフリカ大会以来、16年ぶりの本大会での対戦ということになる。今回はロナウド・クーマンが率いるオランダについて、いくつか試合をチェックした上で個人的な見どころを考えていきたい。

 確認したのは昨年6月のW杯予選のマルタ戦、昨年9月のW杯予選のポーランド戦、そして直前の親善試合のアルジェリア戦とウズベキスタン戦の4試合である。いずれの試合もフォーメーションは4-2-3-1がベースである。メンバーは一部ポジションを除けば固定気味。何もなければファン・ダイク、ファン・ヘッケ、ファン・デ・フェン、デ・ヨング、グラフェンベルフ、ラインダース、ガクポの7人はスターターを務めることになるだろう。

 負傷者が多い右サイドはやや流動的。SHは昨年の予選ではシモンズが起用されていたが、長期離脱によりワールドカップは出場不可。6月はサマーフィルが固定されて起用されている。

 SBにはダンフリースがメインだったが、こちらも負傷の影響もありアルジェリア戦ではウィーファーが先発。ウズベキスタン戦ではダンフリースが出場したが、パフォーマンス的にはやや目立たないところがあった。脳震盪で負傷交代したフェルブルッヘンと同じく、先発するかは流動的なように見える。

 もっとも、大枠が誰でも基本的な形は変わらない。4-2-3-1をベースにポゼッションと即時奪回から支配的に振る舞うことがオランダの目的ということになる。保持においてはやや右肩上がり。CBが広く幅を取り、SBはビルドアップにあまり関与しない。

 どちらかといえば、LSBのファン・デ・フェンの方が関与の頻度が高く、逆サイドにボールがあるときに最終ラインに降りてきて、前が空いている状態からドリブルでキャリーすることで相手の片側誘導を外す役割がメイン。ドリブルするスペースがない時はやや高い位置を取りつつ、後方をデ・ヨングやグラフェンベルフに任せるケースが多い。

 CHの面々のポジションは流動的だ。ファン・ダイクとファン・デ・フェンの間に落ちるところから高い位置に出ていくことで前線に+1の役割をもたらすことも。旋回しながら役割を入れ替えることも多いが、基本線としては高い位置に出ていってハーフスペースから抜け出しを図るのがラインダース、後方でビルドアップの支援役をやるのがデ・ヨング、どっちもバランスよくこなすのがグラフェンベルフだ。

 右のSHは絞る役割が多く、アウトサイドのレーンはSBのために空けてあることが特徴。SHは中盤に同化することで4人目のCHとしてプレーをすることが多めであった。

 ここの部分はキャストによって変わらないところと変わるところがあるという印象。シモンズがサマーフィルになったことで中盤のタスクよりもトランジッションからインサイドレーンを抜け出してカウンターの役割を担うことが多くなったし、ダンフリースがウィーファーになれば低い位置に下がってビルドアップに関与するケースも出てくる。

 左サイドはガクポが大外に立つのだが、こちらはむしろ人選というよりは役割が流動的。対面するSBもしくはWBにある程度やれるという手応えがあれば、大外で正対してボールを持ちながら、インサイドに切り込むドリブルからファーに巻くクロスでフィニッシュを狙う形がある。

 この形を念頭に置いているからこそ、右のSBは攻撃参加が推奨なのだろう。そこが基盤になるのであれば、やはり右の大外で空中戦の脅威になれるダンフリースが欲しいというところはあるのだろう。

 ガクポは純粋な大外のWGキャラではない分、抜くのがハードな相手であればオフザボールでの駆け引きが軸となる。具体的には大外から斜め方向に入っていくバックドアの形を使いながらラインの奥を取っていく。

 このハーフスペースから裏に抜けるアクションはラインダースやCFなどあらゆる選手が行っている印象。静的に5バックを攻略するという局面になった時に、1on1で無双できるWGがいないというオランダの難点はオフザボールによる駆け引きによってカバーする方向性だ。

 ブロビーのようながっちりとしたタイプよりもデパイのような動き回れるタイプがCFとしてここまで重用されているのも、前線は相手に先手を奪うような動き出しができる選手が優先されているからだろう。CFや右のSHとして起用されているマレンはボールを持った時に細かく緩急をつけてわずかなスペースを生み出すことができるので、押し込む局面の攻略には適している。

 定点攻撃ではなく、中盤前のオフザボールを絡めた裏抜けから相手のバックラインを細かく揺さぶり、ボックス付近のクロスやマイナスからのミドルを狙うのがオランダの基本的なプランと言えるだろう。

 オランダのもう1つの武器は非保持でプレッシングをかけられること。上位を狙う強豪チームは特に大会の頭にピークを持ってくるのを嫌う傾向があるため、序盤戦は強度を抑える戦いが多い。しかし、オランダは主力がシーズン終了直後の6月の親善試合でも高い位置からのマンツーでハイプレスを仕掛けてくるアクションを見せている。

 常に全開ということはしないと思うが、この手札を持っているということは個人的には重要になると考える。前からのプレッシャーをかけ続けることができれば、苦し紛れのロングボールはファン・ダイクが無効化することが可能。そうすれば、延々とオランダの保持のターンを続けることができるという算段だ。

プレスの圧で揺さぶりをかけられるか

 日本がオランダを倒すという視点に立った場合、オランダのターンが延々と続くことを阻害することができるかということがポイントの1つになるだろう。欧州予選では今のレギュレーションだと比較的レベル差のある相手が多いこともあり、5-4-1のブロック攻略を強いられるケースに突入することが多かった。比較的実力差が小さいであろうポーランドも5-4-1でオランダにポゼッションを譲っていた。この点で言えば、直近のウズベキスタンが最もプレッシングで抵抗を見せていたようにも思う。

 前線がある程度コースを制限しつつ、プレスで高い位置に出ていくことができるというのは日本の今の強み。シャドーのプレスに対してCHやCBが後方から連動し、穴が開いたところはきっちりとカバーするというメカニズムは日本の大きな武器になるはず。

 イングランド戦の前半のようにラインを下げすぎないまま我慢ができれば、オランダにボールを持つだけの時間を過ごさせることもできるだろうし、ハイプレスに出ていった時のプレス耐性を問う展開になればショートパスからの前進も見込める。

 ただし、オランダは後方で左右に揺さぶりながらプレスをいなすというところにはある程度自信を持っていると思われる。右サイドからボールを引き取ったファン・デ・フェンの持ち上がり。スキがあればインサイドに差し込めるファン・ヘッケやフェルブルッヘンのチャレンジ。そうした後方の積極性を、対角パスでプレスを逃がせるファン・ダイクが保険として支えている印象だ。

 この後方のチャレンジをする姿勢をプレスの圧で崩せるかどうか。ウズベキスタンも含めて、オランダが戦ったどの相手よりも日本はプレスで強度を出すことができるポテンシャルはある。その部分で揺さぶりをかけられるかどうかである。

 逆に日本が引いて受けた時に厳しいのは陣地回復の目途が立たなそうなこと。イングランド戦で見せた陣地回復は三笘のポジトラを軸としたカウンターの要素が多かった。三笘以外にも日本にはスピードのあるアタッカーは多いが、カウンターを完結させる能力においては三笘の不在は手痛いものがある。

 加えて、オランダはファン・ダイクがいる分、CBへのアバウトなロングボールでの陣地回復も難しい。よって、プレスからオランダのリズムを乱し、ボールを奪う位置を高くすることができるかというのは重要な論点になる。オランダは相手のプレスを外して加速することは得意なのだけども、スピードに乗った局面をカウンターで仕留める精度はそこまで高くはない。勇気を持って先に当たりを引くトライをしてほしいところだ。

 逆に押し返すことができればチャンスはある。DF陣は強固だが、今季のファン・ダイクを見る限り、オープンな状況のカウンター対応における判断が悪かったり、ボックス内のクロス対応がやたら淡白でニアのクロスカットが甘くなったりする試合は散見される。

 また、ファン・デ・フェンとファン・ダイクの間の右ハーフスペースはオランダがネガトラで埋めきれないケースも多く、デ・ヨングもこういうスペースを埋めることが特徴なプレーヤーではない。右のハーフスペースから抜ける形からの折り返しでファン・ダイクのボックス内の対応に迷いを与えることができればチャンスになるだろう。

 この右から抜け出したところからアシストというプレーが一番イメージできるのは伊東純也。彼がイングランド戦の三笘のように相手を仕留める決め手になれば、個人的には面白いように思う。

 90分間ハイプレスを続けて押し込み続けるというのは現実的ではない。ダンフリースと対面する可能性があるLWBにはクロス対応に長けた選手を入れるなど、ある程度非保持を意識した調整は必要だろう。それでもオランダ戦の肝は、失点を避けながら「オランダが持って攻め続ける」という基盤をいかに覆せるかというところにかかっていると個人的には考えている。

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