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「乗ったからこその手応え」~2026.9.6 プレミアリーグ 第3節 アーセナル×チェルシー レビュー

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レビュー

使い分けたチェルシーの守備プラン

 ここまで2連勝で来ている両チームによるロンドン・ダービー。連勝記録を伸ばすためのガチンコ勝負が第3節のトリとなる。

 いきなり先制点を決めたのはチェルシー。今季継続して得点を取ることができているセットプレーからゴール。空中戦で味方につなぎ、最終的にロジャーズが足先で放ったシュートで先制。アーセナルの今季初失点を早々に引き起こすことに成功する。

 ゴールをしたことで早々に試合の流れは確定。基本的にはアーセナルがボールを持ちつつ、チェルシーが受けるスタンス。チェルシーは立ち上がりにはハイプレスに出ていく素振りも見せていたが、空振りするケースも多く、すぐにミドルブロックに移行する。

 チェルシーのミドルブロックの守備は4-4-2が基本。自陣での5-4-1との可変でキーになっていたのはネトで、ローブロックにおいては彼が一列下がって受ける格好となる。

 ネトはマンツーというわけではないのだけども、カラフィオーリについていく素振り自体は見せていた。ミドルゾーンにおいては自由に動くカラフィオーリに数の面で後手を踏むことを嫌い、中盤に残すような運用をしていたように見えた。ある程度はついていきながら捕まえることを探っていく、という感じ。4-4-2は中盤で簡単に数の後手を踏まないための方策のようにも見えた。

 アーセナルの攻め筋は右サイドから。サカの仕掛け、ハヴァーツの裏抜けなど、コルウィル⇒フォファナに代わっても狙い目となるチェルシーの左に突っかけていく。チェルシーはファウルをしてでも止めるという方向性。先制点の入り方も相まって、序盤は非常にセットプレーが多い展開に。

 アーセナルはセットプレーでゴールに迫るところまで持っていくが、ネットを揺らすところまではできない。カラフィオーリが得点をしたかに思えた場面もあったが、直前にシュートを放っていたコンサのオフサイドによって無効となった。

 それでも押し込むところは堅実にできていたアーセナル。チェルシーは左サイドに流れるジョアン・ペドロへのロングボールから陣地回復を狙う。この日、アーセナルでの先発デビューとなったコンサはロジャーズのスピードと合わせて、いきなり資質を問われるような展開となった。

ブロック攻略で手練れ感を見せる

 チェルシーの長いボールに対してアーセナルは咎めた後に縦に速い展開でトランジッションに移行。この試合のアーセナルの傾向ともいえるのだけども、速攻に強みがあるチェルシーが相手でもオープンな打ち合いに関しては全く躊躇なく、トランジッションから速い攻撃を狙えるのであればガンガン行こうぜ!というスタンスを見せていた。

 もちろん、非保持においてはきっちりと相手をスローダウンさせることも意識。チェルシーも突き抜けるほどのカウンターを見せることはできなかったので、陣地回復の際にもジェームズに落としながら対角パスで右に展開し、腰を据えたサイドアタックに移行する。

 パーマーとロジャーズが右サイドに流れ、アチェンポン、ネトなどほかの選手と複数人で崩し、ファーで構えるジョアン・ペドロにクロスを供給するというのがこの日のチェルシーの定点攻撃のコンセプト。しかしながら、アーセナルはこのプランをきっちり受け切った印象。ポジションチェンジが続くチェルシーに対して、個々の選手の場所が入れ替わっても特にミスマッチを起こさないあたりは、守備における地肩の強さを見せたといっていいだろう。

 ラインを揺さぶることができないので、右サイドの崩しはネトやパーマーの抜き切らないクロスが中心。そうなるとボールはおのずと高い軌道のクロスとなる。クロスカットが得意なラヤにとってはインスイングのクロスは相性がいい。もちろん、この日のトレンド通り、ラヤはキャッチしたら素早く走り出す前線にボールをつけていく。

 セットプレーでの先制点献上というミソがついてしまったものの、チェルシーの速攻、定点攻撃を堂々と受けたアーセナル。同点ゴールとなったのは注力していた速攻ではなく、意外な定点攻撃。右サイドからカットインするハヴァーツがニアを打ち抜いて、前半のうちにアーセナルが追いつく。

 スコアが均衡したことでさらに落ち着いて試合を進めるアーセナル。特に押し込んだ後の撤退守備攻略に関しては、明らかにチェルシーよりも一日の長があったといえるだろう。後方からタイミングを外した抜け出しで相手の守備者の逆をとり、浮き球のパスを駆使しながらパスコースを創出。通った後のコントロールも容易にすることで、抜け出した選手はより精度の高い崩しのボールをボックス内に送り込むことができる。

 受けてしまうのは難しいと考えたチェルシーはハイプレスに出ていくケースもあるのだけども、アーセナルはこれもどっしりと跳ね返すことに成功。ゆったりと動かしながらフリーの選手を作り、キャリーから敵陣に侵入。浮いているライン間にガンガン縦パスを通して前に進んでいく。

 もっともチェルシーもノーチャンスということはなく、コンサのところをスピードで揺さぶるなど、ロングカウンターにフォーカスすることで活路を見出せそうな空気感もある。前半ATにはネトがポストにボールを当てるなど、あわやというシーンも作り出す。

 アーセナルが優勢に進めながらもチェルシーが踏ん張り、得意の速攻でワンパンチを当てる隙を狙う。そんな感じの前半45分だった。

2つの仮説を立ててみる

 後半、チェルシーは再びプレスを起動。ネトをSH的に運用することに加え、ラヴィアやジェームズが前がかりになり、敵陣でのチェイシングを強化する。

 アーセナルはこのハイプレスに落ち着いて対応。サイドの裏を狙うことでチェルシーのプレスをいなしていく。

 保持においては対角パスを活用していたアーセナル。この恩恵を受けていたのがツォリス。逆サイドからの展開であることもあり、ツォリスは間合いのある1on1の状況でボールを受けることができた。

 アストンビラ戦は苦戦したツォリスだが、チェルシー戦では復調気配。仮説なのだけども、この試合のようにボールを受ける前にある程度間合いがあって、状況を把握できるのであれば、視野の広さから正確な選択肢を選べて活躍につながるのかなと思っている。キャッシュとマッギンはこんなに受ける前の時間をくれなかったので。

 そのツォリスからのアシストでゴールを決めたのはウーデゴール。ハヴァーツのスルーで完全にフリーでボックスに侵入すると、落ち着いてマルティネスとの1対1を制した。

 ハヴァーツのスルーはこの試合ではかなり多用していた印象。こちらも仮説だけども、チェルシーのCBは1人のアクションに対して、ほかのDFの連動が甘いので、ハヴァーツがパスを受けるために動けば、ハヴァーツのマーカーが元いた場所は確定で空くこととなる。

 スルーの多用はチェルシーのDF陣の横のつながりの弱さを活用するための一手だったのかもしれない。

 リードを許したチェルシーだが、まだ得点のチャンスはある状態。パーマーをライン間のレシーバーとした速攻から敵陣に迫るシーンを作っていく。

 55分のロジャーズのカウンターはターニングポイント。持ち出しが大きくなったところを元同僚のコンサに咎められた場面はチェルシーにとっては痛恨だった。

 少しずつ保持の時間を増やしていくチェルシー。だが、ポケットを余裕でとることができないことは後半も同じ。重点的に攻めている右サイドからポケットを取ることができていても、ニアのガブリエウを超えることができなかった。

 アーセナルは押し込まれている時間でもラヤの無限トランジッションから試合を落ち着かせる気はさらさらなし。「ゆったりボールを持ったりしなくていいの?」と思ったが、ラヤは無限に速攻狙い。「アーセナルが少人数で攻め続ければ、チェルシーの得意な速攻は回ってこないからこれはこれでいいのか!」と勝手に納得しかけたところでスビメンディが登場してボールを握り直していたので、たぶんよくなかったんだと思う。

 疲れもあった分、つなぎの局面が不安定となったアーセナル。それでもチェルシーの攻撃に対する防衛は万全。一度、壁の向こうから飛び道具として飛んできたエステバンのミドルはラヤのファインセーブで回避。チェルシーとしては振り返ってみればあれが最後の勝ち点チャンスだった。

 逆転劇から落ち着き払ったクローズを見せたアーセナル。新体制のチェルシーに土をつけ、シティと共に全勝をキープすることに成功した。

あとがき

 チェルシーの速攻はすでに十分な破壊力だけど、ほかの局面ではアーセナルの方が明確に上かな?と試合前に思っていた通りの試合だったんじゃないかなと思う。特に試合が落ち着いたブロック局面での攻撃と守備の精度はアーセナルの方が明確に上だった。

 想像と少し違ったのは、思ったよりもカウンターでの応酬に乗ったなということ。ラヤ次第で避けられることにあえて乗ったことはいろんな意見があるだろうが、結果的に相手の土俵でも渡り合える強さを見せたことでもある。点差は最小ながら手ごたえあるダービーとなった。

試合結果

2026.9.6
プレミアリーグ
第3節
アーセナル 2-1 チェルシー
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:25′ ハヴァーツ, 50′ ウーデゴール
CHE:2′ ロジャーズ
主審:クリス・カヴァナー

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