MENU
アーカイブ
カテゴリー

「最小ながら盤石」~2026.11.7 プレミアリーグ 第10節 アーセナル×ハル レビュー

プレビュー記事

目次

レビュー

挫いた5-3-2の狙い

 ベローミというWG不在という影響もあり、ハルは5-3-2のスタート。この陣形に「もっと前から行くべきだった」という趣旨のヤキロヴィッチの前節のコメントを掛け合わせると、この試合のハルのようなイメージになるのだろう。アウェイチームは強気で前から人を捕まえにいくスタンスからスタートする。

 アーセナルはまずはショートパスからプレス回避。前方のユニットを引き寄せつつ、あえて狭いところに閉じこもりながらラヤやCBへのリスキーなパスを活用し、逆サイドまで展開。逆サイドからハルの2トップとWBの間を突くような前進をしていく。

 まずは枚数をかけてプレスを回避することが最優先だったアーセナル。MFは深めに下がりながら重心を低めにしつつ、SBは高い位置を取ることでバランスをキープ。カラフィオーリがビルドアップに関与せずに動き回るのはいつも通りの光景。ティンバーは右の低い位置を取りながらも、ロングボールのときは高い位置に出ていくアクションで空中戦のターゲットもこなしてみせた。

 サイドへの安全なルートは見えたアーセナル。ここからWGにパスをつけることで1on1を演出。5-3-2は5-4-1に比べると大外のダブルチームを構造的には行いにくく、ハルの中盤と前線は前がかりだったこともあり、アーセナルのWG陣は正対しながらWBとの1on1に専念することができた。いわば景色がいい状態でボールを受けることができていた。

 マドゥエケからの仕掛けは特に好調。リリース後のプレーの精度からも彼の調子の良さを感じることができる。逆に左のツォリスは少しニア側のCBのアジャイを超えるようなボールをボックス内に供給するのに苦労していたように見えた。

 より奥を取るという意味ではハヴァーツの背後を取るアクションも有効。ただし、オフサイドは多く、なかなか決め手にはならないという状況ではあった。

 ハルはマクバーニーへのロングボールから反撃に出ていこうとする格好。サイドに少し流れながら起点を作ろうとする意識は見えたが、アーセナルのDF陣の跳ね返しが優勢なのは変わらず。試合はアーセナルが押し込みながら序盤を支配する展開となった。

15分かかって取り戻す

 順調に試合を進めることができていたアーセナル。しかしながら、徐々に主導権が手から離れていくように。主な要因として指摘できるのはミドルゾーンからの加速の不安定さだろう。

 細かなパスのズレとオフザボールのコースの妥当性が気になったところ。後者のところは特にハヴァーツの動き出しがうまく味方とつながらない問題が顕著だった。

 試合の構造の問題として顕著なのは、アーセナルが押し込む前に攻撃が終わってしまうこと。カウンターが空に消えてしまうような機会消費をしていたため、ハルが自陣に下がってケアするような状況がそもそも作られなかった感があった。

 ハルは18分のチャンスのように、ハイラインをキープする意識に対するご褒美が出てくるように。アーセナルのカウンターの雑さに付け込みながら、敵陣でのプレータイムを増やしていく。

 惜しむらくは前線のプレーヤーが与えられた機会を生かす能力だろう。特にマクバーニーの相棒を務めたアリ・チョーは抜け出しかけるデュエルであっさりとアーセナルに敗れてしまった。ここで機能性を発揮できるFWが先発にいれば、この時間帯に得点まで持っていけた可能性は十分にあったように思える。

 アーセナルは33分のウーデゴール→ツォリスへのパスでコイルに警告を出させたシーンからリズムを取り戻した印象。支配的な振る舞いが復活し、腰を据えながら敵陣でのブロック崩しに挑んでいく。

 中央で攻撃を差し込むプレーからハヴァーツの抜け出しが仕上がらなかったのはもったいなさ。ハヴァーツ、切り返さずに打ち切ってよという気持ちもわからなくはないけども、コントロールしてしまうとシュートが難しい右に流れる形になっていそう。DFの寄せもタイトなので、出し手のパスのクオリティを含めて議論をしなければいけない部分かもしれない。

 アーセナルの支配→雑なカウンターからのハルのリカバリー→アーセナルの復権という三段活用が15分ごとに行われたような前半。両チームそれぞれに自分たちの時間を迎える機会があったが、得点には結び付かず。試合はタイスコアでハーフタイムを迎える。

ゾラキスを揺さぶるシュート

 後半も構造には大きな変化はなし。右サイドからのマドゥエケのカウンターを合図として、アーセナルは支配的な振る舞いをスタート。敵陣に押し込みながら勝負をかけていく。全体的にラインの押し上げも効いていたので、二次攻撃から延々と攻撃の機会を確保することもできていた。

 サイドにボールをつけたときに素早く奥と手前に2つの選択肢を作ることができるのは、この試合のアーセナルのいいところ。ただ、残念だったのは全体的に奥を狙う選択肢をかなり急いでいたこと。

 特にギマランイスはこの傾向が顕著であり、サイドの崩しとしてこの試合で求められるものに対してやや前のめりだった感じもある。もう少し手前で、より深い位置で相手をピン留めして背後を空ける過程を丁寧に踏みたかったところだった。

 ハルにもチャンスはあるにはあった。特に54分のカウンターはガブリエウを置いていきかけた貴重な機会。すぐに左サイドに叩いてしまった判断が非常に残念であり、本来はガブリエウのいないハルの右サイド側からカラフィオーリを挟み撃ちにして、1人を置いていくような攻撃の進み方をしたかったところだった。

 ファストブレイクにおいてはアリ・チョーの残念な判断も継続。なかなかチャンスを作りきれなかった一因となってしまった。

 全体的に機会が少なく追い込まれている感があるハル。交代から流れを変えていきたいが、ノートン=カフィーが交代直後に警告を受けてしまうなど、流れは変わらない。

 押し込む局面のホールドに成功していたアーセナルは右のマドゥエケからの仕掛けで先制。後方からプッシュアップしたウーデゴールがシュートのこぼれを押し込んでようやく均衡を破る。

 この試合ではゾラキスがかなり角度のあるところからのセーブをキャッチすることでアーセナルの攻撃を切っていたが、このシーンではマドゥエケのシュートをキャッチで食い止めることができず。もっとも、これは微妙なバウンドで枠内に速いスピードでシュートを打ち切ったマドゥエケを褒めるべきだろう。

 プレスでリカバリーに出ていくハルだが、アーセナルは落ち着いたプレス回避とファウル奪取で流れを寸断。交代で入った左サイドは旋回しながらギマランイスの裏狙いとつながるなど、これまでの伏線回収のような奥行きの作り方を見せていた。インカピエの裏を狙う動きは中に入る傾向の強いエゼの方がいいのかもしれない。

 右サイドはマドゥエケの仕掛けが好調。単騎で最後までエネルギーを持って殴り続けることができていた。ハルは警告を受けたこともあり、ストラウドからジャイルズにマッチアップを交代させたが、選手交代からより勢いを持ってマドゥエケは攻めにかかることができていたように見えた。

 ギョケレシュは少し遅れてしまった感があったが、80分台から陣地回復に貢献。マドゥエケの決定機創出の起点にもなった。

 押し込まれる時間においても危なげないクロスしか許さなかったアーセナル。最少得点差ながら磐石の逃げ切りでリーグ戦5連勝を果たした。

あとがき

 押し込む状況が続く展開はじれったいが、ほぼメンバーを入れ替えていたフリートウッド戦を除けば、アーセナルはブロック破りに失敗はない。じれったいけども勝ちパターンには乗っていたし、ハルは最終的にはそのルートに抵抗することができなかった。

 ゲームクローズというスラビア・プラハ戦で見せた課題も消化。シティとの勝ち点差も開き、盤石で代表ウィークを迎えることとなった。みんな怪我すんなよ!

試合結果

2026.11.7
プレミアリーグ
第10節
アーセナル 1-0 ハル
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:72′ ウーデゴール
主審:ファライ・ハラム

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次