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「Catch up FIFA World Cup QATAR 2022」~2022.11.26 Group D 第2節 フランス×デンマーク ハイライト~

■不確実性を打ち消すアジリティでベスト16一番乗り

 初戦は王者としての風格たっぷりな逆転勝利での白星発進となったフランス。勝てばグループステージ突破を決めることができる一戦で迎えたのはネーションズリーグでフランスに勝った実績のあるデンマークだ。

 デンマークのプランは5-4-1で後方を重たくするプラン。ミドルゾーンからPAの手前くらいにラインを設定し踏ん張りに行く。サイド攻撃が主体となるフランスに対して、5-4-1は割と人員を余らせることができている形。左右のどちらのサイドにも顔を出すグリーズマンの効き目はオーストラリア戦に比べると限定的だったと言えるだろう。

 その分、この日のフランスは純粋なスピード勝負で優位に立っていた節があった。両WGのスピードは相変わらず凶悪。正対した相手を置き去りにすることが平気でできるアジリティを有している。

 特にムバッペとテオが縦に並ぶ左サイドはデンマークにとっては非常に厄介。低い位置までおりていくムバッペについていけばテオに背後に走られてしまうし、かといってムバッペがおりていくのを放置すればドリブルを開始されてしまう。網を張っていてもムバッペはそれを突き破る勢いでかかってくるので非常に厄介である。

 ムバッペ→デンベレもデンベレ→ムバッペももちろんジルーをターゲットにするエリア内に迫る攻撃もなかなかにクリティカル。デンマークの守備陣は跳ね返しに大忙しだった。

 ただ、デンマークのボール保持に対してはフランスはそこまで積極的に阻害する様子はなかった。そのため、フランスが攻める局面のみの試合になっているわけではなかった。

 デンマークの保持の狙いとなりそうなのはムバッペの戻りが甘いフランスの左サイド。4-4-2ベースの陣形なのだが、フランスの守備陣形はムバッペが戻らない分、歪む形で守ることになる。デンマークは自由に持たせてもらえるCBから対角のパスを駆使して右サイドにボールを届ける。

 ただし、フランスはフランスでムバッペが戻りきれないことは織り込み済みだった。グリーズマンを中盤に下げてラビオを早めにフォローに向かわせたり、大外→ハーフスペースの裏抜けというデンマークの動線はウパメカノが完全に見切ったりなど、戻れないなりに設計されていた。

 デンマークの用意した右サイドのプランはウパメカノに無効化されてしまったので、別の前進ルートを用意しなければいけない。ただし、テオの守備は軽かったのでこちらのサイドを崩しの狙い目に設計していること自体は悪くないと言えるだろう。

 後半もフランスの左サイドはアジリティ勝負。相変わらずムバッペはテオを相棒に暴れ回る状況が続いていた。撤退色を強めるデンマークに対して、フランスは遅攻気味の右サイドでも攻撃を構築。高い位置での右のワイドに張るデンベレを軸にクンデとグリーズマンを絡ませることでバリエーションをもたらしていた。

 特に、グリーズマンの動きは秀逸。右の大外に張り出すデンベレを囮に自らも最終ラインと駆け引きをしながら、裏に抜けるボールを引き出して見せる。決定機の創出はアジリティ第一じゃなくてもできる!と言わんばかりの身のこなしであった。

 左右の異なる形で攻撃の目処を立てているフランス。デンマークに対して先制点の牙を向いたのは左サイド。インサイドを走り抜けるテオを相棒にカットインしたムバッペが先制ゴールをゲット。2人を引きつけたテオのフリーランが見事にムバッペのお膳立てに寄与。素晴らしい連携でデンマークのゴールをこじ開けてみせた。

 しかし、敵陣に押し込むということに関しては支配的でいれないのが今のフランス。ボールを奪うということに関してはそこまで得意ではない。デンマークにボールを運ばせる機会を与えてしまうと、セットプレーからクリステンセンの同点ゴールを許してしまう。

 だが、最後に笑ったのはフランスだった。86分、右サイドに入ったコマンからマイナスのパスを受けたグリーズマンが鋭いクロスを放つ。おそらく、このクロスが少しでも山なりであればシュマイケルはキャッチに行けたはずだ。それだけに絶妙な軌道と言えるだろう。

 このクロスの先にいたのはムバッペ。機動力で強引にDFの前に入り、体ごとゴールに押しこんでみせた。

 非保持の不安定さを打ち消す破壊的なアジリティで連勝を決めたフランス。ノックアウトラウンド進出第1号となった。

試合結果
2022.11.26
FIFA World Cup QATAR 2022
Group D 第2節
フランス 2-1 デンマーク
スタジアム974
【得点者】
FRA:61′ 86′ ムバッペ
DEN:68′ アンドレアス・クリステンセン
主審:シモン・マルチニャク

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