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「Catch up FIFA World Cup QATAR 2022」~2022.11.26 Group C 第2節 ポーランド×サウジアラビア ハイライト~

■呪いが解けたレバンドフスキ

 アルゼンチンを下すという歴史的なアップセットを引き起こしたサウジアラビア。グループAとBでオランダとイングランドがそれぞれトチったこともあり、勝てばグループステージ最速での突破を決めることができる。サウジアラビアにとっては世界を再び驚かせるチャンスとなる。

 対するポーランドは昨年のEUROと比べると、幾分か整備された形での試合運びを見せた。この試合でもサウジアラビアの守備に対して高い位置からのプレッシングを行っていく。ただし、2トップがそこまで重たい守備のタスクを課されているわけではなく、後方はマンマーク気味に選手を捕まえにいくため、陣形は乱れることが多かった。

 2トップがプレスにそこまでこない影響もあり、サウジアラビアはCHのカンノが簡単にボールを運ぶこともできるように。これ以外にも、左サイドからボールを運び、逆サイドへの展開からハーフスペースの裏抜けという形でのPA侵入も決めていたサウジアラビア。オフサイド大作戦の前節は戦い方が疑問視されることもあったが、アジア予選を通して見た感じでいえば、こうしたベーシックなポゼッションチームとしての振る舞いこそサウジアラビアの真骨頂と言えるだろう。

 一方、ポーランドの前進はやや苦しんでいた。バックラインにビエリクが降りて3バック化しながらボールを運ぼうとするが、膠着気味の前線には預ける場所がない。手詰まりだったポーランドが前線の並びを早々に変えたのはビルドアップにおける可変を積極活用するためだろう。トップ下に移動したジエリンスキが降りていくビエリクのスペースに入る。左SBのベレシンスキは高い位置を取るのに合わせて左のSHのミリクがストライカーとして振る舞うという形を採用する。

 可変でのポゼッションという狙い目は見えたポーランドだが、ボールをつなぐ過程でミスを連発。可変ゆえの被カウンター対応の脆さから警告を受けまくるという悪循環に陥ってしまう。

 だが、一発で劣勢をひっくり返したポーランド。きっかけになったのはここまでパフォーマンスが芳しくなかった右のSBのキャッシュ。バックラインからのリスタートで一気に右サイドの裏を取ると、折り返しのボールに最後押し込んだのはジエリンスキ。直後のレバンドフスキの抜け出しも含めて、ポーランドはこの時間帯に右サイドの裏を集中的に狙っていたように見えた。

 ビハインドになったサウジアラビアにはすぐに反撃のチャンス。こちらは長らく狙っていた右サイドのハーフスペースの裏抜けからPKをゲット。ポーランドは裏のケアに走ったビエリクが後手を踏むことになってしまった。しかし、この大ピンチをシュチェスニーがセーブで救う。絶体絶命の状況をしのいだポーランドが前半をリードで終える。

 迎えた後半。サウジアラビアはCHのカンノが保持時には1列前に入り込み前を厚くするスタンスに。途中交代で入ったアル=アービドも狭いスペースでのボールタッチで敵陣の深い位置で貢献。アタッキングサードでのアクセントになっていた。中央での狭いスペースの突破は前半よりも増えたと言っていいだろう。

 サウジアラビアのCBは左サイドへの対角パスを増やす。左サイドに移動してきたアブドゥルハミドも含めて、後半はこちらのサイドを深く抉る形も確立。中央でのパス交換のように、サウジアラビアの攻撃の武器となっていた。サウジアラビアはサイドからのクロスも鋭い球筋のものが増え、ポーランドのブロックを打開するのにあと一歩まで迫った感があった。

 一方のポーランドは前に出てきたサウジアラビアの中盤の手薄さをカウンターで狙うことができず。前半に比べると攻め手が少なく苦しむ形になっていた。

 試合の争点はサウジアラビアの攻撃をポーランドが凌ぎ切れるかどうか?に絞られたかのように思われた。しかしながら、サウジアラビアのバックラインはまさかのミス。レバンドフスキがチェックから独走し、ついにW杯初ゴールをゲット。試合を決める追加点を奪い取る。本人の喜びようと周りの祝福の様子はなかなかにグッとくるものがあった。

 最後までポーランドゴールに迫ることをやめなかったサウジアラビア。しかしながら、PKを止めたシュチェスニーを軸とするポーランド守備陣を破ることはできず。

 勝てば突破が決まるという状況を活かせなかったサウジアラビア。勝利したポーランドはサウジアラビアと入れ替わるようにグループCの暫定首位に躍り出た。

試合結果
2022.11.26
FIFA World Cup QATAR 2022
Group C 第2節
ポーランド 2-0 サウジアラビア
エデュケーション・シティ・スタジアム
【得点者】
POL:39′ ジエリンスキ, 82′ レバンドフスキ
主審:ウィルトン・サンパイオ

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