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「Catch up FIFA World Cup QATAR 2022」~2022.11.25 Group A 第2節 カタール×セネガル ハイライト~

■猪突猛進のセネガルにまたも網を破られたカタール

 開催国ながらグループステージ敗退の危機に瀕しているカタール。同じく第1節を落としてしまったセネガルと突破の可能性を残すための一騎打ちである。

 個人的にはやや意外だったのだがボールを持つのはセネガルの方。カタールの5-3-2ブロックは隙あらばラインを上げようとはしていたけども、ラインを下げてのブロック形成を優先。セネガルもセネガルで無理に急ぐことはなく、ボールを持つという立ち位置を許容していた。

 セネガルの配置はビッチリとした4-4-2。レーン分け?なにそれ美味しいの?と言った風情できっちりと中央と外に並んでいる姿はなかなかに珍しい。よって、ななめ成分の生み出しは個人のドリブルに委ねられることになる。その役割を担っていたのは右サイドのサール。3センターの脇から5バックに突っ込んでいく形でカタールの守備ブロックの網に突っ込んでいく。

 セオリーとしては相手をろくにずらさずに5バックに突っ込んでいくというのはややイマイチのように思うが、セネガルとカタールのフィジカルの力関係を掛け合わせればセネガルに軍配があがる。相手に捕まっていても突き破りながら進めるセネガルにカタールは手を焼き続ける。この辺りは前節に引き続き、カタールと相手国のフィジカルの差を感じる部分だった。

 前を向かせてしまってはサールの進撃を止めることは難しいと考えたカタールはサールのサイドだけは早めのチェックをかけることを選択。裏を空けるリスクをとってでも高い位置からプレスに行く。

 だが、この日のセネガルは非常に柔軟だった。サールのところに手厚く網を張られるならば、ゲイェとディアのコンビネーションで中央を打開するなど、1つの攻略法に固執することはなかった。

 カタールの前進はセネガルに比べると苦しい。前進には比較的手数がかかる割には味方を押し上げることができずに、突破するための敵が増える一方になってしまう。サイドチェンジも駆使してはいたのだが、敵を同サイドに引き付けずに一発でサイドチェンジをしてしまうため、逆サイドを薄いサイドとして使うことができなかった。

 あわやPKとなったアフィーフの抜け出しのシーンが最もスマートだったと言えるだろう。出し手となったアフィーフが淀みなく前線に進んでいく形でカタールの攻撃がスムーズに加速した場面だった。

 前進がうまく行く機会が少なかったカタールはハイプレスを積極的に仕掛けるように。そうなればセネガルも素早くハイラインの裏を狙う仕様に切り替える。カタールの仕掛ける手に対して、セネガルが非常に早く対応しているのが印象的だった。

 そうした状況で先制したのはセネガル。強引にでもバックラインにつっかければ網を破れる!というこの試合のセネガルを表すような形でカタールのミスを誘発。ディアが先制ゴールを奪う。カタールはバックラインの不安定さがこの場面以外にも散見。GKを代えてもなお不安定さは尽きず、バックラインの出来は足を引っ張ることになってしまった。

 後半早々にセネガルは追加点をゲット。高さの優位を活かしたパワーでさらにリードを広げる。このリードを得たことでセネガルはやや全体的にプレーが雑に。カタールがボールを持ちながら前進ができるようになってきた。

 前節、ポゼッションの際に落ちる動きをしていたアフィーフは今節も落ちてはいた。けども、代わりに12番のブディアフが高い位置に出ていくことができていたので全体のポジションバランスはエクアドル戦よりは取れていた印象だった。

 セネガルは4-3-3にシフト。前節も展開を落ち着かせたい時にはこの4-3-3を採用していたため、彼らにとってはこれが静的なフォーメーションなのだろう。

 ボールを持たせてくれたセネガルに対して、カタールはセットプレー、インスイングで裏に抜ける形のクロスなどいくつかの形からゴールに迫っていく。そして、ようやくこじ開けたのはムンタリ。カタール史上初という歴史的なゴールを決めて、セネガルを追い上げる。

 しかしながら、セネガルは冷静に追加点。右サイドからの仕掛けでカタールのバックラインを破り、三度カタールのゴールをこじ開けてみせた。

 構造的な面白さを見せることはできても、強度の部分で第1節に続き苦しい戦況に陥っていた感が否めないカタール。初めてのW杯は屈辱の最速敗退。早くも今大会の決勝トーナメント進出の目が絶たれることとなった。

試合結果
2022.11.25
FIFA World Cup QATAR 2022
Group A 第2節
カタール 1-3 セネガル
アル・トゥマーマ・スタジアム
【得点者】
QAT:78′ ムンタリ
SEN:41′ ディア, 48′ ディエディウ, 84′ バンバ・ディエング
主審:アントニオ・マテウ・ラオス

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