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「Catch up Premier League」~2023.1.15 プレミアリーグ 第20節 チェルシー×クリスタル・パレス ハイライト

新たな武器になる可能性を示したCBコンビ

 ピッチの中では不振から抜け出せず、ついに順位は二桁に。しかし、ピッチの外では絶好調。移籍市場では主役の座は譲らないのが今のチェルシーである。前節はジョアン・フェリックスがデビュー、今節はムドリクのお披露目と話題には事欠かない。対戦相手のパレスはトッテナム、チェルシー、ユナイテッドと厳しい日程の真っ最中。敵地とはいえポイントはとっていきたいところだろう。

 この日のチェルシーのフォーメーションは4-2-3-1に近い形。ただし、左右は非対称。左のSBのホールが高い位置を取り、大外レーンを担当。SHのマウントはインサイドに入りながらファジーに動き回る役割を担う。右の大外はツィエクが担当し、こちらはSHが幅をとる。ここはチャロバーとホールという2人のSBのキャラクターの違いを考慮しての非対称性だろう。

 左サイドはこちらもデビュー戦となったバディアシルが配球で存在感を発揮。大外のホールをシンプルに使う形で進撃をする。右サイドは中盤のギャラガーが降りる形でボールを引き取っていく。ギャラガーの降りる動きに対面のシュラップがついていくかは迷いどころ。背後をマウントやハフェルツが狙っているため、ついていけば背後を使われるリスクもある。その分、ギャラガーは自由を享受することとなる。

 右サイドに人数をかける崩しを作ったチェルシーは同サイドのハーフスペースを起点としたクロスと逆サイドのホールへのサイドチェンジを織り交ぜながら押し込む。パレスがセットプレーに不安があるということを踏まえると押し込み続ける状況はチェルシーにとっては十分おいしい。序盤はチェルシーがゴールに迫る展開だった。

 しかし、パレスも徐々に反撃を開始。チェルシーのライン間でのパスワークが乱れたり、パスコースが読みやすい時は受け手に厳しいプレッシャーをかけることでボールを奪い取りカウンターを発動。右のハーフスペースのオリーズとザハを軸に手早い攻撃を打ち込んでいく。前半途中からオリーズがトップ下から右のWGに移動したことを踏まえると、ホールの背後も狙い目と感じたのかもしれない。

 いくつかあったパレスの決定機を封じるのに貢献したのはケパ。勇気ある飛び出しでバタバタしていたボックス内の対応を見事にカバーしてみせた。このパレスの攻撃を凌ぐと、再びチェルシーはペースを握る。右サイドの攻略は同サイドを攻め切ることでさらに奥行きを増した印象。右のハーフスペースの裏抜けを活用することでパレスの守備陣系を抉るように攻め込むことで再びチャンスを得る。躍動していたのはギャラガー。ポストの落としを受けての攻め上がりや、ハーフスペースの裏抜けなどは好調時のパフォーマンスを彷彿とさせるものである。

 押し込むことでセットプレーのチャンスも再びついてきたチェルシー。こちらもグアイタがセーブでチームを救う。両守護神のファインセーブにより、試合は前半をスコアレスで折り返す。

 迎えた後半は比較的均衡した状況に。ボールを持つのはチェルシーだが、パレスも問題なく攻撃を跳ね返すことができる。前半の終盤のようにラインの上げ下げまでチェルシーに支配されることはなく、無理のない受け方ができていた。パレスはカウンターから好機を狙うが、バディアシルがきっちりカウンターの芽を摘む。彼にとっては攻守に上々なデビュー戦になったはずである。

 どちらも得点の糸口が見えない状況を動かしたのはセットプレー。ショートコーナーからハフェルツが合わせて先制ゴールを叩き込むことに成功する。

 反撃に出たいパレスは積極的にプレッシングに出ていくが、ことごとく軽微なファウルを取られてしまいカウンターに繋げることができない。それでもなんとか終盤は押し込むことに成功したパレス。だが、放り込みに備えたチェルシーの強固な5バックが決定機を許さない。

 結局、セットプレーからの1点を守り切ることに成功したチェルシー。1月15日にしてようやく2023年初勝利を挙げることができた。

ひとこと

 バディアシルとチアゴ・シウバのバックラインは強力。最後の塹壕戦への耐久力も含めて強力な武器になる可能性を示唆した。ケパも含めてこの試合のバックラインは強固と言えるだろう。しかし、保持における無駄なロストの多さは気がかり。特にオーバメヤンと後半のギャラガーのロストは不要なピンチを招くことにつながっている。この辺りは新戦力のうちの誰かに新たなアクセントになってもらうことを期待したいところだろう。

試合結果

2023.1.14
プレミアリーグ 第20節
チェルシー 1-0 クリスタル・パレス
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:64′ ハフェルツ
主審:ピーター・バンクス

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