攻め続けた成果をモノにする
レビューはこちら。
首位をひた走るアーセナル。ノースロンドンで宿敵の本拠地を制圧した後に迎えるのは、今季ここまでのリーグ戦で唯一敗れたマンチェスター・ユナイテッドである。
日程的には苦しい戦いになったユナイテッドだが、悪くない立ち上がりからアーセナルのボール保持を強襲。カゼミーロがいない中でどのようにプレスを持続可能にするか?がこの日の課題だったが、前線のブルーノやベグホルストが自陣まで下がりながら守備をすることで中盤の守備負荷を軽減するプランをテン・ハーグは採用した。
前節のアーセナルはトーマスが非常に自由だったことが保持の安定感を高めたが、ユナイテッドはトーマスを受け渡しながら常に監視。それでも果敢にチャレンジングなパスを狙い続けたトーマスだったが、ひっかけたところからボールを奪われて失点。絶好調のラッシュフォードが拾ったこぼれ球をドリブルであっさりと敵陣まで運び、ラムズデールの牙城をミドルで崩して見せた。
だが、今季のアーセナルの強さはリバウンドメンタリティにある。失点後の素早い反撃は22-23のアーセナルのトレードマーク。左サイドの人数をかけた崩しから抜け出したジャカのクロスにエンケティアが合わせてすぐに同点に追いつく。ユナイテッドに明確に勝っていた押し込んでからの崩しとエンケティアのストライカータスクがマッチした見事なゴールだった。
同点後はどちらのものでもない展開が続く。見た目でいえばシュート数とPA内の侵入数が多いアーセナルの方が優勢だろうが、ユナイテッドもロングカウンターから1つ外すことさえできれば一気に決定機となる場面を多く作っており、数字ほど両チームが過ごした前半に差はなかったように思える。
迎えた後半、修正を先に施したのはアーセナル。攻守に不安定だったホワイトを冨安にスイッチし、ラッシュフォードと対面する選手を入れ替える形に。こうした個人のマッチアップの優劣が試合の展開に大きくかかわっていた前半を踏まえれば、アルテタが早めにここに手を打ったのはよく理解ができる。
まさしく、その個人のマッチアップでアーセナルが引き寄せたのがアーセナルの2点目のゴール。右サイドの浅い位置からコースがない中でサカが放ったミドルはデ・ヘアを打ち抜く圧巻のスーパーゴールに。均衡した試合を素晴らしいワンプレーで切り拓いて見せた。
しかし、ユナイテッドもセットプレーからやり返し。こちらもこの日攻守に大車輪の活躍だったリサンドロ・マルティネスのゴールで試合を振り出しに戻すことに成功する。
65分が過ぎると、徐々にユナイテッドのプレッシングはトーンダウンしていき、アーセナルが攻め込む局面を崩せるかのワンサイドに押し込むゲームに。高い位置からの崩しの決め手になったのは左サイド。交代で入ったトロサールと後半は実質司令塔と化していたジンチェンコの2人でサイドを攻略すると、最後はエンケティアがこの日2点目のゴールを沈めて勝ち越しに成功する。
90分のゴールで接戦を制したアーセナル。終盤のラッシュで勝ち点3を手繰り寄せ、優勝争いのライバルを蹴落とすことに成功した。
ひとこと
3位以下とは2桁ポイント差がついたことでいったん現段階での優勝候補は2チームに絞られたといえるだろう。経験の浅いチームにとっては未知の領域は不安が付きまとうが、この日のようなパフォーマンスを続ければ勝敗如何に関わらず、ファンからの手厚いサポートを受けられるのは間違いない。
試合結果
2023.1.22
プレミアリーグ 第21節
アーセナル 3-2 マンチェスター・ユナイテッド
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:24′ 90′ エンケティア, 53′ サカ
Man Utd:17′ ラッシュフォード, 59′ リサンドロ・マルティネス
主審:アンソニー・テイラー