フォレストのプランが際立たせるフラムの強さ
まず目についたのはノッティンガム・フォレストの並びである。通常であれば、トップ下+2トップの形で前線を組むことが多いチームだが、この試合では4-2-3-1で前方は4枚の形となっている。
フォーメーション以上に特徴的だったのはフォレストのボールの循環の仕方である。今季の彼らはまずトップ下のギブス=ホワイトにライン間で受けてもらうとことから攻撃がスタートする。しかしながら、この試合においてはサイドの奥の深いところに後方からロングボールを当てる形でチャンスメイクを行う。
このやり方はおそらくフラムの特徴であるミドルブロックのプレッシングを回避するためだろう。フォレストが使いたいライン間のギブス=ホワイトやそこに繋がる中盤への縦パスはフラムのプレッシングの得意分野である。そこを回避するために、左右の長いボールで中央のスペースを回避しながら前進を狙っていく。7分に両CBが一気に負傷交代したのも、彼らの安全策に拍車をかけた可能性もある。
このやり方がうまく行っていたかは微妙なところ。フラムのボール奪取を阻害し、変なボールの奪われ方をしないという観点ではある程度成功したと言えるかもしれないが、自分たちが効率的に前進できていたかと言われるとまた別の話。どちらかといえば、自分たちが得意な形はどうせ封鎖されるので、せめて相手の得意な形だけは制限したいという意味合いの方が強いかもしれない。結局フォレストの効果的な前進は24分のようにライン間のギブス=ホワイトを起点にジョンソンが抜け出すといういつもの形だった。
とはいえ、フラムがいつも通りのリズムを掴めなかったのも事実。それでも自陣の深い位置からリームという司令塔を軸にポゼッションから組み立てることができたので、フォレストほどの手詰まり感はなかった。
そんな中でフラムはセットプレーから先制。ペレイラがオーリエから受けたファウルをきっかけとするFKからウィリアンが左足でスーパーゴールを生み出す。
以降もペースを握ったのはフラム。ポゼッションからの組み立ての手段があることと、左サイドを起点としたアタッキングサードの侵入から追撃を狙う。フォレストはロングボールだけではニッチもさっちもいかないので、覚悟のショートパスでの繋ぎにトライするが、フラムのミドルプレスが徐々に刺さるように。危ういカウンターはフォレストになぜ彼らがロングボール主体のプランを選んだのかを思い出させた。
後半もなかなか流れが変わらずに苦労したフォレストだったが、選手交代から徐々に流れを整えていく。シェルビー、デニス、アイェウとプレミア経験組を続々と投入し、ライン間と大きな展開を駆使しながら敵陣に侵入していく。セットプレーからのオーリエのあわやというシーンなど、フォレストは時折ゴールに迫る場面も出てくるように。
フラムは後半頭はやや不安定。ウィリアンの負傷交代もあり、バックラインからのボールのキャリーはやや不安定なものになっていた。それだけに交代で追加点を決めたソロモンは非常に大きな仕事をしたと言えるだろう。後半、活性化している右サイドから侵入し、決定的な2点目を手にすることに貢献した。
逆にこのシーンにおけるデニスはプレスをかけるフェーズにも関わらず、同サイドの封鎖にあっさりと失敗している。チームは徐々に上向いてきているが、彼自身は開幕からの低調を抜け出すことができていない。
試合はフラムの完勝。昇格組同士の一戦ながらもフォレストに力の差を見せつけた。
ひとこと
初めのフォレストのプランからして、フラムがある程度押し付けた感があるので、フラムはだいぶ強く警戒されるチームになったんだなと思った。
試合結果
2023.2.11
プレミアリーグ 第23節
フラム 2-0 ノッティンガム・フォレスト
クレイブン・コテージ
【得点者】
FUL:17′ ウィリアン, 88′ ソロモン
主審:アンディ・マドレー