■英雄と功労者が重石になったアップセット
スウェーデンの運命を分ける残り2節のタイミングで代表に帰還したのは英雄・イブラヒモビッチ。残り2試合の時点でスペインより上に行くスウェーデンにとってはまたとない強力な助っ人の降臨。正直シナリオとしては出来すぎである。
しかしながら、試合は思わぬ方向に転がっていく。試合を支配したのは3-4-3ベースでこの試合に臨んだジョージアの方。イブラヒモビッチ、イサクの2トップに対して3枚でボールを運び、SHをつり出した後に前進。4-3気味になったスウェーデンの陣形に対して、横断を決めてクロス!といった流れが定常化する。
特にジョージアの右サイドはエリアに迫る終着点として機能していた。シャドーのツィタイシュヴィリとWBのロブジェニーゼのコンビからクロスが上がるようになるジョージア。スウェーデンはラインを下げながらの対応になる。
この日のスウェーデンで一番気になったのは全体的な強度不足。前線にイブラヒモビッチが入ったことでプレスが効かなくなるのは仕方ないとして、中盤などあらゆる局面でジョージアの球際にやられていた。
いつもだったら保持では4-4-2から3-2-5にスムーズに変形するスウェーデンだが、5レーンで5バックのジョージアにかみ合わせられることを嫌ったのか、中盤ダイヤモンド型の4-4-2に変形する。
これで幅を取れなくなったスウェーデン。それでも2トップはイサクとイブラヒモビッチ。殴り続ければ道は拓けると思うのも無理はない。しかし、それがうまくいかなかったのがこの日のスウェーデン。動き出しはジョージアのラインコントロールにことごとくひっかかりオフサイド。抜け出したかと思いきや、今度はシュートがミートできない。
トップ下気味に配置されたクラエソンだけでなく、フォルスベリも中央に入り込み、スウェーデンは中央合体の究極系のような形に。
ふがいないFW陣に悩まされるスウェーデンを尻目に、デザインされたセットプレーで先制したのはジョージア。試合終盤にはトランジッションから一気に攻め落として追加点。トランジッション強度で上回ったジョージアの完勝。
スウェーデンは救世主となるはずだったイブラヒモビッチと、今予選チームを牽引してきたイサクが共に不発という大誤算。最終節前にまさかのつまずきで首位交代。最終節の難易度を自ら引き上げてしまった。
Pick up player:クビチャ・クワラツヘリア(GEO)
スウェーデンから2得点の偉業を達成したアタッカーはルビン・カザン所属の20歳であった。伸び代期待。
試合結果
2021.11.11
カタールW杯欧州予選 第9節
ジョージア 2-0 スウェーデン
アジャラベット・アレナ
【得点者】
GEO:61′ 77′ クワラツヘリア
主審:セルダル・ゴズブヤク