MENU
カテゴリー

「Catch up EFL Championship」~2023.5.27 EFLチャンピオンシップ プレーオフ 決勝 コベントリー×ルートン・タウン ハイライト

目次

51チーム目のプレミアクラブ誕生の瞬間

 残り1枚となったプレミア昇格の切符。バーンリー、シェフィールド・ユナイテッドと共にプレミアの舞台を踏むのはコベントリーかルートンか。聖地・ウェンブリーでのプレーオフ決勝で全てが決まる。

 序盤から古き良きイングランドらしいキックアンドラッシュの応酬で始まった試合。先にチャンスを掴んだのはルートン。セットプレーからオショがネットをゆらすがこれはオフサイド。コベントリーはいきなりの失点を避けることができた。

 ロッキャーの負傷というアクシデントはルートンにとっては大きい影響があるものだったはず。しかしながら、少なくともこの試合においてはそうした影響を見せずにルートンは優位に試合を運び続ける。

 ルートンはキックアンドラッシュにおいてモリスという基準点型とアデバヨという機動力型の2つのターゲットがあることが大きい。コベントリーもギェケレシュにボールを当てに行くが、1枚しかターゲットがないこともあり、なかなかボールを収めることができなかった。

 この2トップの収まりを活かしてルートンは先制。左サイドに流れるアデバヨのキープから攻め上がったクラークが先手を奪うゴールを叩き込む。アデバヨのしなやかさは素晴らしいものがあったが、対応したマクファズィーンとしてはせめて前を向かせてのプレーを制限したいシーンでもあった。

 さらにもうひとつルートンの優位を支えていたのは敵陣でのボール奪取能力。出足のいいIHを始めとして前線のプレスバックもエネルギッシュ。トップにとっとと当てることで進むことができないコベントリーだが、うだうだボールを持っているとルートンの選手たちにあっという間に囲まれてしまう状況になっていた。

 守備でもリズムを作ることができたルートンは先制点以降も攻勢に。中盤のボール奪取からエリア内に構える2トップを目掛けたクロス。もしくはセットプレーからチャンスを量産していく。アデバヨには2点目を決める決定的なチャンスがあったが、このシュートは枠外に。

 コベントリーのRWBであるノートン=カフィーはアーセナルファンにとって注目度が高い選手だろうが、この試合では波に乗れず。囲い込みによるボールのロストや守勢に回る展開はどちらも彼にとっては向いていないものだと言えるだろう。

 42分、コベントリーはこの試合の初シュートを打つことに。左サイドのワンツーの突破からハーメルの飛び込みでようやく1本目のシュートまで辿り着くことができた。このシュートをきっかけに試合はフラットに。勢いがあるうちにルートンが2点目が取れなかったところがどう転がるかが後半のポイントになりそうな予感だった。

 後半、コベントリーはゴッデンを投入して2トップに移行。この交代で一気に勢いを取り戻す。前線へのロングボールのターゲットが増えたことで、縦に長いボールの威力が倍増。特にギェケレシュが左サイドに流れるアクションを使いながらエリア内に選手がいる状態を作り上げることができたのは大きい。

 加えて、ルートンのセカンドボール回収能力が落ちてきたタイミングで仕掛けたのも良かった。前半頭からこのプランであれば、ルートンに明確に中盤のボール回収で後手を踏んでいた可能性がある。HT以降に絞ることでコベントリーは中盤のボール回収でもルートンと互角に戦うことができた。

 やや後半頭の勢いが収まってきたかな?と思ってきたところでコベントリーが同点ゴールをゲット。左サイドに流れたギェケレシュからの折り返しをハーメルが決めて同点。まさにルートンが決めた先制点の焼き直しと言えるようなゴールで試合を振り出しに戻す。

 勢いに乗りたいコベントリーだが、一気に流れを引き寄せる形にならない。だが、ルートンも苦しい状況。2トップのモリスとアデバヨは疲労の色が濃く、前半のようにロングボールを収めることができない。オフサイドも増えてきており、なかなか思うような働きができず。

 交代選手は両チームともアクセントになっていたのだが、決定的な流れを引き寄せることはできない。90分の中でよく走れていたなと思えたのはギェケレシュ。ルートンのFW陣の運動量の落ち方に比べれば90分を計算しながら走ることができており、その分がコベントリーの優位につながっていた。

 しかし、そのコベントリーもハーメルが負傷。互いに苦しい状態で試合は延長戦に。

 延長戦は非常にフラットでオープンな間延びした殴り合いを30分見せつけられる。そんな中でも互いのアタッカーがシュートまでボールを持っていくことができない状態が続き、チャンスが非常に少ない展開に。

 波が多い展開だったのはルートンの方だろう。クラークのシミュレーション、そしてホーヴァスの負傷(そしてプレー続行)、さらにはテイラーの決勝ゴール未遂。特に最後のものはボールロストからネットを揺らされたもの。当事者だったパンゾは血の気が引いてしまうシーンだった。コベントリーはまさしくハンドで救われた格好だろう。

 最後はPK決着となったこの試合。コベントリーの6人目のキッカーであるダボが枠外に飛ばすまでは全員がシュートを決める緊張感のあるPK戦だった。

 ウェンブリーで歓喜の声をあげたのはルートン・タウン。プレミアリーグの51個目のクラブとして来季は大舞台に挑むことになる。

ひとこと

 激しい試合ながらも非常にクリーンな展開が印象的。世界で一番大きい金額がかかっていると言っても過言ではない一戦とは思えない爽やかな両チームの戦いぶりには拍手を送りたい。

試合結果

2023.5.27
EFLチャンピオンシップ プレーオフ 決勝
コベントリー 1-1 ルートン
ウェンブリー・スタジアム
【得点者】
COV:66′ ハーメル
LTN:23′ クラーク
主審:マイケル・オリバー

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次