狙いを定めたプレスとブロックの併用が光るウルブス
前節は奮闘しながらもグディソン・パークでシティに屈してしまったエバートン。勝ち点こそ持ち帰ることができなかったが、ある程度手ごたえはあったのだろう。ダイチはこの試合でも5バックの継続を選択した。
前節同様にエバートンの5バックは積極的なプレスが持ち味。高い位置から相手を捕まえに行くプレスで主導権を奪いに行く。ウルブスはラインが高くなるエバートンのDFの背後を狙うイメージ。特にヒチャンの裏抜けを積極的に使う形でエバートンの前向きの矢印をへし折っていく。
ボールを奪いきれないエバートンは自陣からの攻撃のスタートが増えることに。無理に出ていかず、ボックスを固めることを優先するウルブスの守備に対して、エバートンはなかなか攻め手を見出すことができない。ウルブズは完全に退却するのではなく、キャルバート=ルーウィンやオナナといった重要な選手に対しては前を向くことを許さない積極的なプレスを行うというさじ加減が非常に絶妙であった。
地味ながらも主導権を握ったウルブスは25分に先制。セットプレーの流れからキルマンが仕留めて先制ゴールを手にすることに。
以降もウルブスはブロック守備を軸にキーマンをきっちりとつぶすメリハリのある非保持でエバートンに主導権を渡さない。ようやくエバートンが作ったチャンスがオナナ→キャルバート=ルーウィンのチャンスだったことを踏まえると、ウルブスのターゲットの絞り込みはあらかた正しかったのだろう。このチャンスにおいても珍しくジョゼ・サが安定した背後のケアで潰し、事なきを得た。
後半もペースはウルブス。セメドのアクロバティックな角度からのシュートを皮切りに一方的に攻めていく。
攻撃パターンはざっくりと2つ。横断するパスコースから逆サイドのWBのオーバーラップを促す形か、同サイドのシャドーがハーフスペースを抜ける形か。いずれも5バックであれば埋められるプレーな気もするのだが、エバートンは外切る守り方からあっさりとサイドに展開を許し、そのうえ簡単にマークを外してしまう。これでは5バックの意味はほとんどない。
右サイドを突破するヒチャン→クーニャで追加点を奪うと、以降はウルブスの独壇場に。左右のハーフスペースを裏抜けからチャンスを量産し、エバートンに反撃のきっかけさえ与えない。
3点目の攻め残ったドーソンに許したシーンはラインの統率が全くできておらず、多く揃ったエバートンのDF陣が無意味になってしまった場面だった。オフサイドで無効になったシーンも含めて、好き放題にネットを揺らしてエバートンを寄せ付けなかったウルブス。完勝で2023年最後のゲームを飾ることに成功した。
ひとこと
エバートンはらしくない浮足立ったハイプレスだった。
試合結果
2023.12.30
プレミアリーグ 第20節
ウォルバーハンプトン 3-0 エバートン
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:25‘ キルマン, 53‘ クーニャ, 61‘ ドーソン
主審:トーマス・ブラモール