どうも、CLグループステージ全部見るマン、グループH担当のせこです。
他のグループの分析はここから見れるよ!それでは早速行ってみよう。
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レビュー
■苦しい展開で起点になる前線
ビックイヤーの悲願とロナウド不在でのチーム作りを再任のアッレグリと共に狙うことになった今年のユベントス。しかし、リーグ戦では苦戦が続き、今季はここまで未勝利。2強と目されるチームの一角は苦しんでいる。アウトサイダーであるマルメにまずは公式戦初勝利を狙う一戦となる。
マルメのフォーメーションは5-3-2。5バックといっても高い位置からプレッシャーをかけることもしばしば。高い位置から追うタイミングと、自陣まで引くタイミングを使いわけながらユベントスの攻撃に対抗していく。
マルメの守備で特徴的だったのはユベントスの4-4-2に対抗するために左右のWBで守備の基準を変えていること。左WBのリークスはユベントスの右のSHのクアドラード、その一方で右WBのベルゲットはユベントスの左SBであるサンドロを守備の高さの基準として見ることが多かった。
ただ、これはマルメが左右非対称な対応をしているというよりも、ユベントスが左右で幅を取る役割を非対称のに対抗するためという理解が妥当だろう。ユベントスの左のSHであるラビオはIHが主戦場のMFタイプ。幅を取る役割はサンドロに一任する場面が多かった。
ユベントスのバックラインに対して、マルメはマンマーク気味の厳しいプレッシャーをかけ続けるというよりは、受け渡しながら2トップが縦関係に。片方がDFラインへのプレッシャーをかけつつ、もう片方は中盤に入る。中盤を厚めにしているのは、ユベントスの前線のモラタやディバラが比較的自由に中盤に降りてくる機会が多いからだろう。ラビオが内側に絞ってくる前提ならば、枚数的にあまり余裕はない。
マルメのプレッシャーが早い状況なので、ユベントスはインサイドを使おうとするとどうしてもプレーテンポを上げないといけない。ナポリ戦でもそうだったが、ユベントスはプレーテンポを上げた際のプレーの精度がなかなか伴ってこないのが現状での悩みどころ。マルメ相手にもなかなかテンポを掴むことができなかった。
そんな中でユベントスにとって起点として頼ることができたのは右のSHであるクアドラード。前を向いた際には当然ボールを運べるんだけど、相手に寄せられた時のワンタッチのポストの精度も高い。例えば、9分にディバラが迎えたシュートシーンもクアドラードのポストに降りてきたモラタが合わせることが起点となった形。
この場面では直前までクアドラードのそばにいたのはディバラだったのだけど、入れ替わる形で前からモラタが降りてきてボールを受けていた。クアドラードの周辺にポストの受け手を準備することで、ユベントスは前進することに成功。
クアドラード、よく見ていたチェルシー時代には結構もっさりしたイメージだったけども、だいぶスタイリッシュになった印象。状況に応じて適切な振る舞いができるようになってきた感じで選手として洗練されてきている。
クアドラードのような立ち位置を守りながら起点となる選手もいいけども、モラタのような動き回りながらボールを引き出す選手もいい感じ。前後左右に動きながらボールを受けて前線のボールの預けどころを作ることができる。正直、自分自身が点を取るところから逆算されている感はあまりないのだけど、チームとして点を取ることには貢献できている感の動き。ディバラとか結構やりやすそうに見えた。
■ライン間を狙い撃ち
とはいえマルメも攻め手がなかったわけではない。狙い目となったのはユベントスの最終ラインとMFラインの間。ユベントスはベンタンクールとロカテッリが比較的釣り出されやすい。マルメの中盤が手前に降りる動きに合わせて、ユベントスのCHはSHよりも高い位置に出ることもしばしば。
ホルダーを捕まえることは大事なので、ベンタンクールやロカテッリが前出ていくことは必ずしも間違いというわけではないのだけど、DFラインがその押し上げにあまりついていけない感じ。マルメは2トップが縦関係になり、ビルマンチェヴィッチが中盤に降りてユベントスのDF-MFラインの間に降りてくることで前を向くことができていたし、IHのラキップもこのスペースを狙っていた。
ユベントスは最終ラインにプレッシャーをかけることに積極的ではないので、この場所に落とすフィードを蹴る余裕もマルメには十分あった。ナポリ戦ではモラタがマノラスへのプレッシングから得点を挙げているものの、あまりプレスをかける頻度自体は多くない。
ユベントスのパスミスを引っ掛けてのカウンターなども放てていたし、マルメは保持でも前に起点を作ることができていた。あまり両チームの力の差を感じる序盤戦ではなかったし、どちらかといえばマルメペースの序盤戦といってよかっただろう。
■見事な横断で試合を動かす
しかし、先制点を奪ったのはユベントス。マルメはCB、WB、IHの連携で低い位置のサイドを塞ぐローラインでの守備をある程度機能させていたのだが、得点シーンではその守備を破られてしまう。
左サイドからラビオがボールを引き取り、モラタ→ベンタンクールとつないで逆サイドのクアドラードへ。そんな彼のクロスからフィニッシュはサンドロ。閉じ込められそうになったサイドから脱出を促したラビオ、逆サイドでワイドに張りながら仕事ができるクアドラード、そしてクアドラードへの横断を見越してフィニッシュにつながる予感を嗅ぎつけ、PA内に飛び込んだサンドロと見事な連携でユベントスが先制点をゲットする。
1点差ならばまだ試合の展開はまだわからないという状況だったが、ユベントスは前半終了までに試合を決めてしまう。キーになったのはモラタの動きだし。それを見逃さなかったダニーロから、一発で裏抜けのフィード。出し抜かれたニールセンがモラタを引き倒してPKを与えてしまう。
続いて前半終了間際に3点目を挙げるユベントス。これもモラタへのロングボールから。この場面では自身がフィニッシュに絡み、得点を挙げてみせたモラタ。ゴール以外の貢献度がそもそも高いFWが得点に絡んでしまえば最強である。
3点をとったことで後半はだいぶ伸び伸びすることができたユベントス。ボールを左右に振りつつ、プレッシャーの緩んだ中盤も使いながら支配的に時計の針を進めることができた。終盤に特に目立っていたのはモイゼ・キーン。ナポリ戦で決勝点につながるミスの挽回に燃えていたのだろうか、積極的な裏抜けで攻撃を活性化。終盤も好機を演出し、完勝ムードのユベントスをさらに勢いづける。
マルメは反撃の機会を掴めずに試合は終了。大外で動かないことでチャンスを作ったクアドラードと、動きながらボールを引き出したモラタの対照的な2人のタレントの活躍で前半終了間際にたたみかけることで勢いをつけたユベントスが、今季公式戦初勝利となる3得点での快勝を決めた。
試合結果
2021.9.14
UEFAチャンピオンズリーグ
Group H 第1節
マルメ 0-3 ユベントス
マルメ・ニュー・スタジアム
【得点者】
JUV:23′ サンドロ, 45′(PK) ディバラ, 45+1′ モラタ
主審:アルトゥール・ディアス