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「ただでは起きたくない」~2021.5.16 J1 第14節 川崎フロンターレ×北海道コンサドーレ札幌 BBC風オカルトプレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第14節
2021.5.16
川崎フロンターレ(1位/13勝3分0敗/勝ち点42/得点41 失点12)
×
北海道コンサドーレ札幌(12位/4勝3分5敗/勝ち点15/得点19 失点18)
@等々力陸上競技場

戦績

直近の対戦成績

図1

 直近10試合で川崎が7勝、札幌が1勝、引き分けが2つ。

川崎ホームでの試合

図2

 直近10試合で川崎が8勝、札幌が1勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

<Head-to-head>
・直近4試合でホームチームの勝利がないカード。
・川崎にとっては横浜FCに次いで勝率(75.9%)がいい相手。
・札幌が勝てば史上初めて川崎戦連勝。
・直近2年間の等々力での札幌戦において、川崎は勝てていない。

 札幌戦と言えばいわば川崎のお得意様。リーグ戦でも抜群の相性の良さだし、初めてのルヴァンカップ決勝においても川崎が1人少ない状況から逆転で優勝を手繰り寄せた時の相手も札幌だった。特にホームでは無類の強さを誇っていた。

 過去形だったのはここ2年はそれが通用していないから。昨年は絶好調の状態でぶつかって大破してしまい、リーグ戦唯一のホームでの黒星を喫してしまった。すっかりお得意様のイメージはなくなり、今やリベンジをすべき相手にすっかり変わっている。2年連続の敗戦は避けたいところだが。

スカッド情報

【川崎フロンターレ】

・山村和也は左大腿二頭筋肉離れで3か月の離脱。
・大島僚太も長期離脱中。

【北海道コンサドーレ札幌】

・ルーカス・フェルナンデス、キム・ミンテは前節ベンチ外。

予想スタメン

画像3

Match facts

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts>
・引き分け以上でリーグ戦22戦連続無敗のリーグ新記録。
・リーグ戦、2戦連続引き分けになれば2020年12月以来。
・今季の喫した3つの引き分けは全てリードした状況から。
・今季の15失点のうち、8失点は60分以降に喫したもの。
・小林悠は札幌戦で通算10得点。このカードでもっとも得点を取っている選手。
・鬼木監督就任以降、同一チーム相手にホームで2年連続の敗戦を喫したことはない。

 仙台戦での引き分けは内容も含めてファンに落胆を与えるものだったかもしれないが、リーグの新記録には王手。個人的には勝ちよりも引き分けが多い無敗記録は止まると一気に崩れがちという経験則があるんだけど、川崎はまだ勝ちが上回ってるのでいいのではないかなと。というわけで次勝てるかが大事になる。

 気にしたいのは今季のドローが全て追いつかれた展開によるものということ。終盤の失点が非常に多く、ゲームクローズはできていない。名古屋戦、逃げ切れてよかったよな。

 個人で見ると小林悠は札幌相手には好成績。このカード唯一の二けた得点者だ。ちなみに、鬼木監督は就任以降、同じ相手にはリーグ戦で等々力で連敗していない。去年敗れた札幌へのリベンジに燃えているはずだ。

【北海道コンサドーレ札幌】

<札幌のMatch facts>
・公式戦直近5試合無敗。
・直近2試合のリーグ戦での勝利はどちらも逆転勝ち。
・75分以降の失点が9。全体の35%。
・今季ここまでクリーンシートでの勝利はない。
・アンデルソン・ロペスは今季出場した12試合のうち、8試合で得点している。
・勝てばペドロビッチ史上初めての川崎戦連勝になる。

 ルヴァンカップも含めて公式戦は5戦無敗。直近の札幌は好調である。リーグでの直近2試合の勝利が逆転勝ちということもあり、終盤で勝ち点を落としがちな川崎との相性もいい。

 ただし、彼ら自身も終盤の失点はかさむタイプ。そして、川崎は終盤も得点力が落ちない試合も数多くある。等々力でのクリーンシートはなかなか考えにくいだけに打ち合いで負けたくないところだ。

 そんな中で頼りになるのはアンデルソン・ロペス。ダミアンの先を行く11ゴールで得点部門のリーグリーダー。8試合で得点を決めているコンスタントな活躍が持ち味。川崎が苦手なペドロビッチに史上初の川崎戦連勝をプレゼントする得点を決めることができるだろうか。

展望

■大枠変わらず、攻め手に微妙な変化あり

 札幌は大枠では去年からチームスタイルが変わっていない。彼らは敵陣でなるべくプレーをしたがるし、いかに敵陣でのプレーを増やすかというのがポイントになる。攻撃も守備もなるべく敵陣で済ましたい。それが札幌の流儀である。

 昨年の札幌と今年の札幌について何か違いがあるとすれば、前進の手段の部分である。札幌の前進の手段はざっくり分けて3つ。1つ目は中央からの前進。CHがDFラインに落ちるサリーも含めて、中央の選手を後方に集めシャドーに縦パスをつけて前進をする。

 これはここからの先の札幌の話についての多くに当てはまることなのだが、札幌は前線の選手の属人性が高く、人が入れ替わるとかなりカラーが変わる。運ぶという部分で言うと適性を持つシャドーの選手は小柏が一番か。あるいはよりMFタイプの駒井とおそらくまだフルスロットルではない荒野もボールを運ぶことができる役割を担える。

 気になるのはチャナティップ。運ぶ部分やその先のクオリティの部分ではおそらく彼が一番なのだが、筆者が見た試合で出た時のシャープさもいい時と比べると落ちているように思える。どうやらこの試合は出れるか微妙みたいだが、ちょっと気掛かり。自分が見た試合がたまたまイマイチだっただけか?

 チャナティップの存在感が薄まったことで、シャドーの人選は流動的。これといった柱がない分、中央から運ぶという選択肢の優先度は昨年と比べて低くなった印象。その分、より重要度が高まったのはサイドからのボール運び。特に右のWBを務める金子への依存度が非常に高い。

 したがって、外を循環して右の金子につけて、左足からGKに向かう方向に巻くようにクロスを上げるパターンを非常に重用している。ちなみに、左の福森からの右への対角パスは健在、右の幅を取る金子への長いレンジのボールで相手を左右に揺さぶる。攻撃はクロスが主体ということで中の人選も高さを重視しているように見える。例えばジェイとアンデルソン・ロペスの併用とか。

 もう1つの攻撃の手段はショートカウンター。前からのプレスもキャラクター次第ではあるけども、ジェイとアンデルソン・ロペスという重めのコンビでも徳島相手にプレスからのショートカウンターで点を取って見せた。ちなみにこの部分は去年川崎がガッツリやられたところである。

 ショートカウンターの流れでそのまま札幌の守備の話を。やはり今年も主体はマンマーク。なるべく高い位置でプレッシングを行う。敵陣深い位置では厳しく人を追うが、エリア内に撤退した際には人を余らせることもしばしば。ぱっと見、人数を余らせておいた方が安全に見えはするのだが、マークの相手があいまいになることも。後方の強度に不安があるので、完全なマンマークは難しいのだろうが、ちょっと気になる部分である。

■チームと個人の課題をどう跳ね返るか?

 まぁ正直、個人的にはここを越えたさでいっぱいである。昨年終盤から、今季の序盤における川崎のアップデートは多岐にわたるけど、大枠で言えばダミアン、家長、三笘の3人の強みを前面に押し出すスタンスである。

 彼らに早い段階でボールをつけて、そこから一気に加速しゴールを陥れるという流れだ。厳しい縦パスでも収められる彼ら3枚のスキルの高さを利用して、中盤を一気に超える方針を取ることができるのも、前線の個の能力の高さがあってこそ。中盤のデュエルをいざとなれば省略できる選択肢を持っているのは大きい。

 このやり方は保持側の前線の強度と非保持側のDFのマッチアップの優劣が如実に出る。ここは川崎の強みと札幌の弱みが重なる部分。いわば、中盤でのプレスを強めて勝利した昨年の札幌への対策ともいえる方向性であるといえよう。このアップデートの方針ならば、札幌相手にはぜひとも勝利を収めたい。

 ただし、個人的にはそれだけでは満足できない。どうせならば、中盤が強いプレッシャーでもわたりあってほしいというのが願いである。例えば前節のレビューで指摘した旗手のターン。マッチアップ相手をあれだけ振り回せるスキルがあるならば、札幌のような相手でも真っ向からぶつかれる可能性はある。

 期待したいのは脇坂泰斗。強いプレッシャーを受ける試合においては存在が消えがちなのが彼の弱みでもある。したがって、札幌は彼の苦手とするタイプの相手である。だが、今季の彼は初の代表招集を受けてスケールアップを遂げようとしている段階。圧力の強い札幌はぜひとも乗り越えておきたい壁である。

 守備において川崎が最も気を付けたいのは当然ショートカウンター。プレスを屈して、パスを引っかけて反撃を食らうパターンが一番怖い。今季そもそもそこであまり引っかけられた場面は見ないけど。

 もう1つ気にかけたいのは金子を主体とした対角へのキック。札幌は特にターゲットマンをファーに置いたクロスを使ってくる傾向が強い。SBに高さのない川崎はこのクロスに対してファーにCBが釣られるケースが多い。そのタイミングでCB間が空いてしまうことが川崎のクロス対応の弱み。

画像4

 ここを中盤、もしくはDFラインのスライドで解決できるかどうか。CB間のスペース、及びミドルを打たれるバイタルのケアとの両立ができるかどうかが守備のポイントになるだろう。G大阪相手でもこの形でCB間が空くケースがあった。よりクロスを積極的につかってくる札幌にはより警戒しておきたい形である。

 ここ数試合で出た課題だとか、昨年の札幌戦で出た課題とか、あるいは個人が抱えている課題とかあらゆる課題がどうなるか個人的には楽しみ。仙台戦のドローではややもやもやが残っているファンも多いだろうが、どう川崎がドローから起き上がってくるのかが見ものである。

【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

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