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「カギを握るのはジェジエウ?」~2019.6.30 J1 第17節 ジュビロ磐田×川崎フロンターレ プレビュー

全文無料で読めます。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第17節
ジュビロ磐田(17位/勝ち点14/3勝5分8敗/得点11 失点18)
×
川崎フロンターレ(3位/勝ち点28/7勝7分1敗/得点22 失点10)
@ヤマハスタジアム

戦績

近年の対戦成績

直近6年間の対戦で磐田の1勝、川崎が7勝、引き分けが1つ。

磐田ホームでの戦績

直近10回の対戦は磐田の3勝、川崎の5勝、引き分けが2つ。

Head-to-Head

Head-to-Head①
【公式戦での対戦成績】
・公式戦における両チームの対戦は過去31戦で磐田が12勝、川崎が15勝、ドローは4つ。
・直近10試合の対戦で川崎が敗れたのは一度だけ(W7D2)

 水色を基調とするチーム同士の対戦成績は比較的互角。以前は磐田が優勢だったが、近年は川崎が盛り返すということで両チームのその時代におけるリーグの中での立ち位置を反映した対戦成績になっている。

Head-to-Head②
【直近の対戦成績】
・昨季の対戦では川崎がシーズンダブルを達成。
・直近5試合の磐田ホームでのリーグ戦で川崎は無敗(W3D2)

 昨年の対戦成績もシーズンダブルで川崎に軍配。特に磐田のホームでは強さを見せる川崎。逆に川崎のホームでは2-5の大敗というなかなかのトラウマ敗戦がある。僕は2-5のあの日、平安神宮で川崎の勝利を祈願してから等々力に向かったので、平安神宮を恨んでいます。

Head-to-Head③
【シーズン初戦】
・磐田は16年にJ1昇格以降、シーズン初戦の川崎戦で得点したことがない。

 昇格してから4シーズン目になった磐田。昇格以降の初戦は無得点という川崎戦におけるジンクスが継続中。ただリターンマッチとなる2戦目は毎回得点をしている。さて、今年も?

Head-to-Head④
【過去から考える磐田の勝ち筋】
・直近6試合の磐田の川崎戦での勝利はすべて先制点を挙げたもの。
・磐田が挙げた川崎戦の12勝のうち6勝は3得点以上を記録。

 磐田に不利なデータばかりになってしまったが、では磐田が勝つパターンはどういう状況か。上のデータを見る限り、先制点を取って攻めだるまの打ち合いにして、大量得点で勝つ!というのが理想。文字にしてみると、そんなのどこのチームも当たり前だろって感じしかしない。単騎プレスがある程度ハマらないと話にならないので、川崎の最終ラインに狙いどころを見つけたいところ。ジェジエウや逆サイドに配置されることが多い車屋を狙い撃ちできるだろうか。

【ジュビロ磐田】

選手情報

・小川航基、川又堅碁、中村俊輔は負傷欠場予定。

Match Facts

磐田のMatch Facts①
【直近の成績】
・昨年同時期と全く同じ失点数。
・公式戦直近6試合は勝ちなし。

 2016年10月以来の6試合連続勝ちなしを記録しており、チームは降格圏。なかなか明るいムードにならない磐田。昨年の同時期と比べて勝ち点は大きく水をあけられている。問題は昨季と変わらない失点数ではなく、同時期比で昨年の18から11に減った得点である。アダイウトンとロドリゲス以外には複数得点者は不在。得点力不足のチームに序盤から攻めだるまにして大量得点で勝て!っていうのはあまりに無責任な気がしてきた。

磐田のMatch Facts②
【ホームゲーム】
・ホームでの勝ち点7は浦和と並んでリーグ最下位。
・今季のホームでの勝ち点7はすべて日本人指揮官相手のもの

 浦和と同じくホームは非常に苦手。ホームが苦手ならまだしも、川崎はアウェイでの勝ち点が最も多いクラブ(16)。それでもあえて磐田にとって有利なデータを出すなら、今季磐田がホームで勝ち点を挙げたクラブはすべて日本人指揮官が率いるチームが相手(W1D4L1)。ホームで日本人の監督に敗れたのは片野坂監督の大分のみのわずか1チームだけなのだ。

磐田のMatch Facts③
【今季の磐田】
・今季は先制した試合で負けたことはなく、先制された試合で勝ったことがない。
・今季の日曜日の試合は5戦全敗
・トップハーフとの試合は今季未勝利(D2L6)

 逆転負けも逆転勝ちもないのは川崎も同じ。しかし、追いついたり追いつかれたりが多い川崎と比べて、磐田の方がより勝ったまま負けたまま終わることが多い。先制した時は6勝1分、先制された時は2分12敗。いうまでもなく先制点は大きなターニングポイントになる。それ以外のデータは磐田には不利な方向を指している。覆せるか。

磐田のMatch Facts④
【大久保嘉人】
・大久保嘉人は一度目の川崎退団以降に先発出場した川崎戦2試合でいずれもゴールを決めている。

 古巣への恩を返したがる律儀な男である。しかし、大久保が最後に先発したのは4/28の札幌戦。およそ2か月ほどブランクがあることになる。前節はベンチ外だった大久保。このジンクスはあくまで先発起用された時に限られるが、古巣相手に先発復帰はあるだろうか。

【川崎フロンターレ】

選手情報

・奈良竜樹は長期離脱中
・守田英正は道路交通法違反により、クラブより1試合出場停止処分を受けた。

Match Facts

川崎のMatch Facts①
【調子よさそうに見える最近の記録】
・公式戦12試合連続無敗。リーグ戦も11試合連続無敗継続中。
・リーグ戦で複数失点を喫したのは直近17試合で1試合だけ。

 無敗の記録は続いている。2017年末の15戦無敗以来のストロークで「負けない」という状況は喜ばしい。引き分けが多いのは事実だけど。それを下支えするのは複数失点の少なさ。今季のリーグ戦で複数失点したのは横浜Fマリノス相手の1試合だけ。1試合消化は少ないが、FC東京と並びリーグ最少失点数である。

川崎のMatch Facts②
【調子悪そうに見える最近の記録】
・リーグ戦4試合連続複数得点なしは昨年4月以来。
・7引き分けはリーグ最多。

 しかし、手放しで喜べないのは引き分けが多いからだろう。それも追いつかれる形での引き分けが多い。スコアレスドローを除けば、今季の名古屋戦以前に、リーグ戦で追いついた引き分けで勝ち点を取ったのは17年10月の柏戦が最後。リーグで7引き分けは最多。公式戦全体で9引き分けで、そのうち追いつかれたものが7つに及ぶ。川崎はゲームクローズに苦しんでいる。シビアなクローズを強いられるのは得点力に例年ほどの突き抜けがないからだ。

川崎のMatch Facts③
【この試合の状況にまつわるデータ】
・日曜日開催のリーグでのアウェイゲームは直近15試合負けなし。
・その時点で降格圏にいる相手とのリーグ戦は直近12連勝中。

 それでもこの試合に関するデータはポジティブ。2か月ほど勝利から遠ざかっているホームとは異なり、アウェイのリーグ戦では5連勝中。特に日曜開催だとその強みは増強される。降格圏にいる相手との対戦も得意で、取りこぼしで勝ち点を与えるあしながおじさん的な役割とは縁遠い。

川崎のMatch Facts④
【停滞の要因を探る】
・MFのリーグ戦の得点はここまで6ゴール。

 なぜ引き分けが多いのかを考えると、得点力が例年ほど高くないことが挙げられる。特に伸び悩みがあるのはMFの得点数。昨季は26ゴールが記録されたリーグ戦でのMF陣の得点だが、まもなく半分を折り返す今季はここまでわずか6ゴール。複数得点は阿部のみ。その代わりに得点が増えているのはFW陣。昨季と比べてすでに3分の2のゴールを記録している。

 得点関与においては不調のMF陣の中で特に元気のなさを感じるのは家長、阿部、中村のベテラントリオ。昨季は計17ゴールを記録した3人だが、ここまではわずかに3ゴール。特に家長は今季リーグではいまだにノーゴール。あんまりこの項の主題とは関係ないけどPKは家長が蹴っていいと思うぞ。

 あえて言うならばどこからでも点を取れる川崎ではなくなってしまったこと。出口はFWとわかり切っていること。それが今の川崎の弱みである。

川崎のMatch Facts⑤
【じゃあどうやって点とる?】
・磐田戦での直近3得点はすべて異なるCBが決めている。

 ポジション別の得点について述べたところで、最後はこんなデータ。磐田戦の川崎の得点にフォーカスしてみると、直近3つの川崎の得点者は谷口、エドゥアルド、奈良とすべて異なるCB登録の選手。昨季の等々力での大井のオウンゴールも含めると、実に4ゴール連続でCBが川崎の得点に関与していることになる。順番でいえば点を取るのはジェジエウだけど・・・?

予想スタメン

展望

整理されていない個人能力の高さ

 磐田にとっては難しい試合になるだろう。直近の試合は5-3-2をベースに戦っている。この試合で多くなるであろうボール非保持の場面では、単発でのプレスが多く、後ろが連動しないため、寄せが外されると一気に相手に前進を許すことになる。個人個人のボール保持時のスキルが高い川崎相手には致命的な弱点といえるだろう。

 特に整理されていないと感じるのはインサイドハーフが前に出ていった時のカバーリング。カメラに映らないことも多いので、なんとも言いきれない部分はあるものの、後方からの押し上げもCHのスライドもイマイチ機能していなく後方に穴をあける単騎プレスが目立つ。インサイドハーフがFWを追い越して単騎プレスをかけていた神戸戦からは、前線をアダイウトン→中山に変更したことで、献身性は出てきたものの、依然として仕組みが整備をされていないように感じてしまう。

 ボール保持時はWBとFW、CHを中心にポジションチェンジを入れ替えながらゴールに向かってパス交換をする。ただ、これが効果的かというと微妙なところ。ボール保持においては相手の守備の基準を乱すのに有用かもしれないが、入れ替わったポジションにおいて選手が機能的に動くかはなんともいえない。ロドリゲスやアダイウトンはゴール前に配置して最後の1人2人をなんとかしてもらった方がいい気がするし、WBは普通に幅を取ったほうが相手の陣形を横に広げるのに役に立つ気はする。

 攻撃において効果的なのはインサイドハーフが高い位置で前を向いた時。山田や田口が相手のMF-DF間で前を向いて受けられれば、チャンスは広がる。特に終盤、どうしても得点が欲しい場面で全体の重心を押し上げるとそういった場面も増えてゴールに迫れていた。

 逆に言えばそういった場面を配置で意図的に作り出すのはあまり得意ではない。非保持のプレッシングにおいてもそうだが、タレント性に関しては申し分ない集団が戦いやすいようなサポートを監督やコーチ陣が与えられているかは、正直微妙な印象を受けた。

手段の乏しさを封じられたら・・・

 では川崎が盤石かといわれると決してそういうわけではないということは繰り返しここまで述べてきた。Match Factsの項でも触れたが、得点がFWに偏っているのは大いに気になるデータ。そのデータに昨季ともに1アシストずつだった長谷川と登里からすでに6つのアシストが生まれているというデータをかけ合わせれば、好調の左サイドコンビからのクロスをFWに合わせる形が中心としてゴールが生まれていることが想像がつくだろう。

 直近の4-4-2採用はその傾向に拍車をかけている。それで結果が出ていれば泣く子も黙るのだが、別にそういうわけではないのでぐぬぬ・・・といった形。前節PK失敗はあったもののダミアンは好調を維持してはいるものの、小林は波の大きさを感じるし、序盤戦に猛威を振るった知念はやや停滞気味。出場時間が伸びない脇坂に期待をかけているファンは多く、中村憲剛も全体練習に合流したところで2トップ継続に関しては潮目が変わる可能性はある。

 1トップ採用で懸念されるのはクロスに対する密度低下。主に崩しのキーになっている左サイドからのクロスに対して、現状の右サイドのプレイヤー(家長と車屋)はエリア内に入っていく意識が高いとは言えない。小林や馬渡、マギーニョをサイド起用することで流動性を駆使して得点力を維持することが求められるのではないだろうか。あんまりやらなさそうだから、予想スタメンは割と変更少なめにしたけど。前線への飛び出しで存在感を見せるトゥーロン帰りの田中碧にも得点力向上の期待がかかるところだ。

ジェジエウがキー?

 川崎の今の状況を踏まえて磐田の勝ち筋として考えられるのは、川崎を片側に追い込んでからボールを奪取すること。WBが迎え撃ち、インサイドハーフが絞り、中山が頑張って戻る。好調の相手の左サイドから逆サイドへの展開を許さず、スライドしてつぶすのだ。幸い磐田が直近で採用している3センターも5バックもボールサイドにスライドして、片側で閉じ込めて封鎖する作戦は比較的取り掛かりやすい。

 プレッシングに関しては、おそらく短期間で大幅な改善は難しいだろう。そのため、プレスをかけるなら狙う人を絞って仕掛ける必要がある。闇雲なプレッシングは自殺行為。川崎のバックスの中でプレッシングで誰かを狙い撃ちにするならば、相対的に一番ボール扱いに怪しさのあるジェジエウだろうか。ここへのプレッシングが成功し、全体的に高い重心でプレーできる時間が増えればチャンスは広がる。

 川崎目線で勝ち筋を考えると、ボールを保持しつつプレッシングを回避できていれば、おのずと相手の陣形は空く部分が出てくると考えられる。慌てなければチャンスを作ることに関しての期待は大きい。ボール保持において同サイド崩しに固執しなければ問題ないのではないか。あ心配なのは磐田の前線がタレント集団であること。特に厄介なのはロドリゲス。独力でゴールを陥れる形を持っているストライカー。かなりなんとかしてくれ感のある起用法ではあるが、無理なプレーの中でもエゴイスティックすぎる傾向に走りすぎないのは好感が持てる。川崎でカウンター阻止に強みを見せるのはまたしてもジェジエウ!セットプレーでの得点、プレッシングでの狙い目、そしてカウンター阻止。ジンクス的にも展開を予想するうえでも、この試合でのジェジエウのパフォーマンスは試合を大きく左右するキーになりえるのではないだろうか。

参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
SANSPO.COM(https://www.sanspo.com/)

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