
止まらない王者の勢い
パリ×アトレティコというカードを捌くのはイシュトバン・コヴァーチ。どう見てもUCLをアメリカ開催しただけというの座組の一戦だ。
序盤は相手にボールを持たせるプランでスタートしたアトレティコ。4-4-2と5-4-1のハーフアンドハーフのようなポジションで特に相手のサイドで後手を踏まないことを意識した立ち上がりとなった。右サイドの座組はシメオネが少し後ろ目で、ジョレンテが前目という配置だったのは少し意外だった。
パリはゆったりとしたボール保持からスタート。ファビアンの列落ちに合わせての左サイドの旋回やアンカーのポジションから動き回るヴィチーニャといったバランスはすでにCL決勝で多くの人が目にした形である。
アトレティコはジリジリと選択肢を削りながらプレスを強めていくが、ハイプレスに出ていくとファビアンやハキミといった面々が背後を取るので迂闊に列を上げられない。そういった事情もあり、アトレティコは前からプレスに出ていききれないことも多かった。
ならば保持からリカバリーを図りたいアトレティコ。ロングボールでのお手軽陣地回復は難しそうではあったが、スペインのチームらしい低い位置からのパスワークでプレスを回避しにいくトライも。中盤ではスペースを享受したバリオスのドリブルなど工夫はあったが、2人のプレスに出ていくタイミングも判断も抜群。パリ相手に前進をなかなか決めることができず。
順当に押し込んでいくパリはそのまま先制点をゲット。ドゥエのインサイドへのカットインでスペースをもらったファビアンがミドルを叩き込んでスコアを動かす。
前半終了間際の決定機の応酬は試合の明暗を明確に分けたといっていいだろう。ドリブルと即時奪回で生み出したアトレティコのチャンスはGKの正面に。このキャッチを許すシュートからのカウンターでパリは追加点をゲット。リードを広げて後半に向かう。
後半、アトレティコは選手交代と配置変更でより明確な4-4-2ベースの守備に移行。高い位置からのプレスで敵陣からガンガンプレス。パリもプレスの手を緩めることがなかったのはパチョのドリブルやコケのサリーなどそれぞれが自軍からプレス回避の手立てを準備するスタートに。
その分、展開は疑似カウンター寄りのファストブレイクが頻発。オープンな状況ではあるが、ところどころにパウサがあるのがこの2チームらしい。
中盤でのボール奪取からアトレティコはネットを揺らすが、直前のファウルによってこのゴールは取り消し。アルバレスの得点は認められなかった。
70分過ぎのラングレの退場で事実上試合は決着。終盤に2得点を追加したパリがCL王者の勢いをそのままに初戦を制した。
ひとこと
アトレティコは明らかにペースを落とそうとしていたので、コンディションがとてもしんどそう。パリは保持ベースで戦えるという強みはこの環境と時期的なところでは生きてくるし、その中でも要所を押さえたオフザボールのキレは見事だった。
試合結果
2025.6.15
FIFA Club World Cup
グループB 第1節
パリ・サンジェルマン 4-0 アトレティコ・マドリー
ローズボウルスタジアム
【得点者】
PSG:19′ ドゥエ, 45+1′ ヴィチーニャ, 87′ マユル, 90+7′(PK) ガンイン
主審:イシュトヴァン・コヴァーチ