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「やらない後悔より、やって大成功」~2026.4.29 J1百年構想リーグ 第13節 浦和レッズ×川崎フロンターレ レビュー

プレビュー記事

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レビュー

3-2-5に後手に回った要因

 監督の前日交代!という大河ドラマばりの奇襲を行ってきた浦和。チョロチョロ出てくるコメントを聞く限りはなかなかの大河ドラマ感ではあるが、それはそれとしてGWはとにかく試合がやってくる。田中達也監督にとっての初陣となるのがこの川崎戦だ。

 序盤はそれなりに長いボールを蹴り合うスタート。互いに強く当たりながら、どれくらいやれるのかを試し合う立ち上がりに。そうした中でロマニッチがそれなりに収まりそうだなという手応えを得た川崎。左サイドに流れ、マルシーニョや三浦とのコンビネーションから敵陣への侵入を試みる。

 速い展開ではパスの精度も悪く、前の収まりどころにもそもそもボールが届かなさそうな雰囲気の浦和は3-2-5でのポゼッションに移行。長沼を最終ラインから解放し、他のDFライン3人を最終ラインに置く形で3バックを構築する。

 川崎が4-4-2であれば噛み合わせにはズレが発生する。議論の出発点として、3バックに誰がプレッシャーに行くのか?という話が上がってくる。どちらが出ていくことも許容している様子だったが、どちらかといえば出ていく頻度はマルシーニョの方が多かった。左サイドに関しては出て行った時の山本と三浦の対応はそれなりに整理されていることが多く、前半は特に問題にはならなかったように思う。一度、山本が決め打ちでマイナスパスカットを狙って逆を取られた場面があったが、それくらいかなという感じ。

 逆に言うと、右サイドは条件を整えて前に出ていくことができるケースが少なかった。今季の守備の原則に照らし合わせれば、川崎のSHは内側のスペースを消すことを優先し、人がいる場合はマークを受け渡してから3バックのワイドの選手にアプローチする。右サイドはこの受け渡しのスピードが相対的に遅いように見える。

 プレスがうまくいかないケースは、受け渡しに手間取った結果、前に出て捕まえるスピードが遅いからだと推察する。3バックに対して今季の川崎のプレスがうまくいかない理由は、個人的にはここに集約される気がしている。ちなみに伊藤が紺野になった場合でも同じような状況は千葉戦で観測されており、この現象は人の入れ替えで対応できる公算が低い可能性がある。

 今日に関して言えば、根本に圧力をかけて出ていくことができないケースはそこまで問題なかったように思える。その場合、長沼とサヴィオを山原と伊藤で管理し、フリーになった根本が同サイドの背後を狙っていたが、その裏へのボールはウレモヴィッチが余裕を持ってカバーすることができた。

 一番問題になるのは、大外に流れるサヴィオに対して遅れて出ていき、外されるケース。よくあったのは、スタート位置をインサイドに絞る伊藤が大外の低い位置に流れるサヴィオに対して出ていくも遅れてしまい、結局後方の山原が出て行った結果ズレが発生するという形。そのズレの修正に伊藤は特に参加できないため、結果的にどこかがおかしくなってしまう。

 主に橘田がフォローできないところを突くというのが、浦和の攻撃の終着点になりがちだった前半。橘田のタスクはポケットに突撃してくる選手、主に長沼への対応と、対面の安居への対応の2つだったように思うが、橘田が対応できない方を伊藤がカバーできないので苦しむというイメージである。

 例えば39分の長沼がフリーで左のハーフスペースに抜けた場面において、橘田は渡邊、つまり対面するCHをケアしている。そのため、ポケットに突撃する長沼はフリー。伊藤はウレモヴィッチにマークを受け渡したつもりのようだが、川崎のCBはよほど間に合う確信がなければ持ち場から動かない原則になっている様子なので、動かないままフリーでボールを上げられている。

 逆に42分のシーン。サヴィオに山原と伊藤の2人がセットで釣られてしまった場面では、橘田がハーフスペースをやや外に流れる中島をケアしにいく。その結果、1つ前の列に移動した安居、つまり対面するCHにパスを出される。

 なお、この場面ではその後ボールを運んだ安居に対して橘田がチェックにいくが、その結果、元々橘田がケアしていた中島のマークが浮いており、ここから決定的なクロスを上げられている。2つのタスクを橘田が並行してこなせないことがよくわかる場面でもある。

 前半の川崎のピンチは、サヴィオに山原が出ていかなければいけない場面において、橘田がカバーできない方のエリアを活用されてのものが多かった。ここをカバーできなかったことが問題である。

 逆に言えば、浦和の攻撃はこうしたものを誘発するようなものである必要がある。サイドを変える時はCHが橘田の注意を惹きつけるようなボールへの関わり方をする。それができれば逆サイドに展開できた時に、長沼のハーフスペースアタックに対してケアできる人がいない可能性が高い。

 序盤の浦和のポゼッションには、そうしたズレを含むような要素はあまり見えなかった。だが、時間の経過とともに徐々に感覚を掴み、逆サイドまで持っていく形を作ることができるようになった。ギャップを作る役に一番うまいサヴィオを持ってくるのも、とても効いているなと感じた。

 川崎のズレができやすいのがこちらのサイドというのも、時間とともに読み取ったように見える。フリーロールとなる中島が逆サイドから顔を出すケースも増えてきた。左サイドからのクロスがこの前半の浦和のキーポイントとなる。

遅すぎるリアクション

 川崎は後半の立ち上がりから伊藤が根本にチェックし、サヴィオに対して橘田が出ていく形でプレスを整理する。前半はフラットな関係性だった脇坂とロマニッチは縦関係となり、後ろに立つ脇坂は橘田が出て行った中盤をカバーしやすくなっていた。

 つまり、橘田がサヴィオを捕まえに出ていく役割を担い、山原はウレモヴィッチとともに後方をカバー。脇坂が中盤に降りて遊軍的にサポートをするというイメージである。

 しかしながら、浦和の狙いは前半の終盤から明らかにこちらサイドに定められていた。フリーロールの中島が左サイドにうろついていることで、橘田は持ち場を離れる選択をカジュアルにしにくくなる。外のサヴィオが再び宙に浮くケースが出てくるようになった。

 よって、浦和は引き続きポゼッションを続行。押し込み続ける流れからセットプレーで先制点を奪うことに成功する。

 川崎はここから少しずつボールを繋ぎながら前進。佐々木が入ってからはフィードも積極的に活用し、対角の伊藤を狙ったパスから、間延びした浦和の中盤のスペースに突撃していく。

 個人的に疑問なのは、失点するまでこういう繋ぎのアクションを増やせなかったのか?というところ。佐々木の登場によってガラッと変わったというよりは、失点したことで割り切って保持を始めたように見えるのだけども、別に前半から相手のプレスはこれくらい外しながら間延びを誘発できる強度だったし、蹴っているロマニッチにも明らかに千葉戦ほど収まる気配はなかった。

 もちろん、相手に押し下げられて奪う状況が悪く、つなげなかったなどの事情があればわかるのだけども、GKからのリスタートなどそうではない場面もある。受ける局面での脆さは、正直受け渡しのスピーディーさにも依存するところだとは思うが、延々と攻撃を受けるターンを繰り返すところは、もう少し自分たちがボールを持つターンで回避できたように思う。これは前半から。カウンター局面の雑さもそうだし、ロングボールをとりあえず蹴ってしまうところもそう。浦和の様子を見れば、逆に相手がボールの取りどころが見つからない!となる時間帯が出てきてもおかしくなかった。

 主に右サイドから相手の間延びを活用することに成功した川崎。しかし、伊藤の突撃は相手のファインセーブに阻まれ、エリソンはシュートの機会を逃してしまう。

 逆に浦和は71分に追加点を確保する。小森は少しややこしいところに持ち込んでしまったかのように思えたが、見事にゴールを決め切った。

 小森にボールが入ってからの松長根は距離を詰められなかったが、それは仕方がないところだろう。不意に小森に寄ったら、おそらく背中を肥田野に取られていたはず。緩いパスを通せば2人のCBの背後を取ることはできるはずだ。

 どちらかといえば、これは小森に入る前に解決したかったところ。スローインでエリソンに入れた時点でCBはラインを上げないといけないように思う。エリソンまで入ればボールはCBまで戻ってこないだろうし、戻ってきたらバックステップを踏めばいい。CHが簡単に背中を通されたのは痛いけど、少しライン間は空きすぎ。ミスのダメージがあまりにも増幅している。ボールを奪えるかは別として、小森にボールが入る段階でもっと松長根が距離を詰められるようでなければいけなかったように思う。

 この2点目で試合を決めた浦和。8試合ぶりの勝利を手にし、田中達也政権での初勝利を飾った。

あとがき

 というわけで負けです。たまにあとがきから書いた方が邪念が出ていくなという試合があると思っていて、今回はそれに当たる。全体的には「相手に持たれた状況に対するアンサーがイマイチだよね」という問題と、「相手に持たれた状況が続いているよね」という問題があったなという印象。

 この2つの問題は互いに干渉しまくっている場合もあれば、そうでもない場合もある。この試合では割とそうでもない方に分類されるのかなという印象を持っている。理由は浦和のハイプレスに苦しんだわけではないから。苦しい体勢でボールをカットしました!からの繋げませんが延々と続くなら干渉しまくっているなと思うのだけども、そういう場面ばかりではないというのは本文中に述べた通りだ。

 そういう場面で延々とロマニッチに蹴ることを続けるのはどうだったか。セカンド回収の設計もそうだけども、浦和のプレスを見ればそこまで蹴ることにこだわらなければいけない理由もわからないなという感じ。記事のタイトルは©️令和ロマンだから「そりゃそうだろ」と松井ケムリにツッコまれて終わるのだけども、やってくれないと何ができるのか、できないのかがわからないなというのは本音としてある。ロマニッチへの延々ロングボールと、伊藤周辺の守備の混乱への手打ちの遅さ。この2つに関しては、何ができないかを整理する機会すら放棄してしまった感じがして、とてももったいないように思えた。

試合結果

2026.4.29
J1百年構想リーグ
第13節
浦和レッズ 2-0 川崎フロンターレ
埼玉スタジアム2002
【得点者】
浦和:54′ マテウス・サヴィオ, 71′ 小森飛絢
主審:御厨貴文

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