第1節 南アフリカ戦

3人退場の乱戦をらしく制したメキシコ
2026年のワールドカップはメキシコシティからスタート。3カ国共同開催の先陣を担うのはメキシコ。2010年のホスト国である南アフリカとの一戦に挑む。
序盤からボールを持つのはメキシコ。SBが微妙に高さを調整しつつ、CBのバスケスとアンカーのリラを軸にボールを動かしていく。
南アフリカはメキシコのバックラインにはボールを持たせてOKという状態。インサイドにパスを差し込まれることだけを避けることを優先する形となった。
メキシコは南アフリカが組んだ5-3-2の泣きどころである2トップ脇を起点にポゼッション。ここからサイドの奥を取ると、セットプレーも含めてアバウトにボックス内に入れることで南アフリカのDFラインをバタバタとさせる。
それであれば保持から巻き返したい南アフリカ。後方ではゆったりとしたGKを絡めたポゼッションをしつつ、GKのウィリアムスが鋭いパスを差し込んでいくことで前進を狙う。
立ち上がりは悪くないタッチだったが、続いてのパスから失点してしまった南アフリカ。マークを背負って、降りてきた選手にパスを差し込むのはなかなかシビア。少しのパスのズレが致命傷になることを痛感するシーン。ショートパスからチャンスを掴んだメキシコはキニョーネスが先制ゴールをゲット。オープニングゴールはキニョーネスが仕留めた一撃となった。
リカバリーをしたい南アフリカ。ジリっとハイプレスでラインを上げていきたいが、全体のラインが上がった一方でホルダーへのプレッシャーは限定的。ヒメネスへのロングボールや中盤でのターンからメキシコがプレスをいなしていく。安全地帯であるSBも健在で、メキシコはサイドに散らすだけで一息を入れることができた。
保持においてもショートパスでのリスクを鑑みてロングボールにシフトした南アフリカ。前進のきっかけを掴むことができず、メキシコに中央とサイドに自在に起点を作られる。
飲水タイム後は互いにゆったりとしたポゼッションを繰り返す流れに。南アフリカにも再び手数をかけた組み立てが許される展開ではあったが、インサイドでのパス交換からフリーの選手を作ることができるメキシコの優位は動かず。解説席が褒め称え続けていたリラが中盤の深い位置でボールを触りながら、ペースをコントロール。攻める場所を決める配球を見せるリラを軸にサイドからの穴を開けていく作業から決定機を作っていく。ウィリアムズは前半から踏ん張りどころの連続となった。
後半、リードで迎えたメキシコはプレスから展開を掌握。南アフリカのポゼッションに対して、ギアを上げて敵陣から圧力。ウィリアムスは最初の失点のようなパスをつけてしまい、あわや追加点という場面を迎えてしまう。
それでも引っ掛けながらメキシコのハイラインの背後を狙う形となった南アフリカ。背後まで辿り着けなくもなさそうな手応えではあったが、先に非保持でエラーを引き起こすことに。ヒメネスが降りることで作ったスペースに後方から抜け出したグティエレスが対応が遅れたアンカーのシトレに後ろから倒されてしまう。このワンプレーで南アフリカは10人でのプレーを余儀なくされることに。
数的不利となった南アフリカは5-3-1を組んでひとまず事態を落ち着かせる。メキシコは一気にハイプレスで潰す!という感じではなかったため、一方的にメキシコが支配するという流れにはならず。南アフリカも綱渡りではあるが、高い位置でのラインをキープしつつ相手を捕まえるためのスライドに奮闘していた印象だった。
しかし、それが壊れてしまったのがリラからのFKのリスタート。ライン間に入ったキニョネスを捕まえるのが遅れたところから、南アフリカの守備は後手後手に。最後のヒメネスのゴールシーンまでメキシコの攻撃を全く阻害することができなかった。
終盤は5-3-1から4-3-2にシフトする手で攻撃に人数を割く判断をした南アフリカ。だが、交代で入ったズワネが不要なコンタクトで退場してしまい、今度は9人に追い込まれてしまう。
さすがにこの退場で試合は決着。メキシコが試合をコントロールして南アフリカを押し込んでいく。唯一の想定外となったのはモンテスの退場だろう。位置を考えるとややメキシコにハードな判定ではあったが、次節に傷を残すこととなった。
とはいえ、開幕戦はメキシコの完勝。南アフリカを終始飲み込んでホームの観客に今大会の初勝利をプレゼントした。
ひとこと
メキシコはいつだってメキシコという試合運び。南アフリカはそんないつだってメキシコの象徴のビルドアップにどういう制限をかけていくかが整理しきれておらず、11人の時点でかなりハードモードであった。
試合結果
2026.6.11
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループA 第1節
メキシコ 2-0 南アフリカ
メキシコシティ・スタジアム
【得点者】
MEX:9′ キニョネス, 67′ ラウール・ヒメネス
主審:ウィルトン・サンパイオ
第2節 韓国戦

一瞬のギアアップで首位通過を手中に
チェコと南アフリカの試合はドロー決着。追ってくるものがいなくなった両チームにとってはまたとない突破のチャンス。直接対決が重要視されるレギュレーションにおいては勝った方が首位通過が決まる重要な一戦となる。
序盤からポゼッションでのずらし合いに守備側が対応していく形。韓国の3-2-5でのポゼッションにおいてはメキシコはハイプレスというよりも噛み合わせることで迎撃。右のSHのアルバラドがWBのジソンをケアするポジションを取っていたのが象徴的な出来事ということができるだろう。
3バックにはその分プレッシャーがなかった韓国。ジソンが大外にいる左サイドから変化をつけていく。ジェソンやスンホなどSBの位置に立つことで相手の守備の基準を乱しにいくアプローチを見せる。仕上げとなるのは抜け出すアクション。ソン・フンミンやジソンなどの裏抜けから一気に攻撃を完結させる狙いを見せていく。
一方のメキシコの保持はファジーさが売り。特に右のSBの位置を浮かせることで韓国に混乱をもたらす。サンチェスとアルバラドは縦関係を入れ替えながらこのエリアを使ったり、あるいは使わなかったりすることで相手を混乱させていく。
韓国のダイレクトなアタックと異なり、メキシコは細かいギャップを狙っていく形がメイン。韓国は少しずつ前にプレスに出ていくことができなくなり、自陣に5-4-1のブロックを組んでいく。これにより、メキシコの保持局面は非常に静的なものとなった。
韓国の3バックにはプレッシャーがかかる状態もあったが、ハイドレーションブレイクが明けるとそうした動きも沈静化。試合は互いがボールを持ったまま沈黙することで前半の残りの時間を過ごす。
後半も試合は動きが少ない展開。メキシコの3バックと4バックの切り替えに手を焼く韓国は慎重な動きが継続。メキシコの非保持もまた同じような形となった。
流れを変えたのは韓国のプレスを誘引したガジャルドの左サイドの突破だろう。このワンプレーで主導権を瞬間的に握ったメキシコ。攻め込む機会を作ると、韓国のミスをついて先制点をゲット。スンギュがキャッチ後にギヒョクと接触した影響でボールをファンブル。このチャンスを逃さなかったロモが先制点を叩き込む。
韓国は巻き返そうとハイプレスに出ていくが、メキシコはこの点では明らかに手練れ。韓国の前がかりな状況をひっくり返して逆にゴールに迫る。
時間を殺したメキシコを韓国はクロスからギュソンが罰するチャンスがあったが、これはランゲルのセーブで阻止。決定機を掴むことができない。
終盤はボールを持って押し込んだ韓国だったが、メキシコのゴールをこじ開けることができないまま試合終了。逃げ切ったメキシコがグループAの首位通過を決めた。
ひとこと
ガジャルドのギアアップからの先制点の流れは明らかに試合巧者。メキシコの強かさが際立った試合だった。
試合結果
2026.6.18
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループA 第2節
メキシコ 1-0 韓国
グアダラハラ・スタジアム
【得点者】
MEX:50′ ロモ
主審:グスタボ・テヘラ
第3節 チェコ戦

オチョアと共に全勝でGSを締めくくる
すでに首位通過を決めているメキシコ。最終節はメンバーを入れ替えながら死に物狂いで向かってくるチェコを迎撃する最終節となる。
機動力に優れているとは言えない今大会のチェコだが、それでも勝ちに行くのであればハイプレスにいくしかない。だが、メキシコは落ち着いたポゼッションからプレスを回避。チェコのプレスの矢印をバッチリと折っていく。メンバーが多少入れ替わってもメキシコはメキシコというクオリティは見せつける立ち上がりとなった。
徐々にプレスが撤退気味になっていくチェコ。相手との間合いを作ることができるようになったメキシコはドリブルから相手を剥がすシーンも作っていく。
一方のチェコの保持に対しても厳しくメキシコはプレスにいく格好。サイドに閉じ込めるようなアクションからチェコに圧力をかけていく。速く寄せられた時のプレーの質はどうしても下がってしまうというチェコ。かといってロングボールでの陣地回復も難しい。セカンドボールの回収には味方が向かっているのだけども、シンプルにフロジェクがあまり勝てていなかった感じがする。
左サイドでグラウンダーの楔でビシンスキと繋がることができた場面などはフロジェクのポストは活用できたりも。だが、こうしたプレーはあくまで単発。ミクロな局面で相手の矢印を折りつつ、味方がフリーランでフォローするというメカニズムが確立しているメキシコが優位なままハーフタイムを迎える。
後半も展開としては同じ。敵陣ではプレスをしつつ、相手のハイプレスは制圧するという流れで支配力を見せていくメキシコ。シャープに後半も主導権を握る。
後半に目立っていたのはIHコンビ。フリーランもできるロモとキャリー性能に長けているモラの2人からメキシコはチャンスメイクをしていく。
先制点をお膳立てしたのはロモ。キープからチャベスの抜け出しを誘発すると、加速したままゴールまで陥れる。なぜそこに?と言いたくなるフリーランではあったが、結果的に得点に結びついた。
2点目を生んだのはモラのキャリー。ここでも重要だったのはフリーランとの組み合わせ。巧みなコース取りをしたサンチェスでラインブレイクに成功すると、このチャンスをキニョーネスが仕留めて追加点を奪う。
これでチェコはハードモード。メキシコはオチョアを投入し、徐々に試合の文脈は勝敗とは異なる部分にフォーカスされるようになっていく。
最後にもう1つゴールを乗せて勝利を祝ったメキシコ。グループステージ全勝でノックアウトラウンドに弾みをつけた。
ひとこと
攻守ともに明らかにメキシコの完成度が上だった。
試合結果
2026.6.24
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループA 第3節
チェコ 0-3 メキシコ
シアトル・スタジアム
【得点者】
MEX:55′ チャベス, 61′ キニョーネス, 90+4′ フィダルゴ
主審:ヤエル・ファルコン
Round 32 エクアドル戦

右サイド可変とハイプレスで得た貯金で逃げ切り
グループAの首位を確保し、ノックアウトラウンドでも自国での戦いを続けることができたメキシコ。ドイツ戦の劇的なゴールによって生き残りを果たしたエクアドルとの対戦に臨む。
序盤からボールを持つのはメキシコ。アンカーをケアしてコンパクトなブロックを保つエクアドルに対して、メキシコは右サイドのローテーションで対応。SHのアルバラードがインサイドに入ってきて縦パスを引き出すと、代わりに右サイドにモラがフローする形でスペースを使っていく。
序盤はこの右サイドからの攻略にフォーカスしたメキシコ。フローするモラを起点にエクアドルのバックラインに混乱を与えていく。
一方のエクアドルも保持にはじっくりと時間をかけて。左サイドに落ちるビテによってこちらのサイドが旋回。高い位置に出ていくインカピエは裏抜けでダイレクトに背後を取るシーンもあった。
もう1つ、ポイントになっていたのは降りるアクションを見せるプラタ。ボールを引き取ったところからのドリブルで相手を剥がし続けて横断。あわやというシーンを作り出していく。
このプレーで勢いに乗ったエクアドルは前からのプレスに出ていくように。だが、この強気の姿勢は逆にメキシコの攻勢を招いてしまった感。ファストブレイクでサイドからラインをダイレクトに破る動きからメキシコは決定的なチャンスを作り出す。
先制点もこの形から。キニョーネスの華麗な一撃でメキシコはハイドレーションブレイク前にリードを奪う。
以降も試合のペースはメキシコ。中盤のローテーションに対してエクアドルの面々は後手を踏むような展開が続出。左右を問わないモラのサイドフローは前半以降も効いていた。
押し込み続けるメキシコの追加点の決め手になったのはハイプレス。オルドニェスのパスが短くなったところを咎めてカウンターを発動。先制点の立役者であるキニョーネスはミドルを打てそうな場面でも冷静にもう一手間かけることを選択。クールに追加点を呼び込んでみせた。
エクアドルはサイドでアングロが根性を見せていたが、なかなか打開までは至らず。試合はメキシコのリードでハーフタイムを迎える。
後半、エクアドルはメキシコのポゼッションから崩しにいくスタート。まだまだエネルギーがある状態であることは後半における希望と言えるだろう。
逆にメキシコはエクアドルの保持に対して、無理なプレスに行かなかったため、展開的にはエクアドルの保持が中心に。サイドから押し下げられるとIHとCHが最終ラインに入るケースも多かったメキシコは自陣に下がってプレーすることに特に抵抗はないようだった。
しかしながら、エクアドルの保持は基本的には外循環。重要なところにパスが刺さらないまま時間が過ぎてしまう。ハイドレーション明けからファークロスを中心に立て直したことで少しずつエクアドルは攻勢に出る。
終盤はハイタワー戦略に出たエクアドル。メキシコは前線のメンバーを入れ替えてもハイプレスには出ていけないが、プレス回避からは安定した試合運びを見せる。
結局前半のリードをキープした逃げ切りに成功したメキシコ。カナダに続いて無事開催国としてRound16に駒を進めた。
ひとこと
可変で制圧した前半が全てだった試合だった。
試合結果
2026.6.30
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Round 32
メキシコ 2-0 エクアドル
メキシコシティ・スタジアム
【得点者】
MEX:22′ キニョーネス, 31′ ラウール・ヒメネス
主審:スラヴコ・ヴィンチッチ
Round 16 イングランド戦

交代選手によって10人ブロックに魂が宿る
悪天候により1時間キックオフ時間が遅くなったこの試合。ホームで試合を行うメキシコにアメリカから飛んで向かうイングランドにとっては負荷のかかる状況が連鎖する。
様子見のロングボールでライスがいきなり警告を受けるなど幸先が悪いスタートとなったイングランド。基本的には立ち上がりはメキシコの試合と言っていい展開。イングランドは中盤をマンツーで仕留めたさはありつつ、降りるメキシコのIHにCHがついていけず。
メキシコは3バック気味に変形することでホルダーがオープンになっているので、イングランドのCHにとっては「ついていって平気?背後を使われない?」と迷いが出てもおかしくない状況。マンツーで行きたさだけ残しつつ、ホルダーがフリーになっていることが実行の邪魔になっているという立ち上がりだった。
メキシコは右サイドからの進撃でスタート。モラに加えてレーンを変えながら前に出ていくアルバラード、サンチェスの縦関係から抜け出す選手を作ってボックス内にボールを入れていく。
イングランドはロングボールで様子見の立ち上がりが過ぎると、左サイドからの旋回で脱出を狙う。左に流れるベリンガムにリラがついていったことを踏まえると、メキシコの中盤も相当に人を捕まえる意識は高そうだった。
メキシコが旋回やオーバーロードでフリーマンを作る設計が前提なのだとしたら、イングランドは目の前に相手がいることを前提として勝てるマッチアップを探っていくことがプランとなっている。ゴードンのところは明確にイングランドがスピードで上回れそうな場面だった。
欲を言えばインサイドでもそうしたポイントを見つけたかったのではないかなぁと邪推する。降りるケイン、反転しようとするベリンガムに対してはメキシコの守備陣は非常に優秀な対応をした。中盤でデュエルの強度が高まってもメキシコは後手を踏むどころか前に出ていくきっかけとしていた。捕まっても勝てるポイントを作るという設計が前提のイングランドとしてはここは誤算だったはず。
それでもトランジッションから隙を見逃すのだからイングランドはさすがである。右サイドからキャリーしたライスからサカにボールが渡ると抜き切らないクロスからケインの背後に飛び込むベリンガムに綺麗にボールが合って先制。切れ味勝負できっちりと先制点をもぎ取ってみせる。
この先制点で勇気を与えられたのかアンダーソンが前に出ていく潰しからイングランドは立て続けにベリンガムがゴール。得点までは本当に前に出ていくきっかけすら掴めない状況だったので、先制点がアンダーソンに与えた勇気が2点目に繋がったのだなと感じたりした。
このままでは終われないメキシコは前半のうちにセットプレーからキニョーネスの一撃で反撃の狼煙を上げると、以降もイングランドを自陣に釘付けにしてメッタ打ち。サイドのローテからフリーマンを作られる苦しみは想定できるけども、シンプルにファークロスからの空中戦でイングランド相手にメキシコが主導権を握っているのは興味深かった。
ピックフォードの活躍、ライスのクリアにゴードンとサカのプレスバックと前半からあらゆるファインプレーを重ねたイングランドがギリギリリードを確保してハーフタイムを迎える。
後半、積極策が目立ったのはイングランド。前にスライドするプレスに加えてオライリーのオーバーラップを解禁。ゴードンをドクに見立ててハーフスペースへの侵入を試みる。ベリンガムも数枚を剥がす凄みのあるドリブルで左サイドの攻め筋の1つとして機能する。
しかし、想定外だったのはクアンサーの退場だろう。足裏一発で10人に追い込まれたイングランドはサカをストーンズに変えて4-4-1にシフトする。
ここから20分間は主審を絡めて小競り合いとPKの連打。退場の直後にケインとゴードンの2人でPKをもぎ取ることに成功したイングランド。ケインが自らこのPKを決めてリードを広げる。
だが、そのケインが今度はPK献上。巧みに前に入った相手の足を蹴り上げてOFRからのPK判定でまたしても試合は1点差に。
ハイドレーションブレイク明けの2枚交代はトゥヘルからの「守り切る」という明確なメッセージ。バーンとスペンスの投入で最終ラインを増強する。
80分台が過ぎるとロングボールの跳ね返しに手応えを感じてくるイングランド。ATを前にケインも下げて専制守備に移行する。
35分に及んだクロスの千本ノックを凌ぎ切ったイングランド。文字通りメキシコの壁となり、ベスト8に駒を進めた。
ひとこと
クロスで負ける前半を見ると後半の引きこもりは心配だったが、交代選手が魂を注入してミッションコンプリート。
試合結果
2026.7.5
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Round 16
メキシコ 2-3 イングランド
エスタディオ・アステカ
【得点者】
MEX:44′ キニョーネス, 69′(PK) ラウール・ヒメネス
ENG:36′ 38′ ベリンガム, 60′(PK) ケイン
主審:アリレザ・ファガニ
総括

世代を超えて受け継がれるカラー
世代が移り変わっても、不思議とチームカラーの核となる部分が変わらないチームはあるのだけども、まさにこのメキシコ代表はその代表格のようなスタイルだなと思う。世代は移り変わってもボールを大事にするという精神がチームの中にきっちりと存在している。
アンカーのリラはポジションバランスが抜群で、どの位置に立てば相手がプレスをかけにくいかを熟知している。CBにはアルバレスを入れる形で後方の保持を補強するような姿勢もあった。
可変のメインとなるのは右サイド。アルバラードが低い位置まで降りていくアクションで空いた大外レーンをIHのモラかサンチェスが活用していく。この右サイドの旋回がアタッキングサードにおける決め手。4-3-3で大外に崩しの核となるWGがいなくとも、スペースを作ってクロスを上げ切ることができることが彼らの強みである。
ボックスの中ではエースストライカーのラウール・ヒメネスとLWGのキニョーネスが左サイドからのクロスを待ち受ける格好。サイドの可変に合わせて、逆サイドの選手はボックスの中に飛び込む構えができており、ターゲットがヒメネス1人になることはとても少なかった。
基本的にはこの保持のペースで相手を置いていくことができるのが強み。Round 32のエクアドル戦までは完全にこれで飯を食っていた感があった。
守備では人を捕まえるアクションをベースとした強気のプレスがよく見られる格好。テクニカル要素優先かと思われた中盤の人選がイングランド戦ではケインやベリンガムを抑える時間帯も作り出しているのだから、上手いだけではないことがよくわかる。
そのイングランド戦ではクロス対応が致命傷となっての失点。この失点で流れを持っていかれてしまい、得意なはずのビルドアップで立て続けにミスからの追加点を許してしまったのがもったいなかった。
イングランド戦では終盤に相手が10人となったところが苦しくなったところ。やはり、相手が出てきてくれてナンボというところはあるので、ビハインドシチュエーションかつ相手が引いて受けることに専念するという得意ではない状況に落とし込まれてしまった感じ。スペースを作り出す達人だけども、素材がありませんでした感があったのが今回のメキシコの最終回となってしまった。
自分たちの伝統的なスタイルを世代が変わっても継承できたことを確認しつつ、詰めの甘さによって苦手なシチュエーションに迷い込んだことが致命傷となったのが今回の大会だった。メキシコはどこまで行ってもメキシコだった。
Pick up player:ジルベルト・モラ
17歳でこの完成度なのはガチ。めちゃめちゃ市場価値が上がっただろうな。
