第1節 イラク戦

堂々W杯デビューのハーランド
ついにワールドカップにハーランドが登場。国内リーグではタイトル争いのライバルであるウーデゴールを相棒に大舞台のピッチに降り立つ。
序盤からボールを持つのはノルウェー。後方の3バックからボールを回していく格好。当然ハーランドとセルロートという2人のターゲットに対してはロングボールを入れていくことも選択肢として入れていく。
ただ、基本的にはボールを持つ時間を少しずつ長くしていく方向となっていたノルウェー。左右の大外のWBからクロスを入れていくが、どうも攻撃の最終形がボヤっとするような攻め筋が多かった。
むしろ、攻め筋としては長いボールを積極的に使うイラクの方が手ごたえ良好。ノルウェーのCBはロングボールの迎撃が甘く、アル・ハマディとフセインへの長いボールから一気に敵陣に押し上げることはできていた。
しかし、攻め筋がハマった時の怖さを見せたのはノルウェーの方。左サイドからヌサを追い越したボルフェから鋭いピンポイントクロスが飛んでくると、これに合わせたのはハーランド。均衡した展開の中でエースが一発回答を示し、ノルウェーがリードを奪う。
イラクは反撃ムード。ピッチを広く使うところからノルウェーを揺さぶることに成功。守備のブロックのスライドが間に合わない状態を作り出していく。
前半のうちに同点に追いついたイラク。左サイドからのジャシムのクロスからフセインが仕留めてゴールを奪い返す。
この流れで勢いに乗りたいイラクだったが、自陣でのパスワークで痛恨のミス。パススピードが足りないボール回しをハーランドに収められてゴールを奪い返される。
それでもまだ落ち着かない展開。クロス対応の不安定さは払拭しきれず、フセインへのクロスに対して遅れてのアプローチが目立つ。ハーランドの勝ち越しゴール以降もイラクには多くのチャンスがあったが、仕留めることができないままハーフタイムを迎える。
後半、リードをしているノルウェーはハイプレスでのスタート。2点目をとった再現を狙っていくが、ロングボールからイラクに前進の隙を与えてしまう。
押し込むところまで持ってこられてしまうとノルウェーの不安定さは後半も健在。イラクの選手に先に触られてしまい、クロスからあわやという形を作られ続ける。左右に散らすイクバルの配球で左右に揺さぶられているノルウェーはギリギリの対応を強いられる。
流れを変えたのは4枚交代だろう。敵陣の高い位置でプレーをする機会は少しずつ回復。落ち着いて押し返す場面を作るように。
すると、スコアを動かしたのはセットプレー。交代で入った選手のうちの1人であるエスティゴーアの一撃が鋭く決まり、試合は決着ムードを迎える。
終盤にはもう1点加えたノルウェー。久しぶりのメジャー大会で上々のスタートとなった。
ひとこと
イラク、要所では喰らいつけていただけにもう少し決定力がついてきて欲しいところだった。
試合結果
2026.6.16
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループI 第1節
イラク 1-4 ノルウェー
ボストン・スタジアム
【得点者】
IRQ:39′ フセイン
NOR:29′ 43′ ハーランド, 76′ エスティゴーア, 90+7′ トルスベト
主審:ピエール・アチョ
第2節 セネガル戦

意外性のあるWG起用がハーランドへの供給の解決策に
久しぶりのワールドカップの幕を勝利で開けたノルウェー。今回の相手はフランス戦の負けをリカバリーしたいセネガル。強敵相手に勝てばノックアウトラウンド進出はこの時点で確定する。
いきなりセットプレーからチャンスを迎えたのはノルウェー。しかしながら、序盤からペースを掴むのはセネガルの方。前線に起点を作っての横断からノルウェーを揺さぶる。ポストだけでなく、サールのようなダイレクトに背後に抜ける動きもつけるので捕まえづらい。総じてバックラインへのノルウェーのプレスの軽さから、セネガルの前線のデュエルの能力の高さを活かすような展開。長いレンジのパスワークの安定感もセネガルの攻撃を支えていた。
一方のノルウェーは列を落とすアクションからプレス回避に出ていく。だが、プレス回避の景色はあまり良好ではない。ウーデゴールの降りるアクションに呼応して高い位置をとるような中盤はいないし、セネガルがマンツーではめてきた時に、ハーランドへのロングボールも活用できず。競り合いがどうというよりはGKのニーランがあまり上手く飛ばせないのかなという感じ。ハーランドはその場に立っての競り合いよりは手前と奥を駆使するスペースへのロングボールを活かすような駆け引き(と爆発力)が持ち味なので、それを活かすほどのフィード力がなかったように見えた。
その分、電柱役として効いていたのは右のWG起用のセルロート。この人は競る使い方でOKである分、フィードの供給は安定。ディウフを引き寄せながら背後のスペースを開けて、そのスペースにリエルソンの負傷交代で入ったペデルセンが走り込むケースが多かった。
この追い越すアクションまで成立すればノルウェーの攻撃は機能。右のセルロートのロングボールからの追い越すアクションでチャンスを作ったノルウェー。クリバリのクリアミスを逃さずにペデルセンがゴールを奪う。
勢いに乗るノルウェーをなんとか食い止めて後半に望みを繋いだセネガル。ポゼッションから押し込んで打開策を狙っていくが、イドリッサ・ゲイェの強引なインサイドへの縦パスを咎められてしまい、ノルウェーは数的優位のカウンター。一番得意なパターンをハーランドが沈めてリードを広げる。
しかし、その直後にイドリッサ・ゲイェの縦パスからサールのゴールを掴むことに成功。1得点、1失点という感じのゲイェの縦パスだった。
だが、ハーランドが再びゴール。またしてもセルロートのロングボールを起点に右サイドの攻略に成功したことがゴールのきっかけ。左に流れたところを再度ボックス内で勝負を仕掛けてハーランドが仕留めた。
その後はポゼッションを増やすセネガルに対して、ノルウェーはバックパスに強気のプレスをかけることで前半のミスの再現を狙っていく。ノルウェーはクローズするのではなくオープンな展開での撃ち合いを望む格好。行ったり来たりの終盤戦の中で、交代で入ったボブを生かすような形で更なるゴールを狙う。
セネガルの後半追加タイムの得点は冷や汗をかくきっかけになっただろう。ラストプレーではフリーでサールがあわやというシーンを作り出すが、結局このシュートは枠外。試合はノルウェーが逃げ切りでGS突破を決めた。
ひとこと
後方からのフィードでダイレクトにハーランドへのロングボールを活かすことは実はできていないノルウェー。ここに繋ぐ術を確立できるかどうか。現時点ではセルロートならロングボールは機能するというのは結構面白い。
試合結果
2026.6.22
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループI 第2節
ノルウェー 3-2 セネガル
ニューヨーク/ニュージャージー・スタジアム
【得点者】
NOR:43′ ペデルセン, 48′ 58′ ハーランド
SEN:53′ 90+3′ イスマイラ・サール
主審:ウィルトン・サンパイオ
第3節 フランス戦

残すテーマは早々に決着
共にグループステージはすでに突破が決定。残すテーマはどちらが首位通過を果たすかどうか。そして、そこにどこまでそのテーマに重きを置くか?ということになるだろう。
端的に言ってしまえば、ノルウェーはあまりその点に重きを置いているようには見えなかった。メンバーの入れ替えからも次を見据えているのは明らか。この試合はある程度”仕方ない”と思っていそうな11人を並べることとなった。
序盤から攻め立てるのはフランス。右のハーフスペースに突撃するエンバペからいきなり鋭いシュート。この日は幅取り役に徹するような形を取ったデンベレによって生み出されたスペースからゴールに迫っていく。ビルドアップでは左サイドから旋回するような形もあったが、基本的にはそれはオマケの範疇。スペースを狙う1つのパスから一気に仕掛けるのが理想。
しかし、先制点を取ったのはこのシーンでは囮となったデンベレ。当たり前の話だけども、囮役をやるのも主役級というのがフランスの怖さだと思う。
ノルウェーは先制点を奪われたことで撤退意識を強める格好。5レーンを埋めるような守備を見せる。こういうところも無理がないなと感じる部分だったりする。
保持においてはバックスの落ち着いた保持を許容されるノルウェー。左サイドをメインに手数をかけた攻撃から敵陣に入っていく。
しかし、トランジッションの局面が生まれればフランスの思うツボ。ボールを奪ってから1つ目、2つ目のパスの質が高く、そこからのスピードアップがスムーズ。デンベレのゴールが決まったのは20分のことだった。
だが、ノルウェーもすぐさま反撃。アースゴールの一撃は相手を外すスキル満載の見応え十分な得点パターンだった。
フランスはもう一撃デンベレでノルウェーの反撃ムードを抑えることに成功。何度もフェイクを繰り返したデンベレが空いたシュートコースから素晴らしい一撃でリードを広げる。
後半はより安全運転先行という感じ。この試合の行方が決まったことでよりその流れは強まる。ボブが奪取したPKが決まっていればそのムードは変わったかもしれないが、ラーセンはこのシュートを仕留めることが出来なかった。
ノルウェーはポゼッションのターンを得ることはできていたが、そこから先に進むことができず。逆にフランスは無理のない試合の進め方で時計を刻んでいく。
終盤にはドゥエのゴールで追加点を決めたフランス。余裕を持ってグループ首位通過を決めた。
ひとこと
ノルウェーも含めてきっちりこの結果を受け入れて次に向かおう!という試合だった。
試合結果
2026.6.26
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループI 第3節
ノルウェー 1-4 フランス
ボストン・スタジアム
【得点者】
NOR:21′ アースゴール
FRA:7′ 20′ 32′ デンベレ, 90+4′ ドゥエ
主審:マイケル・オリバー
Round 32 コートジボワール戦

あまりにも静かに王国への挑戦権を確保
ドイツ、フランスという列強に続いてグループ2位通過を果たした両チーム。有力なタレントを擁しているだけに勢いをつけてブラジルへの挑戦権を勝ち取りたいところだろう。
序盤にボールを持ったのはノルウェー。CHが列落ちをするのがビルドアップの日常。ベルゲが最終ラインに入り、時にはウーデゴールもその近くまで寄るようなアクションが立ち上がりから目立つ。
ブロックの中には人がいない分、ボールは外循環。ヌサとセルロートのWGからSBのオーバーラップを活用してクロスを入れる。なぜWG?という起用が続くセルロートは抜き切らないクロスやロングボールのターゲットとして存在感を示していたのが面白かった。
可変の動きが多めの中盤にはコートジボワールはついていく動きを見せつつ自陣ではきっちりとブロックを組む展開。しかしながら、前傾になり過ぎてしまうことによる中盤の空洞化をノルウェーに突かれることはあまりなかった。
コートジボワールも攻め筋は同じ。WGにボールを渡したところからの仕掛けで勝負に出る。ノルウェーはウーデゴールが前のプレス隊に加わる4-4-2でプレスに出ていくが、幅をとるCBからコートジボワールは回避に成功。コスヌが微妙なコースの空きを咎めるようなパスを刺すことができるのは個人的には意外だった。
ポゼッションのやり直しを繰り返しながらディオマンデとぺぺの両翼から勝負をかけていくコートジボワール。ドゥエとコナンのSBも攻撃に積極的に絡んでいく。崩しの軸はディオマンデで逆サイドのぺぺはクロスに飛び込む役割にもトライしていたのが印象的だった。
アタッキングサードの攻め筋の切れ味勝負となっていたこの試合。決着をつけたのはヌサ。縦パスからの派手ではない横断の繰り返しから徐々にコートジボワールの陣形を下げていくと、カットインからそのままゴールを撃ち抜くことに成功。前半のうちにノルウェーが先制点を奪う。
このゴールからラッシュをかけるノルウェー。空中戦の強さを生かして決定機を創出。ハーランドにもチャンスはあったが、この決定機を仕留め切ることはできなかった。
後半、追いかけるコートジボワールはウライの強気なハイプレスなど前半以上に高い位置からボールを咎めることに注力。ボールを奪い取ったら素早くサイドに展開して糸口探しに転じる。
それでもなかなかこじ開けることができないコートジボワールは選手交代からテコ入れ。2列目にWGロールを3人並べる形で大外の可変性を高めながら勝負する。
この形が奏功したコートジボワール。トップ下に入りながらサイドに流れたディアロが大外からぺぺとの連携で進撃に成功。同点ゴールを決める。
しかし、終盤にやり返したのはノルウェー。ウーデゴールのフォローでサイドのナローなスペースを壊しにいくと、右サイドから打開に成功。SBでの起用となったアウルスネスのフリーランでCBを外に釣り出すことに成功すると、割れたスペースにベルゲが入って抜け出す。この折り返しをハーランドが静かに沈めて勝ち越す。
粘られながらも最後はコートジボワールを振り切ったノルウェー。Round16でブラジルと戦う権利を獲得することとなった。
ひとこと
決勝弾、あまりにも落ち着いた静かな一撃だった。
試合結果
2026.6.30
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Round 32
コートジボワール 1-2 ノルウェー
ダラス・スタジアム
【得点者】
CIV:74′ ディアロ
NOR:39′ ヌサ, 86′ ハーランド
主審:ヘスス・ヴァレンズエラ
Round 16 ブラジル戦

準々決勝 イングランド戦

ジリジリとあらわになったリソースの差
ついにメジャートーナメントに姿を現したノルウェー。フランスと同居しながらノックアウトラウンド進出を決めて、ブラジルを撃破してベスト8にまで辿り着いた。この大舞台で相対するのはハーランドやウーデゴールにとっては馴染みのあるイングランドの面々との対戦である。
序盤のロングボールのフォーカスの展開を経ると、ノルウェーは自陣に4-5-1のブロックを構築。イングランドにボールを持たせてOKという形の撤退守備を見せる。イングランドはこれに対して3-2-5気味に変形。オライリーはやや前に絡みつつ、ゴードンとどちらかが幅取り役。右の大外はマドゥエケで固定し、コンサは後方待機が基本線だ。
イングランドはブロックの手前から対角パスで大外のマッチアップを使いたい構え。特に左のアンダーソンから右のマドゥエケへの展開を重点的に狙っていくが、マドゥエケは無駄なオフサイドにかかってしまったり、シェルドルップがやってくるダブルチームに手詰まり。コンサは自重気味なので、シェルドルップがマドゥエケにフォーカスしているという構図を咎められなかった。
対角パスの先からチャンスを作れそうなのは縦突破の鋭さがあり、かつ高い位置を取るオライリーとの連携が期待できる左の方。2人のワンツーを含めて、左サイドのポケットを取る形からのクロスでチャンスを探る。大外ではさっぱりだったマドゥエケもボックス内のターゲット役としてなら活用できる予感もしなくはない展開だった。
ただし、ノルウェーが保持に転じた時のターゲットもこのイングランドの左サイド。セルロートをトランジッションで走らせることでオライリーのいないスペースから侵攻。序盤の前進局面はセルロートに託すという流れは今大会の一貫したノルウェーのトレンドで、この試合でもそれが踏襲された格好だろう。ハーランドは前進局面での寄与はほぼなかった。
自陣でのポゼッションはウーデゴールがかなり低い位置まで降りることで後ろ重心。後ろ重心の割には相手を引き寄せたところからのカウンターやCBのキャリーからのリリースでイングランドを前がかりにしたところを咎めるような場面はなく、前節のようにクリティカルなカウンターを受けてもおかしくはない怪しさはあった。とはいえ、一定のポゼッションを確保するという意味では後ろ重心の意義はあった。
リスク管理優先の展開が動いたのはハイドレーションブレイク明けから。自陣では4-5-1のIHの一角の守備位置を取っていたウーデゴールがプレス隊に加わる4-4-2で敵陣からのチェイシングをゆるっと開始。これで敵陣でのプレーが増えたノルウェーは左サイドからのシェルドルップが角度のついたところから先制ゴールをゲットする。
このゴールでノルウェーは勢いづくことに成功。ファークロスを主体としてイングランドのボックス内にガンガン攻め行っていく。
なかなか攻め切ることができないイングランドの景色を変えたのはベリンガム。前がかりなノルウェーの守備のわずかなギャップに対して、左サイドからの進撃に成功。スペースを享受したところからのドライブからの左足でゴールを仕留める。
このゴールの前後の前半終わるまでの数分間のベリンガムは凄まじかった。ゴールだけでなくわずかにオフサイドながらラストパスまで。中盤からのキャリーをしながら抜群の存在感を放っていた。
後半、イングランドはハイプレスを起動しつつ、対角のパスから前進を狙っていく形。同じアーセナルのマドゥエケから役目を引き継いだサカを狙い、右サイドから相手のブロックを突っついていく。
しかし、もう1つの交代策はやや逆噴射気味。明らかに本調子でなかったライスに代えてエゼを投入し、4-1-2-3にシフトする形はアンカー脇にノルウェーの縦パスを刺すためのコースを誘発してしまった感があった。
イングランドはすぐさま陣形を4-4-2に修正。プレスの勢いも抑えながらブロックを組むシーンを作っていく。セットプレーからのラッシュは意外性の男・セルロートのクロスからの流れ。ノルウェーはネットを揺らすが、これはハーランドのプッシングによってやり直し。ここも新規則の影響だ。
4-4-2で構えるイングランドに対して、ノルウェーはイケイケドンドンで圧力をかけていく。オープンな展開から主導権を握ったノルウェーはボブとヌサにWGを交代することで仕掛けを増やしていこうとするが、ハーランドに頼りたいボックス内のフィニッシュはクオリティが上がってこない。
80分が過ぎるとゆるっとペースはイングランドに。ノルウェーの圧力が持続可能ではないものとなり、イングランドの保持の阻害が明らかに減退していく。
こうしたジリジリとした展開はサウスゲート時代から得意であるイングランド。4-4-2でのプレスの強度を強めて、ノルウェーと入れ替わるように敵陣での時間を増やしていく。
延長戦も当然織り込み済み。押し込んだところからのロジャースのミドルを最後はベリンガムが押し込んで勝ち越しに成功。ブロック外から枠内ミドルをかち込まれてキャッチし損ねたところをという流れは前日のベルギーを踏襲する格好となってしまった。
リードを奪ったら素早く下がるイングランド。この辺りの色気の見せなさはトゥヘルの現実主義感が漂っているなと思う。メキシコ戦での成功体験もあったのだろう。逆にハーランドが下がったノルウェーは敵陣ボックス内での優位構築の代案を出せないまま試合は進行。スペンスがあわやPKを奪取したシーンにおける足の動かなさを見ると、流石にリソースの差は感じざるを得ないだろう。
延長戦という舞台、そしてリードしている展開をうまく活かしながら逃げ切りに成功したイングランド。最後は5バックに切り替えることで試合をクローズする。
最後まで抵抗を見せていたノルウェーだったが、同点ゴールを手繰り寄せることはできず。試合はイングランドの勝利で幕を閉じることとなった。
ひとこと
最後はリソース差というのは否めない展開になってしまったかな。
試合結果
2026.7.11
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Quarter-final
ノルウェー 1-2 イングランド
マイアミ・スタジアム
【得点者】
NOR:36′ シェルデルップ
ENG:45+2′ 93′ ベリンガム
主審:クレマン・トゥルパン
総括

セルロートのWG起用を考える
フランス、セネガルと同居するグループは明らかに死のグループだったが、ノルウェーは難なく2勝を挙げることで突破。外野の声にも耳を貸さず、大胆なターンオーバーからフランス戦では休養を選択すると、ノックアウトラウンドではブラジルを撃破するという偉業を成し遂げるところまでは辿り着いた。ここまでいけば、フランス戦のメンバーの話に文句をつける人はいないだろう。成績的にはメジャートーナメントで華々しくこの世代のデビューを果たした大会だった。
第1節はセルロートとハーランドの2トップからスタートしたノルウェーだったが、4-3-3のセルロートがWGという形に徐々にシフト。明らかに合っていないやろ!と思いながらも、ロングボールのターゲットとしてサイドに起点を作るセルロートとフリーランでセルロートを追い越すリエルソンの動きによって、右サイドからボックスに迫る形を作っていく。
「ハーランドにロングボールのターゲットをやらせておけばいいのでは?」とか「セルロートも真ん中で競ればいいのでは?」という意見もわかる。この言説に対して、反論をあえて考えるのであれば、GKのニーランがハーランドが得意とするようなスペースに置くようなロングボールが苦手なのかなという説が1つ。ハーランドを長いボールで使う際は裏に抜ける動きがメインなので、スペースに置くようなフィードがあまり得意ではないのではないかという仮説。
ただ、イングランド戦を見ると「ハーランドを生かすのはあくまでフィニッシュ局面のみ」という説の方が濃厚な感じはした。ロングボールを蹴れば空中戦になっても収まるだろうけども、そこにエネルギーを使ってしまうとボックス内でのクオリティを継続的に出すのは難しいという考え方。短期決戦で90分出続けてもらうマネジメントをやるなら、サイドのセルロート&SBのオーバーラップで代替できる前進は彼らにやってもらえればという感じではないか。
逆に言えば、ボックス内の崩しに関してはかなりハーランドのクオリティに依存していたとも言える。相手を外すアクションだけではなく、ガブリエウを吹っ飛ばすような空中戦でも活躍。シティよりもサイドの崩しの手数をかけるのは難しいので、初めからそういうパワーを活かす競り合いをやろうという方向性だったのかもしれない。
ミドルゾーンでの加速がモノになればもっと前進は楽なのだろう。ウーデゴールの降りるアクションとベルゲ、ベルグのそれに伴うポジション調整はプレスを無効化することはできていたけども、ひっくり返して加速できる場面に繋げるケースはあまり見られなかった。
おそらくはこの先もハーランドを軸とする攻撃を繰り出していくのだろう。だからこそ、今回のセルロートを活かした前進のようなハーランドの負荷を軽減するための方策をいかに組むかが重要になる。
Pick up player:エーリング・ハーランド
実は空中戦を活かすという形はプレミアではあまり見ない。やろうと思えばこういうのも余裕でできます!ということを見せたということで、彼自身も微妙にマイナーチェンジした大会だった。
