第1節 カーボベルデ戦

歴史に名を刻むカーボベルデ
EURO王者のスペインの初陣は初のW杯出場となるカーボベルデ。人口50万人の島国にとっては初戦から大きなチャレンジを強いられることとなる。
4-5-1で構えるカーボベルデだが、ラインを下げること一辺倒ではない様子。高い位置にもプレスに出ていく色気をトップのリヴラメントからは感じたし、後方の選手たちもそれに合わせたスライドができる心意気を感じる振る舞いだった。
とはいえ、基本は撤退。スペインのSBに合わせて、SHが自陣に下がるなど6バックになるような場面もある。スペインの保持は基本的にはCBとCHでビルドアップ。CHのうち、ペドリは高い位置に入り、ロドリとファビアンの方が組み立てのタスクは重め。ロドリはアンカーにどっしりという感じではなく、細かく左右を変えながらフリーでボールを左右に散らす役割を担う。
大外のSBとSHの組み合わせから二人称での打開を狙っていくスペイン。カーボベルデは同じくSHとSBでこの動きに対応。ハーフスペースへの飛び出しに遅れることはないし、CBは持ち場を離れない状態でボックス内の対応ができるので、抜ききらないクロスにも安定した跳ね返しが期待できる。
スペインはペドリを右に出張させて二人称の組み合わせを変えたりしてはいたが、裏抜けをエサに手前を使うというよりは三人称での崩しが少なかったのが気がかり。これだと、ホルダーが浮かない分、ボックス内でのカーボベルデの安定感を揺さぶることができない。
さらにスペインにとって想定外だったのはカーボベルデからボールを奪うことにやたらと苦労したことだろう。幅を使って対角のパスを飛ばすことでカーボベルデは幅を使った攻撃を披露する。決定的なカウンターと呼べるものは少なかったが、いちいちスペインに自陣に下がることを強いるような攻撃ができていた。
左サイドの2人のカブラルはどちらもファウルを奪うことでボールを落ち着かせるケースも。ハイドレーションブレイクも含めて、スペインが攻め続けるような圧力を寸断するものが個人的には多かった印象だ。
前半のハイドレーションブレイク明けからは左の大外のククレジャを使うことでスペインは少しずつ手応えが出てくる。大外からワンタッチで内側に折り返すことでカーボベルデの守備の伸縮を強制するようなプレーからチャンスを作っていく。
前半の最も大きなチャンスはロドリの対角パスとククレジャのオフザボールを組み合わせた形から。フェラン・トーレスには決定的なチャンスがあったが、これをモノにできず。それ以外のチャンスに関してもGKのボジーニャによってセーブ。スペインはネットを揺らすことができないままハーフタイムを迎える。
後半も引き続きポゼッションを敢行するスペイン。大外でのドリブルやガビとの中央でのワンツーなどペドリが前半よりも幅広い働きを見せていたのが印象的だった。
自分たちの時間がなくなってきた分、苦しさが出てきた後半のカーボベルデ。スペインの守備がクリーンさを増して連続攻撃の圧力が牙を剥いてきた感がある。それでも選手交代からもう一度エンジンをかけ直して持ち直していくのはさすがであった。
ハイドレーションブレイク直前に姿を見せたヤマルに対して、カーボベルデはすぐに対応。警告を受けているロペス・カブラルではなく、ダ・コスタをマンツーに行かせる守備基準でスペインを迎え撃つ。直後にはロペス・カブラルを下げるなど、最大限の警戒をヤマルに払う様子を見せる。
そのヤマルは3人を惹きつけつつスポットでチャンスを作るなど、確かな効果を見せる。だが、ボックス内の精度が冴えないのがこの日のスペイン。ボジーニャやピコの壁を超えることができないまま時計の針だけが進んでいく。
結局試合はタイムアップ。間違いなくW杯の歴史に1ページを刻んだカーボベルデが国民丸ごと笑顔にするような勝ち点1を手にした。
ひとこと
ダ・コスタをマンツーに行かせる守備基準がハイドレーションブレイクで整理されたのであれば、ヤマルの投入はもう少し後でもよかったかもしれない。それにしても、初期プラン設定、戦術の耐久度、保持での圧力の逃し方などカーボベルデのプランの精度と強度は見事だった。
試合結果
2026.6.15
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループH 第1節
スペイン 0-0 カーボベルデ
アトランタ・スタジアム
主審:アドハム・マハドメ
第2節 サウジアラビア戦

鬱憤を晴らす大量得点
開幕節ではカーボベルデ相手に得点を奪うことができなかったスペイン。同じミスを2回繰り返すことはできないという状態でサウジアラビア戦に臨む。
サウジアラビアは5-4-1での撤退が主体。当然、ヤマルにはアルハルビとアル=ドッサリーの2人がマークにつく格好に。サウジアラビアはスペインがバックパスをした際にはすかさずプレスをかけにいく。ウナイ・シモンならばあるいは?と思ったかは不明だが、GKまでプレスにいくシーンもあった。
しかしながら、さすがにスペインにとってはこの状況はお手のもの。サウジアラビアのプレスを誘引しつつ、間延びした中央のスペースにMFを下ろす形で撃退する。
微妙にラインを上げたい色気が見えていたサウジアラビアに対して、特効薬となったのは左サイドに流れたオヤルサバル。アル・アムリのラインを上げる判断は孤立してしまい、オンサイドで抜け出すと、ここからファーサイドのヤマルに正確なパスを飛ばされて失点。スペインは10分で先制。サウジアラビアはオヤルサバルに抜け出されてからはミス待ちという状態だった。
そのオヤルサバルはさらに2つの得点でチームに貢献。特に3点目を見るとわかるのだけども、すでにサウジアラビアは片側サイドへの圧縮が効かなくなっている。立ち上がりは2人でタイトについていたヤマル相手にもルーズになっていた。
スペインの保持は左サイドにはロドリを後方支援役として置くなど全体的に人数は多めなのだが、一番引力のあるヤマルは右サイド。片側は物理的にケアしなければいけないポイントが多く、もう片側は一番スペースを与えたくない相手がいるということで、サウジアラビアは揺さぶられた結果、サイドのスペースがガラ空きに。何気にポロが精度の高い対角を蹴れることがサウジアラビアにとっては厄介な状況となった。
ハイドレーションブレイク明けにもサウジアラビアの流れは変わらず。保持の局面になってもどこにボールを当てたいのかの狙いが見えないロングボールでポゼッションを捨ててしまい、再び終わりの見えないポゼッション沼に引き込まれる感じだった。
後半は試合の展開としてはフラット寄りに。オヤルサバルとヤマルを早々に引き上げたスペインは前半ほどは支配力を発揮しない展開に。それでも後半早々にファーサイドのククレジャをセットプレーから活かすオウンゴールで突き放す。
攻撃のユニットから積極的に交代を敢行したスペイン。フェラン・トーレスの裏抜けやニコ・ウィリアムスのドリブル突破など第1節では不発だった武器のキレを試すように残りの時間を過ごしていく。
受けに回る時間もいなし切ることに成功したスペイン。第1節の鬱憤を晴らすような大量得点でサウジアラビアを下した。
ひとこと
受けに回るけどもラインも上げたいという欲張りセットを早々に咎められてしまったサウジアラビア。ラインを上げようとする時のリスクヘッジの甘さは前回大会から変わっていないなという印象だった。
試合結果
2026.6.21
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループH 第2節
スペイン 4-0 サウジアラビア
アトランタ・スタジアム
【得点者】
ESP:10′ ヤマル, 21′ 24′ オヤルサバル, 49′ アル・タムバクティ(OG)
主審:ラファエル・クラウス
第3節 ウルグアイ戦

ゴールに向かえない激しさ
すでにノックアウトラウンド進出を決めたスペイン相手とはいえ、ここまでの2試合を見るとなかなか楽観視をするのが難しいウルグアイ。試合前には主力選手の直談判という明らかに不穏なニュースも飛び込んではきたが、勝てば自力突破という状況をなんとかエネルギーにしたいところだろう。
試合はスペインのボール保持からスタート。4-3-3のスペインに対して、ウルグアイは前からプレスに出ていく。普通にCBにプレスをかけていこうとするのであれば、ロドリが余ってしまうのだけども、このエリアは根性でのバルベルデの二度追いでカバーするというなかなか古風なやり方で穴を塞いでいく。
もっともロドリとスペインにとってはこういう根性プレスを外すのは朝飯前といったところだろう。ロドリのサイドフローからセンターラインの上下動で相手を揺さぶっていく。左サイドはククレジャを絡めたローテーションも含めて、ウルグアイの陣形の歪みを誘発しつつ、インサイドに空いた穴を活用してポゼッションを安定させていく。
特に迷いが出てきた感があるのは右のSHのカノッピオ。出ていくかどうかの判断に悩まされてしまうなどの場面が多く、前から捕まえにいくかが中途半端になってしまった。
飲水タイム明けにウルグアイはプレスを再起動。サイドの縦関係の抜け出しからスペインに背走をさせつつ、ヌニェスにクロスを上げていく。
しかし、先制点を取ったのはスペイン。あまりらしくない泥臭いぶつかり合いからクロスを上げたのはジョレンテ。バエナがゴールを決めて前半のうちにリードを奪う。
後半はウルグアイもポゼッションからチャンスを探っていく。アラウホのダイアゴナルなアクションなど、斜めの動きを見せることで相手のDFラインの背後を覗く。
スペインもロドリの移動を起点に相手のポジションを乱しにいくアプローチは同じ。ウルグアイは前半以上に間伸びが目立つようになる。
意外だったのはここからスペインが保持でボールを落ち着かせることが出来ていなかったこと。行ったり来たりというウルグアイが好むような展開に付き合っていたのは想定外。先制点を担保に主導権を握るというよりはデュエルを抑制できない形に。
その流れの中でウルグアイの激しさが悪い方向に出てしまった感じの終盤戦。過度なタックルは最終的にカノッピオの退場という形で出力されることになる。
激しさをゴールに向かう形で還元できなかったウルグアイ。勝ちを拾うことが出来ないまま敗退決定となった。
ひとこと
内紛は良くない。
試合結果
2026.6.26
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループH 第3節
ウルグアイ 0-1 スペイン
グアダラハラ・スタジアム
【得点者】
ESP:42′ バエナ
主審:イスマイル・エルファス
Round 32 オーストリア戦

ようやくここから本気のスペイン
Round32も後半戦。スペインのノックアウトラウンドの初陣はオーストリア。グループステージの大トリを飾る試合でこのトーナメントの切符を手に入れたチームだ。
序盤からボールを持つのはスペイン。オーストリアはミドルからローブロックのところで踏ん張る形を優先し、スペインに強引なプレスをかけに行かない。
スペインはひとまずはWGにボールをつけることを優先。まずはヤマルのところからつついていく。オーストリアは対面のライマーが踏ん張りつつ、ザビッツァーがサポート役。後手を踏まない程度には食らいついていた。
スペインは左右に散らしながらオーストリアのブロックを外に広げつつ、サイド攻撃はシンプルな二人称なものに終始。オーストリアはまだ無理なく跳ね返すことができる立ち上がりに。
非保持においてもオヤルサバルが追うことに連動しきれないスペイン。この点でもオーストリアはずっと攻められているような圧力を感じるわけではない試合だったと言える。左サイドのライマーが変形に関与しつつ、外のザビッツァーに展開し、グレゴリッチュがあわやというシーンも作り出す。
総じて互角の展開が動いたのはハイドレーションブレイク明け。右サイドでややインナーレーンで絡むようになったヤマルがオルモとのコンビネーションで破っていく。縦突破からライマーを置いていくシーンも含めて、かなり優勢に。
左サイドもオヤルサバルが流れることにより三人称での攻撃が活性化。オーストリアはかなり後手に回るように。振り回され続けた結果がオヤルサバルのゴール。このゴールが生まれる段階ではすでにインサイドのマーカーに寄せられるような状況ではなかった。
追いかけることになったオーストリアは徐々に前からのプレスを強めていくが、SBからのキャリーや浮いたロドリからひっくり返すことも多々。まずはコンパクトにという立ち上がりの前提が崩れてしまった感があった。
後半の頭、オーストリアはCHを入れ替えてのスタート。プレスを強化していくが、スペインは流れるようにこれを外すことに成功。ロドリ、オルモのギャップの入り方は特に見事で、こういう展開はお手のものという感じ。捕まえにくる動きを利用して、相手の守備陣形にギャップを生み、そのスペースを活用するオフザボールが面白いようにハマる展開となった。
非保持の圧力の掛け方もシャープでオーストリアはポゼッションから圧力を逃すことはできず。まだ残り時間がある段階でもかなり厳しくなった感。アルナウトビッチとカライジッチのツインタワー作戦を切り札として早々に提示せざるを得なかったのは仕方ないところだろう。
それでも大きく流れは変わらず。相手の先手を取るパスワークでボックスまで背走させることに成功したスペインはポロのゴールで2点目を確保する。
オーストリアはライマーが左サイドからポジションの良さを活かして抵抗をするが、いかんせんこちらは一人だけ。最終的にはスペインが3つ目のゴールを決めて完勝。危なげなくRound16の切符を手にした。
ひとこと
ようやくここから本気のスペイン!
試合結果
2026.7.2
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Round 32
スペイン 3-0 オーストリア
ロサンゼルス・スタジアム
【得点者】
ESP:36′ 89′ オヤルサバル, 67′ ポロ
主審:グレン・ニーベリ
Round 16 ポルトガル戦

交代選手でギアアップしたスペインがロナウドに引導
Round16も後半戦。後半戦のスタートはイベリア・ダービー。最後のW杯を明言したロナウドに立ちはだかるのはスペインだ。
どちらもらしい攻め方が見える立ち上がり。先にクリティカルなチャンスを迎えたのはスペイン。インサイドにポイントを作りながら、オヤルサバルの抜け出しから決定機。ブロックの中にギャップができてしまいやすいポルトガルの特性をいきなりチャンスに結びつけた感。
ここまでのポルトガルのブロックのコンパクトさを見ると、もっとスペインは保持から制圧ができそうだなという感じもしたのだが、意外にもそういう展開にはならず。降りるロドリについていくアクションを見せるなど、4-4-2から人基準の守備に移行する様子はスペインが活用できそうなギャップにも見えたのだけども、その点であまりポルトガルはマイナスを吐いているような展開にはならなかった。
保持においてもポルトガルはスペインの即時奪回のプレスを見事にいなす。この辺りは後方にパリ勢を多く抱えているチームだなという印象だ。
ポルトガルは対角への長いレンジのパスを積極活用することで、敵陣に入っていく。ボックスの中に入るためのロジックは結構甘いポルトガルではあるけども、角度のあるところからでもあわやというミドルを放ちながら敵陣に迫ることができるのが彼らの魅力でもある。スペインの前からの圧力を外し、敵陣に入り込んで早めのシュート選択から攻撃を完結させていく。
敵陣での仕上げにクオリティを感じるのはむしろスペインの方。ヤマルはアウトサイドからの仕掛けだけではなく、インサイドレーンからの抜け出しでもクオリティを見せていた。ハイドレーションブレイク明けにはダニ・オルモがボックス内の飛び込みで存在感を見せるなど、ポルトガルのDF陣を出し抜くケースも。よりクリティカルなチャンスがあったのはスペインの方だが、決め切ることはできず。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半も展開としては大きく変化はなし。一進一退の攻防の枠組みは同じ。その中でスペインはヤマルを軸とした攻撃を展開。メンデスが踏ん張りながらポルトガルはなんとか渡り合っていく。
しかし、そのメンデスは筋肉系の負傷で交代。セメドが代わりに投入される。ポルトガルはジョアン・ネベスの最終ラインに落ちるアクションやジョアン・フェリックスの挟み込みでサイドの守備をサポート。重心が下がった分、保持の機会自体はスペインに譲るが、メンデスの離脱がすぐに致命傷にはならない範囲のダメージに抑え込んだ感じはある。
ボックス内の動きが物足りないスペインはバエナに替えてフェラン・トーレスを投入。オルモとオヤルサバルと共にストライカータスクの均質化で勝負をかける。
決め手になったのは”ストライカーのできる中盤”の追加投入。抜け出したメリーノが冷静にシュートを仕留めてゴール。交代からチームを救ってみせた。
交代策で差をつけたスペインがイベリア・ダービーの勝者に。クリスティアーノ・ロナウドは涙と共にW杯に別れを告げることとなった。
ひとこと
メンデスの負傷からじわじわと真綿で首を締めるような戦い方をしたスペイン。MFのストライカータスクシェアの方向性もハマった。
試合結果
2026.7.6
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Round 16
ポルトガル 0-1 スペイン
ATBTスタジアム
【得点者】
ESP:90+1′ メリーノ
主審:アンソニー・テイラー
準々決勝 ベルギー戦

リリーフエース対決はメリーノに軍配
大会の本命と目されるフランスが待ち受ける準決勝の切符。奪い合うのは試合が進むにつれてパフォーマンスを上げてきている欧州の両雄だ。
共にゆったりとしたリズムでプレーすることが多い両チーム。しかしながら、この試合は非保持で相手を前から捕まえにいくアクションをすることで押し込まれることを回避しようという強い意志を感じるスタートとなった。
スペインはプレスを誘引しつつ、前線の降りるアクションから中盤の背後を狙っていく。オルモとオヤルサバルが中盤に空いた穴を突いていく形で前に出ていく。
ベルギーの狙い目は左サイド。人につく意識が強いスペインに対して、ドクがややインサイド寄りに降りるアクションと左の背後を取るデ・ケテラエルで縦に揺さぶりながらチャンスを作りにいく。
手応えがあったのはスペインの方だろう。ベルギーは2トップでロドリまで管理するようなシステム。たまにベルギーのCHが出ていくケースもあったが、いつも出ていくほど前がかりでもない。そうなってくると、デ・ブライネがいくらパスコースを消してもロドリが浮く場面は出てくる。
2トップに対して、浮く位置を探すことに関してはロドリはもはや名人の領域。スペインは攻撃の起点を作ることに成功。ロドリからの幅とライン間を合わせた組み立てとクバルシの背後を狙うアクションを組み合わせる形で徐々にベルギーを追い詰めていく。ベルギーはスペインのバックラインにプレスに出ていくことができず、少しずつスペインの保持の時間が増えていく展開に。
ハイドレーションブレイクの直後にベルギーは決壊。右サイドからのバックドアで背後を取ったポロからの折り返しをファビアンが沈めてスペインが先制する。
押し込んだ局面においては右サイドの切れ味が光っていたこの日のスペイン。ヤマルは1枚剥がすアクションのキレが上がっており、いよいよギアが上がってきた様子を感じさせる場面も。左サイドに顔を出す場面もあるなど、この日は右の幅取り役以外の顔も見せた。
ベルギーは先制されたこともあり、もう1回ハイプレスに行くがこれも空振り。スペインは前線の動き出しと1枚剥がせるヤマルを使いながら優位に立つ。
それだけにデ・ケテラエルのゴールは脈絡がない意外なものだった。一発勝負で空中戦を仕留めるデ・ケテラエルの勝負強さは間違いなく前のラウンドでの流れを汲むものだった。
瞬間的に右サイドからの攻撃の機会を取り戻すベルギーだったが、スペインが保持からのリズムを取り戻したところでハーフタイムに。試合はタイスコアで後半に。
後半は両チームともよりはっきりと中盤を最終ラインに落とすことでポゼッションの確保を優先。クバルシのタッチダウンパスなどダイレクトな展開から中盤を省略するケースもあったスペインだった。
ベルギーは右サイドのトランジッションを大事にする入り。ゆったりとした定点攻撃においては左サイドから枚数をかけた攻撃で敵陣に侵入していく。
時間が経つとやはり支配的に保持を進めるのはスペインの方。対角パスとサイドからのトライアングルの攻撃をなめらかに行っていく。ベルギーは起爆剤となりうるルカクの投入を早々に決断することになる。
ドクとルカクの直線的な動きは瞬間的な切れ味も垣間見えたが、時間の経過とともに中盤が間延びするベルギーの守備ブロックを隠すまでには至らず。こうなったら容赦なくライン間を刺す攻撃にフォーカスできるのがスペイン。左サイドにニコ・ウィリアムスを入れて、横幅もコンパクトに守ることを許さず最後の仕上げにかかる。
そして、今日も仕上げを担当したのはメリーノ。クバルシの鋭いミドルのこぼれ球をメリーノが押し込んで決勝ゴールをゲット。クルトワの負傷によって出番が回ってきたラメンスにとってはほろ苦いW杯となった。
2試合連続で貴重な決勝ゴールを手にしたメリーノ。フランスの待つ準決勝に駒を進めたのはスペインだった。
ひとこと
ルカクの投入からの反撃を抑えて、一手一手仕上げに向かうスペインらしい勝利だった。
試合結果
2026.7.10
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Quarter-final
スペイン 2-1 ベルギー
SoFiスタジアム
【得点者】
ESP:30′ ファビアン, 88′ メリーノ
BEL:41′ デ・ケテラエル
主審:マイケル・オリバー
準決勝 フランス戦

2つの災難がフランスに降りかかる
決勝までの残りの関門はあと1つ。ニューヨーク行きの切符を賭けて行う準決勝1つ目の試合はフランスとスペインのカードだ。
立ち上がりの構造は比較的どちらの保持のタームでも似ていたように思う。非保持側が4-4-2をキープしつつ、GKまでの二度追いで高い位置からプレスにいく意志を見せるスタートだった。フランスの方がオリーズとエンバペが縦関係になる分、相手の中盤を消すことの意識は高かったように見えた。
保持側が相手のCH周辺に圧力をかけるようなポジションを取るというアプローチも両チームの似ているポイント。スペインはオヤルサバル、オルモなどとにかく前の選手が降りてきてフランスの中盤が前に出ていく動きを牽制。オリーズがロドリについてくるのであれば、アンカーの選手を交換してみましょうとか、浮いているラポルトからボールを持ってみましょうで様子を見ていく。
フランスも同様だが構造は微妙に違う。こちらはチュアメニが後方に下がって3バックを形成し、ビルドアップに関与しないSBが幅取り役を敢行。クンデのいる右サイドは大外をデンベレに託す代わりに自身がインサイドに突撃していくレーンチェンジもあった。
スペインのCH-SHの間のゲートは少しギャップがあり、後方からはメニャンのフィードなどでスペインのプレスを誘引しながら間延びした中盤にフランスはボールをつけることができていた。ギャップに入り込んで反転して前を向くところまではできていたので序盤戦はフランスペースと言って良さげ。
誤算だったのはこれまでのフランスであれば「この形さえ作れればチャンスが自動的に出力される」という状況を作ったにも関わらず、反転した前線の選手のボールのリリースのクオリティが低く、自動的な出力がされなかったことである。オリーズが前を向いたタイミングで対面に引っ掛けたり、エンバペからデンベレへの対角がつけられなかったことはこれまでのフランスとは少し様子が違った。
もちろん、スペインの守備もフランスに焦りを与える仕組みにはなっていた。パスのレシーバーに対してスペインの両CBが厳しくチェックしてボールを遅らせて、ロドリの体の向いている方向に誘導しつつ、時間を稼いでる間に2列目のプレスバックでボール周辺の圧力を高めて奪い切る。
それならばフランスは右サイドから大外アイソレーションを仕掛けたいところだが、バエナとククレジャのスペインの左サイドはインサイドとアウトサイドの守備の受け渡しが抜群。前を向いて仕掛けられるシーンがなかなか作れなかった。
フランスもフランスでスペインのライン間の縦パスにはラビオが厳しくチェックをかけていたし、スペインのバックラインへのプレスの取捨選択もそんなに無理がなかった。余計なことをしないことで最後を咎められればOKというスタンスなのだろう。
それだけに試合を変えるファクターが2つ、いずれもフランス側に災難として降りかかったのは大きかった。1つ目はもちろんディーニュが献上したPK。得点の匂いがしないクロスから先制点を得ることができたのはスペインにとっては非常にコスパがいい形となった。
もう1つはサリバの負傷退場。これによって、この大会でプレータイムを積めておらず、クラブでは3バックでプレーしているラクロワを入れなきゃいけなかったことは誤算だろう。フランスにとってはビハインドシチュエーションはホルダーを積極的に追っていきたい場面。ただ、後方からサリバがいないとなると、前にスライドをしていいのかに迷いが出る。
2つのファクターがフランスに与えた影響は「失点で前に出ていかなければいけない状況となったのに、負傷者で前に出ていく上での不安要素が追加された」ということになるだろう。スペインはこのファクターを見逃さず。降りるファビアンについて来ないことをすぐに見抜くと、ポゼッションは安定。オリーズはロドリを見ておけばいいとはならなくなり、センターラインの守備基準が乱れてしまう。プレスに来ようとした時にロングボール一撃での抜け出しをちらつかせるのもスペインの憎いところ。いちいち、フランスがプレスに来ることの牽制を入れていく。
逆にスペインはハイプレスでさらにフランスに圧力をかける。このハイプレスからオルモとヤマルのコンビネーションでの決定機にたどり着いてみせた。
フランスはエンバペがライン間での降りるアクションではなく、背後のフリーランを増やすシフトチェンジを敢行。紙一重の対応を迫ることはできていたと思うが、ウナイ・シモンの後方のスペースケアの準備の良さによって、決定的なチャンスを生み出すことを許されない。前がかりのままでフランスを封じ込めるのはこの試合の前半のスペインの強みだったと思う。
後半、フランスはコネを投入。これまでのフランスの試合の文脈に噛み合わせるのであれば、前に出ていくアクションの起爆剤になってくれ!ということになるだろう。しかしながら、出ていくアクションを整理し切ることができたとは言えず、スペインの保持局面での安定感は変わらない。プレスに出るならどうぞ、来るならオルモがあなたの背中を取りますよという風情でスペインの保持局面にはまだまだ余裕があった。
フランスの保持に対してもスペインは好戦的な状況を継続。後半のパフォーマンスが光ったのはククレジャ。中でもフロントカットでインサイドに入ろうとするオリーズの動きをCHと連携して封じることができたのは大きかった。
やや持ち場を離れながらの対応になったので、大外から背後を取られてしまうのであればククレジャは苦しかったはず。けども、クンデやデンベレがククレジャの背後からクリティカルな一撃を喰らわせることはなかったので、ククレジャは対面に集中することができた。こういう時のククレジャがダルいことはプレミアファンならよく知っていることだろう。
フランスが苦しかったのは非保持と保持の両面で左サイドの怪しさが増していたこと。保持では強気に来るスペインを外しきれなかったし、非保持では出ていくアクションをカバーする動きがない。4バックに慣れていないラクロワが後方で、ビルドアップへの関与に期待できないディニュとコネであれば保持が苦しくなるのは必然だし、連携面でのぶっつけ感があるユニットであれば、一人のアクションに連動しないことも必然。ヤマルがディーニュを明らかに出し抜き始めているので尚更である。
個人的にはコネの投入はプレス局面の改善という風に考えているので、それ以外の局面で不具合が出るのはある意味仕方がないことなのかなと思う。どちらかといえば、プレス局面の改善ができない方が悪いでしょ的な。
そんなフランスを尻目にスペインは相手のウィークサイドから攻略に成功。オルモに食いついたラクロワが空けたスペースに突撃したポロが2点目を手にする。
フランスはククレジャとの対戦にフォーカスしていたオリーズを筆頭に目の前の相手をなんとかしなきゃいけないモードに突入。その影響で前後分断が激しかった。チェルキの投入はその状況を緩和するためのものだろう。ただ、チェルキもまたラクロワと同じく、この大会で文脈に乗れていない選手。投入直後からリズムを変えてはいたが、そのリズムにむしろ周りの選手が戸惑っているように見えた。ようやくリズムが合ってきたのは90分に差し掛かったところからであった。
チェルキの投入は前後分断の解消という意味では効果はあったが、スペインのボール奪取に貢献するという意味では効果が薄かったのも辛いところ。コネの投入もそうだけども、ある局面での修正が特効薬にならず、他の局面では足枷になるのはこの試合のフランスの特徴だった。
最後はバラバラ感のあるフランスに対して、スペインは粛々と試合を進めながらフルタイムを迎えることに成功。優勝候補最右翼であるフランスを下したスペインがニューヨーク行きの切符を手にした。
ひとこと
フランス目線で言えばここまで変化を迫られる必要がなかったのが大きかったように見えた。サリバの負傷と速攻で刺しきれない前線のクオリティはどちらもこの大会でここまで問われなかった話。チェルキのフィットに要した20分はこれまでの試合で文脈に乗らなかったツケに見える。
先制点の確保も含めてフランスのそうした要素を引き出したスペインは見事。ポゼッションで相手を殺すことを念頭に置きつつ、プレスバックでバックスを助け続けた中盤の面々は特に賞賛に値する。先に動かなきゃいけないフランスに対する応じ手を冷静に繰り出し続けた試合コントロールは監督も含めて評価されるべきだ。
試合結果
2026.7.14
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Semi-final
フランス 0-2 スペイン
ダラス・スタジアム
【得点者】
ESP:22′(PK) オヤルサバル,58′ ポロ
主審:イヴァン・バートン
決勝 アルゼンチン戦

当たり前の再発見
ニューヨークで迎えるファイナルの舞台にたどり着いたのはアルゼンチンとスペイン。連覇を狙うメッシにバルセロナの若武者を抱えるスペインが立ち向かうという構図はなかなか熱いものがある。
スタメンを3人入れ替えたアルゼンチンは守備の仕方を調整した感じがある。パレデスを外し、SH寄りのキャラクターのニコ・ゴンサレスが入った分、中盤がダイヤモンドになって同サイドに圧縮するアクションはなし。ただし、ロドリをフリーにしてしまうと絶対アカン!なので、マック=アリスターを前にスライドすることはやっていく。
SHが絞るアクションをそこまでしない分、横のコンパクトさに欠けるアルゼンチンの守備。そこをカバーしていたのがCBのリサンドロ・マルティネス。縦へのスライドを迷うことなく行うことでライン間に顔を出すオルモ、オヤルサバルを迷いなく潰していく。
ロドリが早めに立ち位置を調整するアクションをしてきたということを踏まえると、フランスを教訓にしたアルゼンチンは割とちゃんと対策をしたということになるのだろう。序盤のボールが行ったり来たりする流れの中では右の大外のヤマルからのポケット→即時奪回で支配を高めようとしてきたが、徐々にロドリがフリーになっていくと、インサイドの縦関係で揺さぶる形が支配的に。
相手のCBが一手遅れるのであれば、そこから背後を狙うアクションで差し切ります!ということで、スペインはアルゼンチンに真っ向勝負を挑んでいった感がある。アルゼンチンはリサンドロ・マルティネスの警告→負傷交代で仕組み自体を揺らがされながら前半を終えた印象。オタメンディがリサンドロ・マルティネスの役割を引き継げるのか?それとも他を調整するのか?の宿題は後半に残してしまった感がある。
アルゼンチンの保持はCHが縦関係気味を構築。エンソがアンカー役としてマック=アリスターはフリーロール。幅を取るニコ・ゴンサレスとタグリアフィコの間へのサイドフローが数回見られており、これは保持でギャップを取りにいくための仕掛けなのだろう。右サイドはデ・パウルが中盤ロールをこなしつつ、モンティエルが右の大外だった。
ただ、前半のアルゼンチンは保持におけるこうした仕掛けをどのように活かすか?ということよりも左サイドの縦への揺さぶりにフォーカスした感。リサンドロ・マルティネスが縦に誘導されていたニュアンスもあり、スペインの手のひらの上という要素も否めなかった。
メッシが降りて、ニコ・ゴンサレスが高い位置でのターゲットになるというところで差別化を図れれば、ニコ・ゴンサレスのスタメン起用の意義も見えるのだけども、対面のポロが見事な働きで抑え込みに成功する。序盤はスペインのパスミスからのトランジションで敵陣に迫れたアルゼンチンだったが、スペインが保持でのイニシアチブを持った時間帯以降はなかなか前進のきっかけを見出すことができず。それでもリサンドロ・マルティネスの負傷から真っ先に決壊しなかっただけ、アルゼンチンは耐えたと言える前半だったかもしれない。
後半のスカローニの決断は素直に守備の修正ベース。ニコ・ゴンサレスを下げて、パレデスを入れることで中央のユニットの上下動の負荷を下げる形となった。単純に守備を固める方策ではなく、保持ももう1回時間を作っていくよ!まで持って行こうとするのがアルゼンチンという感じである。
しかし、スペインもポロを低い位置で触らせることで対面のマック=アリスターに中央の守備に参加させない。間を広げたことでむしろダニ・オルモのライン間スペースからの加速が使えるようになった。
再び押し込む展開を作るスペインは右のヤマルを生かしながら縦突破でボックス内に混乱をもたらしていく。ここまでのスペインはペドリのSHやCFもできるIHを同時投入することで相手の基準点を乱しにいくプランだったが、この日は正位置のポジションでの選手交代が目立つ。WGもニコ・ウィリアムスを入れることで幅を取り、どちらからでも攻めることができる形で勝負をかけていくのがデ・ラ・フエンテの選択となった。
後半の頭は多少組み合う風情を見せていたアルゼンチンだったが、WG主体の攻め筋でスペインは再び一方的なフェーズに。唯一後半に殴り合いの展開に突入したアディショナルタイムでも駒損をしたのはアルゼンチン。エンソの退場で10人に追い込まれてしまうこととなった。
延長戦前半では延々と耐える展開となったアルゼンチン。WG主体で攻めていく形からボックス内でチャンスを作っていくが、メリーノが一撃必殺の仕事人を務められず、なんとかアルゼンチンが粘る展開が続く。
しかし、延長後半のファーストプレーでスペインは先制。左右のWGで揺さぶりながら最後はマイナスのフェラン・トーレスが今大会の彼の決定力をここに全て取っておきました!みたいなゴールを決めてついにゴールをこじ開けることに成功する。
終盤はニコ・ウィリアムスがやや攻守にリズムを悪くするプレーも見られたが、最後のアルゼンチンの攻撃も凌ぎ切ったスペインが防衛に成功。前回王者を倒し、EUROに続くメジャータイトル制覇を成し遂げた。
ひとこと
フランス戦の文脈から考えると、スペインの相手はどのようにラインを下げずに守り続けるか?というところが命題になることは明らか。その鍵を握っていたリサンドロ・マルティネスの負傷交代はなかなかアルゼンチンに困難を突きつけるものだった。イエローカードをもらった後にどんな姿を見せてくれるかを含めて楽しみにもしていたので、個人的にも残念だった。
スペインは少しずつ試合を自分たちの土俵に乗せる巧さが際立っていた印象。「そういえば、メッシがいるチームって守りづらいんだよね」という当たり前のことを再提示してくるような内容だった。「そういえば、ロドリを軽視するとしんどいんだった」という当たり前を提示したフランス戦に続き、自分たちの土俵の中で当たり前のことを淡々と突きつけるために振る舞ったのが準決勝以降のスペインの印象であった。
試合結果
2026.7.19
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Final
スペイン 1-0 アルゼンチン
ニューヨーク・ニュージャージー・スタジアム
【得点者】
ESP:106′ フェラン・トーレス
主審:スラヴコ・ビンチッチ
総括

戦う土俵を譲らない王者
おめでとう!ペドリ酷使おじさんとしか思っていなかったデ・ラ・フエンテで見事に国際シーンのタイトルを総なめ。ノックアウトラウンドでも徐々に凄みが増していく様子はまさしく優勝チームにふさわしい振る舞いだった。
崩しきれないカーボベルデ戦ではストライカー不在の懸念を露呈し、ピッチ内外でバタバタしていた相手に付き合うように試合のテンポを握れなかったウルグアイ戦では試合をコントロールするというスペイン本来の持ち味に疑念を感じるような内容だった。
しかしながら、ノックアウトラウンドに入って状況は右肩上がり。オーソドックスな4-4-2を標榜するオーストリアをウォーミングアップ代わりに一捻りすると、この段階からゲームコントロールの質の高さは安定。どんな相手でも保持主体でのフィールドで戦う状況をホールドすることができるように。フランスの強みが「どの体勢からでも殴れる火力」なのだとすれば、スペインの強みは「自分たちの土俵をキープする土台作り」にあるように思う。
従来のスペインはマドリー・バルサの融合で簡単にティキタカといわれるパスワークを行っていたけども、今のチームは所属もルーツもバラバラな11人で昔と変わらぬ優位性を保持面で取れているという優位がある。ナショナルチームのクラブ化という手法はイタリアやドイツもそれぞれある程度投影できたように思えるが、代表選手の集約が難しくなった中でもクラブで同じ選手が揃っているかのような保持局面での安定感を見せられていることがスペインの強みといえるだろう。
アトレティコだろうとソシエダだろうとレッドブルだろうとサウジアラビアリーグだろうと同じ文脈でプレーできる。異なるチームの面々がさっと集まってこれができるというのはやはりスペインが一番なのだろうなという感じ。今回はその部分の良さが前面に出た格好だ。
バエナ、オルモ、オヤルサバルといったプレスバックも怠らないアタッカーの登場により、ミドルブロックの守備も安定。敵陣で押し込んだ攻撃のバリエーションも両WGの火力で押し切るEUROパターンと、WGまでMF化させてCFのタスクを数人で分割する新パターンを組み合わせながら問題を解決。1つ1つの火力自体はバンバンチャンスにつながるほど鋭くはなかったけども、とにかくどの試合でもスペインの方が攻める時間が長かったことで、試行回数の供給は安定。絶対的なストライカー不足に対して腰を据えて取り組むことができた。
代表チームが憧れる代表チーム!という勝ち方を体現したスペイン。改めておめでとうございました。
Pick up player:エメリック・ラポルト
エリソンぶち抜かれおじさんがレギュラーCBというのは大丈夫なのか?と思っていたのだけども、素晴らしい危機察知能力でクバルシと共に最終ラインを統率。おそらく低いであろうシーズン中の負荷が好調につながっているのだとしたら、そこも今大会を象徴する存在だといえるだろう。
