
3回の不意打ち飛び交う偽デスマッチ
立ち上がりにこの試合を担当する実況アナウンサーが「絶対に負けられない両チームの戦い」と評した。確かに間違いではないけども、「負けさえしなければお互い問題ない」という事実が隠れているのがこの試合。いわば、ともに助かる道があることがわかっているデスマッチだ。
勝った方がスペインと試合をするという得のない条件を突きつけられていることもあり、決着をつけないままの手打ちの可能性を示唆された試合前だったが、蓋を開けてみれば完全なぬるま湯というわけではなかったこの試合。オーストリアはジリっとアルジェリアに対してプレスをしていくが、後方は無理についていくほどではないという感じ。
アルジェリアは左サイドから攻撃を加速させていきながら対抗。オーストリアも縦にパスコースが見えれば、一気につけていく様子も見せる。思ったよりも緊張感や試合を動かそうとするパスがあるなという試合に見えるし、肘打ちをかましたアルナウトビッチを見れば、この試合はきっちりと両チームが勝敗を争っているものということがよくわかった。
それでも肝心なキーパスはどこまで?というところは探り合いになっている感があったこの試合。先制点を奪ったアルナウトビッチの抜け出しはどちらかといえば不意打ちというような加速が伴う場面だった。
手打ちじゃなかったんかい!というアルジェリアはボールを持ちながら解決策探し。右サイドから粘りに粘ったベルガリが左足でゴールを捩じ込むという力技が彼らの出した解決策。45分にアルジェリアが追いつくことに成功し、前半はタイスコアでハーフタイムを迎える。
後半、アルジェリアはまったりとボールを持つ形。オーストリアは問題の種になりそうなアルナウトビッチをピッチから消し飛ばすなど再び様子を探るようなスタートを見せる。
互いに後方を重たくするビルドアップが軸で攻め立てるシーンは少なめ。それだけに前半と同じく、急加速からあっという間にザビッツァーがミドルシュートを放ったシーンは不意打ちのような感覚だった。
またしても解決策を探さなくてはいけなくなったアルジェリア。今度は左サイドから。アワールの大外を抉るアクションからマイナスのボールに遅れて飛び込んだマフレズ。アルジェリアを牽引するベテランがW杯で初めてのゴールを決める。
2回のオーストリアによる不意打ちとアルジェリアの解決策探しを経て、平穏な展開となったこの試合。互いに後ろの陣形を厚くしながら攻守ともに安定感を高めるような形に収束する。
アルジェリアのパス回しが続く展開に「さすがにこのまま終わるでしょう!」と思った93分にアルジェリアは縦パスを2つ。あっという間に抜け出したマフレズがこの試合で初めてリードを奪うゴールを決める。
初めて不意打ちをかけられた側となったオーストリア。窮地となったチームを救ったのは最後の切り札としてパワープレー要員として投入されたカライジッチ。96分に試合を振り出しに戻す一撃を仕留めてスタジアムは熱狂の渦に。3回の不意打ちにいずれも両チームは解決策を見せて、W杯史に残るドロー決着が生まれることとなった。
ひとこと
なんだよこの試合は。
試合結果
2026.6.27
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループJ 第3節
アルジェリア 3-3 オーストリア
カンザスシティ・スタジアム
【得点者】
ALG:45′ ベルガリ, 60′ 90+3′ マフレズ
AUT:28′ アルナウトビッチ, 55′ ザビッツァー, 90+6′ カライジッチ
主審:イルギス・タンタシェフ
