
アジア最後の砦が陥落
日本がブラジルに敗れてしまい、アジア最後の砦となったオーストラリア。エジプトも躍進が伝えられたアフリカ勢が次々と敗退に追い込まれていることからも大陸間での注目度が高いカードだと言えるだろう。
互いに噛み合わないフォーメーションの中で慎重に入ったのはオーストラリア。ミドルゾーンに構える5-4-1でエジプトにボールを持たせることを許容する。
エジプトのポゼッションは左サイドの片上げ。SBが高い位置をとり、SHは絞る形でローテーションを行っていく。
オーストラリアは持たれる展開に焦れることが少しずつ増えていくように。前線がワンサイドカットしながら片側サイドに幽閉しようとするが、エジプトのCHのマークが甘いことで逆サイドに逃がされるシーンが多かった。
逆サイドに逃がしながらの前進が安定してできていたエジプトは押し込むところから先制。セットプレーの二次攻撃からアシュールがゴールを決めてリードを奪う。
一方のオーストラリアの保持に対して、エジプトはSHが前にスライドしながら枚数を合わせる強気のプレス。低い位置に相手を引きつけながら、ひっくり返すような縦に速い攻撃を見せる。右のWBであるボスからの加速は多少不利な体勢でも前に出るようなポテンシャルがある。瞬発力の点では明らかに優位のあるイランクンダとともに飛び道具として機能する。
前半の終盤になると、徐々にオーストラリアの前からのプレスがすれ違わなくなってくることで試合の流れは変化。ショートカウンターからオーストラリアに手応えのある展開を呼び込むことに成功する。エジプトも少しずつオーストラリアのシャドーとWBの間にボールを届けることで落ち着かせることで対応。均衡した流れながらエジプトのリードでハーフタイムを迎える。
後半の頭はオーストラリアが主導権を握ったスタート。徹頭徹尾空中戦の強さを生かすようなオーストラリアのパスワークから一気にゴールに向かう形。ボール奪回の際にも列を上げる圧力が効いており、エジプトは飲まれるような立ち上がりだった。
その流れからセットプレーでオーストラリアは同点ゴール。サウターの一撃がオウンゴールを誘発し、試合を振り出しに戻す。
以降もしばらくはオーストラリアの圧力は続いていたが、徐々にエジプトのCHがフリーになるとポゼッションは回復。この時間帯よりあとは非保持側のプレスがかかることはなく、交互にポゼッションを行っていくバトルとなった。
サラーをトップに置く4-1-4-1→3バックという流れは右サイドを中心とした定点攻撃の整備という意味合いはあったが、これもプレスの圧力という観点では低下の方向。手当が保持の局面フォーカスだった分、展開自体は保持と非保持のタームが長くなるような傾向に流れていった。オーストラリアからすると疲れの見えるイランクンダを下げて、前線を入れ替えてもなおプレスのスイッチが入らなかったのはもしかすると想定外だったかもしれない。
延長戦も含めて保持のターン制バトルは継続。チャンスの量が大きく違ったわけではないが、ハッサンとサラーが右サイドから交互に仕掛けるという方向性がきっちりしていたエジプトの方が優位だったか。PK戦までもつれた試合は2つのキックが枠に飛ばなかったオーストラリアが敗退し、アジア勢のワールドカップはここで幕を閉じることとなった。
ひとこと
保持のターン制バトルになった時にオーストラリアは少し損をしていた感じがしたので、終盤戦にもう一度非保持で主導権を握りたかったなと思った。
試合結果
2026.7.3
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Round 32
オーストラリア 1-1(PK:2-4) エジプト
ダラス・スタジアム
【得点者】
AUS:55′ ハニー(OG)
EGY:13′ アシュール
主審:グスタボ・テヘラ
