
スリリングな展開の中に存在感を見せるVAR
ロナウドとモドリッチ、それぞれの国のトレードマークとなるレジェンドがいる両チームがトロントで激突するこの試合。Round32屈指の好カードである。
序盤から試合は睨み合いでスタート。互いにバックラインにはプレスをかけずにボールをゆったりと持つところからスタートする。
そうした中でキーになるのは一瞬で相手を斬るような切れ味のある武器を持っているかどうか。その点ではポルトガルが優位。立ち上がりのレオンのスピードを活かした一撃などはまさにそうした武器に当たる部分。相手がきっちりとブロックを組んでいる中での飛び道具という点では中盤を空洞化させながら、長いレンジのパスを駆使しつつ、遠距離でブロックを狙撃するイメージが持てるポルトガルの方が優位だった。
クロアチアはオーソドックスな2-2ビルドに右のSBが枚数調整役として関与。左のペリシッチは高い位置をとるケースが多く、ネトがピッタリとついていくことで対応したポルトガルは5バックのようにも見える振る舞いだった。
しかしながら、先述のように堅い展開の中で相手を出し抜けるような武器が足りていなかったクロアチア。なかなかキッカケを掴むことができず。またキッカケを相対的には掴めたポルトガルもチャンスは少ないままハーフタイムを迎える。
後半の立ち上がりはポルトガルが前半のように左サイドのスピードを活かす立ち上がりを見せると、クロアチアもカウンターでやり返す。この応酬が象徴するように、後半は打って変わってオープンな展開を見せたのがこの試合の特徴だった。
前半は4-5-1で構えていたクロアチアは前からのプレスのスイッチを入れることで、試合のテンポを上げていくアプローチで上下動を増やしていく。すると、サイドアタックを完結する形で先制点をゲット。スタニシッチからのクロスをペリシッチが押し込んでゴール。ポルトガルからすると両サイドの守備対応の甘さが如実に出た失点シーンとなった。
このゴールからクロアチアは一気にラッシュ。間延びしたポルトガルの守備陣形に対して、インサイドに起点を作りながら横断でサイドアタックに移行。脆くなったポルトガルのサイドの受けを再現性を持って崩していく。前からのプレスも空振りで逆にクロアチアに加速する機会を与えるなど、下手を打ってしまうことも。ポルトガルはディオゴ・コスタでなんとか凌ぐ展開が続く。
レオン、ロナウドなどの大砲の一撃から反撃を狙いつつも劣勢のポルトガルは一気に4枚交代を敢行。このギャンブルがどう出るか?を判断する前にセットプレーでのホールディングでPKを獲得。ロナウドが真ん中に蹴り込んで試合は振り出しに戻る。
これでポルトガルムードになるかと思われたが、ドリブルからのコバチッチのミドルの2連射などクロアチアも一歩も引かない展開。クロスやセットプレーではヘディングで相手の守備を出し抜くなど、決定的なシュートを打つ場面もあるが、わずかに枠をとらえない。
最終的にはクロアチアは後方の枚数を増やす選択に。だが、この策をレオンのピンポイントクロスで破ることに成功したポルトガル。2人のマーカー相手になんとかゴールに捩じ込んだゴンサロ・ラモスによってポルトガルは後半追加タイムにこの試合初めてのリードを奪う。
最終盤にはパワープレーに出るクロアチア。なかなかクロスを入れずにヤキモキする状況が続くが、狙い澄ましたクロスからの一連でグヴァルディオルがネットを揺らすことに成功。だが、これはわずかにオフサイドという判定に。
最終的には17分を数えた追加タイムを終えて勝者となったのはポルトガル。マドリーでの旧友を下したロナウドがRound16に進出した。
ひとこと
前半と打って変わって終盤はスリリング。VARが目立った試合という意味ではこの大会では暫定一位かもしれない。
試合結果
2026.7.2
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Round 32
ポルトガル 2-1 クロアチア
トロント・スタジアム
【得点者】
POR:68′(PK) ロナウド, 90+4′ ゴンサロ・ラモス
CRO:53′ ペリシッチ
主審:エスペン・エスコース
