
大人なフランスが腹を括ったパラグアイをこじ開ける
Round32において3位抜けチーム唯一の生き残りとなったパラグアイ。首位通過チームのドイツを破るアップセットを演じた次の試合はこの大会のラスボスと言ってもいいフランスである。
パラグアイのスタンスは非常にはっきりしていたと言えるだろう。もちろん、プレッシャーのかかる状態でマイナスのパスが出るなど圧力をかけるチャンスがあるのであれば人数をかけるケースもあるが、基本的には自陣での5-4-1がベースになってくる。引いて受けるということを徹底してやっていくという割り切り度合いとしてはこの大会でも一番はっきりしていたかもしれない。
保持に回った場合でもロングボールでスッキリと。相手が前から来なかった場合などは前に進めるサイドを変えるケースもあったが、奪われそうな状況で1枚を剥がすというようなアクションを自陣ですることはまずない。この点のリスクヘッジは徹底していたし、危ない状況を迎えるくらいならボールを捨てることを進んで選ぶ。最前線がロングボールを収めるという意味で適任ではないエンシソでもここまで徹底していたのは本当に腹が決まっているのだろうなという感じだ。
フランスはバルコラとデンベレというWGをシンプルに外に置く形。SBは高い位置をとりながら攻撃のサポートを探っていく。まずはサイドを突っついてクロスを入れていく形がメイン。防波堤がズラリと並ぶ中で高さ勝負のハイクロスを入れても仕方ないので、少しでもスペースを作りながらクロスを上げるような格好だ。
もっともフランスの持ち味が出せるようなライン間への差し込みからのスピードアップはこの試合ではなかなか見ることができず。狙い目となるのはむしろパラグアイのセットプレーのカウンターか、もしくは攻め終わりの局面だった。
基本的には地味にサイドから相手を押し下げつつ、先に挙げたスペースへのクロスとミドルシュートの両睨み。ミドルはWGに引力があることを利用し、サイドに相手のCHを引きつけつつ、ファーサイド側のCHの背中を取れるような位置から放つことが理想というイメージだった。
ジリジリとスコアレスのまま迎えた後半も構図は同じ。パラグアイは当然腹をくくってのタフな対応に身を投じることとなる。カウンターはエンシソとアルミロンのスピードにお任せだが、こちらもスピードに乗った対応をお手のものというフランスの守備陣に穴を開けることはできない。逆にフランスがスピードアップの隙が見える状況。トランジッションはエンバペがボールを奪いに下がるくらいにはフランスも本気度が窺える状況だった。
構図ははっきりしているが、明確にどちらのペースとは言えない試合に風穴を開けるのはやはり得点。ゴメスが自陣でPKを献上してしまい、このPKをエンバペが決めてついにパラグアイの壁は決壊する。
4-4-2でのミドルブロックを組み直し、ラインを上げながらの殴り合いにシフトしたパラグアイ。フランスからすれば、お得意のライン間パスからの加速が視野に入るシーンであったが、そうした追加点への電車道が見えなかったことを踏まえると、この日のフィラデルフィアの環境はかなり過酷だったのかもしれない。
それでも1点を守るという観点で言えば危なげなく残り時間を過ごしたフランス。パラグアイを振り切って、ベスト8に駒を進めた。
ひとこと
ストレスの溜まる展開だったが、この試合のフランスは非常に大人だった。
試合結果
2026.7.4
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Round 16
パラグアイ 0-1 フランス
フィラデルフィア・スタジアム
【得点者】
FRA:70′(PK) エンバペ
主審:イルギス・タンタシェフ
