
渦中のアメリカを飲み込んだベルギー
ドナルド・トランプまで巻き込んでの大騒動で雑音が止まらなかったこの試合。渦中のバログンはスタートからトップを務めさせるというのがポチェッティーノの決断だ。
立ち上がりはアメリカがボールを持つスタート。ベースとしてはここまでと同じ3-2-5。左サイドにはロビンソンを片上げで時にはプリシッチとレーンを変えながらという形だった。
人を気にしているけども、人を潰し切るような守備基準でなかったベルギー。本来であれば、アメリカはこういうチームに対して、細かいオフザボールの駆け引きを絡めながら、中央で反転するフリーの選手から一気に加速するのが得意技。
しかしながら、プレー選択は弱気だわ、パスの精度がイマイチだわでミドルゾーンから先に進むようなクオリティはアメリカになかった。ベルギーはアメリカの攻撃をピッチの中央付近で簡単に終わらせることができた。
ベルギーは立ち上がりこそ無理に蹴らされていた感じがあったが、徐々に対応。厳しいチェックを受けながらも反転から加速をもたらすことができるルケバキオの推進力がベルギーの生命線であった。
アメリカのらしくなさは自陣での守備でも。ブロック守備から相手の攻撃が終わった後のプレーやリアクションがとにかく雑で遅い。このスタンス故にベルギーは波状攻撃を仕掛けることに成功。ラスキンのセカンドを拾うアクションからデ・ケテラエルの一撃までの流れはこの試合のアメリカのパフォーマンスの低調さの象徴とも言える。
ハイドレーションタイムが明けると少しずつアメリカはらしさを取り戻してきた感。兆しが見えると、結果はすぐについてきた。インサイドでのバログンのファウル奪取からフリーマンの直接FKが決まり、同点ゴールを仕留める。
だが、ベルギーはすぐに反撃。トロサールの左サイドからのシンプルな仕掛けからデ・ケテラエルがゴールをゲット。2枚が寄ってきたのをモノともしないクロスを上げたトロサールはお見事。逆に言えば、フリーマンは2枚目のマーカーとしてスピードを上げたところでケアできる距離感にいたい。それが無理なら、そもそも初めから横並びでいた方が良さげである。
アメリカは終盤に右サイドのティルマンがラスキンを外すところから右サイドで加速。バログンをランナーとした攻撃は徐々にらしいスピードアップを見せる。だが、同点にする前に前半は終了。ベルギーのリードでハーフタイムを迎える。
後半、アメリカは選手交代を敢行。レイナをデストに代えて投入する。この交代に伴い幅取り役はSBにフォーカス。5人のMFでシームレスにインサイドをかき乱すことでベルギーを揺さぶっていく格好に。
ベルギーの中央に恒常的な数的不利を強いるという意味でこの交代は意味があったと言えるだろう。足の長いパス1つで背後を取ることが目立った前半に比べると、ベルギーの守備ブロックの中で前を向く選手を作るケースは前半よりも明らかに多くなった。
ベルギーは高い位置をとるアメリカのSBの背後からカウンターを狙っていく形。当然アメリカとしてはビハインドなので、このリスクを負うのは仕方ないと言ったところだろう。
だが、そのリスクの爆発の仕方は計算外。抜け出しへの対応のミスから一気に失点まで持っていかれる格好に。フリースは芝に足を取られてしまった。
後半頭のプランは活性化という意味では悪くなかったが、さすがに3失点目のダメージは重たかった感。駆け回りつつ前線にパスを供給していたバーホルターなど一部の選手は気を吐いていたが、プリシッチの負傷交代もあり、勢いに多方面から水を差された格好に。
ドクとルカクというカウンターにおける嫌がらせの権化のような2人がいたのもアメリカにとっては迷惑。いちいち時間を作られるだけでなく、トロサールとタンデムを組んで現実的なゴールの可能性まで突きつけてくるのだから溜まったものではないだろう。
最後はルカクが敵陣でのプレスから奪ったボールを冷静に沈めて4点目。前半のリードを取り返そうと息巻いていたアメリカを返り討ちにしたベルギーがベスト8への進出を決めた。
ひとこと
ちょっと、色々ありすぎたね。
試合結果
2026.7.6
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Round 16
アメリカ 1-4 ベルギー
ルーメン・フィールド
【得点者】
USA:31′ ティルマン
BEL:9′ 33′ デ・ケテラエル, 57′ ファナケン, 90+3′ ルカク
主審:アドハム・モハメド
