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「山から降りない」~2026.3.17 UEFAチャンピオンズリーグ Round 16 2nd leg アーセナル×レバークーゼン レビュー

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レビュー

差別化に成功したエゼ

 1st legではギリギリのところでなんとか引き分けを掬い取ったアーセナル。舞台をロンドンに移し、勝ったチームがそのまま勝ち抜けというガチンコの2nd legを迎える。

 立ち上がり、まずはボールを持つレバークーゼン。後方からCHがコントロールしつつ、右サイドから勝負。WBのポクにボールを預けながらサイドの奥に入っていく。

 しかしながら、次のターンからはアーセナルがゆったりとボールを持つ展開にシフト。レバークーゼンは5-4-1のミドルブロックを敷き、特色である前から人を捕まえる形は封印。プレビューを読んだ方ならばわかると思うが、プレスの方向性としては週末のバイエルン戦と似たものとなっており、アーセナルにボールを持たせることを許容する形であった。

 CHのスビメンディはあまり管理されない状態でレバークーゼンのMFラインの前で自由にボールを持つことに。左右に自在にボールを散らしながら攻撃のルートを探っていく。

 序盤にまず分かったのは、右のWGであるサカが1st legよりも良い状態にあるということ。目の前の相手に対して引き分け以上には持ち込めるという最低限のグレードが上がっていたように見えた。

 大きかったのは周辺のサポートもあったこと。1st legでアーセナルが右サイドから起点を作ることができなかったのは、パラシオスが3人目の守備者としてサイドに流れてきたことが要因だったが、2nd legではこの再現を簡単には許さず。中央に入り込むトロサールに一度縦パスを差し込むことで、パラシオスの意識をインサイドへ向けさせていた。

 本人のコンディションに加えて周囲のサポートによってパラシオスを引き剥がすことができたサカ。アーセナルはボールを受ける前の準備と、受けた後のプレーの両面で1st legよりも質の高いものを見せていた。

 もう一つ、アーセナルのビルドアップで目についたのは、相手のプレスを誘引しながらの前進。相手のプレス隊が奪えると感じる程度まで食いつかせながらボールを動かし、前に進んでいく。

 リスクを冒してシャドーとCHを引き付けたアーセナルが狙うのはレバークーゼンのCH背後のスペース。MF-DF間で受けたエゼにボールが入れば一気に攻撃が加速する。20分のシーンがわかりやすい。ライスが引き付け、間延びしたライン間でエゼが受けて左サイドのスピードアップを促した。

 基本的にはエゼの活かし方はこれでいいと思う。降りてフリーなスペースからキャリーして押し上げるウーデゴールに対し、エゼはライン間で受けて粘りながら加速し、直線的な形でスコアリングに関与する。この違いで差別化ができている。

 もちろんどちらが優れているという話ではなく、両方の要素を備えたうえで、相手に応じて配分を調整すればいい。

 この試合はライン間を比較的空ける相手であり、管理もルーズ。自分で反転できるエゼが直線的にゴールへ迫れる条件が揃っていた。

ライン間管理で浮き彫りになる差

 左右からじりっと押し上げるルートを確立することができていたアーセナル。攻めきれなくてもCKを取ることができればOKというスタンスでサイドアタックを仕掛けていく。

 ジリジリしながらもセットプレーは積み重なる。1st legではそもそもセットプレーすらもぎ取ることができなかった空白の時間が存在したが、この試合ではコンスタントにセットプレーからチャンスを得て、ブラスヴィヒのゴールマウスを脅かすことができていた。

 対するレバークーゼンは前進に苦戦。押し下げられる状況を跳ね返すための手段探しに苦戦していた。全く通用していないということはなかったが、1st legでは時間を作ることができていたコファネは先週ほどの存在感がないように思えた。作れる時間は短く、チームとしても彼にひとまず預けるという意識もそこまで強くなかったため、機会も効果も目減り気味だった印象だ。

 それでもチャンスを作るのはさすが。グリマルドが抜け出したシーンなどはかなりクリティカルな形。逆サイドから飛んできたインカピエが潰しに出たのはファインプレー。インカピエのマーカーだったポクは幅をとって受けようとした分、高い位置を取るのが間に合わなかったのが痛恨だった。

 それ以上にレバークーゼンにとって痛かったのは自陣でのビルドアップのミスが明らかに平時より多かったこと。特にチームの心臓とも言っていいガルシアが後方で繋ぎのミスを連発。なかなかリズムを掴めず、逆にアーセナルにカウンターのチャンスを与えることもあった。

 引き続きアーセナルはボールを持つ展開。この日のアーセナルはサイドだけでなく中央の活用にも積極的。狭いスペースに入っていきながらギョケレシュのポストやトロサールの細かいコントロールで少ないタッチからチャンスを作っっていく。特にトロサールの細やかなボールコントロールは中央を切り拓いて行くには必要な要素だった。

 インサイドに入ってくるアーセナルはよりクリティカルにレバークーゼンのゴールに迫っていく。チームを助けたのはブラスヴィヒ。きちんと枠内を捉えてくるアーセナルのシュートに対して、立て続けにゴールマウスを守るセーブを続ける。

 しかし、アーセナルはトランジッションから先制点。セカンド回収からライン間でボールを受けたエゼが反転してそのままシュート。稲妻のようなシュートがゴールに突き刺さり、アーセナルがこのカード初めてのアドバンテージを奪うことに成功。アーセナルとしてはトロサールからインサイドを覗く判断が奏功。きっちりと中央に入れていく姿勢がスーパーシュートの足を振る余地を作ってみせた。

 ボールを動かしながらリカバリーをしたいレバークーゼン。タッチ数を増やしながら進もうとするがアーセナルは簡単には前に進ませず。ライス-スビメンディとエゼの間に相手のCHを入れることなく管理。1st legではこのスペースにガルシアを浮かせてしまったために主導権を失ったので、その点は反省が生きている。盤石のFW-MFのライン間の受け渡しがで簡単に許さない。

 ボールを持たせながらもコントロールしたアーセナル。前半はリードでハーフタイムを迎える。

持たずとも支配する

 後半、追いかけるレバークーゼンは積極策。構えるカラーが強かった前半の守備に比べると前に出て行く姿勢が目立つプレスでスタート。

 アーセナル、きっちりとコントロール。プレス回避は安定しており、センターラインに起点を作りながらサイドにボールを逃していく。エゼからの散らしとサイドに逃したところからのギョケレシュの進撃から前に進んでいく。

 万が一ロストしたとしてもとネガトラは十分。相手がに攻め切る前にスローダウンを促し、突き抜けられない状況を作り出す。

 攻める機会は少しずつ増えてきたレバークーゼンではあるが、なかなか攻めきれない。グリマルドが多少早めにクロスを入れることは当然優先度の高い選択肢なので問題ないのだが、それ以外の選択肢の創出に苦戦。早めにクロスを入れてしまえば、アーセナルのCBを超えることができずに跳ね返されてしまうし、タメを作ろうとすればアーセナルの2列目にあっさりと挟まれてしまい、ボールを奪われてしまう。押し下げる頻度が上がっても押し下げた後の決め手がない。

 そうした中でアーセナルは追加点をゲット。ポゼッションからの即時奪回でアバウトなボールを蹴らせるとセカンド回収したライスがそのままミドルシュート。曲がるグラウンダーのミドルでブラスヴィヒの守るゴールマウスに大きな追加点を決めた。

 さらに交代選手を一気に投入したアーセナルは勢いを増して行く。直後にチャンスとなった場面はハヴァーツのハンドでゴールは取り消しになったが、得点以降もアーセナルは主導権を握っていたと言えるだろう。

 フォーメーション変更を敢行し、カルブレスでのサイド強化や前線へのシックの投入でチャンスを探っていく。しかしながら、ターゲットは増えてもクロスはガブリエウが跳ね返すし、ポケットをとってもライスが素早くスペースを埋めてしまい、クロスが入る前に潰してしまう。

 CBを外しての折り返しであれば可能性は広がるが、そうした場面は数える程度。無効化するクロスの跳ね返しを上回ることができず。それでも87分に迎えたコファネの決定機はようやくアーセナルの守備を崩しかけたが、ラヤのファインセーブで簡単に相手には割らせない。

 FW-MF間の管理、セットプレーの跳ね返しを安定感を持ってやりつつ、カウンターから更なる追加点を狙っていくアーセナル。先制点から握った主導権を最後まで離さず、強かに次のラウンドにコマを進めた。

ひとこと

 ひとまずCLは4月まで継続決定。もちろん、タフな日程になるがそれでもCLという山には登り続けたほうがいいし、ここまで1つの山も降りなかったのは自信にある。プレミアとの二足の草鞋はハードだが、それができるための準備はきっちりとできているはずだ。

 選手個々で言えばギョケレシュとエゼが普通の顔で持ち味を発揮しているのが大きい。中央を破られないためにこの2人を選択できるということはシーズン序盤では考えられないこと。その上で攻撃の持ち味もできているので非常に大きい。基礎をインストールし終え、持ち味を発揮して大暴れしてほしいフェーズに入ってきたと言えるだろう。

試合結果

2026.3.17
UEFAチャンピオンズリーグ
Round 16 2nd leg
アーセナル 2-0 レバークーゼン
アーセナル・スタジアム
【得点者】
ARS:36′ エゼ, 63′ ライス
主審:ダニー・マッケリー

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