クリスタル・パレス、26-27シーズンの歩み。
第1節 エバートン戦(A)

最終局面の差で開幕戦勝利を掴む
グラスナーがチームを去り、サージュを迎えたクリスタル・パレス。新たに冨安健洋も加わり、今季のプレミアの中で唯一の日本人が複数所属するチームにもなった。開幕戦の相手はエバートンである。
序盤にボールを持ったのはクリスタル・パレス。バックラインにプレスに出てこないエバートンに対して、じっくりと左右に動かしながら縦パスの入れどころを探していく。エバートンは様子を見ているというよりもうまく制限をかけきれていないという印象が先行する立ち上がりだった。
非保持においてもターコウスキのミスを利用してエンケティア→マテタのつなぎから決定機を迎える。序盤はパレスの方がいい入りを見せたと言っていいだろう。
しかしながら、非保持の局面から相手に対抗する術があったのはエバートンも同じ。この日、インターセプトが特に光っていたのはアームストロング。敵陣でのCHへのパスをカットするところから一気にカウンターを仕掛けていく。
クリスタル・パレスの縦パスはむしろもう1つ奥を狙ったところの方が刺さった感。ウォートンがフリーであればなお良しという感じで、エンケティアとマテタにここからチャンスを供給できた。
クリスタル・パレスの前線で物足りなかったのは仕上げの局面の精度だろう。エンケティアのゴールにつながるプレーの正確性、マテタのフィニッシュワークのシャープさのどちらかがあれば、パレスに先制点が入ってもおかしくはなかった。
ジョージ、エンディアイェのインサイドに切れ込むドリブルから少しずつ敵陣に押し込む機会を取り戻すエバートン。インサイドに突っかけるリスクを取った仕掛けからポゼッションの時間を増やしていく。
押し返すエバートンが先制点を奪ったきっかけとなったのはアームストロングのインターセプトから。ショートカウンターの機会をデューズバリー=ホールが逃さず、角度のあるところからネットを揺らして見せた。
追いかけるパレスは後半頭からポゼッションで崩しのきっかけを探しにいく。しかし、得点を決めたのはまたしてもエバートン。右サイドからのシンプルなクロスをバリーが仕留めて勝ち越し。空中戦の強さ、ポジショニングの巧みさが見えるいいシュートだった。
終盤は交互にポゼッションを行うターン制。パレスの方が得意分野ではありそうであるが、メンバーを総入れ替えした前線はなかなかバリューを発揮できないまま時計の針だけが過ぎていくことに。
ひとこと
ジリッとした展開ではあったがファイナルサードの精度の差が結果を分けたかなという感じだった。
試合結果
2026.8.22
プレミアリーグ 第1節
エバートン 2-0 クリスタル・パレス
ヒル・ディッキンソン・スタジアム
【得点者】
EVE:42′ デューズバリー=ホール, 53′ バリー
主審:ポール・ティアニー
第2節 マンチェスター・シティ戦(H)

見える設計図と見えない完成図
開幕節では苦しみながらもボーンマスを下したシティ。フライデーナイト行きとなった今節はパレスとの一戦に臨む。
お決まりのシティが保持でパレスがローブロックで迎え撃つという展開にはならなかったこの試合。序盤にボールを持ったのはむしろパレス。左右に散らしながらゆったりとビルドアップを敢行。CHの鎌田やウォートンが浮けば、そこから1つ奥に向かうことができる。
アタッキングサードでの狙いは右のハーフスペースの裏。ピノが抜けてここからアシストを狙っていく。4バック相手の狙いとしては悪くはないのだけども、少し気になるのはWBが静的な局面で相手に仕掛けるイメージが湧かないこと。ブロック崩しにおける大外のキャラクターは周りのオフザボールをエサに自分で仕掛けることができる怖さが欲しい。ミッチェルもカライリも、ついでにムニョスもそういうキャラクターではない。
シティはそのままハイプレスに出てくるパレスをいなしながら前進。アンダーソンがアンカー役となり、SBのグバルディオルは前に出ていくというポジションバランス。序盤はやや直線的なアクションが目立つ展開ではあったが、少しずつWGを活かしながら押し下げる形にシフトする。
先制点は大外からのシンプルな形。ハーランドが空中戦でリチャーズに勝利。ノルウェー代表仕様に近いハーランドの活用方法からゴールを生み出す。
パレスはハイプレスでのギアアップができないのが辛いところ。保持のところで相手を外しながら前進するフェーズはできそうだったので、そこから右のハーフスペースの裏を出口にしていく。
しかしながら、前述の通り大外が効かせるキャラクターじゃないこともあり、なかなか決め手に欠ける展開。無理が効くインサイドの選手たちが軒並み欠場していたのも辛いところだった。
後半、シティは順当に押し込みながらポゼッションでの追加点を狙う。決め手になったのはチェルキのドリブル。アンダーソンのボール奪取から加速すると、見事な緩急でパレスの3人のCBを一気に刈り取り、冷静にフィニッシュして見せた。
ピノの一撃でオウンゴールを誘発し、ここから一気に巻き返したかったパレス。しかし、再びチェルキのミドルでシティが反撃ムードを黙らせてしまう。
このゴールで試合のテンションは一気に降下。ゆったりとした展開の中でシティの交代選手がアピールを必死に続けていく。
試合はハーランドがもう1つゴールを重ねてシティの完勝。2連勝と2連敗という対照的なシーズンの幕開けになった。
ひとこと
クリスタル・パレス、やりたいことは見えてきたけども、やりたいことのために必要な選手が揃っているかは微妙なところ。
試合結果
2026.8.28
プレミアリーグ 第2節
クリスタル・パレス 1-4 マンチェスター・シティ
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:56‘ ドンナルンマ(OG)
Man City:17′ 84′ ハーランド, 54′ 59′ チェルキ
主審:アンディ・マドレー
第3節 フラム戦(A)

有史で最もオープン
共に新監督のもとでスタイルの変革を図っている両チーム。特にハードな形に変化しているのはフラム。相手の3バックに合わせるようにSHはジャンプ、後方のSBも躊躇なく縦にスライドするなど、プレッシングのアグレッシブさが際立つスタートに。
パレスはまずは横断してこのプレスを逃すアクション。インサイドのポストワークからサイドの裏を狙っていく。このサイドの出口となるパスを出したのは鎌田。パスを出した後に自身がフィニッシャーになるケースもあったが、これは半歩だけオフサイドにより認められず。このシーンでのアシストパスとなったピノのクロスも非常に試合を通して冴えていた。
フラムはボールを奪ったところからシャープに進んでいく立ち上がり。ビルドアップにおいては自陣の左サイドから前進を狙っていく。ロビンソンはビルドアップに絡まずに大外に。バッシー、イウォビと旋回しながら敵陣に入っていく。
先制点はトランジションから。チャールズのインターセプトからの折り返しをキングがシュート。このボールがディフレクトしてフラムが先制ゴールを生み出す。
先制してもプレスを緩めることはしないフラム。一方のパレスは追いかける展開となったのでプレスを強化。試合はここからかなりオープンな展開に。共に同数許容のハイラインの相手の背後をどのように破るか?というところに争点が移っていく。
ハイプレスに関してはどちらもツッコミどころはあり、相手を逃すケースもしばしば。先制点を奪ったキングが個人単位では目立っていたが、ワンサイドに追い込もうとする動きを中央のポストから左右に逃すという構造的な逃し方にはパレスの方が有力だった。
パレスの同点ゴールはまさにその形。エンケティアの逆サイドへの展開から浮いたミッチェルが豪快なシュートを仕留めた。
しかし、フラムもハイプレス破りから反撃に成功。サイドをずらしながら前進し、リチャーズを引っ張り出したところをキングで破壊。最後はパラシオスが仕留めて再びリードを奪う。
後半も展開は落ち着かずにハイプレスの応酬。スコアに関わらず、とにかくアグレッシブな形から行ったり来たりという流れは後半も健在。
その流れで次にハイライン破りに成功したのはクリスタル・パレス。左サイドから駆け上がったミッチェルがピンボール気味となったシュートを最後に仕留めて、この日2つ目のゴールを決める。
ここからはパレスがラインを下げたこともあり、フラムのポゼッションに試合は移行。ボックス内で反転するなど、相手を外せる素振りも見せることができるように。
しかし、ヘンダーソンの好守にも阻まれて苦戦していると、逆にパレスはワンツーから右サイドのハイライン破りに成功。最後はミッチェルから左WBを引き継いだチルウェルが仕留める。
壮絶な撃ち合いとなったロンドン・ダービーはパレスに軍配。逆転負けとなったフラムはこれで開幕3連敗となった。
ひとこと
有史で一番オープンなフラム×クリスタル・パレスだった可能性がある。
試合結果
2026.9.5
プレミアリーグ 第3節
フラム 2-3 クリスタル・パレス
クレイブン・コテージ
【得点者】
FUL:11′ キング, 42′ パラシオス
CRY:35′ 54′ ミッチェル, 77′ チルウェル
主審:サム・バロット
第4節 イプスウィッチ戦(H)

魔法の後半に逆転できず
序盤は互いに守備側が慎重に入った印象。相手のバックラインには無理にプレスにいかず、ミドルブロックから相手を迎撃していく。
というわけで互いにサイドからチャンスを探っていかなくてはいけない流れ。パレスは横断から幅を使っていく形。外からであれば内側が空いてくれるので、そこから逆サイドのWBを使うことでチャンスメイク。カライリが決めた先制ゴールはまさにこの形だったと言えるだろう。
反撃に出たいイプスウィッチもアタッカーが外から突っかけることで相手を剥がしにいく。インサイドを経由するという点では明らかにパレスの方が流麗だったので、サイドの景色はイプスウィッチの方が悪かった。
トランジションが失われた分、悪い意味で普通になっていたイプスウィッチ。このままでは少し厳しいかな?と思っていた矢先に同点ゴールをゲット。この得点はイプスウィッチからすると非常に見事。サイドで1枚を剥がしたところから左右に揺さぶり、最後はインサイドでフリーになったエメルソンが仕留める。
逆にパレスからすると課題が見えた失点だった。対人のゆるさ、オフサイドに関してのセルフジャッジ、そしてボックス内のクロス対応の遅さなどが失点につながった。
以降もサイドの切れ味からチャンスを作っていくイプスウィッチ。ファタウの突破力を活かしながらパレスのバックラインを突いていく。
この時間帯は保持から相手を動かすことができなかったクリスタル・パレス。だが、勢いに乗ったイプスウィッチがハイプレスに出てくると、中盤にスペースができてくるので、暴れることができる!という均衡の仕方を見せる。
展開的には一進一退。だが、ここでディザジが一発退場。タックルの間合いを見誤ってしまい、危険行為での一発レッドを喰らう。
5-3-1で構えるパレスに対して、一方的にボールを握るイプスウィッチ。右サイドからの突破で勝ち越しゴール。ハーフタイムを前にリードを確保する。パレスはここでも守備のチェーンの切れ方がまずい格好。数的不利とはまた違う不安要素が見えた。
後半頭は初めこそイプスウィッチが保持で制圧しそうな流れだったが、時間の経過とともに3バックと3センターがイプスウィッチと微妙に噛み合わないことを利用してパレスが一気に主導権を回復。押し込みながらゴールに迫っていく。
イプスウィッチは完全にプレスの的が定まらずに苦戦。一方的に殴り続けられる。交代策もどちらかといえばカウンターフォーカスの状況を助長するようなテイスト。守れていない中で押し込まれることを受け入れてしまう流れとなる。
その結果、パレスはラーセンの反転シュートで同点に追いつく。さらにゴールに迫るパレスは追加点まで一気に狙えそうな状況だった。
だが、80分が過ぎたところでパレスの魔法は切れることに。イプスウィッチの保持に対して前に出ていくことができなくなったパレスは、今度は自陣に押し込まれてしまう。
左右からのクロスはやや狙いが定まっていないように見えたイプスウィッチだが、幸運なゴールポストからの跳ね返りを最後はフレミングが仕留めて勝ち越し。10人のパレスに苦しめられたイプスウィッチだが、最後は3ポイントを確保した。
ひとこと
魔法が効いている間になんとか勝ち越しておきたかったパレスだった。
試合結果
2026.9.12
プレミアリーグ 第4節
クリスタル・パレス 2-3 イプスウィッチ
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:14′ カライリ, 75′ ラーセン
IPS:23′ エメルソン, 45′ デイビス, 90′ フレミング
主審:クリス・カヴァナー
