マンチェスター・ユナイテッド、26-27シーズンの歩み。
第1節 ハル戦(A)

帰還したハルが土曜の幕開けを飾る
開幕週の土曜日の先陣を切るのはマンチェスター・ユナイテッド。キャリックが初めてのプレシーズンを過ごした勝負の2026-27シーズンは、昇格組のハル・シティとの一戦から幕を上げる。
序盤からボールを持つのはマンチェスター・ユナイテッド。ショウが左の大外を取るややシステマティックな3-2-5からポゼッションをしていく。ハルは5-4-1で構えることで、ある程度ユナイテッドのバックラインには自由を与える形だ。
狙いとなるのはダイアゴナルな背後へのラン。ブルーノ・フェルナンデスなどインナーレーンの抜け出しからチャンスを作っていく、一撃必殺感がある組み立ての方策となっている。
ハルはシンプルなロングボールから前進を狙っていく形。マクバーニーがロングボールのターゲットとなるところからボールを引き出し、サイドの裏から一気に陣地回復を視野に入れる。
意外だったのはユナイテッドがハルの保持に対して特にCBにプレスをかけに行く素振りを見せていないこと。ハルは後方でボールを動かしながらロングボールのターゲットを狙っていく形を探っていく。
単純な形ではあるが、むしろ手応えとしてはハルの方が上。サイドからスピーディーに抜け出しながら、インサイドでマクバーニーにクロスを上げる形で仕上げにかかる。
空中戦で主導権を握れそうな雰囲気を作ることができたハルはセットプレーから先制点をゲット。アジャイの一撃で昇格後初ゴールを奪う。
ユナイテッドは失点してもギアアップできず。オフザボールの量もハイプレスの圧力もかからず、ハルの大外からのクロスを咎めることができない。
保持ではようやく支配感が出てきて左右に散らしながら押し下げていくユナイテッド。マイナスのミドルやセットプレーでジリジリと攻撃の機会を増やす。だが、セットプレーでネットを揺らしたのはまたもハル。ライナー性のボールにフリーで合わせたメンディにより、ハルがリードを広げる。
2点のビハインドを背負ったユナイテッドはラッシュフォードをHTに投入。前半のドルグに比べると、少し外側のレーンに立ち位置も修正したようで左サイドは活性化。ストライカーらしい抜け出しからのチャンスメイクも出てくるように。
対角パスからのムベウモなど、散らすような展開も後半からは見られるように。前半よりは得点を取ることに腰を据えることができているようには見えた。
しかし、最後のゴールに迫る局面の工夫ができず。シェシュコを投入し、パワー側に舵を切ったものの、打開ができないまま時間だけが過ぎていく。
ゾラキス、イーガンを中心に守り切るハルを慌てさせることができないままタイムアップ。ユナイテッドの26-27は昇格組相手の敗戦から始まることとなった。
ひとこと
単調さが拭えなかったユナイテッドだった。
試合結果
2026.8.22
プレミアリーグ 第1節
ハル 2-0 マンチェスター・ユナイテッド
THE MKMスタジアム
【得点者】
HUL:17′ アジャイ, 38′ メンディ
主審:ダレン・イングランド
第2節 イプスウィッチ戦(H)

得点ラッシュで相手をへし折る快勝
開幕戦はハル相手に敗北を喫してしまったユナイテッド。オールド・トラフォードでのリーグ初陣は同じく昇格組のイプスウィッチとの対戦となった。
序盤は降りるクーニャから左右に散らすようなプレーもあったマンチェスター・ユナイテッド。左はラッシュフォード、右はムベウモを中心としたサイドアタックを敢行。右サイドはダロトなどと3人目の動きを画策するが、献身的に戻る前田をはじめとしてイプスウィッチの守備陣の枚数が揃っていたこともあり苦戦。徐々にクロスやシュートの選択のタイミングが早くなる。
極端に早めの仕掛けをした結果、試合は徐々にオープン合戦に。ユナイテッドのプレスはハル戦よりは時折高い強度で観測することができたが、イプスウィッチは基本的にはこのスピード勝負には乗っかりたい構え。スペースがある状況でのエンシソのキャリーはなかなかユナイテッドにとってはややこしいものだろう。WGは静止した局面でもスピードで対面に優位を取ることもできる。前田が大外レーンからダロトを脚力でぶち抜いたのは驚きだった。
イプスウィッチは逆サイドの仕掛けから先制。ファタウがアプローチに来たショウの逆を取ってボックス内にサイドから侵入。折り返しをデイビスが丁寧に流し込む。
トランジションからのチャンスに攻撃がフォーカスしていたユナイテッド。ゆったりとボールを持つケースもあるが、シュートやクロスの選択が割と早めで遠い位置からアバウトにしかゴールにアプローチができていなかった。
デイビスにさらなる決定機を与えるなど苦しい試合となったユナイテッド。しかし、ヌニェスのミスを逃さずカウンターでブルーノが同点に。タイスコアでハーフタイムを迎えることとなった。
後半は前半とは打って変わって一方的な展開に。ポゼッションからユナイテッドがゆったりと主導権を握ると、徐々にサイド攻撃が手応えのあるものに。上下動の揺さぶりから少しずつイプスウィッチの守備陣が体を投げ出して守るシーンが増えていく。
奪ったボールをどう処理するか?というところも含めて不安定なシーンが続いていたイプスウィッチ。エンシソが自由に運ぶシーンも限られるように。自陣に釘付けになったところに、マグワイアがオウンゴールを誘発するダイナミックなシュートを叩き込んで均衡を破る。
直後にCBの間をかち割ったクーニャの抜け出しでPKを獲得したユナイテッド。この3点目で試合の決着はもう決まったと言ってもいいだろう。献身的に上下動して攻守を成立させているイプスウィッチの仕組みはこれで折れてしまった感があった。
さらに2つのゴールを重ねたユナイテッド。イプスウィッチも終了間際にエンシソがハイプレスから意地の一撃をお見舞いするが、反撃はここまで。ユナイテッドが本拠地で今季初勝利を挙げた。
ひとこと
立て続けの得点で一気に流れを引き寄せたユナイテッド。縦への鋭い意識が奏功した試合だった。
試合結果
2026.8.30
プレミアリーグ 第2節
マンチェスター・ユナイテッド 5-2 イプスウィッチ
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:40′ 61′(PK) 68′ ブルーノ・フェルナンデス, 56′ グリーブス(OG), 82′ ムベウモ
IPS:29′ デイビス, 90+1′ アクポム
主審:クレイグ・ポーソン
第3節 エバートン戦(A)

特大インパクトの自己紹介
デッドラインデーでは駆け引きに失敗し、FWの補強は叶わず。トップチームでのCFはバリーただ一人という状況で残りのシーズンを戦うこととなったエバートンである。
いきなり試合はマグワイアの頭部の負傷でスタート。一時は10人となったことでエバートンがゆったりとボールを持つ展開で始まることとなった。
エバートンはGKを絡めながら自陣からショートパスで繋いでいく。左サイドからエンベウモを手前に引き寄せつつ、その背中をジョージで取る。
ジョージ自身が旋回、もしくはダイレクトに落とす人がいるかどうかという設計で出口を作ることができるか勝負。そうした賭けに序盤はかなり勝っていた。
非保持においてはいつも通り、ガーナーとアームストロングのところでボールを取り切りたいエバートン。しかしながら、必勝パターンに持ち込むには障壁が多い試合。早々にアームストロングが警告を受けてしまったのが1つ。もう1つはCHが前がかりに出て行こうとした時に、クーニャやエンベウモが背中を取るように縦パスをレシーブすることを狙ったこと。
敵陣に入っていくユナイテッドだが、少し仕掛けは早め。もう一手二手かけたいところでシュートを打つケースが散見された。
それでも左サイドのラッシュフォードは違いを時折見せることでミドルからあわやというシーンを演出。だが、ネットを揺らすことはできないまま。エバートンもレールが右の外からトランジションに出ていくが、こちらもユナイテッドの守備は間に合っていてチャンスには繋がらなかった。
前半ジリジリしていた展開は後半早々に嘘のように決着。インサイドに入り込んだエンベウモのミドルで先制。ドリブルに対するリアクションが遅れてしまった感があった。
返さなくてはいけないエバートン。だが、エバートンの左サイドの仕掛けに対するユナイテッドの守備者は少し遠さが気になるところ。ジョージはのびのびと仕掛け、ハーフスペースを抜ける味方との連携で大外を抉る。
時間の経過とともに左サイドのマークがタイトに。そのタイミングでグリーリッシュというのはなかなかにニクい。ユナイテッドの守備のロストの多さも相まって、この時間はエバートンペースだと言っていいだろう。
押し込む機会が増えたエバートンは右サイドのジョージが強烈な一撃で同点。鋭くニアを撃ち抜くシュートで追いつく。
ショウの高精度クロスからの88分のシェシュコの勝ち越しゴールはこの試合を決めるのに十分なものかと思われた。しかし、この日のヒル・ディッキンソン・スタジアムにはそれ以上の決め手が。実質ラストプレーで見事なゴールを叩き込んだのはメイトランド=ナイルズ。緊急出場となったデビュー戦でホームのファンに特大の自己紹介に成功。エバートンは勝ち点1を最後の最後で掴み取った。
ひとこと
ちょっと最後のシュートは凄すぎて言葉がないね。
試合結果
2026.9.6
プレミアリーグ 第3節
エバートン 2-2 マンチェスター・ユナイテッド
ヒル・ディッキンソン・スタジアム
【得点者】
EVE:83′ ジョージ, 90+6′ メイトランド=ナイルズ
Man Utd:47′ エンベウモ, 88′ シェシュコ
主審:ジョン・ブルックス
第4節 マンチェスター・シティ戦(H)

数と結びつかない武器
新監督の元でロケットスタートを決めているシティと、正式監督に着任してからはどこか閉塞感が否めないユナイテッド。ここまでのシーズンの運びはやや対照的な両チームのダービーだ。
序盤からボールを持つのはシティ。後方は3-1型、前線は遊びを持たせた6枚による動きをつけながらの前進で敵陣に入っていく。
アンカー役のアンダーソンのサポート役となったのは、エンソではなくトップ下のチェルキ。枚数を調整しながら後方でボールを動かしていく。
対するユナイテッドはロングボールから。ただし、この日はロングボールのターゲットとなる前線はいないので、対角パスでサイドを終着点としたキックが多かった。
インサイドにボールをつけることができなかったユナイテッド。外外での攻め筋となり、クリティカルな形で敵陣にボールを送り込むことはできず。
むしろ、ユナイテッドの手応えとなったのはプレッシング。4-4-2からCHのメイヌーがジャンプしてアンカーのアンダーソンにプレスをかけていく形はどことなく有効。強引に取り切るのではなく、ジリジリと圧力をかけて相手のミスを呼び込むのがうまかった。
シティはショートパスからプレスを回避していきたいが、ミドルゾーンでの少ないタッチでのミスが目立ったことで脱出できず。保持からリズムを掴むことができない。
とはいえ、ユナイテッドも決め手を欠く中で主導権がどちらに流れるかは難しいところ。そうした中でフォーデンが報復行為で退場。シティは10人での戦いを余儀なくされる。
シティのポゼッションに変化はなし。3-1をベースに中盤のヘルプなどレーンを明確に固定せず、流動性を持たせながら攻め筋を作っていく。あえて不確定要素を作っている感は個人的にはいい方向性だったように思える。
ユナイテッドは少しずつ保持のターンを増やしていくが、外循環でインサイドにパスを差し込むことができないのは同じ。大外での無駄なオフサイドなど、ため息が出てしまうような攻撃の終わり方が多かった。一番惜しかったのはラッシュフォードのFKという、退場が起きた展開とはあまり関係ないものだった。
後半、ようやくユナイテッドは左右に散らしながらメイヌーのミドルなど、保持の長所を活かした攻撃からゴールに迫っていく。隙があればラインの高さを回復しようとするシティに対して、裏を取る動きを見せるアプローチも悪くはなかった。
ただ、誤算だったのは前半よりもプレスの強度が落ちていたこと。シティがなりふり構わずハーランドを前進手段に使ったこともあり、ユナイテッドは少しずつ自陣に押し下げられる場面も出てくるように。
すると、左サイドからのクロスをハーランドが一撃で仕留めることに成功。エンソのオフサイドの有無が物議を醸したゴールではあったが、この試合では得点は認められることとなった。
反撃に出たいユナイテッドだが、とにかく保持で勢いが出てこない。サイドでの少ない人数での攻撃、セットプレーでのマグワイア、強引なミドル。武器がいずれも数的優位というシチュエーションを活かしきれていない感が否めない。
相手の守備ブロックを越えてもそこに待っているのはドンナルンマ。ファインセーブでユナイテッドのチャンスをシャットアウトする。
10人で受けながらリードを守るという慣れない展開でも勝ち点3を確保したシティ。開幕からの連勝をさらに伸ばし、アーセナルと再び勝ち点で並ぶこととなった。
ひとこと
崩しに3人以上の連携のカードが出てこないと10人だろうと11人だろうと押し込む試合は難しくなる感が見えたユナイテッドだった。
試合結果
2026.9.13
プレミアリーグ 第4節
マンチェスター・ユナイテッド 0-1 マンチェスター・シティ
オールド・トラフォード
【得点者】
Man City:60′ ハーランド
主審:マイケル・オリバー
