
素晴らしい筋書きと指揮官の雄叫び
リーグ戦ではここ2試合勝利がないチェルシー。ジョアン・ペドロという前線の核抜きでブレントフォードとのアウェイゲームに挑むという、代表ウィーク前のラストゲームは大きな試金石になりそうな試合である。
前半は端的に言えば、保持側が互いの布陣のギャップを有効活用している試合だったと言えるだろう。チェルシーは左右のWBを出口として積極的なクロスを入れていく。ブレントフォードはプレスの位置を上げようとSHがポジションを取り直す分、布陣にズレが出やすくなっていた。アンソニーの前に出ていく意識を抑制することで後方の陣形を合わせていたが、その分チェルシーはゆったりとボールを持つことができていた。
ブレントフォードもワンサイドカットを狙うチェルシーのプレスをかわしていくことで敵陣まで。CBをきっちりと浮かせてキャリーしつつ、サイドアタックに移行する。
レーン交換で誰かを浮かせる意識が強いチェルシーのサイドアタックに比べると、ブレントフォードはきっちりと奥を取って揺さぶっていく形を積極的に採用。少ないタッチから抜け出す選手を作っていく。
この点に関してはチェルシーの守備が非常に上手く対応しており、これまでの試合に比べると完成度が上がっているように見えた。光ったパーマーのプレスバックも含めて、これまでの試合よりも一段階上のパフォーマンスを見せることができたと言っていいだろう。
アンソニーがラインを下げたことでチェルシーに保持の機会を譲ったブレントフォードだったが、トランジションからダムズゴーのキャリーを増やしていくことで、こちらも左サイドを中心に反撃の様相を見せていく。
徐々に増えていくトランジションの中でパーマー、ネト、シャーデといったここまで好調な選手たちが鋭さを見せるが、守備側も負けじとこれについていく。スコアレスの中でも見どころのあるファーストハーフとなった。
後半も前半と同じくアグレッシブにお互いが食らいついていく流れ。ブレントフォードはチアゴが左サイドに流れる機会を増やし、時間を作れるようになった分、ルイス=ポッターの攻撃参加時の存在感が増していく。
一方のチェルシーはトランジションからのファストブレイクのチャンスを探っていくが、相手のCBの対応が素晴らしかったとはいえ、ウェルベックがなかなか高い執行力を見せられないのが辛いところ。右サイドからのダイレクトクロスや配球を行っていたヘンダーソンにも少し似たようなことが言えるようにも思える。
そういうわけでジリっとペースを引き寄せたブレントフォード。左サイドを軸としたクロスで攻勢を強めていくと、得意なセットプレーで先制。ファーサイドの折り返しをフリーのアンソニーが仕留めて試合を動かす。
ブレントフォードは徐々に前からのプレスを抑制。4-4-2で構えながらチェルシーを迎え撃つ。チェルシーも4-4-2にシフト。クエンダをサイドに投入し、前線はロジャーズとパーマーというダブル0トップのような体制だ。
右サイドからファーサイドへのクロスを狙っていくチェルシー。だが、ブレントフォードのDF陣のボックス内でのクロス耐性が強く、効果的な形を生み出すことができない。そもそもダブル0トップでやることなのかという話もあるけども。
ブレントフォードが虎視眈々と狙っているカウンターが完全に刺さったのは83分。ダムズゴーがDFラインを置いていくパスを出した時点で半分は勝負あり。マルティネスがセーブでわずかに望みを繋いだが、チアゴが無人のゴールに押し込んでその望みを握りつぶした。
チェルシーから見ると、ヘンダーソンからCFへのギャンブルパスが潰されたところからのカウンター。ジョアン・ペドロが欲しかったなという試合を象徴するような失点の仕方に。
最後は負傷明けのカルバーリョが得点を祝うという素晴らしい筋書きを実現したブレントフォード。沈黙のシャビ・アロンソを尻目に雄叫びを上げたアンドリュースの姿が、後半の両チームの姿をよく表していた。
ひとこと
セットプレーで試合を動かして、そこからカウンターで得点を積んでいくというブレントフォードの振る舞いはもう強いチームのそれ。
試合結果
2026.9.18
プレミアリーグ 第5節
ブレントフォード 3-0 チェルシー
G-techコミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:61′ アンソニー, 83′ チアゴ, 90+4′ カルバーリョ
主審:アンディ・マドレー
