
カーディフでアーセナルが景気良く幕を上げる
プレミアリーグ開幕に先駆けて行われるコミュニティシールド。今年は昨季の終盤までリーグタイトルを争った2つのチームによる一戦となる。
試合はいきなり動くことに。得点を決めたのはリーグ王者のアーセナル。ルイス=スケリーが相手を外したところからのラストパスを抜け出したカラフィオーリが仕留めて先制。わずか25秒でリードを奪うことに成功する。
この場面に象徴されるように前半は非常にアーセナルのパスワークが冴えていた。基本的なビルドアップはカラフィオーリ以外の3枚が最終ラインに残る格好。ラヤが関与すればホワイトがSBロールとなるイメージだ。
中盤はアンカー役となるルイス=スケリーにカラフィオーリとギマランイスが加わる形。後方の枚数調整役となるのはギマランイスで、ウーデゴールは1つ前の位置でフリーロールにフォーカスする格好となった。
序盤に目立ったのはギマランイスのゲームメイクの優秀さだろう。シティは4-4-2からジリっとハイプレスに移行するが、ギマランイスが落ちてボールを受けるアクションを入れることでシティのプレスを完全にへし折っていた。ウーデゴールが高い位置にフォーカスしたという意味では、ここしばらくのアーセナルでは見られなかったバランスを実現したと言っていいだろう。
加えてアーセナルのもう1つ大きな武器になっていたのはトランジッション。非保持においては同じようにシティの3バックをベースとした組み立てに対してマドゥエケが外から切りながらハイプレスを起動するような形になっていた。
このハイプレス仕様から自陣での4-4-2ローブロックへの移行が非常にスムーズ。アーセナルの前線のプレスバックからボールを奪い、そこからカウンターを仕掛けるという形はとてもよくハマっていた。前線に飛び出すカラフィオーリはシミュレーションこそ余計だったが、体のキレを感じさせる部分があった。
アーセナルのハイプレスで印象的だったのはマドゥエケの外切りがほぼマイナスを吐いていなかったことだろう。昨季のエティハドでのリーグ戦においては前に出た右WGのマルティネッリが出ていった背後をオライリーに運ばれたところからアーセナルは失点している。シティ戦以外にもWGの外切りをカバーする右CHのスビメンディの行動範囲の狭さ(アーセナルのCHとしては狭いだけではあるけども)はハイプレスの弱点になっていた。
だが、ここはほぼギマランイスになったことで完璧に解消。マドゥエケの背後を完璧にカバーしていた。そのギマランイスが出ていったスペースもモスケラが出ていって潰すアクションをしていたので、ユニットとして完成度が高いなという印象だった。
逆に言えばシティからすると、ハイプレスを撃退したタイミングは一番アーセナルの守備が安定していないフェーズだっただけに、この局面で保持に不安定さがあったのは気がかり。ミドルゾーンでのスピードの調整役がいなくなり苦戦していることと、後ろ向きのパスの精度不足の2点が気になった。
保持局面の安定感を取り戻すフェーズにおける近年のシティのお決まりはベルナルドの列落ち。この試合ではオライリーが中盤に入った後に同様の役割をやろうとしていたが、やはりまだ不慣れな感もあったのが難しいところ。高い位置でオライリーを使えなくなるというところも含めて、シーズンに向けて少しバランスを見直したいところではあった。
シティの攻撃の狙い目はライン間のフォーデンだろう。ルイス=スケリーは中盤で相手を逃したり、あるいは最終ラインに吸収されるタイミングが早い分、アーセナルのバイタルエリアを空けてしまうケースがあった。この局面は明らかにシティの狙い目になりそうだった。
しかしながらコンスタントにビルドアップから相手のプレスを剥がすことができるアーセナルに比べれば、チャンスメイクの頻度にはかなり差があった印象。高い位置に専念することができたウーデゴールからファーのツォリスへ。折り返しを最後はハヴァーツが押し込んでアーセナルは追加点を奪う。
トランジッションから1on1を迎えることが多かったマドゥエケが相手の逆を取ることができないという点は懸念ではあったが、他は基本的にはパーフェクト。ドク相手に食らいついたホワイト、広い範囲をカバーしたガブリエウ、少ない機会でもファインセーブを見せたラヤなどバックラインも含めて充実のパフォーマンスだった。
後半、シティはポ 後半、シティはポゼッションのバランスを調整。特に前半はIHロールだったアンダーソンをコバチッチとフラットに並べながら後方の出し手を増やす。
しかし、すぐに結果を出したのはまたもアーセナル。中盤でフリーとなったルイス=スケリーから左サイドへの展開を受けたツォリスがパスでウーデゴールの決定機をお膳立て。1stタッチとシュートフェイクでシティの守備陣を置き去りにしたウーデゴールが3点目を確保した。
このゴールで試合の強度は低下。シティとしてもアーセナルとしても積極的な交代で試合を落ち着かせにいく。アーセナルのバランスは前半とは異なる形。ライスとインカピエの投入により中盤全体の重心は下がり気味。ウーデゴールも低い位置に下がりながらボールとともに高い位置に進出するシーンもあった。
大外にインカピエがいる分、ツォリスはインサイドでのMFロールをこなしていた印象。この辺りの柔軟さも現状の左SH競争の中では有利になる部分かもしれない。
シティのプレスは全体の重心を上げての4-4-2であったが、アーセナルの後ろ重心の対応が一枚上手。安定したポゼッションは後半も健在となった。
逆にシティのポゼッションも安定感はあったが、アーセナルはハイプレスでの深追いがいろんな側面で不要となったことも影響していると言えるだろう。高い位置でのパス交換はチェルキが登場してから右サイドで少し活性化した感もあったが、いつものようにローブロックで体を張るアーセナルの守備陣を崩すことはできなかった。
25秒の先制ゴールから一方的に試合を握り、シティを寄せ付けなかったアーセナル。まずはシーズン開幕前のワンマッチを制した。
ひとこと
半分プレシーズンマッチなのがコミュニティシールド。勝つと気分はいいけども、本番はアーセナルもシティもここからである。
試合結果
2026.8.16
コミュニティシールド
アーセナル 3-0 マンチェスター・シティ
プリンシパリティ・スタジアム
【得点者】
ARS:1′ カラフィオーリ, 28′ ハヴァーツ, 48′ ウーデゴール
主審:サム・バロット
