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レビュー
左サイドのマドゥエケの効果は?
ブライトン戦で惨敗を喫し、長い3週間のインターナショナルブレイクに突入したアーセナル。再起を図る一戦はリーズとのランチタイム。ブライトンに続き、今季無敗の中堅勢との対戦から巻き返しを図る。
リーズは立ち上がりからハイプレスでスタート。前節にアーセナルを破壊したブライトンのように、前から積極的にじりじりとプレッシャーをかけていく。
アーセナルはハイプレスに対して、ハヴァーツを活用しながら回避。列を上げて前プレに加わるリーズの中盤に顔を出してボールを引き取ったり、あるいは右サイドの裏に流れながらボールを引き出していく。前節は起点として機能しなかったことでブレーキになったハヴァーツだったが、序盤から激しいプレッシャーをいなしていくことに貢献して見せた。
ハイプレスをかわされたリーズにとって次の一手はリトリートで5-4-1のブロックを組むところまで時間を稼げるかどうか。ハイプレスは空回り気味ではあったが、リトリートして5-4-1の陣形をキープするというスピード感は見事。素早く自陣にブロック守備を構築する。
アーセナル目線で話をすれば、リーズの5-4-1が整う前に崩し切るか、整ってからきっちりとブロックを壊せるかのどちらかのルートを取る必要がある。サカが1on1で支配力を発揮できるわけではなく、ホワイトのオーバーラップもオフサイドでタイミングが合わない右サイドはやや停滞気味。クリティカルな攻撃を打つことができない。
有力なのはマドゥエケがWGを務める左サイドの方だった。左のマドゥエケは縦突破にフォーカスする分、ボールは守備者から遠い位置に置かれることが多く取りにくい。バレていてもきっちりと可能性があるクロスを上げ切れるのは見事だし、縦を相手が防ぎに来てもマイナスの相手を使うことができる冷静さはあった。
ただ、この日の左サイドには選手が集結しており、ボールを持つ方向に変化が付かなかったのは難しいところ。かつ、速攻においても前方にスピードが出るようなパスをつけることができず、後ろ足側にパスをつけてしまうことでスローダウンしてしまったのはもったいない。5-4-1のミドルブロックを組む時間をリーズに与えてしまった感があった。
それでもマドゥエケの左サイドでの活用は及第点だと言えるだろう。縦のクロスに対しての飛び込み方の設計、縦にいけない時のフリーランの活用方法を整理できれば面白いなと思う。
そもそもクロスの精度が高いからこそ勝負ができる節もある。右サイドからのカットインなど、ドリブルした後の力みがそのままシュートやクロスに出るイメージだけども、無理にスピードに頼って抜くようなプレーが少ない左サイドではそうした力みがないのも面白い。
ファーへのいやらしいクロスに苦しむ
リーズの序盤の前進はひとまずキャルバート=ルーウィンを活用したものが中心。ロングボールを微妙に左右に流れながら受けることで起点を作りにいく。
カジュアルな起点作りはコンサが阻止した感がある。簡単に前を向かせず、長い足で攻撃をカット。ロングボールの跳ね返しですべて勝つというわけにはいかないけども、相手にここから前を向く形を作らせない。
リーズは田中が列落ちで最終ラインに+1として加わり、右サイドのユニットから押し上げを敢行。ボーグルがWG、ジャスティンがSBのような縦へのポジションスライドを見せる。
ただし、押し下げた後のクロスの設計は悪くなかった。クロスのターゲットの本命であるキャルバート=ルーウィンの背中に人を忍ばせるのがとても上手く、マークが集中しているところを一つ外して味方につないでチャンスを迎える。
アーセナルもラヤが強引にファー狙いのクロスに対応しに行った結果、十分にクリアの距離を出すことができず、空けたゴールマウスを狙われたシーンもあった。ああいうゴールから遠ざかるクロスはGKが解決しにくい類の軌道だと思う。
さらにはアーセナルは自陣からの陣地回復をするためのパスワークに不安定さが。パスをカットしてもう一度攻める機会はアーセナルにブロック守備を形成させないまま攻め込むことができるチャンスでもある。
ただし、多くの場面ではアーセナルはきっちりと押し返しができた印象。左サイドからのマドゥエケを軸とした攻撃は前半の決め手にはならず。リーズが5バックだったこともあり、ハーフスペースの突撃→GKとDFの間を通すクロスに対しては障害が多かった印象だ。
逆に中盤中央の推進力を活かしたロングカウンターは有力。田中、アンパドゥといったCHに次々とカードが出たことはリーズにとって苦しい場面でカードをもらってでも対処せざるを得なかった証左だろう。
カードを受けてもライスに粘り強く食らいついていく田中は非常にうざかった。もうちょっとイエローを受けているのだから自重をしろと言いつつ、この出来であれば次の出番も期待できるなという感情を持てるパフォーマンスでもあった。
自信を深めるミドルシュートの機会創出
後半、アーセナルは落ち着いて左右のサイドで押し下げながらのポゼッションを敢行。WGを軸とした仕掛けのチャンスを作りにいく。
対するリーズも幅を使いながらのポゼッション。中盤まで行動範囲を広げるケースが多かったキャルバート=ルーウィンを起点に右サイドのボーグルに振っていく。ボーグルである程度幅と深さをとることで、ここから後方のジャスティンの攻撃参加やマイナスのミドルシュートまでの時間を作っていく。
先制点もキャルバート=ルーウィンを起点としたスピードアップから。左サイドを縦に縦に進むことに成功したリーズ。左の奥からのクロスをジャスティンが仕留めて先行する。
アーセナル目線で言えば、ラヤのクロスカットが最後の頼みの綱だった感じ。おそらく正ポジションに入ることができれば、ジャスティンのシュートをセーブできた可能性はあったはず。この賭けに負けたのが最後の救えるポイントだったように思える。
マドゥエケのプレスバックがあればというのもわかるが、結果論的な話をするのであればボーグルへのパスルートはほぼないので、カラフィオーリがニア側に引っ張られてしまったのは辛いところでもある。裏を返せばボーグルはいいフリーランだった。個人的にはふらっと前に出て行ってスピードアップを阻害できないまま裏を空けてしまったホワイトの方が気になったりする。
アーセナルは流れに乗れずリーズにカウンターを許す場面もあったが、立て続けの失点を阻止。すると7分後には失点のリカバリーに成功。左サイドからマドゥエケのクロスをファーのホワイトが折り返し。飛び込んだカラフィオーリが仕留める。CB2人に管理され続けたハヴァーツの引力を活かした見事なカラフィオーリの飛び込み。こういう受け渡しミスによるエアポケットの発生には左右に相手の視線を振り回すことが有効であるということがよくわかるゴールだった。
アーセナルはさらに8分後に追加点をゲット。左サイドからポジションチェンジとパス交換で丁寧にスペースを開けていく。最終的にはアンパドゥがマークをサボってウーデゴールを空けてしまったのが致命傷。ウーデゴールとライスの連携で前を空けたギマランイスが仕留める。
こういうアタッキングサードにおけるナロースペースの創出は今季のアーセナルで自信をつけている部分。ナポリ戦のウーデゴールや、サンダーランド戦のギマランイスなど細かなフリーランの連動からミドルシューターで仕留める形が増えてきているのは撤退守備攻略の足がかりになっている。
巻き返したいリーズだが、これ以降は苦戦が先行。ポストからのレイオフにオフザボールでの攻め上がりを掛け合わせる形で前進と横断を繰り返す。リーズはここで中盤の馬力が低下したのが痛かった。いい時間帯はマイナスのパスには圧力の掛け直しができていたのだけども、リードを許してからはなかなかそうした場面は作れず。期待されている役割とは異なるとはいえ、ウィルソンがトランジッションの側面であまり仕事ができなかったのはハードだった。
ライス、ギマランイスを軸とした中盤の馬力の差で終盤のイニシアチブを握ったアーセナル。ギョケレシュ、サカという追加点のチャンスが決まらなかったことはミソがついたが、ブライトンに続く難敵に対して見事なリバウンドメンタリティを見せた試合となった。
あとがき
「ハイプレスでアーセナルを封じましょう」というブライトンとカラバオカップのシティを2つの軸とした勝ちパターンの実践はなかなか難しいと感じさせる内容になったと思う。リーズが手応えのある時間帯においてもクリティカルなチャンスは少なく、思うように進まない流れでも底の高さを取り戻したことは見せられたのではないか。
ギマランイス、カラフィオーリというブライトン戦では特に低いパフォーマンスだった2人が決定的な働きをしたという意味も大きい。完璧に流れるような攻撃を見せる機会自体は少なかったが、代表ウィーク明けの連戦の先頭で求められるものとしては上々だろう。完敗からの信頼回復の一歩目としては十分だ。
欲を言えばセットプレーでこういう試合を動かせるとより楽な展開は見込めるところ。どういう形でスコアをセットアップするかが見える前に簡単に跳ね返される場面も増えている。キッカーの精度も含めて原因を探り、できれば改善を図りたいところでもある。
試合結果
2026.10.10
プレミアリーグ
第6節
アーセナル 2-1 リーズ
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:62′ カラフィオーリ, 70′ ギマランイス
LEE:55′ ジャスティン
主審:ポール・ティアニー