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「Catch up Premier League」~Match week 7~ 2023.1.12etc

目次

フラム【7位】×チェルシー【10位】

3分で失ってしまった勝利への道筋

 エリザベス女王の崩御で延期になった第7節は年明けから合間合間に挟んでいく日程で消化していく形になった。その先陣を切るのはウェストロンドンダービー。昇格組のフラムが混沌のチェルシーを迎える一戦である。第7節に対戦していればベンチに座る指揮官はポッターではなかっただろうし、ジョアン・フェリックスがスタメンに名を連ねることもなかっただろうことは日程の妙である。

 初スタメンとなったフェリックスは非常にのびのびとしたパフォーマンスだった。ハフェルツ、マウントも含め、この日のチェルシーの前線はいずれもボールを引き出す能力に長けていた。低い位置までボールを引き取りに行く動きとサイドに流れながら裏を取る動きを組み合わせてフラムのバックラインを撹乱。かつ、複数の選手が同時に動くことでフラムの守備の狙いを絞らせないようにしていた。単一ルートでボールの動線が簡単に読めていたFA杯のシティ戦に比べれば、かなりバリエーションに富んだ前進の設計図を書けていたと言えるだろう。

 その中でもフェリックスは特に躍動していた。周りの味方との距離を適切に保ちながら、ワンタッチで落とす動きを入れ込みつつ、自らも反転しながら前を向くことで前進の原動力に。連携面、個人の動きのキレの両面で申し分なく、特に前進の局面では文句なしの働きと言っていいだろう。

 あえて注文をつけるのならば、素直すぎるフィニッシュでレノを乗せてしまったことだろうか。この日のチェルシーが前半無得点に終わったのはレノを勢いづかせてしまったところによる部分も否めない。

 前進の手段が豊富なチェルシーに対してもきっちり対抗できるのがフラムの今の強さでもある。チェルシーはバックラインの選手が足元に長けているわけではないので、プレッシャーをかければきっちり見返りがある。フェリックスを中心としたチェルシーのアタッカー陣に前進を許しながらも、勇気を持ってラインを上げ続け、中盤で跳ね返すというフラムの守備の理念を実施し続けたのは立派。チェルシーほど機会は多くないが、ミドルゾーンからのカウンターで相手を脅かすシーンもしばしばだ。

 アタッキングサードにおけるパスコースの作り出しもこの試合のフラムの良かったポイントだ。ホルダーを適切なタイミングでサポートできる動き出しを2列目とSBがこなしており、ボールの出しどころに困るシーンは皆無。球持ちのいいウィリアンとの相性は抜群で、チェルシー陣内を枚数をかけながら攻め立てることができていた。

 そのウィリアンからフラムは先制。右サイドからのクロスを引き取ったウィリアンはカットインからのシュートを沈める。チャロバーに跳ね返ったボールが吸い込まれるという幸運も手伝い、フラムはリードを奪うことを成功する。

 チェルシーもハイラインでテンポよくプレーはできていたが、この日のフラムのパフォーマンスにより抵抗されてしまった感がある。前半のチェルシーの出来で気になるところは、今季要所で感じる後方のハイライン耐性の怪しさだろう。この試合で言えば、チャロバーが相手との間合いを掴めない場面がやたらと目立っており、高い位置でボールを奪い返すための障害になっていた。リズムを掴めない一因だったと言っていい。

 後半、チェルシーはホールの突破で左サイドからファウルを獲得。これを直接狙ったマウントに虚を突かれたレノがなんとか掻き出したが、クリバリがこぼれ球を押し込み後半早々に追いついてみせた。

 同点ゴールから勢いに乗りたいチェルシーだが、直後にザカリアが負傷。接触プレーがないところでの交代ということもあり、チームは暗いムードに。すると、この影に飲み込まれるようにジョアン・フェリックスが危険なタックルにより一発退場。わずか3分ほどの間にチェルシーは2人の優れたパフォーマンスの選手を失うことになった。

 10人になったチェルシーはFA杯のように前進のルートが単一に。10人になってしまったこととフェリックスがいなくなったことの両面でチェルシーは問題を抱えてしまったように思う。それでも、ラインコントロールの面でアダラバイオが淡白なパフォーマンスをみせたこともあり、チェルシーには得点のチャンスがないわけではなかった。しかし、これをチェルシーのアタッカー陣が咎められない。

 数的優位を得たフラムは右サイドからのクロスを軸に攻勢を強める。決勝点もこの右サイドのクロスから。ペレイラのボールにファーに流れるヴィニシウスが合わせる形で勝ち越しゴールを奪う。ヴィニシウスは前半もファーに逃げながらのシュートを枠内に持って行っており、不利な体勢からでもヘディングをねじ込めるスキルがある選手ということだろう。殊勲の働きであった。

 チェルシー目線で失点シーンを見てみると、ケパの飛び出しの早さが悪い意味で目につく。だが、2人マークについているはずのヴィニシウスをチャロバーが簡単に逃したことを踏まえると情状酌量の余地はある。2人ついているならフィールドで解決したい状況ではあった。

 ウェストロンドンダービーは順位が上のフラムが勝利。フラムが数的優位の状況を生かして勝ちきったことで、ポッターの立場はさらに危ういものとなった。

ひとこと

 いい流れをスコアに反映できず、より大きな出来事に飲み込まれて台無しになると言うのは悪い流れのチームにはよくある話のように思う。続出する離脱者やフラムというタフなチームが相手だったことも含め、この日のチェルシーはいくつかの逆風に屈してしまったように思える。

試合結果

2023.1.12
プレミアリーグ 第7節
フラム 2-1 チェルシー
クレイブン・コテージ
【得点者】
FUL:25′ ウィリアン, 73′ ヴィニシウス
CHE:47′ クリバリ
主審:デビッド・クーテ

クリスタル・パレス【12位】×マンチェスター・ユナイテッド【4位】

3回目の祈りの行方

 ひいきチームの利益のために、第三者チームを応援するというのはプレミアリーグに限らず良くある話である。ご存知の方も多いかもしれないが、筆者はアーセナルファン。そのアーセナルファンの目線でいうと、第三者として勝手に期待をかけて、その期待を裏切られ続けているのがクリスタル・パレスである。

 ノースロンドンダービー前にケインの出場停止にリーチがかかっているトッテナムと対戦し、粘れずにあっさり大敗したり、ムドリクの強奪に成功したチェルシーに一泡吹かせてほしい!という願いも叶わなかった。そして、今週の相手はマンチェスター・ユナイテッド。あわよくば優勝争いに絡んできそうな赤い悪魔を直接対決前に止めてほしいというのが、身勝手なアーセナルファンがクリスタル・パレスに今年3回目の祈りをささげる理由である。

 負傷でフィットしなかったマルシャルに代わり、ユナイテッドのスタメンに名を連ねたのはベグホルスト。立ち上がりから彼を意識するロングボールやハイクロスなどタワー型のCFを起用しているっぽい振る舞いをユナイテッドは積極的に行っていた。

 ユナイテッドが意識していたのは手早い攻撃。パレスの陣形が整う前に縦に早く急いで崩し切る形を目指して早い段階で前線まで送っていた。ただ、パレスの守備を踏まえると異なる手段も見えてくる。パレスのこの日の守り方はエドゥアールとマテタでアンカーを受け渡しながら守る形。リーグ戦では久々の先発となったリサンドロ・マルティネスがいるならば、ボールを運びながら中盤を引き出すこともできるだろう。

 ユナイテッドはとても急いでいたが、どちらかといえばこうしたズレを作りながら後方から作った時間を前に送る形の方がこの日のパレスには有効だったように思う。この日の中盤のヒューズとドゥクレは連携が十分ではなく、どこまで出て行くかなどが整理できていない感があった。

 前半終了間際のユナイテッドのゴールもパレスの中盤の連携ミスを突くものだった。サイドに流れたエリクセンをドゥクレが捕まえるか迷い、ヒューズもそちらにフラフラと近づいた結果、届かないところに顔を出したブルーノにゴールを許してしまった。

 こうした理詰めのプランを使えば、割りかしこの日のパレスは簡単に崩れたように思うのだが、ユナイテッドはそれよりもダイレクトでアバウトな形を好み、相手を動かして時間をPA内に送り込むような崩しをしなかった。そういう意味ではパレスは痛いところを突かれずに済んだともいえる。

 一方のパレスのプレーもあまり良くなかった。全体的にとにかく落ち着きがない。中盤はバタバタしてヒューズはパスミスを連発。守備のデュエルでも後手を踏みがちで、押し込まれてはセットプレーで危険な目にも遭う。おまけにグアイタの飛び出しも意味不明でループシュートを決められてもおかしくない状況だった。

40分にようやく枠内シュートを放つまではパレスは攻撃の起点も作れず。トランジッションで前の選手がことごとく潰されてしまい、得意なはずのカウンターも全く機能しなかった。

 後半、ユナイテッドはトーンダウン。中盤をマンマークで捕まえにいった前半のプランを変更し、4-4-2でブロックを組むリトリートにシフトチェンジした。リーグ一の過密日程をこなしているチームなので、正直この試合は省エネで勝ちたいという気持ちがあったはず。これによりパレスはボールを持つことを許される。

 しばらくはボールを放り込まれても落ち着いてさばいていくユナイテッドの姿が見られていた。要所を締めるカゼミーロなど穴の開きそうなエリアに顔を出してはピンチを未然に防いでいく。70分を過ぎるとユナイテッドのサイドでの守備が後追いになり、徐々にパレスに奥に入られることを許すようになる。

 デ・ヘアが冷や汗をかくなど危ないシーンが増えていくユナイテッド。パレスのアタッカーは前を向いて攻める機会を増やしたことで徐々に精度を取り戻し、正確なクロスでユナイテッドの守備陣が届かないところにクロスを打ち込むようになった。

 すると、厳しい状況でザハのドリブルの対応をする羽目になったカゼミーロが警告を受けて通算5枚目のイエローカード。これで週末のアーセナル戦の出場停止が決定した。

 苦しい状況になりながらもフレッジ、マクトミネイなどの中盤を続々投入することで強度を維持するユナイテッド。しかし、パレスの健闘もさるもの。後半追加タイムにオリーズの直接FKで土壇場で追いついて見せた。

 アーセナルファンの三度目の願いを叶えてみせたヴィエラのパレス。勝ち点2とカゼミーロを奪い取ることに成功した。

ひとこと

アーセナルがミッドウィークに試合がないのはユナイテッドにとっては不運だが、試合が矢継ぎ早にやってくることはユナイテッドの抱える大会の多さからすると仕方がない。後半のターンダウンも受け入れつつ省エネで逃げ切りたかった試合だった。

試合結果

2023.1.18
プレミアリーグ 第7節
クリスタル・パレス 1-1 マンチェスター・ユナイテッド
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:90+1′ オリーズ
Man Utd:43′ ブルーノ・フェルナンデス
主審:ロベルト・ジョーンズ

マンチェスター・シティ【2位】×トッテナム【5位】

マフレズが着火し、マフレズが完結させる

 週末にアーセナルと戦い、ミッドウィークはシティとの一戦。トッテナムにとっては試練の一週間となる。シティはアーセナル、トッテナムとの前半戦の対戦は全て延期になっており、1月にして今季初めてのノースロンドン勢とのリーグ戦となる。近年は相性が悪いトッテナムとの試合だが、こちらもユナイテッド戦の敗戦を払拭したいところである。

 シティは先発にルイスを使ったこともあり、明確に3-2型のビルドアップに戻してきた感がある。アルバレスとギュンドアンのIHというストライカー色が強い人選もこのスタメンの特徴である。トッテナムは高い位置からのプレスでボール奪取にトライをする。ベンタンクールが復帰した分、ハイプレスの連動は機能していたとは思うが、アカンジとストーンズの2人を同時に見なきゃいけない状況になっていたトッテナムはハメきれず、シティは問題なく前進することができていた。

 アタッキングサードにおいてはサイドを軸に攻撃を構築。マフレズとグリーリッシュという相手と正対した時にできることの多いWGを左右に揃えていたが、ややWGのサポートが少ないのは気がかり。特にマフレズが持った時のペナ角付近のマイナスのスペースはもう少し活用できていいように思う。この辺りはIHにアルバレスというアタッカー仕様の選手を起用した弊害だろう。

 それでも左右からクロスを上げてPA内でハーランドが競り合った後のバイタル付近でのセカンドボールを制圧していたため、シティは厚みのある攻撃を行うことはできていた。あまりスタイリッシュで、シティらしくはないけども圧をかけられていたのは事実だ。

 トッテナムはハイプレスだけでなく、ボール保持においてもアーセナル戦と同じ振る舞いだった。しかし、降りていくソンでプレスを外す形はシティにバレており、ストーンズが早い段階からチェックに行く形で対処される。トッテナムのFPのうち、比較的放置されていたのはエメルソンだったが、彼にボールが渡っても特に前進をすることができなかったので、トッテナムのビルドアップはアーセナル戦以上に苦しい状況だった。

 ビルドアップが苦しい、ハイプレスがはまらないという状況だとトランジッションからのロングカウンターを頑張るしかないトッテナム。しかし、ソンを軸にしたロングカウンターはなかなか決まらず。アタッキングサードに運んでも、トッテナムの攻撃は跳ね返される。クロスの跳ね返しと流れたサイドでの潰しの両面でアケが存在感を発揮していた。

 そうした状況だからこそ、トッテナムの先制ゴールは意外なものだった。得点はハマってなかったハイプレスから。エデルソンが強引にインサイドにつけたボールはトッテナムのハイプレスの餌食に。ここからショートカウンターを始めたトッテナムはクルゼフスキがあっさりとゴールを沈めてみせた。カウンターとなるきっかけのチェックを仕掛けたのはベンタンクール。復帰戦でいきなりの大仕事である。

 勢いに乗るトッテナムはロングカウンターから追加点。粘りながらボールをキープしたケインが放ったシュートの跳ね返りをエメルソンが押し込んで2点目をゲット。こちらはまさに得点を取るならこの形!というイメージ。トッテナムが前半のうちに突き放すことに成功した。

 トッテナムの後半頭のプランはアーセナル戦と同じように高い位置からボールを奪いに行くこと。2点リードでも守りに入ることはなかった。11月のリーズ戦以来の前半でのゴールを決めリードを迎えても、後半頭に仕掛けるという彼らのスタンスは同じだった。

 シティからすると結果的にこのトッテナムのスタンスに救われた形と言ってもいいだろう。シティの追撃弾はプレスの背後で浮いたリコ・ルイスから。サイドの守備が整っていない状況で前進を許した分、トッテナムはマフレズへのケアが遅れてしまった。マフレズが1人でサイドを打開できるならば、ストライカー色の強いIHの構成はメリットに転じる。押し込んだのはアルバレスだった。

 勢いに乗るマフレズはここから怒涛のラッシュ。アルバレスとの入れ替わりで前線に飛び出してハーランドの同点ゴールをアシストすると、右サイドを切り裂いて独力で3点目をゲット。ロリスはいいパフォーマンスを見せていただけにニアを抜かれてしまったのは悔いが残る。

 後半頭にピークを持ってきて逆転まで漕ぎ着けたシティ。勝ちを確実にするためには試合を落ち着かせるかもう1点を奪いたかったところ。ベルナルドを入れて試合を落ち着かせる方向に舵を切った感のあるシティだが、ギアを下げてのゲームコントロールはシティは今季あまり得意としていない。トッテナムは1点差でシティがトーンダウンしたことで同点にするチャンスは残されていた。

 しかし、トッテナムのもう1つの欠点が邪魔をする。それはハイラインにおけるバックラインのミス。ラングレのミスからマフレズに決定機を献上してしまい4失点目を喫してこの試合は勝負あり。トッテナムのハイプレスは前からきっちりハマるか?以外に、後方の選手たちが広い範囲をカバーできないという問題点がある。この試合でもダイアー、デイビス、ペリシッチが長いボールに対して決定的な対応ミスをしており、4点目の場面ではラングレがそれに続いた形。ロメロ以外のハイラインの耐性のなさをきっちり体現している結果だろう。

 マフレズが着火した反撃ムードはマフレズに自身によって完結。苦手としていたトッテナムの粉砕したシティがダービーの敗戦払拭に成功した一戦だった。

ひとこと

 トッテナムがこれまでと違う試合展開でこれまで通りの試合運びを選んだ後半頭のプランがこの試合の潮目。ロングカウンター気味に決めた2点目が撤退守備+ロングカウンターというプランの後押しになればと思ったが、そうはならず。結果的に選んだプランはシティを助けることになった感がある。

試合結果

2023.1.19
プレミアリーグ 第7節
マンチェスター・シティ 4-2 トッテナム
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:51′ アルバレス, 53′ ハーランド, 63′ 90′ マフレズ
TOT:44′ クルゼフスキ, 45+2′ エメルソン
主審:シモン・フーパー

アーセナル【1位】×エバートン【18位】

詰まる右を解決した先の先制点

 レビューはこちら。

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 ダイチの就任の初陣はグディソン・パークでの劇的な首位撃破。古巣に弱いアルテタはホームで彼らに借りを返す必要がある。

 序盤の展開は少々意外だった。キャルバート=ルーウィン不在のエバートンはバックラインからの陣地回復が見込めない分、ミドルプレスが生命線になると個人的に予想していた。それだけに、早々と撤退を優先し、アーセナルのミス待ち色が強いプランに変更したのは意外だったといえるだろう。

 よって、試合はアーセナルによるエバートンの守備ブロック攻略に重点が置かれたものになる。そうした状況になったときに本来アーセナルは右サイドに有効打が偏る傾向にある。しかしながら、この試合に置いては左の方が有効な攻撃を放つことが出来ていた。イウォビに比べてマクニールが低い位置まで下りていくこと、孤立しがちだったマルティネッリをトロサールがサポートすることなど、両チームの事情によりアーセナルはいつもと違って左サイドでの攻撃がメインとなる。

 だが、このサイドの攻防はコールマンを主体としたエバートンの守備陣が奮闘。アーセナルにズレを許さない。アーセナルはズレを攻略するどころかホワイト、ジョルジーニョ、ジンチェンコなどのミスからエバートンにカウンターの流れを渡してしまうなど順調とは言えない前半となった。

 アーセナルがこの状況を解決するために力を注いだのは右サイドの再構築。大外レーンからサカを取り放ちポジションの流動性を上げたこと、ジンチェンコやマルティネッリといった中央より左サイドの選手を右に集結させることによりサイドの打開に成功。右サイドを打開してたどり着いたサカのこの試合初めての枠内シュートはアーセナルにとって待望の先制点となった。

 勢いに乗るアーセナルはプレスから前半の内に追加点。後半のエバートンは2点を追いかけるという重たい展開に。ダイチは前半に下げたSHの重心を通常の位置に戻すことで反撃を狙う。しかし、そうなると今度はエバートンの4バックの大外からシンプルにアーセナルが殴りかかるようになる。

 キーになったのは左の大外。外から内側に入り込むようにランを行う動きであった。マルティネッリ、トロサールなどがこの動きからチャンスを量産すると、後半はさらに2点を追加する。

 エバートンは64分のマクニールのシュートが試合の流れを引き戻す最後のチャンスだった。クリーンシートのために、ラムズデールはこのシュートと終了間際の決定機阻止という2つの大仕事が必要だった。

 試合は大量点差の4-0で終了。最後はスミス・ロウとティアニーという控え組の試運転を果たしたアーセナルが完璧なミッドウィークを過ごすこととなった。

ひとこと

 ガブリエウ、サリバを軸とするバックラインの安定感があるからこそ、ジンチェンコの自由な移動ができる。この試合も見事な横スライドから相手のチャンスを潰したガブリエウの奮闘が光った。

試合結果

2023.3.1
プレミアリーグ 第7節
アーセナル 4-0 エバートン
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:40′ サカ, 45+1′ 80′ マルティネッリ, 71′ ウーデゴール
主審:マイケル・オリバー

リバプール【7位】×ウォルバーハンプトン【15位】

プレスで測るリバプールのバロメーター

 モリニューの試合ではかなり一方的にボコボコにしてやられたリバプール。あの時期に比べると、今はリーグ戦では復調気配。怪我人も徐々に戻ってきており、CL出場圏内を目指すことも徐々に視野に入ってきたといえるだろう。

 直近のリバプールの復調気配はメンバー表だけでなく、プレッシングへの前向きさでも測ることができる。ダメな時期はマージ―サイドダービーだろうとビッグマッチだろうと着火剤にならなかったのだ。この試合のリバプールは前線からのチェイスが非常に活発。バロメーター的には「いいリバプール」だといえるだろう。

 プレスの先導役となったのはジョッタ。CFからプレスを牽引し、後方の呼応した連動を呼び込む。高い位置から相手を捕まえてのスムーズなショートカウンターでウルブスのバックラインを苦しめる。ウルブスはネベスもしくはレミナが降りる形からのビルドアップが多いのだが、ボールを落ち着けられる回数よりはひっかけてしまう回数の方が多かったといえる。

 ただ、全く抜け穴がなかったわけではない。アレクサンダー=アーノルドのプレッシングは時に強気すぎて入れ替わられることもしばしば。ウルブスは幅を取るところからの落ち着いたポゼッション主体の組み立てよりも、サイドから縦縦に進んでいくやり方の方が相性が良いように見えた。

 ウルブスもプレッシングは積極的。バックラインに対して時間を奪うトライを行う。この局面で非常に目立っていたのはバイチェティッチ。相手をかわして散らすところが非常にうまく、ウルブスのプレスの抜けどころとして機能していた。その後方におけるジョッタも降りる動きを使うのは上手。相変わらず器用な選手である。

 流れの中では十分に優勢だったリバプール。しかしながらなかなか得点を決めることが出来ず。押し込まれるウルブスも劣勢を覆せないまま前半を終える。

 後半、ウルブスはもう一度落ち着いた保持での前進を行う形を狙う。リバプールのプレスが前半ほどの勢いがあったわけではなかったので、前半に比べればウルブスはゆったりとボールを持つことができた。そういう意味では後半の頭はややウルブスペースだったといえるだろう。

 ただ、自陣の低い位置の中央でやたら足の長いドリブルをするのは気になった。レミナとファビーニョの接触はファビーニョのファウルで終わったが、一歩間違えれば警告や決定的なロストにつながったもおかしくない。うまくいった時のリターンの少なさを考えると、あまりいいリスクの取り方とは言えないだろう。

 60分が過ぎると再びペースを握ったのはリバプール。ボールを持ちながらの攻略でウルブスのブロック崩しに挑む。後半はウルブスのブロック守備の機能性がやや落ちていたといえるだろう。特にボールを持って加速する選手のストップをかけるのが遅いのが目についた。ジョッタのファウルで無効になったヌニェスがネットを揺らす場面もジョッタのドリブルの進路に対してネベスが立ちふさがるのが遅すぎる。ブロックの外からのドリブルなのだから対応したいところである。

 そんな形でリズムを取り戻したリバプール。先制点はセットプレーから。粘ったジョッタの折り返しからファン・ダイクが押し込んでようやく先制点を奪い取る。直後にはサラーが追加点。この場面もウルブスは左サイドを駆け上がるツィミカスをちっとも捕まえることが出来なかった。

 終盤に畳みかけたリバプール。モリニューでのリベンジ達成に成功し、上位を追走する勝ち点3を積み上げた。

ひとこと

 じれったい試合だったかもしれないが内容面も含めてリバプールは満足いく内容だったのではないだろうか。週末のユナイテッド戦、そしてミッドウィークのベルナベウとタフな日程になる一週間だが、なんとか弾みを付けたいところである。

試合結果

2023.3.1
プレミアリーグ 第7節
リバプール 2-0 ウォルバーハンプトン
アンフィールド
【得点者】
LIV:73′ ファン・ダイク, 77′ サラー
主審:ポール・ティアニー

サウサンプトン【20位】×ブレントフォード【9位】

蜂のようなしぶとさで

 時折勝利をもぎ取ってはいるものの、長らく沈んでいる最下位の場所からなかなか抜け出すことができないサウサンプトン。今節の相手は残留争いとは無縁のブレントフォードである。

 ブレントフォードの4-1-4-1は一般的には静的な試合運びをするときのもの。この試合に置いてはより強気でプレスに出て行ったのはサウサンプトン。バックラインにプレッシャーをかけながら試合のテンポを上げていく。

 サウサンプトンの攻撃はライン間のスレマナから加速。やや内に絞り気味の彼に前向きでボールを持ってもらうことで、攻撃が一気に前に進む。だが、ブレントフォードのリトリートの早さは折り紙付き。とっとと自陣に引きこもり、相手の出方を伺うスタンスはもはやおなじみといってもいいだろう。

 こうなると、サウサンプトンはブロックの中に侵入するか、ブロックを外から壊さないといけない状態に追い込まれる。サウサンプトンの攻撃のうち有望だったのは後者の方。ブロックの外からラインを下げる方向の回転でボールを入れてくるウォード=プラウズはいくら撤退して我慢することが得意なブレントフォードでも脅威である。

 それでもなんとか最後の最後で跳ね返すことが出来ているブレントフォード。攻撃の機会が多いサウサンプトンだが、なかなかブレントフォードのゴールをこじ開けることができない。

 一方のブレントフォードの攻め手は割り切ったセットプレーである。ゆったりとした攻め筋だと、どうしてもオープンプレーからの得点を望むのは難しいため、押し込んでからのCKやFKからチャンスを作っていく。PA付近まで進めば、イェンセンのロングスローも備えており、セットプレーにたどり着くプランは豊富である。

 セットプレーから始めに迎えたムベウモのチャンスはバズヌのスーパーセーブに阻まれるが、続くニアすらしからのファーのトニーというCKの形にはバズヌもお手上げ。我慢を続けたブレントフォードが先行する。

 得点後も試合はサウサンプトンがボールを持ちながら攻め筋を探す展開が続く。失点後も後半も流れは同じ。強いて変わったことをいうとすれば、後半のサウサンプトンはサイドの深い位置からの崩しを取り入れることで、よりエリア内のスペース創出に励んでいたことになるだろうか。

 しかしながらサイドの崩しにおけるキーマンであるカイル・ウォーカー=ピータースを怪我で失ってしまったことで試合の見通しは悪くなる。それでも3枚交代で前線にパワーと中盤にラヴィアを注入して、馬力とひらめきを取り戻す。ブレントフォードはこの時間帯には明らかにラインを上げられずに苦しんでいた。ヤンソンを入れての5バックへの移行はトーマス・フランクが何かを割り切った印だろう。

 殴っても殴ってもなかなか叩き割ることができないブレントフォードの壁。すると、ラストチャンスに近くなったこともあり、サウサンプトンが雑に放り込んだボールを跳ね返されたところから、トニーとウィサのデュオが決定的な2点目を取ることに成功する。

 猛攻を凌ぎ、とどめを刺したしたたさを見せたブレントフォード。華麗ではなかったが、彼らの愛称である蜂のようなしぶとさでサウサンプトンを退けた。

ひとこと

 終盤のウィサは怖い。

試合結果

2023.3.15
プレミアリーグ 第7節
サウサンプトン 0-2 ブレントフォード
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
BRE:32′ トニー, 90+7′ ウィサ
主審:マイケル・サリスベリー

リーズ【18位】×ノッティンガム・フォレスト【16位】

保持で逆転、カウンターで鎮圧

 サイドから落ち着いてボールを運んでいくというのはもはや最近のフォレストの対戦相手のビルドアップとしてお馴染みの光景である。クリスマスツリー型のブロックを組んでいるフォレストに対しては相手のSBが時間をもらってボールを持てる。そして、この試合もその光景は見られることになる。

 特に右サイドからのボールキャリーにはチャンスがあった。アーロンソン、ハリソンがレーンを入れ替えることで相手のズレを作りつつ深さをとる。

 押し込まれるフォレストは不利な状況だった。ボールを取り返したとしてもカウンターからの攻撃は単騎特攻に終始。あまり効果的な攻め上がりを見せたとは言い難い。

 そうした中で先制点を決めたのはフォレストの方だった。前半の中で唯一と言ってもいい深さをとって人数をかけることができた攻撃を見事に完結。最近のフォレストはダニーロが高い位置でボールを触れるシーンを作ることができるとかなりチャンスになりやすい。このゴールシーンにおいてもこの形からマンガラのゴールをお膳立てする。

 先制しても試合の大きなペースは変わらない。バックラインからのキャリーとサイドに人数をかけた攻撃でフォレストを攻め立てる。サイドに積極的に人を流すスタンスは4-3-3でナチュラルにサイドに人を置くことで攻撃を機能させていたアーセナル戦の成功体験もあるかもしれない。

 攻め立てるリーズは早々に同点。右から左の横断の中でロカが放ったミドルのこぼれ球をハリソンが押し込んで追いつく。ケイラー・ナバスであればなんとしても止めたかった場面と言えるだろう。

 その後もリーズはポケットの侵入を繰り返しながらチャンスを作り続ける形。フォレストは明確な前進の形が作れず、反撃のきっかけを見出すことができないまま時間が進む。

 すると、前半終了間際にリーズが勝ち越し。左の大外のニョントからのカットインでシニステラのゴールを生み出し、きっちり優位をスコアに反映することに成功した。

 ボールを持ちたいフォレストは後半に少しずつポゼッションにトライしていく。前半よりは押し込める時間は作れてはいたが、リーズの2トップによる同サイドに押し込む形によって攻めるスペースを圧縮されてしまう。フォレストの保持はここから脱出できるかのチャレンジとなったが、この形が日の目を見ない。

 かつ、リーズはカウンターからの反撃の道筋は十分。サマーフィルのドリブルからフォレストを押し返し、逆にフォレストのゴールを脅かす展開に。

 カウンターでフォレストの反撃を制したリーズは逃げ切りに成功。残留争いのライバルから貴重な勝ち点3を奪い取った。

ひとこと

 リーズがきっちりとした優位を勝利に結びつける快勝。新体制で迎える終盤戦のいいきっかけにしたいところだ。

試合結果

2023.4.4
プレミアリーグ 第7節
リーズ 2-1 ノッティンガム・フォレスト
エランド・ロード
【得点者】
LEE:20′ ハリソン, 45+1′ シニステラ
NFO:12′ マンガラ
主審:ロベルト・ジョーンズ

ボーンマス【17位】×ブライトン【6位】

サイドの陣取り合戦をブライトンが制する

 停滞気味の上位陣を見れば現状のブライトンにはまだまだCL出場に向けた大きなチャンスが転がってきていると言える。ホームゲームではリバプール戦、フラム戦と連勝中のボーンマスは厄介な相手だが、きっちりと叩きたい。

 このマッチアップであればブライトンがボールを持つ展開を想像するファンは多いだろう。しかしながら、この試合はそこまでボール保持が切り替わることなく、ボール保持にまわればボーンマスもブライトンもある程度まとまった時間ボールを持つことができていた。

 ブライトンはサイドからの前進に対して活路を見出していた。ブライトンの前進が押し込めるかどうかはボーンマスのサイド守備を操ることができるかどうかにかかっていた感がある。ボーンマスのSHの背後を取ることができればここからブライトンは一気に前進していく。その代わりインサイドは封鎖されていた。

 先制点はブライトン。サイドから押し下げることに成功した形だった。エストゥピニャンのオーバーラップからラインを下げると、後方からキャッチアップした三笘からのインサイドのクロスをファーガソンが合わせて先制。早々にリードを奪うことに成功する。

 ボーンマスも後方からのビルドアップでいかにブライトンのプレス隊を釣れるかどうかが鍵になっていた。バックラインのボール回しでブライトンの2列目を引き出し、サイドの背後にワッタラやソランケで起点を作っていく。

 ボーンマスの中央に縦パスを刺していくスタンスも効いていた。楔を連続して繋ぐ形でチャンスを迎えたトラオレだったが、大決定機を活かすことができない。だが、中央の楔とサイドのロングボールを使い分けながらブライトン相手に十分に真っ向勝負を挑んでいたと言えるだろう。

 後半もベースは陣取り合戦。ボーンマスはやや頻度の部分で物足りなさが残ってしまっており、優勢な入りを見せていたブライトンだった。

 だが、カイセドが負傷交代してしまい、ブライトンファンは冷や汗をかくことに。幸い大事には至らず、この試合でも残されたメンバーが奮起。大きく試合のバランスを崩さないまま終盤戦まで乗り切ることに成功する。

 終盤には交代で入ったエンシソが追加点をゲット。右サイドからの斜めのパスから試合を決めるゴールを奪い、上位陣を追走する勝ち点3を手にした。

ひとこと

 ブライトン、勝利は大きいがパフォーマンスは割引。週2だとやはり出来落ちは否めないか。今後の日程はゆるくないだけに内容面では不安が残る部分もあった。

試合結果

2023.4.4
プレミアリーグ 第7節
ボーンマス 0-2 ブライトン
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BHA:28′ ファーガソン, 90+1′ エンシソ
主審:ダレン・ボンド

レスター【19位】×アストンビラ【9位】

今季を象徴する無責任なミス

 レスターはロジャーズが解任されて暫定監督での再出発の初戦となる。迎え撃つのは監督交代においては稀有な成功例となっているエメリのアストンビラだ。

 どちらのチームもバックラインには積極的にはプレスをかけずにボールを持つことができる展開になる。こうした状況が得意なのはアストンビラである。バックラインが動きながらレスターは前線に狭く守らせること許さない。

 縦に刺すボールは左のハーフスペースを狙い撃ち。降りてくるワトキンス、絞るブエンディアなど変わる変わるポジションをとるビラにレスターは後手に回ってしまうようになる。中盤をコンパクトにして、縦パスを許したくなかったはずのレスターだが、そうした狙いの具現化には失敗したと言えるだろう。

 先制点を決めたのはアストンビラの方だった。ルイス、ブエンディア、ワトキンスと中盤中央を繋ぐパスからレスターの守備ブロックをこじ開けて先制点を奪うことに成功する。

 レスターにはこの先制点の前にセットプレーから大決定機があった。ファーで構えるフリーのサウターがネットを揺らしていれば、もう少し異なる展開が待っていた可能性がある。

 ボールをインサイドで繋ぐというアストンビラの先制点のようなシーンはなかなか作ることができないレスター。ということで一発で勝負をかけるパスを通す必要がある。同点ゴールはそれが実った場面。ファエスから左サイドからバーンズがヤングを振り切ったことで1on1を作り出してゴール。貴重なチャンスを活かすことに成功する。

 しかし、ペースを握っているのは引き続きアストンビラ。相手の中央のブロックの中に起点を作り続け前進の機会を確保する。レスターも一発裏狙いで応戦するが、機会の部分ではアストンビラに押されている。

 後半もビラがボールを持ちつつ、レスターが一発でひっくり返すという狙いは続いていた。だが、デューズバリー=ホールの退場により、試合のパワーバランスはさらにアストンビラに傾くことに。4-4-1のレスターに対して、一方的に押し込む機会が増えるビラがひたすら殴り続ける時間が続く。マディソンの負傷でリカルド・ペレイラを入れたタイミングで完全にレスターは1ポイント狙いに切り替えたと言えるだろう。

 だが、10人で1ポイントを取りに行くのに必要な要素である丁寧な跳ね返しがこの日のレスターには備わっていなかった。ボールを跳ね返し続けるレスターだったが、ンディディが自陣でプレゼントパスを渡すと、トラオレがエリアの外からシュートを決めて追加点ゲット。シュートは見事だが、チャンスの与え方があまりにも無責任すぎる。

 今季のレスターの中盤の怠慢さを証明しているかのような決勝点で試合は決着。レスターは終盤に決定機を掴むものの得点には至らず。OFRの結果、原判定通りPK判定は与えられないというのはファンにとってはがっかりだろう。しかしながら、内容面でも失点シーンでのミスを考えてもビラの勝利は妥当だったと言わざるを得ない。

ひとこと

 カウンターでひっくり返すというプランをとったレスターのヴァーディの存在感の薄さは寂しい。

試合結果

2023.4.4
プレミアリーグ 第7節
レスター 1-2 アストンビラ
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI:35′ バーンズ
AVL:24′ ワトキンス, 87′ トラオレ
主審:グラハム・スコット

ウェストハム【14位】×ニューカッスル【3位】

帰る観客の正しさを証明してしまう

 序盤から主導権はガッチリとニューカッスルが握る展開。そして、その主導権は試合終了まできっちりとニューカッスルの手の中に入ったままだった試合だった。

 ボール保持に対してウェストハムは中盤のケアを優先する。バックラインにはボールを持つことを許しながら中盤をコンパクトにする。

 だが、ウェストハムの守り方はやや難があった。SHがCBにフラフラと出ていくせいで、ニューカッスルはあっさりとSBがウェストハムのSHの背後にボールを持って立つことができていた。

 よって、サイドから敵陣にボールを運ぶことができていたニューカッスル。セットプレーからあっさりと先制点奪取に成功する。右サイドのサン=マクシマンの突破による二次攻撃から、クロスを仕留めたのはウィルソン。これで試合を楽に進められることに。

 自陣に押し込められてしまい、ウェストハムには反撃の手立てがない。ボールを持てない、取れないという苦戦が続き、ニューカッスルの攻撃を一方的に押し込まれる場面が続くことになる。

 ニューカッスルの2点目のゴールはウェストハムの守り方の根幹を揺さぶるもの。シェアのフィードからジョエリントンが抜け出す形で独走を作りゴールを生み出す。CBは放っておいていいというウェストハムのプランをシェアがぶっ壊すというおまけ付きでリードを広げる。

 ということで点差的にも仕組み的にもウェストハムはニューカッスルのCBにプレスをかけにいくしか無くなってしまう。プレスに出ていくウェストハムは徐々に敵陣でのプレータイムを増やし、アントニオを軸に中央のコンビネーションを構築して反撃を見せる。

 前半は無得点のまま終えたが、早い段階で反撃ができればまだ勝ち点の望みはある展開だった。しかし、得点を決めたのはニューカッスル。アゲルトがマーフィーのプレスに屈してしまい、ウィルソンにこの日2点目を決められてしまう。

 ウェストハムは後半、セットプレーから反撃をし再び試合は2点差に。しかし、3点目の取られ方に失望したのか、はたまた今季のパフォーマンスに納得がいかないのか、80分を前に席を立つファンが目につくように。

 そして、そのファンの判断は正しかったと言えるだろう。ファビアンスキの飛び出しのミスから生まれた4失点目はスタジアムに残ったファンを大いに失望させるものだった。

 ニューカッスルは終了間際にさらに1点を追加して得失点におけるアドバンテージをさらに追加。負荷的にも余裕をもった展開でミッドウィークの試合を消化することができた。

ひとこと

 スタジアムから帰ったファンの行動に納得感を持たせてしまうパフォーマンスは切ない。

試合結果

2023.4.5
プレミアリーグ 第7節
ウェストハム 1-5 ニューカッスル
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:40′ ズマ
NEW:6′ 46′ ウィルソン, 13′ 90′ ジョエリントン, 82′ イサク
主審:クレイグ・ポーソン

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