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「握力で不確定要素を減らしたい」~2023.8.6 J1 第22節 川崎フロンターレ×ガンバ大阪 プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第22節
2023.8.6
川崎フロンターレ(7位/9勝5分7敗/勝ち点32/得点27/失点23)
×
ガンバ大阪(13位/7勝5分9敗/勝ち点26/得点27/失点35)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

直近5年間で川崎の8勝、G大阪の3勝、引き分けが2つ。

川崎ホームでの戦績

直近10戦で川崎の7勝、G大阪の3勝。

Head-to-head

Head-to-head
  • 前回対戦でのG大阪の勝利は公式戦における川崎戦10試合ぶりの勝利。
  • G大阪が川崎相手のシーズンダブルを達成すれば2012年以来のこと。
  • しかし、直近3試合の等々力でのリーグ戦ではいずれも川崎が4得点以上取って勝利している。
  • 直近2回の対戦はいずれもアウェイチームが退場者を出して敗れている。

スカッド情報

川崎フロンターレ
  • バイエルン戦で脳震盪の疑いがあった脇坂泰斗は出場可能。
  • 左太もも裏の肉離れでの離脱が続いていたマルシーニョもフィット。
  • ジェジエウは左膝外側半月板損傷により長期離脱中。試合形式のトレーニングには復帰。
  • 大島僚太は右下腿三頭筋肉離れにより離脱。
  • 車屋紳太郎は天皇杯とバイエルン戦でベンチ外。
ガンバ大阪
  • 半田陸が左腓骨骨幹部骨折により離脱中。
  • 黒川圭介は累積警告により1試合の出場停止。
  • 佐藤瑶大は左肩関節脱臼で離脱。
  • 唐山翔自は水戸での期限付き移籍満了で復帰。

予想スタメン

Match facts

川崎フロンターレ
  • 直近10試合の公式戦で1敗のみ(W7,D2)。
  • 直近6試合の公式戦の負けはすべて2失点を喫している
  • 逆に勝利した直近6試合のリーグ戦はすべてクリーンシート。
  • ホームでの公式戦は直近5戦負けなし
  • 家長昭博はG大阪時代も含め、中村憲剛と並びこのカードで最も得点(8)を挙げている選手。
    • G大阪相手の7得点のうち6得点はホームゲームで決めている。
  • 小林悠はG大阪相手のリーグ戦において2012年以降、得点を挙げたことがない。
ガンバ大阪
  • リーグ戦は5連敗のあと、7戦無敗(W6,D1)
  • 直近5試合のリーグ戦はいずれも複数失点がない。
  • トップハーフ相手のアウェイゲームは今季ここまで4戦全敗。
  • 直近7試合のリーグ戦で14得点を挙げており、それ以前の14試合のゴール数(12)よりも多い。
  • 公式戦トップスコアラーは6得点のダワンだが、リーグの直近4得点はいずれもホームゲームで決めたもの。
  • 東口順昭が先発した公式戦の川崎戦は7連敗中。

予習

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展望

快進撃の源は「磨く」のではなく「覆う」

 前回の吹田スタジアムで対戦した時のプレビューでは「両チームは前進に苦しむ傾向があり、似た者同士ではないか?」という旨を指摘した記憶がある。実際に行われた試合ではネタラヴィを解放することに成功したG大阪が川崎に対して徐々にアドバンテージを取り、先制点から逃げ切りを果たす形となった。

 川崎に勝利してからは長らく苦しんだG大阪だったが、5月末からは一気に閉塞感を打開。連勝を重ね、気づけば残留争いはひとまず視野に入れなくてもいい順位までたどり着くことができた。

 ただし、結果だけで見るとG大阪の戦績と内容にはやや印象と違う点があった。吹田の川崎戦をベースに考えると、てっきり自分は自陣からのポゼッションスタイルの構築を中心に据えて、彼らが駆け上がってきたのだと思っていた。すなわち、後方のパスワークにおけるネタラヴィの解放の精度が上がってきてプレスを回避して、前方に時間を送れるようになっていたと思っていた。

 しかしながら、実際のところ試合を見てみると、そういうわけではなさそうだ。G大阪のバックラインの選手たちは積極的に前線にロングボールを入れる形が非常に多かった。

 よって、前進の主役となっているのはアンカーのネタラヴィではなくCFのジェバリ。バックラインはつなぐスキルを高めたというよりも東口を中心にやや心もとなさがある後方のビルドアップスキルを覆うようなスタンスといえるだろう。

 当たり前の話だが、ロングボール=悪というわけではない。ジェバリをターゲットとした前進のスタイルは非常に機能的。自らが運ぶという点では大迫には劣るかもしれないが、収めて展開するという意味での存在感は非常に高く、大迫と同じくDFが1人で抑えるのは難しいJでも指折りのCFといっていいだろう。

 シャドーの選手たちは非常にナローにポジションを取り、ジェバリの落としを拾おうとする。このスペースの嗅覚が優れているのがアラーノ。ライン間でジェバリが決めた相手のDFラインの高さを生かし、前を向くケースが多い。エースの引力を使うのがとてもうまく、ライン間で前が空いた状態でボールを受けると、ドリブルで加速してフィニッシュまでもっていく。

 大外では黒川(今節は出場停止)。左サイドでオーバーラップする隙を見つければ外から精度が高いクロスでフィニッシュをおぜん立てすることができる。自陣からは直線的に進む分、ジェバリが収まるという前提が必要だが、多くの場合はこの前提が成り立つので特に問題にはならない状態でSBの上がりを生かすことができる。

 その一方でローラインでの繋ぎは課題が残るのが今のG大阪である。柏戦では福岡が捕まってしまって失点につながるショートカウンターを食らうことになる。この辺りは時間を前に送るパス回しや、相手に選択を突き付けながらの前進ができていない印象である。

 非保持はSHが低い位置をとる4-5-1が特徴。バックラインまではそこまで強気にプレスに行かないのがデフォルトだが、プレスに出ていく際にはIHが前に出てくるための2番手を担うことが多く、SHと縦方向の前後関係が変わることもしばしば。SHが特にスライドして絞るアクションはなく、ややプレッシングに関してはフリーダム感がある。ブロックで相手をしのぐ部分は徐々に強度を増しているが、こうした前線のプレスはやや制御しきれない部分があるのも確かだ。

ネタラヴィの次を狙う

 ジェバリへのロングボールという解決策にたどり着いたG大阪とは川崎は別のルートを歩んでいるといえるだろう。具体的には高井、上福元(ソンリョンが守護神に戻った感もあるが)などの足元に長けたバックラインを重用しながら、バックラインのパスワークで時間を前に送るチャレンジに挑み続けている。すなわち、シミッチの解放にまだまだ挑んでいるという状況である。

 もっとも、川崎にはそもそもこのルートしかなかった感がある。ダミアン、小林等が離脱を強いられてしまい、縦に早い攻撃を完結させることができるマルシーニョもいない。そういう意味ではこちらにしか生きる道がなかったともいうことができるだろう。

 自陣に引き付けてのポゼッションはG大阪に対しても引き続き有効になる。できればIHを自陣側に食いつかせるような動きを見せて、G大阪の中盤を釣りだしたいところ。1人がプレスに出てきてくれればG大阪の中盤は空洞化するので、瀬古や橘田といった中盤には間のスペースで前を向くところまでやってほしいところである。ライン間で中盤がターンする時間を作るには、バックラインが引きつける動きは必須といえるだろう。

 守備においてはやはりジェバリが最重要。ここは大迫に続き完全に抑え込むのは難しい格の相手と予想する。そうなると、神戸戦の前半のようにシミッチと挟み込むようなアクションで封じこめるのが最短だろう。

 要はシミッチが左右に動き回らずに済む守備ができれば楽だし、そうでなければ苦しくなる。そのためにも川崎の前線はハイプレスでの手ごたえはつかみたいところ。

 自陣からのつなぎになればポイントになるのは当然ネタラヴィになるので、ここを封じれるかどうかになる。注意したいのはむやみに飛び込まないこと。ネタラヴィのように懐の深い選手に対しては、一発で飛び込むと簡単に入れ替わられてしまい、一気に傷口を広げることになる。

 ネタラヴィへのプレスは方向を誘導しながら彼の次のポイントを狙い撃ちにしてボールを取るのがベターだろう。柏の細谷のネタラヴィ封じはなかなかに素晴らしかった。運動量もさることながら同サイドに追い込んでいく方向誘導が効いていた。これができれば試合はかなり楽になる。

 川崎は細谷の役を誰かが担うことができるかどうかがポイントになる。脇坂が脳震盪となると、瀬古か橘田になるだろうか。彼らはここまでのシーズンにおいて守備で入れ替わられてしまうのが課題。非常に重要な役割を務めることになるだろう。

 当然ながらプレスの誘導に合わせたバックラインの押し上げも欠かすことができない。吹田スタジアムでのパフォーマンスを考えれば、ここは車屋に奮起を促すべき部分だろう。

 押し込まれてしまったときはG大阪の頼みとなる左サイドは黒川が出場停止で不在なのは非常に大きい。誰が出てくるかはちょっと読めないが、家長が前残りできるのであれば攻撃面や彼自身の身体的な負荷も含めて追い風になるだろう。

 あとは前半戦終盤に見えた川崎の課題に進展が見えるかどうか。具体的には時間軸におけるポゼッションの握力低下である。川崎はスタメンこそ4バック+勤勉な中盤の動きでポゼッション→ボール奪回のメカニズムをうまく回すが、終盤はMFの交代選手不在により3バックにシフトしつつ、交代選手の根性によってなんとかする!という不確定要素が大きい戦い方に終始することが多い。

 よって、この試合ではなるべくG大阪からボールを取り上げつつ、90分を意識した試合運びを見せたいところ。徐々に優勝には奇跡が必要な状況になっているが、そのためにはできることを少しでも広げなくてはいけない。最大出力の向上は難しくとも、試合を長い時間支配できる「握力」を少しずつ磨きながら、わずかでも紙一重の試合を制する可能性を高めていきたいところだ。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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