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「ブレントフォードさん、シティの勝ち方教えてよ」〜勝手にプレミア定点観測 22-23 まとめ part2~

第1弾記事

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目次

【6位】ブライトン

18勝8分12敗/勝ち点62/得点72 失点53

監督交代で勢いはさらに増すばかり

 ポッターと共に旋風を巻き起こした昨シーズン。そのポッターとは秋口にお別れすることとなったが、後任のデ・ゼルビ就任以降は失速どころかさらに凄みを増した印象だ。引き抜きという能動的な監督交代ではないにもかかわらず、ギアを一段階挙げられることにクラブとしての底力を感じたシーズンといえるだろう。

 有事における後任監督の準備や人件費は最下位クラスにも関わらず上位進出など、ブライトンに関してはピッチ内のことを触れる前に、ピッチ外のこうした準備が整っていることが先立っている。育成型クラブというか売り手クラブのモデルケースのような存在だろう。

 ピッチの中に目を向ければ、ボールを大事にしつつ魅力的なサッカーを行うという大まかな方向性はポッターもデ・ゼルビも同じだが、そのアプローチは微妙に異なる。猫の目のように布陣を代えるポッターに比べれば、デ・ゼルビが採用しているシステムはほぼ4-2-3-1で統一されている。

 縦にボールを入れていく意識はデ・ゼルビになってさらに高まったといえるだろう。対角のパスを駆使しながらピッチを広げつつビルドアップをしていたポッター時代に比べれば、デ・ゼルビのインサイドへの縦パスをつける意識の高さは特筆すべきものがある。

 CBやGKからのパスをつける優先順位はまずはCH、それが無理ならその後方に降りてくるCF、それも難しければ相手のCBの背後を取る三笘とマーチ。このようにインサイドへのパスを中心に攻撃は組み立てられる。相手を動かすためのジャブ的なパスを駆使しつつ、反転できるタイミングで入ったパスからは躊躇せず加速していく。

 中央に強引にパスを入れることにこだわるのは、アタッキングサードにおいては2人のWGに前向きで勝負をさせれば勝算があるという計算があるからだろう。三笘とマーチの両翼は今季のプレミアを代表する名コンビである。

 大外から相手をはがすアクション、味方を使う意識、エリア内に切り込むドリブル、そして逆サイドからやってきたボールに対するフィニッシュを高水準で備えており、崩しからフィニッシュまでの広範囲で欠かせない存在になっていた。ドリブラーとしては異次元というレベルで引っ張られる三笘のプレータイムの長さやマーチがいなくなった後の右サイドの攻撃精度の低下は彼らの機能性の高さの証明といえるだろう。

 マーチの穴を埋めるのには苦労したが、基本的には主力に負傷者が出た場合のリカバリーは非常にうまくできていた。一番大きかったのはグロスの万能性。怪我が出たポジションにとりあえず誰も目途が立たないならば彼をおいておけばOKという存在である。

 加えて、リーグでの活躍実績がない選手の抜擢も見事。ファーガソン、エンシソ、コルヴィルあたりはスポットでの出場ながら自信をつけたシーズンになっただろう。三笘が確固たる地位を確立したのもそもそもはトロサールに目途が立たない事情ができてからである。ここもピッチ外同様、フロントの先見の明が光る部分である。

 夏の移籍市場はマック=アリスターとカイセドまでに流出をとどめることが当面の目標になるだろう。代替戦力の確保の早さからもフロントワークのしたたかさを見せている。ELというクラブ史に残るシーズンにふさわしいメンバーをそろえるための夏にしたいところだ。

Pick up player:ルイス・ダンク
 CBのフィード能力は後天的に開花しやすいというのが持論なのだが、まさにダンクはそれを地で行く存在だろう。無骨な時代のブライトンのバックラインも、プレミアをリードする先鋭的な存在になったブライトンのバックラインにも常にダンクの姿がある。

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【7位】アストンビラ

18勝7分13敗/勝ち点61/得点51 失点46

監督交代大成功!スタイルの整理で躍動する中心選手

 今季のプレミアのトレンドといえば、監督の成績不振による途中交代だろう。先に挙げたブライトンのポッターの辞任→デ・ゼルビの登用をこの例に入れないのであれば、今季の監督交代の中で最もうまくいったケースはジェラードに別れを告げてエメリを招聘したアストンビラだ。

 ジェラード政権の元では3センターに過負荷を強いる形で3トップ前残り型カウンターサッカーを行っていたが、4-3で守り切るというプランには無理がある上にボールの取り所を中盤より手前に作らないと奪い取ることができないという難点があった。そのため、戦績はそこまで安定することはなかった。

 エメリが就任してから、まず取り掛かったのはボール保持からの攻略のプラン構築である。ブライトンほどとは言わないまでも、バックラインからボールを繋ぐ意識は非常に高くなった。特に意識していたのは相手がプレスに出てくるまでじっくりと待つことができる粘り強さを会得したこと。とっとと縦に放り込むのではなく、相手がプレスに出てきたところを裏返すことをあくまで狙うことで攻撃に打って出た時の成功率を上げていく。

 後方はショートパスを交換しながら横パスを多く利用するが、縦に入るときは一気に大きな縦成分のベクトルの縦パスが一本入るイメージ。多くの横パスで一本の大きい縦パスを入れるための布石というわけである。相手を惹きつけてからスペースを作り、縦に一気につけて進撃。それがエメりのアストンビラのスタイルだ。

 エメリにとって幸運だったのはこのスタイルに向いている選手がアストンビラにはすでにいたこと。ビルドアップの軸となり、前方に一発のロングフィードを飛ばすことができるマルティネス。左サイドに開きながら鋭い弾道の縦パスで一気に前進を促すことができるミングス。マルティネス、ミングスのロングボールのターゲット役として完璧にボールを収め続けたワトキンスといった面々はこのエメリのやり方には必要不可欠な存在であると言っていいだろう。

 彼らを支援する面々も徐々に出てくるようになったのも大きい。コンスタントに飛び出しを見せていたラムジーはもちろん、解き放たれたような攻撃参加が光ったドウグラス・ルイス、そして、冬にSBに加入したモレノは早い攻撃にもキャッチアップできるオーバーラップでカウンターに厚みをもたらすことができていた。

 2列目のベイリーやブエンディアなど、「アフター・グリーリッシュ」として攻撃の軸を任されてきた面々も軒並み初年度よりは充実した活躍を見せたと言える。この辺りもスタイルの輪郭をはっきりさせたエメりの功績は大きいと言えるだろう。

 守備においては高い位置からプレスで捕まえに行き、逐次プレス要員を投入していくハイテンポを意識した形とSHを自陣の深い位置まで下げて実質6バックで守るようなリトリート型を使い分け。展開や時間帯によってこれらの仕組みを入れ替えていた。

 あえて、気になることを挙げるとするならば、対症療法的な対策を打つのはそこまで得意ではないことだろうか。自分たちの形から入ることがあるため、主導権を握っている相手の形に対応しなければいけない状況や、追いかける状況で出力を上げていかなければいけない展開はあまり得意としていない。

 それでも「自分たちのペース」に巻き込むことができる相手の水準はシーズンの経過とともに上がってきた。トップハーフの相手でも展開次第では十分に互角以上の戦い方ができるというのは大きな自信になるだろう。

 前半戦の成績を考えれば欧州への扉が開けたこと自体奇跡的である。欧州の舞台を得意としている指揮官のもとで来季は更なる上積みを感じることができるシーズンにしていきたい。

Pick up player:オリー・ワトキンス
 怪我したら終わり!という状況は冬のイングスの移籍でさらに強まったが、怪我せずにシーズンを駆け抜けることに成功した。前進における大きな役割を担っていると考えれば、貢献度はブレントフォードのトニーと並び非常に大きいものと言えるだろう。

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【8位】トッテナム

18勝6分14敗/勝ち点60/得点70 失点63

ピッチ内外で問題山積みで見通しの暗い夏に

 週1マイスターのコンテのチャンピオンズリーグとプレミアの両立チャレンジはまたしても失敗に終わってしまった。というか今回は割と特大の爆死である。

 補強の前評判自体は悪くはなかった。コンテによって固定された11人の負荷を和らげるために層を拡充するような形の補強を敢行。ビスマ、リシャルリソン、フォースターといったプレミアの経験者もしくはペリシッチ、ラングレといったビッグクラブに所属経験のある選手たちを獲得し、リーグ戦とCLの二足の草鞋を履く準備は整ったはずだった。

 だが、序盤からその目論見がうまく行ったとは思えない状況が続く。即時フィットを期待された補強選手たちはなかなか上昇曲線を描くことができず。特に誤算だったのはプレミア経験者のFPの2人である。

 ビスマはフィットネスに加えて、判断の悪さ、そして軽いプレーが目立ってしまい、ブライトン時代の存在感はどこへやら。要所で病気や怪我に悩まされたのは気の毒だが、最後は中盤でサールと3番手争いをしている状況はスパーズファンが期待していたものとは程遠いだろう。

 リシャルリソンはやはりメンタリティの幼さが気になるところ。エースのサポート役に徹することができれば一流なのに、本人はチームがうまく行っても自身のプレーが良くなければ苛立ちを隠さないというエゴの強さがミスマッチ。ストライカーにエゴは必要だと言われればそれまでだが、このミスマッチはケインという大エースがいるスパーズにおいてはあまり好転するようには思えない。相手選手とのやり合いや審判を意識した駆け引きに終始する悪癖も時折見られており、ゴールに向かうプレーよりもそちらの方が目立ってしまったのは残念だった。

 前線においてはこうした新戦力の不出来をエース格の2人がカバーできなかったのが辛い。ソンはボールを運ぶアクションで相手に捕まり続けてしまい、ロングカウンターでの独走以外での得点パターンを確立できず。ケインもゴールこそ奪い取ったが、例年ほどポストプレーなどのチャンスメーカーとしての働きができなかった。クルゼフスキまで不振に陥った上、冬にエバートンからハイジャックしたダンジュマはほぼ起用されないままレンタルバックとなった。

 中盤ではベンタンクールが負傷に悩まされ、ホイビュアも例年ほどの水準のパフォーマンスを維持できず。新戦力の伸び悩みと主力の不調によって、今季のテーマであったローライン&ファストブレイクの深化は頭打ちになっていた。

 それであれば高い位置からのプレスにチャレンジしよう!というコンテの判断は理にかなっているように思える。だが、そのプランで足枷になるのはバックライン。

 新戦力のラングレはリシャルリソンやビスマに比べれば計算できる戦力だった。しかし、こちらも既存戦力の苦しい出来が目立つ。ダイアーは代表CBという看板に相応しくないパフォーマンスを繰り返し、ロメロは相手の間合いを図れていないタックルで不要な警告を早い時間に受ける。飛び出しが不安定な守護神のロリスも含め、ハイラインのクオリティを維持することはできなかった。

 ただ、今季のトッテナムの不安定さはピッチ内以上に、ピッチ外が顕著。不甲斐ないパフォーマンスがピッチで見られると、監督が会見で選手に対して爆発。それに対して、選手が不満を募らせるという報道が今季何度も繰り返された。もちろん、これは単なる作文の可能性もある。しかし、選手や監督の試合中の振る舞いを見る限り、こうした報道の反証となるような材料はなかなか見つけにくいのが正直なところである。

 選手とフロントに対して最後通牒のようなぶちまけ会見を披露したコンテは春先にあっさりと解任。暫定監督として投入されたステッリーニは無関係な乱闘で退場の宣告をされたり、4バックの試験導入が大事故につながってしまったりなど、踏んだり蹴ったりな出来。暫定監督ながら解任されるという憂き目に遭い、今年もリリーフとしてメイソンが火消し役を務めることになった。

 現状では明るい見通しは立てづらい。来季の指揮官選びは明らかに後手に回っているし、戦力の数としては十分に確保しているだけに、獲得以上に整理を先出させないといけないスカッドなのも苦しい。

 スタジアム建設案件の負債を抱えている状態なので、プレミアの上位クラブに対しては資金力に限りはある。そうした中で整理が必要なスカッドを保持しながら、整理の基準を提示する監督が決まっていない状況は非常に好ましくない。エースのケインにも今年も不穏な噂は聞こえてはきている。この夏の舵取りを間違えれば、昨年までノースロンドンのライバルが苦しんだCLと無縁の長いトンネルに突入する可能性もなくはない。

Pick up player:エメルソン・ロイヤル
 問題児的な存在だったけども、周りのパフォーマンスが怪しくなっていくにつれてハードルが下がっていき、シーズンの最後はあまり攻守に気にならないというかむしろ頑張っている方!くらいまで上り詰めたシーズン。チームの悪い流れに引っ張られなかったところは偉い。

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【9位】ブレントフォード

15勝14分9敗/勝ち点59/得点58 失点46

無縁だった2年目のジンクス

 実は、今季の大不振枠に陥ると個人的に予想していたのはブレントフォードだった。ソリッドで逞しいが単調とも言えるスタイルはプレミアで2年目を走り抜けるのは難しいのではないか?と思っていたし、ラヤが離脱した期間の機能低下を見れば、数人の離脱で一気に成績が底に落ちる可能性も否定できないと考えたからである。

 しかし、そんな自分の見立ては大外れに終わる。ブレントフォードは2年目の今年も走り抜けて残留争いとは無縁のトップハーフで試合を終えることとなった。

 もっとも序盤戦は怪しい気配もあった。トーマス・フランクはシーズン序盤からお馴染みの3-5-2でのハイプレス&キック&ラッシュに加えて、4-1-4-1で静的に試合を進める方法を模索していた。しかしながら、後者のプランはブレントフォードの良さである強度をこそげとったような出来になってしまい、試合自体のテンポが落ちることで得点の匂いが消えてしまうように。

 ビッグクラブと戦う時は玉砕覚悟のハイプレス形3-5-2で臨むのでこうした問題は明るみに出なかったが、同格の相手と戦う際のエンジンが切れたような4-1-4-1の出来には少し不安を覚える序盤戦だった。今季のブレントフォードは当たり外れが大きいのかな?と思ったくらいである。

 しかしながら、シーズンの終盤になれば静的な4-1-4-1も安定感を増しており、昨年と同じく簡単に負けないチームになっていた。大きい要因はバックラインの連携向上でクロスの跳ね返しが安定したことだろう。バーンリーからやってきたミーとピノックが中軸となるバックラインは単なるクロスの跳ね返しとニアのハーフスペースの裏抜け潰しを両立。これで押し込まれる時間帯においても簡単に自陣の穴は開けない構造になった。もちろん、その方にラヤも控えているので、相手チームからすると2枚の壁を打ち抜けなくてはボールを奪えない仕組みである。

 献身的な中盤はこのバックラインの奮闘を支えていたし、保持に転じた際には安定感のあるポゼッションから試合を落ち着かせることができていた。ノアゴール、イェンセン、ジャネルトといった中盤は地味ながらも年間を通してブレントフォードに安定感をもたらすいぶし銀の活躍を見せた。

 そして、前線。トニーはもちろんのこと、中央でもサイドでも遜色なくプレーできるムベウモも非常に充実したシーズンに。ぶっ壊れがちなカメルーン代表でもせっせと水を運ぶ役割をしていただけに気を遣える選手なのだろう。

 前線にはアクセントも充実。代打の切り札として途中交代できっちりと結果を出すウィサと斜め方向のランで他の前線とは異なる特徴をもたらしたシャーデ等交代選手も充実していた。

 撤退守備とロングカウンターの整備で落ち着いた試合運びでのコーディネートも上達したブレントフォードの安定感は格段にアップ。アーセナルやシティからも勝ち点を奪い、負け数も一桁と負けにくいチームの完成度がより一層高まったシーズンと言えるだろう。

 そんな中、飛び込んできたトニーの8ヶ月出場停止。短期的には穴を埋めてみせたブレントフォードだが、長期にわたるとなれば出力の低下は免れない。盤石のシーズンの最後に暗いモヤがかかるシーズン終幕となってしまった。

Pick up player:イヴァン・トニー
 自分はたまにtotoとかブッキングサイトで遊ぶときに、贔屓のチームが負けてしまう悲しみを和らげるために、贔屓のチームの負けにわざと賭けることがある。トニー、お前もだったんだな。

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【10位】フラム

15勝7分16敗/勝ち点52/得点55 失点53

笑い話にできる幸せ

 プレミアリーグでは近年恒例となる昇格組のうちの1枠が巻き起こす旋風。昨年のブレントフォードからこの枠のバトンを引き継いだのは同じロンドンに拠点を構えるフラムだった。

 メガクラブ出身の選手を中心にプレミア経験者をずらりと並べる補強は例年通り。名前だけを見た先入観だけでいえば、ややハズレもありそうな補強の並びではあったが、新加入選手は軒並み安定。早々に自らの4-2-3-1のスタイルを確立してスタートダッシュを決めると、そのままシーズン終盤まで残留争いとは無縁の状態で走り抜けることに成功した。残留争いのことを気にしないで済んだのはおそらくトップ10のチームとチェルシーくらいなので、非常に優秀である。

 4-2-3-1のスタイルの軸となっていたのはなんといってもミドルプレスである。前線のミトロビッチとペレイラである程度狭いサイドに相手のバックラインのボール回しを誘導。網を狭めたところでボール奪取能力に長けている中盤で刈り取り、ショートカウンターに移行する。

 このプランを愚直に行い続けながら駆け抜けた一年だったと言えるだろう。60−70分ほどこのプランで粘ることができれば、残りの時間はローラインにおけるリームやレノの粘りやテテのドリブラー封じで相手の攻撃を跳ね返す我慢形態に移行することも可能。段階的に撤退を講じながら試合をクローズすることで軟着陸しながら逃げ切るパターンはそれなりに確立できていた。

 保持面でも前回のプレミア挑戦よりは改善が見えた。バックラインの軸として君臨したのはリーム。左利きCBらしい安定した球出しから、ショートパスを使った組み立てを行う頻度は格段に増えた。

 自陣からのビルドアップ構築の功労者をもう一人挙げるならばウィリアンになるだろう。ミドルゾーンにおりながらボールを引き取って、ドリブルで攻撃を加速させる姿はチェルシーでチームを牽引していた時代と重なる。アーセナル時代はなんだったのか。ちょっと疲れていたのか。ブラジル放牧するとパフォーマンス一変するのか。いずれにしてもリームとウィリアンの貢献で組み立てにおけるミトロビッチの負荷は前回のプレミア昇格時よりも少なかったと言えるだろう。

 H.リードやテテ、ロビンソンといった前回のプレミア昇格経験者も一回り逞しくなった印象。チームとして中盤戦までは安定した成績を過ごすことができていた。

 中盤から終盤戦にかけてやや息切れが目立ったのはやはりセンターラインの離脱だろう。いなければほぼ負けてしまうという圧倒的な実績で存在感をアピールしたパリーニャは時折累積警告で不在になった。

 そして、なんといっても痛かったのはFA杯の「サンチョの乱」でミトロビッチを出場停止で8試合失うことになったこと。サンチョが決定機をポストに当てずに決めていれば、跳ね返りの2本目のシュートをウィリアンがハンドで止めることもなかったし、OFRを行ったミトロビッチが主審を小突くこともなかったはず。

 なお、サンチョきっかけの一連のプレーは1つのゴールと3人の退場者(マルコ・シウバも退場)を引き寄せた今季のプレミアで最も破壊力のあるくだりとなった。ちゃんと一発で決めろよサンチョ!と思わないこともないが、どう見てもミトロビッチが悪いので反省してほしい。あと、プレミアのカメラのスイッチャーはクレイブン・コテージで毎試合スタンド観戦しているミトロビッチをカメラで抜くことはやめてください。

 もっともこうしたエピソードも笑い話にできる戦績なのは救いだった。残留争いに巻き込まれていればこうしたエピソードは微笑ましいものでは済まされない。来季も微笑ましいフラムでいて欲しいので残留争いに巻き込まれないよう頑張ってほしい。

Pick up player:アレクサンドロ・ミトロビッチ
 チャンピオンシップで大暴れし「プレミアでは万年10ゴール止まり」というジンクスを払拭しにかかったシーズン。数字の上では十分このジンクスを破る活躍をしているのに、8試合出場停止ややたらと外すPKで愛らしさを残るのはとても彼らしいと思う。

今季の道のり

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 つづく!

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