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「ブレントフォードさん、シティの勝ち方教えてよ」〜勝手にプレミア定点観測 22-23 まとめ part3~

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目次

【11位】クリスタル・パレス

11勝12分15敗/勝ち点45/得点40 失点49

運に左右されない中位力と安定感ゆえの課題

 長丁場のリーグ戦を戦う中では実力だけでなく運の要素も切り離すことはできない。運の要素の1つとして挙げられるのは日程だ。今年、日程面で最も恵まれなかったチームは?と言われたならば、自分はクリスタル・パレスが真っ先に思い浮かぶ。

 開幕から続く強豪の連戦と年明けから続く強豪との連戦第2弾。やたらと星が偏りやすい日程になっていることは否めず。パトリック・ヴィエラ監督は2つ目の山を越えることができないまま解任の憂き目にあうこととなった。

 2回目の山が終わった段階では12位とはいえ残留争いの行列の先頭にいる形の勝ち点となってはいたが、残された日程の有利さをきっちり生かしながら特に問題なく残りのシーズンを過ごした。残留を脅かされる現実的な危機感は年間を通してほぼなかったといえるだろう。

「運」の要素に見放されながらも堅実な勝ち点の積み上げができるということは地力がある証拠だろう。残留争いに巻き込まれたチームよりは一段上の中位力があることが証明されたシーズンとなった。

 ヴィエラ→ホジソンというリレーのため、正直戦術的にはあまり目新しいものはない。後方の守備ブロックをベースにスピード豊かなアタッカーを生かしながらカウンターを軸に攻勢を仕掛けていくスタイルである。

 センターバックコンビのうちアンデルセンが時折安定感を欠くことがあった。だが、アンカーにドゥクレという柱が確立された分、チームとしての機能性を大きく欠くような時期はなかったといえるだろう。

 前線では負傷したこともありザハの存在感が近年の中では明らかにもっとも薄いシーズンだった。それでも大きく戦闘力が落ちなかったのはこちらもほかの選手のカバーがあったから。右の主軸として独り立ちしたオリーズはエースの座を引き継ぎ、パレスらしい強力なWGの系譜に名を連ねるパフォーマンスを披露。チームの最大出力を担保した。

 爆発力がオリーズであるならば、安定感を担保したのがエゼ。ザハの相棒というイメージが強かったが、こちらも今季はザハの手を離れてもコンスタントな活躍を見せた印象だ。

 パフォーマンスが落ちた選手を補う形でほかの選手が台頭してきたこと、そしてミッチェル、シュラップ、アイェウという勤勉でコンスタントな面々もチームの軸となっている。外的要因に左右されにくいチームになっているのは納得である。

 欲を言えばゲームメーカー的な存在は相変わらず空位であること。ロコンガのローンはチャレンジのように見えたが、ホジソンへ監督が交代してからは起用自体がなくなった感がある。そもそも中位をキープできているのだから、特に問題ないだろうとは思うが、そうしたチャレンジのなさは課題としてあえて挙げてもいいかもしれない。

Pick up player:エベレチ・エゼ
 個人的にはプレミアの中ではもう少し触れる人が増えてもいいんじゃないかなと思っている選手。大けがを乗り越えての1年間完走も評価したいポイントだ。

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【12位】チェルシー

11勝11分16敗/勝ち点44/得点38 失点47

先送りにここで歯止めをかけたいが

 やっちまった!!!!!とにかく1年を通して後手後手のシーズンだった。アブラモヴィッチ政権の実質的な強制終了で、この夏の市場の立ち回りが遅れてしまうのは不可避だったといえるだろう。

 だが、問題はそこから。他のクラブの獲得候補に次々と後追いしていく様子はプランの一貫性に疑問を持たざるを得ないし、トゥヘルにヘッドコーチ以上のことを求めるスタンスもミスマッチだったと言わざるを得ないだろう。

 成績が上がらず、溝も深まるばかりという状態でトゥヘルとお別れをすると、後任として連れてきたのはポッター。巨大な戦力を生かした経験もなければ、途中登板で即効性を生かしたこともない。スター選手をまとめたことも、CLを戦ったこともない。

 そうした監督を途中就任させるのは嫌な予感しかしなかったが、想像通りの厳しい結末に。猫の目のように毎試合スタメンを変えながら戦うスタンスはブライトン時代からの指揮官のお得意のスタイルなのだが、スター選手たちには受け入れにくいだろう。かつ、最適解を速攻で見つけてチームを上昇気流に乗せるわけでもないので、成績も上がらない状態で悩みは深まるばかりだった。

 さらには冬の移籍市場で追加戦力を大量投入。ポッターの手札を増やしてさらに因子を増やしたが、結局制御ができなくなってしまい今季2回目の監督交代を行うことに。          

 3人目の指揮官となったランパードに求められたことは明らかに軟着陸だった。もう欧州カップ戦は狙えない成績だったし、新監督に無駄に傷をつけないための登板だろう。膨れ上がった戦力の整理が先送りになったこととトレードオフ感があるが、降格の危機はなかった分、まったく意味が分からないわけではない。

 ピッチの外の混乱が伝播したのか、ピッチの中でも混乱が収まらないシーズンだった。確固たるレギュラーとして走り抜けることができたのはチアゴ・シウバと冬に加入したエンソ・フェルナンデスくらいだろう。

 手を変え品を変えのテストはランパードになっても継続。よって、チームとしての崩しの方は決まらず。いつまでたってもハーランドを超える得点数に届かない状況になってしまっていた。

 エンソという次世代の主軸がいるのは戦力的には大きい。エンソから出る後方からのタッチダウンパスとPA内で裏を狙うアクションは相性がいい。この部分はポチェッティーノも生かしたいところだろう。

 ただ、先立つものは不安が大きい。スカッドこそ充実してはいるが、契約年数が軒並み長く、人員整理の難易度はかなり高いといえるだろう。ポチェッティーノにはある程度現有戦力で補わないといけない箇所も出てくるはずである。これ以上課題を先送りにするのは避けたいところ。腰を据えた修正で再建の礎を作る23-24シーズンにしたいところだが。

Pick up player:ミハイロ・ムドリク
 将来性勝負の補強だったはずなのに狂騒曲的に吊り上がった移籍金のせいで即時活躍しなければ失敗!みたいな空気になったのはなかなかに酷だなと思った。

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【13位】ウォルバーハンプトン

11勝8分19敗/勝ち点41/得点31 失点58

一歩先に行っているアドバンテージを活かせるか

 相変わらずのスロースターターぶりでシーズン序盤は降格権を彷徨い続ける立ち上がり。少ない得点数ながらも少ない失点数に引き摺り込むことでなんとか互角に持ち込むことができるのが彼らの強みである。

 だが、今季は少ない得点は据え置きのままで失点が嵩みまくってしまうという苦しい序盤戦に。バックラインは堅さを維持することができず、トップは固定することができない。

 攻撃的なSBの人選は保持時のメリットよりも非保持時のデメリットが上回る状況。CBはキルマンとコリンズとほぼ心中という少数精鋭ぶりだが、SBを支え切ることができず。さらには、ジョゼ・サのセービングも昨シーズンの方が安定していた感がある。

 前線の選手たちは平常運転といえば平常運転だが、固定できない辛さは例年以上。なかなかトップコンディションに戻らないヒメネス、パフォーマンスが上がらないゲデス。そして新加入のカライジッチはデビュー戦で大怪我。どの選手もそれぞれの事情でなかなか十分な働きができない。

 流れが変わったのはやはりロペテギ就任だろう。アストンビラのエメリや、ブライトンのデ・ゼルビのような突き抜けた大成功というわけではなかったが、暫定監督ではない正監督をW杯の中断前に決めて、方向性を定めることができたのは監督人事がカオスな今季のプレミアにおいては大きかった。方向性を早い段階で示すことができた分、冬の移籍市場においても監督の意思をきっちり汲み取ることができた感がある。

 戦力を組み込むことができたこともあり、冬以降は安定感を増したパフォーマンスを披露する。CFにはクーニャとコスタを固定、SHには万能手のサラビアが加わり、中盤にはレミナが君臨する。トラオレ、ネト等の既存のアタッカーの使い分けがうまくいかなかったり、シーズン序盤にチームを牽引したヌネスがややトーンダウンしたりなど、なかなか爆発力を伴うところまではいかなかったが、安定した攻撃の構築と展開の制御は徐々に板につくようになってくる。

 プレミア初挑戦のロペテギは就任直後こそテンプル化した5バックへのシフトや、交代ごとに狂ったようにシステム変更するなど迷いが見られたが、シーズンが深まるにつれてそうした悪癖も鎮静化。チームと同じく落ち着きを持ったシーズンを過ごせるようになった。

 まだまだ途上といった感じはあるが、方向性を示すことができたことと、1回の移籍市場を過ごすことができたのはポジティブだろう。下位のクラブの混乱ぶりは当座凌ぎ感が否めないため、チームづくりとしては来シーズン以降に差が出る可能性はある。ライバルに一歩先に行っているアドバンテージをきっちり生かし、来季は悪癖であるスロースターターと別れを告げたいところである。

Pick up player:マテウス・クーニャ
 混乱するCF争いに終止符を打った冬の新戦力。安定したポストワークをベースとしたチャンスメイク、そしてサボらない守備。平均値が高い万能型としてウルブスのレギュラーを確保した。

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【14位】ウェストハム

11勝7分20敗/勝ち点40/得点42 失点55

主力の復調で後半戦は二足の草鞋を楽しむ

 今季の前半戦から快進撃で驚きを提供していたのがブライトンやフラムだとしたら、うまくいかない方の驚きを提供していたのはウェストハムである。堅い守備と鋭いカウンターをベースとした質実剛健なスタイルは派手さこそないものの、ウェストハムはここ数年のプレミアで非常に堅実な成果を上げてきた。

 しかしながら今季はその前提が崩壊した序盤戦だったと言えるだろう。バックラインではCBがマルっといなくなり、非常事態限定のはずのSBのCBへのスライドが常態化。まさか、ケーラーもCBをやらせられるとは思ってなかっただろう。これにより、1つ目の土台である堅守の部分にヒビが入る。

 そしてもう1つの強みであるカウンターも全くもって成立しなかった。昨季終盤から不調を引きずっていたアントニオは引き続き出遅れ、ボーウェンもそれに引っ張られるようにスランプの沼に足を突っ込んでしまった。ポストプレーという新機軸で貢献を試みたスカマッカはフィットに時間がかかった上に後半は全休。これで攻撃という矢もへし折られてしまう。ウェストハムは質実剛健から守れず攻めれないチームとなってしまって苦しんだ前半戦となった。

 しかしながら、後半戦は一変して地力を見せたと言っていいだろう。バックラインにはズマとアゲルトという本職2枚を固定できるようになり、前線ではボーウェンとベンラーマが納得のパフォーマンスでレギュラーを確保できるように。アントニオの復調まで前線を牽引したイングスの冬の加入は地味ながらも効いていた補強と言えるだろう。ようやく一人気を吐いていたライスのパフォーマンスに周りが追いついたという印象である。

 スターターが本調子に戻ればさすがに残留争いレースでは別格。終盤は下位を寄せ付けない安定感と上位を苦しめる曲者感でリーグでも難敵に戻り、早めに安全圏に抜け出すことに成功した。

 ECLでは躍進。フィオレンティーナを下してクラブは久しぶりのタイトルの歓喜を味わうこととなった。後半戦は安心して見てられるリーグ戦と、欧州へのチャレンジとなったECLの二足の草鞋をファンも楽しむことができたはずである。

 来季はライスが退団濃厚。タイトルを節目としてチームは新しいフェーズに突入していくことだろう。グリーリッシュが退団した後のアストンビラのように、多額の移籍金を残すであろう主将の穴をどのように埋めるのか。舵取りに注目が集まるチームの1つとなるだろう。

Pick up player:ルーカス・パケタ
 めっちゃ本文で触れ忘れたが、後半戦の尻上がりの立役者の1人。高次元のテクニックにユニフォームを汚すことを厭わない泥臭さを併せ持つパケタのフィットは大きなチームの助けとなった。

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【15位】ボーンマス

11勝6分21敗/勝ち点39/得点37 失点71

2列目の補強とツインタワーが噛み合い上昇気流に

 夏の移籍市場で積極補強を敢行したフラムやノッティンガム・フォレストに比べて非常におとなしい動きを見せたボーンマス。元々の戦力値が高くないこともあり、プレミアに臨む中では個人的にはかなり不安要素が多かったチームである。

 さらには序盤戦から厳しい日程が襲いかかってきていたのも懸念。案の定シティ、アーセナル、リバプールに無得点のまま16失点を喫してしまい、一気に得失点差で最下位まで沈み込むこととなってしまった。特にインパクトが大きかったのがリバプール戦。この試合まで元気がなかったリバプールを9得点という最高の結果で励ましてしまい、代償としてパーカーは解任になった。

 前線のパンチ力不足の上に、高い位置から追い回すことができないという構図は一旦後手に回ると弱さが際立ってしまう形に。魑魅魍魎のプレミアリーグにおいては火力が明らかに足りなかった印象。オニール監督就任後は6試合無敗と立て直したかのように見えたが、それ以降の9試合で8敗と再びチームは下降する。

 風向きが変わったのが冬の移籍市場である。パーカーには出し渋ったのに、オニールにはガンガン投資するというチームのスタンスはよくわからないが、とにかく2列目を中心にチームは戦力を大幅に増強する。

 補強によってパフォーマンスを上げた攻撃陣は残留の立役者と言えるだろう。新加入のワッタラがすぐさまチームに馴染むとアンソニーやタヴァニアという既存戦力も躍動する。

 この2列目を支えたのがトップのソランケとビリング。どこのチームが相手でもボールを収めてくれていた春先はまさに彼らは無双状態。少ないカウンターの機会を確実にゴールチャンスに繋げることができるツインタワーは手数が豊富ではないボーンマスの攻撃の起点になっていた。彼らのポストプレーで体を張るおかげで2列目も前を向いてドリブルを仕掛けることができた。

 中盤戦以降は明らかに攻撃が噛み合ったボーンマス。残留を事実上確実にした後の終盤の4連敗を除けば後半戦の連敗はシティとアーセナルの連戦で敗れた2連敗が1回だけ。4-4-2という強固なベースを生かした安定感抜群の組織を構築し、終盤戦を待たずに降格の現実的な恐怖からは無縁の生活を送ることに成功する。

 年間を通して中盤を支えたレルマがパレスにフリーで移籍するなど、来季も再構築は必至だろう。スカッド面では相変わらずプレミアでは分が悪く、苦しい戦いは続くことになる。それでもパニックに陥らずに我が道を進めば助かるという今年の経験があれば、十分に来季も化け物の巣窟で奮闘することができるだろう。

 Pick up player:ドミニク・ソランケ
 ハイパフォーマンスだった中盤戦はまるで体幹が鉄の芯でできているの?と思ってしまうくらい、ガッチリとしたフィジカルで大暴れ。不安定な体勢でも問題なくボールを収めるスキルでボーンマスを文字通り牽引して見せた。

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 つづく!

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