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「もうすぐトニーが帰ってくる」〜勝手にプレミア定点観測 23-24 中間報告編 part1~

 もうあと半分しか残ってないね。やっていくぜ!

目次

【1位】リバプール

13勝6分1敗/勝ち点45/得点43 失点18

フレームづくりの恩恵を受けた遠藤航

 首位をひた走るのはリバプール。クリスマスの首位こそアーセナルに明け渡したが、リバプールにとってはそもそもクリスマスの首位とプレミアの優勝の相関が薄いのでそんなことはどうでもいいだろう。ちなみにクリスマスの首位とプレミアの優勝の相関が薄いのはアーセナルも同じである。

 秋先までは薄氷を踏むような勝利が多かった印象であるが、序盤戦を越えてからは少しずつ勝ち点3に見合った試合内容が増えてきたように思う。

 もっとも目に付くのは保持におけるフレームが少しずつ見えてきたことである。序盤戦のリバプールは小回りの利く3センターが根性で前を向くことですべてを何とかしてきた感があった。そのため、立ち上がりに相手のハイプレスに対応しきれない試合もちらほら。そうした状況により自ら前を向くことができない中盤は潰されてしまう傾向にあった。

 属人感が強まる中で右のCBであるコナテやマティプがボールを運ぶ役割を見せ始めたことや、左のIHに入ったカーティス・ジョーンズがアンカーを助けるチアゴのような役割をビルドアップで見せ始めたのは属人性を下げるという観点で歓迎すべき変化のように思われる。

 この恩恵をもろに受けたのは遠藤航である。1人で前を向くという要素を求める傾向が薄くなったことで、周りのサポートを受けながら前を向く機会が増加。自身も動きながらフリーになる動きがめきめきと上達するなど、チームとしての仕組みの恩恵を受けてかつスキルアップも行うという好循環で瞬く間にアンカーとしての立ち位置を確立して見せた。

 アンカーに遠藤が入ったことにより高い位置からの迎撃も安定するようになったリバプール。一方的に攻めるフェーズにおいて中盤にフィルター役が入ってボールを奪回できるかどうかは重要なファクター。遠藤も保持において自信がついたこともあるのか、ボール奪取まで間合いを図れるようになっていることは非常に心強い。

 内容は良化しているが、カウンターの出来は日によってばらつきがある印象。悪い日はサラーを経由点として、ほかの前線が直線的な裏抜けを志向しすぎてしまうため、シュートの前にタメができないままGKやDFに先読みされてスペースを潰されてしまうことが多い。

この点に関してはフリーランに定評があるジョッタがどこまでフィットするか。そしてAFCONでのサラー不在時にそもそもカウンターの始点として機能できる選手がどこまでいるのかは見ておきたい部分である。

 もう1つ気がかりなのは右のCB。マティプが離脱してしまった現状でコナテがどこまで稼働率の点で踏ん張れるか。週2の試合を延々とこなせるかというところで不安要素が付きまとうのは否めない。クアンサーのパフォーマンスが格段に悪いとは思わないが、このポジションはアレクサンダー=アーノルドのお守りという過負荷な任務を担う必要がある。通常のCB以上の裁量をこなすことができるかという点では未知数だ。

 逆に言えばこの2点の懸念がなくなれば優勝の可能性は見えてくる。開幕前の評判の高くなかったリバプールが本命不在のプレミアリーグをかっさらっていっても何も不思議はないだろう。

Pick up player:トレント・アレクサンダー=アーノルド
 右のCBに後方を任せてのアンカーとしての組み立ては収支がプラスになりつつある。終盤の攻め上がりからの右足のミドルは精度が抜群。中央の方がよりクラッチシューターとしての才覚を解放することができるのかもしれない。

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【2位】アストンビラ

13勝3分4敗/勝ち点42/得点43 失点27

脅威の破壊力と要塞の本拠地が快進撃の原動力

 年末年始を経ても2位という好機をキープしているアストンビラ。優勝候補とカウントするのは少し尚早な感じもするが、CL出場権争いの有力候補ということに関してはもう誰も文句は言わないだろう。

 スタッツの上で目を引くのは得点力である。43得点はリバプールと並んでの2位タイ。リーグトップのシティと比べてもわずか2つしか違いはない。

 この点においては得点パターンが確立されていることが大きい。マルティネスやパウ・トーレスといったバックスから縦パスを差し込み、そこから一気に加速させてスピード感豊かなアタッカー陣で仕留めるというスキームの完成度はリーグ随一である。

 預けどころとして機能しているワトキンス、スペースを蹂躙するディアビ、大外からカットインで切り込めるベイリー、ボックス内に飛び込めるラムジーとマッギンなどそれぞれの特色の異なるアタッカー陣が躍動する攻撃はシンプルに見ていて楽しい。

 2列目のアタッカーの充実度が目を引くところではあるが、やはり外せないのはワトキンス。圧倒的なキープ力に加えて、左右に流れてのチャンスメイクもこなすことができるプレーの幅の広さはケインが去ったプレミアではリーグ屈指の万能型CFと評しても差し支えないだろう。この型にはめることができた試合においてはまさに敵なし。リーグの全チームをねじ伏せる勢いがある。

 前輪駆動型のチームは失点の危険性が少なくない展開もあるが、そうした状況で頼りになるのはマルティネスとカマラ。前者は卓越したキャッチングのスキルで悪い流れを寸断してリスタートを行うことができるし、後者は攻守に枚数調整の能力が抜群。ハーフスペースを埋めるなど最終ラインの防波堤役とバイタルの防衛役の二役を難なくこなすことができる。

 センセーショナルなのはホームのビラ・パークでの戦績。マンチェスター・シティ、アーセナルといった上位陣ですら圧倒して見せた要塞の強度は素晴らしいものがある。今季は誰もが戦いたくない難所としての立ち位置を確立した感がある。

 ただし、懸念は少なくはない。成績面としてはアウェイでの戦績が振るわないことだろう。ホームでの圧倒的な勝率に比べると、アウェイでの戦い方は不安定で心もとない。

 試合の内容を紐解いてみても、基本的には相手に先に動いてもらってなんぼのチームなので、出てこない相手が来ると厄介だ。サイドからの手数をかけた攻略はあまり得意としておらず、特にきっちりと自陣を固めるタイプの相手は苦手。クラブ記録となっていたホームでの連勝記録をシェフィールド・ユナイテッドに止められたことはなかなかに示唆的である。

 年末年始のゲームではやや出力が下がっている感も否めなかった。1月の隙間がある日程を踏まえて、出力を戻せるかどうかは重要なポイントになる。

Pick up player:ユーリ・ティーレマンス
 シーズン序盤はなじめていなかった感があったが、中盤から縦パスを差し込むという攻撃の再加速役として立ち位置でほかのMFにはない存在感を見せている。停滞した局面を打開する時の切り札になれれば、ビラの苦手な膠着した局面を打開できる助けになりうる存在だ。

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【3位】マンチェスター・シティ

12勝4分3敗/勝ち点40/得点45 失点21

「いつもの」後半戦を過ごせるか

 3位というとやや思ったような順位より低いように思えるかもしれないが、クラブW杯の影響で1試合未消化であることを踏まえれば現状の順位は悪くはないだろう。十分に上位を狙いながら甘さを残した前半戦を終えた「いつもの」マンチェスター・シティである。

 秋にはロドリ不在で悪夢を見たが、冬にはハーランドが加入後初めてのまとまった離脱を経験。理不尽さはなくなってはいたが、アルバレスを軸に十分な内容から勝ち点を積むことはできたといっていいだろう。ハーランド目がけてのクロスが減った分、こちらの方がいわゆるパブリックイメージにおけるシティに近いかもしれない。

 ボール保持をベースに相手を押し切るスタンスは今季も健在。攻め続けてもこじ開けられないという展開はほぼ見られないのは年季の入ったアタッキングサード攻略の経験値の賜物であることは明らかである。

 あえて気になる点を挙げるとすれば、追いつかれて勝ち点を落とすパターンがちらほらみられることだろうか。トッテナムに終盤に手痛い目に合わされるのはいつものことと片付けることはできるかもしれないが、パレス相手に2点のリードを溶かしてしまうのは明らかにらしくない。こうしたいつもと違う詰めの甘さを「前半戦だから」で片づけていいのは難しいところである。

 基本的には上位5チームの中では最も後半戦にポジティブな要素を残しているチームといえるだろう。リーグ戦での出力のコントロールなど、チームとして明らかに週2で戦うことに慣れている。この点では他の4チームに影を踏ませないくらいには圧倒的である。

 また後半戦に復帰が見込まれる戦力も多い。先に挙げたハーランドに加えて、デ・ブライネが本格的に復帰すれば、試合の展開自体が劣勢でもひっくり返すことができる凄みを手にすることができるだろう。AFCONやアジアカップでの離脱者もいない。

 ただし、少数精鋭なので戦力の厚さという点では懸念はある。何シーズンも出続けている主力の勤続疲労、もしくはデ・ブライネやハーランドの再離脱などが起きてしまうと大打撃である。もちろん、こうしたたらればはシティに限った話ではないけども、マフレズやスターリングといったイニングイーターを放出した影響は例年よりは出やすいスカッドになっているように思う。「いつもの」の前半戦を過ごしたのだから、「いつもの」後半戦くらいにはピークを持って来れるかは重要なポイントだ。

 戦力面で少し気になるのは新戦力のフィットが思ったほど進んでいないこと。ドクはなんとなく使い方がわかってきた感が出てきたが、グバルディオルとヌネスは少し物足りない部分もある。もちろん、フィットすれば爆発するポテンシャルはあるのだが、今季に関しては層の薄さが彼らのフィットを急かすようになれば未知数になってしまう可能性もあるということだ。

Pick up player:フィル・フォーデン
 ライン間からの反転とブロック外からのミドル。万能型というよりは得意分野がはっきりしているが、隙を見せれば一瞬で壊すことができる破壊力を持っている。デ・ブライネの不在は彼なりに埋めているといっていいだろう。

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【4位】アーセナル

12勝4分4敗/勝ち点40/得点37 失点20

「両方できる」と「使い分けられる」は全然違う

 クリスマスでの首位確保からのあっけない連敗で年明けを4位で迎えることとなったアーセナル。相手がリバプールだったというエクスキューズはあるとはいえ、現在のところ公式戦では3連敗中であり、チームの空気はやや重さがある。

 もっとも、前半戦の内容を紐解いてみると、直近の成績に引っ張られるほどは悪くはないように思う。昨季の課題であったプレス回避のスキルは明らかに向上している。ラヤの加入により、バックラインが積極的にビルドアップでGKにボールを預けるようになったことと、ライスのアンカーによる不定的なポジショニングがプレスをかける側に混乱を与えているからだろう。アンカーはポジションを守ることが鉄則ではあるが、アーセナルは動きまわるライスをアンカーにおいてここに乱数を与えることで放置しているように見受けられる。

 非保持における安定感や終盤の勝負強さ(年末年始は除かなければいけないが)は、チームとしての底力が昨季よりついてきた証拠だろう。チームとしての厚みは昨季よりは上であるということは断言してもいいくらいだ。高出力で押し切るスタイルはなかなか見られなかったシーズンだったが、ブライトン戦ではその部分で圧倒的なパフォーマンスを見せての完勝を果たした点も心強い。

 ただ、この部分を思ったよりもメリットに消化できていないという点は述べておきたい。過度に堅い序盤戦の試合運びはこうした過密日程やリードしている展開にこそ活用したい部分。年末年始は日程が詰まっていてかつ主力のパフォーマンス低下が顕著であるにも関わらず、強引さが先行する仕掛けからカウンターのピンチを招いたりなど、不器用な部分が顔をのぞかせた。

 両方のスタイルができることと自由に出し入れできることは似ているようで全然違う。展開や試合そのもののプライオリティによって顔を使い分けることができるかどうかは後半戦の最大の課題である。仮に年末年始でその課題に気づくことができたとすれば、十分におつりがくると個人的には思っている。

 個々人のスキルアップはバラツキがある。ポジティブな意味で目を引くのは冨安とハヴァーツ。冨安は昨季ぎこちなかったインサイドでのプレーを難なくこなし、高い位置でのサポートも左右遜色ないレベルでこなしている。ホワイトとジンチェンコの直近のパフォーマンスを考えると、少なくとも左右どちらかのSBのレギュラーを確保できる状態になっている。

 ハヴァーツは開幕直後のバッシングを完全に跳ね返し、前線のタワー役と非保持での強度を実現しつつ、スピード感のあるアタックにもフィットしている。はっきり言って爆発力はないがパフォーマンスの波も少なく、連戦でも計算しやすい存在だろう。

 逆にスミス・ロウ、ネルソン、エンケティアといった選手たちは少し寂しい前半戦となった。正直、この辺りは「マルチロールが輝き、専門職寄りの選手が苦しむ」というシーズン当初の見立て通りの流れとなっており、なかなか切ないものがある。

 出番を与えないアルテタが悪いのか、パフォーマンスで扱いが妥当ではないことを証明できない選手が悪いのかというのは鶏と卵の話になるだけなのでどうでもいいが、いずれにしても主力のコンディション任せになれば、年末年始の再現がここ一番でも見られることになりかねない。

 CLとリーグしかなくなった状況の中でどこまでチームとしての手札を広げることができるかは死活問題である。理不尽ではなく理屈で押し切るチームなのだから、なるべく多くの展開に沿う理屈を用意できなければ、最低限のノルマとして位置付けているCL出場権も揺らぐ可能性もあるだろう。

Pick up player:エミール・スミス・ロウ
 キャリアを決める重要な1年だと思うのだが、ノーインパクトのまま半年を過ごしてしまった。もちろん、出番を得た時の状況次第ではあるが、サイドへのサポートとボックス内への突撃のバランスはもう少し考えたいところ。オフザボールの動きの鋭さは戻ってきたので、ボックス内で足を振れる状況を作るところから始めたい。

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【5位】トッテナム

12勝3分5敗/勝ち点39/得点42 失点29

緊急事態に対して踏みとどまった感がある冬に

 前回、定点観測を書いた段階では首位だったトッテナム。しかしながら、その記事で予測した通り、長期離脱が見込まれる新戦力の存在はやはり大きなインパクトがあったことは否めないだろう。

 プレミアでも難なくフィットし、アジリティの高さで広範囲をカバーすることができるファン・デ・フェンの不在はカウンター対応におけるトッテナムの大きな穴になっている。トップ下で攻撃の王様として君臨し、組み立てとフィニッシュの両面で大きな存在感を発揮していたマディソンの離脱は攻撃の仕上げという点で物足りなさが出てきてしまっている。

 どちらの離脱も大きな痛手ではあったが、特にDFに関してはロメロやウドジェも負傷や出場停止で不在になることが多く、スクランブルで組む必要が出てきてしまっており、非常につらいものがあった。デイビスとエメルソンにとってはCBとしてプレーする機会の方が多かった冬になったかもしれない。

 ただ、個人的には思ったよりも質の低下は局所的なものにとどまったように感じている。さすがにCBが揃ってSBとなってしまえば苦しいものはあるが、それ以外の状況に対しては上記の超主力の2人がいなくとも十分に成り立っている。むしろ、彼らがいなくてもポステコグルーらしい、攻守を素早い回転で回すことができるという実績を作ることができた冬だったともとれる。

 この辺りは後方のビルドアップで根幹を担うことができているポロ、ウドジェ、サールといった選手たちの高い貢献度が光っている。状況に応じた移動でフリーを作り出すことができる彼らがいれば、CBが多少バタバタしても前進はスムーズに行うことができる。

 不在を補うという観点で言えば前線の組み換えは見事。トップ下に移動したクルゼフスキはオフザボールでの左右への動きを多く見せて新境地を開拓。代わりに右に入る機会が増えたジョンソンは愚直に速攻に対するサポートランを繰り返すことができており、ラインブレイクからフィニッシュまでをシームレスに行うというポステコグルーのプレーモデルの維持に貢献している。怪我が少なくないのは難点ではあるが、おそらくジョンソンの役割は入団が確実視されているヴェルナーも担うことができるだろう。

 もちろん、こうしたところはソンという前線の柱が絶好調であることを前提に組まれている感がある。アジアカップでの彼の離脱期間は一時的にクオリティが落ちることは否めないだろう。

 しかしながら、主力不在時において首位が見える位置でとどまることができているのは非常に重要なポイント。ソンが帰ってくるまでにこの勝ち点差は是が非でも死守しておきたいはず。欧州カップ戦に参加していないという利点をコンディション面に還元することができれば、終盤までリーグタイトル争いを楽しむことができる可能性もあるだろう。

Pick up player:グリエルモ・ヴィカーリオ
 安定感という意味では今のプレミアではリーグ屈指といえる存在。シュートをキャッチして展開を寸断するという意味ではマルティネスと双璧で、彼らが対峙したアストンビラ×トッテナムは近年でも非常に見ごたえがあるGKの競演だった。

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 つづく!

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