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「FIFA World Cup 2026 チーム別まとめ」~ブラジル代表編~

目次

第1節 モロッコ戦

対照的な前半と後半を経ての痛み分け

 王国ブラジルの初戦はアフリカの雄であるモロッコ。前回大会でアフリカ勢の未来を切り拓く躍進を見せた彼らがブラジルに立ち向かう一戦は、グループステージ屈指の好カードだということができるだろう。

 序盤からその看板通りに強度の高い振る舞いを見せる両チーム。特に相手ボールになった際の瞬間的なボールを奪い返しにいくアクションはともにレベルが高い。保持側のチームはなかなか展開を落ち着かせるのが難しい状況だった。

 ブラジルの保持はRSBのイバニェスを高い位置に上げる3-2-5をベースに、2列目の可変性の大きさをアクセントとする形。パケタとハフィーニャはかなり頻繁にポジションを入れ替えていたし、パケタは中盤まで降りてボールを引き取る形を作っていく。

 モロッコはミドルブロックの4-4-2をベースにしつつ、サイドにスライドして圧縮。そこからのトランジッションでゴールを狙っていく。保持に回った際のブラジルの即時奪回からの逃れ方はまさにモロッコの真骨頂という感じ。降りてサポートするウナヒや左の大外で一旦預けることができるエル・カンヌスの安定感は抜群で、中盤がフリーでボールをキャリーするための助けになっていた。

 前を向く選手を作ると右サイドから深く入っていく形を狙うモロッコ。ディアスとハキミのコンビネーションはハキミのオーバーラップを活用するシンプルな形であるが、抜群の脚力とディアスのタメの巧みさで非常に効果的にサイドから抉ることができていた。逆サイドのマズラヴィとエル・カンヌスも同様。2人でブラジルのDF陣をあたふたさせられるサイド攻略が頼もしいモロッコだった。

 先制点はモロッコ。中盤でわずかな駆け引きから隙を作ったディアスからのラストパスはサイバリ。ガブリエウの背中を通したラストパスを叩き込んで、モロッコがブラジル相手に先制点を生み出す。

 左サイドでフリーの選手を作って、右サイドに逃すというフォーマットからチャンスを作ったモロッコ。得点以降も主導権を握っていくが、ブラジルは10分後に反撃に成功。左の大外でボールを持ったヴィニシウスが見事な角度のないところからゴールを決める。

 モロッコは右SBのハキミがいないシーンではあったが、エル・アイナウイとブアディのCHコンビはスライドで位置を埋めていたので、ハキミの背後を埋めるアクションとしてある程度前提感もあった。それでもその状況で対面をきっちりぶち抜くのはさすがである。

 得点から展開をリカバリーしたブラジル。CBのカウンター迎撃も安定感は増しており、明らかに強度の高いチアゴのプレスバックによって奪いに行ける位置も高くなった感があった。モロッコは左サイドでプレスをさばき、右サイドに逃すというメカニズムがなかなか機能せず。最後はブヌがあわや弾くという場面も出てきて前半を終えることとなった。

 後半は前半よりは明らかにマイルド。ブラジルの保持に対して、モロッコは特に強烈なプレッシャーをかけることなく、トランジッションで鋭く狙うことも少なめ。前半よりは明らかに流れは緩やかになった形だった。

 モロッコも保持に回ればサイドにタメを作っての進撃。ブラジルはモロッコのWGに対して囲い込むような形で封殺し、簡単にスペースを作ることを許さない。ともに守備の機能性が相手の攻撃を上回っており、トランジッションで隙を突くアクションも少なかったと言えるだろう。

 ハイドレーションタイム明けも展開は同じ。交互に保持の主導権を握りつつ、ブロック守備相手になかなか切り拓くことはできず。時間とともに引き分けでもOKというニュアンスに変化した試合は決着がつかず。勝ち点1を分け合う結果となった。

ひとこと

 後半はだいぶおとなしい流れになった。

試合結果

2026.6.13
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループC 第1節
ブラジル 1-1 モロッコ
ニューヨーク/ニュージャージー・スタジアム
【得点者】
BRA:32′ ヴィニシウス
MOR:21′ サイバリ
主審:スラフコ・ヴィンチッチ

第2節 ハイチ戦

細かいギャップからのスピードアップで前半決着

 初陣はモロッコとのドロー発進となった王国・ブラジル。対するはスコットランド相手にギリギリで勝ち点を取ることができなかったハイチ。前節以上にタフな相手と対峙することとなる。

 当然ボールを持つのはブラジル。ハイチは5-4-1のブロックでスタート。SHはフラットな位置に入るというよりはやや絞り気味でCHと段差を作る形から。

 そうなると、保持側の狙いはこのSHとCHのギャップのところとなる。ヴィニシウス、ハフィーニャの2人のWGが降りるアクションからボールを引き出し、ここから攻撃を加速。右サイドからクーニャのポストでいきなりハフィーニャが抜け出す形を作る。

 ポイントをSHの背後に作るアクションに加えて、シンプルに背後を狙う動きもあったブラジル。中盤でパケタがフリーになると、ここから裏抜けで直線的にゴールに向かうケースも。ラインを上げる動きを挟もうとするハイチを牽制する。

 ハイチがボールを持つケースにおいては、即時奪回以外でブラジルが無理なチェイスがなかったものの、なかなか打開のポイントは見つからず。SHとWBの縦関係が一番の狙い目ではあるが、追い越すWBを見逃してしまったり、あるいはクロスがイマイチだったりなど、ミドルサードから先のところに問題がある形。きっかけはありそうだが、それを活かすことができないシーンが続く。

 機会的にも展開的にも優位だったブラジルに先制点が入ったのは23分。少しずつ加速させてハイチのDFを背走させるケースがあったが、その状況が続くことで決壊。ヴィニシウスのドリブルからのカットインのこぼれをクーニャが押し込む。

 ハイドレーションブレイク明けも優位なのはブラジル。細かく位置を変えるパケタを捕まえることができず、背後を狙う動きから一気に加速する。37分にはクーニャが再びゴールを決めて追加点。さらに、追加タイムにはヴィニシウスがゴール。オフザボールの質と量に裏打ちされた加速で一気に勝負を決める。

 後半、ハイチは4-4-2にシフト。より前から圧力をかけにいくが、ブラジルからすると降りる前線がさらに自由を得る展開。背後をつくための起点には不自由せずにスピードアップする。解説のラモスが言うところの「やりすぎ」なプレーが多かったため、追加点まではいかないが、主導権はやはり王国にある状態。

 ハイチも前半同様にボールを持つ機会自体はあるが、シュートまでのところでブラジルの強力なセンターラインに潰されてしまう。危険なロストシーンもあっただけにアリソンをもう少し脅かしたかったところだろう。

 終盤はブラジルの若い交代選手を中心にこの舞台に慣れるための時間に。中でもエンドリッキは抜け出すアクションからオフサイドながらもゴールネットを揺らす場面があった。

 結局は前半の3得点をキープしたままの勝利となったブラジル。勝ち点4に乗せて突破に大きく前進した。

ひとこと

 さすがに力の差が拭えない試合だった。

試合結果

2026.6.19
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループC 第2節
ブラジル 3-0 ハイチ
フィラデルフィア・スタジアム
【得点者】
BRA:23′ 37′ クーニャ, 45+3′ ヴィニシウス
主審:アレハンドロ・エルナンデス

第3節 スコットランド戦

ゆったりときどきギアアップで堂々の首位通過

 ブラジルはすでにGS突破は濃厚。最終戦で狙うは通過順位だけ。喉から手が出るほど欲しい勝ち点1を目掛けて向かってくるスコットランドを崩せれば首位通過が見えてくる。

 序盤からボールを持つ流れとなったのはスコットランドの方。ブラジルはクーニャを中盤に下ろす格好でヴィニシウスとラヤンが1つ前でCBをジリジリと追う形。4-3-1-2のような形になっていたので、スコットランドはSBが自由にボールを持つことができていた。

 ブラジルのプレスは強度は高いわけではないのだけども、後方もきっちり人を潰していっている点が微妙に厄介。プレーのテンポの遅さに騙されたマッケンナはいつの間にかラヤンに寄られてしまいボールをロスト。ヴィニシウスが無人のゴールに決めるというブラジルにとってはイージーな立ち上がりだった。

 ブラジルの守備は自陣での4-4-2と今のハイプレスモデルの使い分け。先制点を奪ったところからはトーンダウンする機会が多く、自陣で受けるような構えが多かった。

 敵陣に入り込むことができればスコットランドは右サイドのギャノン=ドークからのクロスで勝負することができる。だが、ミドルゾーンで構えたところからは簡単に進ませないブラジル。ギャノン=ドークも逆にインサイドに斜めのランで入っていくようなこれまでとは異なる攻め筋を見せていく。

 しかし、基本的にはブラジルは余裕というスタンス。最終的にはガブリエウが跳ね返す場面が目立っており、相手にゴールを与えない。逆にヘンドリーをヴィニシウスがプレスで追い詰めて敵陣に入っていくシーンも。マッケンナと同じようなミスを犯してしまったかに思われたヘンドリーだったが、OFRでの判定変更によって救われる格好となった。

 ブラジルの保持はダニーロ+2CB+アンカーのゲームメイク。だが、先制したこともありスピードアップを狙うようなプレーはかなり少ない形。ただ、誰かがスピードアップをしてくれれば一気に周りがそれに乗っかるという形で一気に攻めていけるシャープさがある。

 前半の終盤は即時奪回でその鋭さを見せたブラジル。自陣での守備対応で一旦落ち着いてしまったロバートソンの雑なパスをカットすると、そこからのファークロスでヴィニシウスがゴールを決める。リードを広げてブラジルが勢いに乗る形でハーフタイムを迎える。

 後半も試合はスローリーな展開。それでは困るスコットランドは交代で入ったティアニーが後方からマッギンを追い越す形でクロスを上げることに成功。インサイドのマクトミネイに合わせる形はようやく出たスコットランドらしいパターンだと言えるだろう。

 ブラジルはロングカウンターからのスピードアップを狙う形。パケタから抜け出したヴィニシウスは1on1で決定機を迎えるが、これはガンのセーブに阻まれてしまう。

 しかしながら、自分たちの形を瞬間的に作りながらゴールに鋭く向かっていくという点では明確にブラジルの方が上。センターラインのパスワークでうまく相手との間合いを図りながら進撃していくブラジル。ギマランイスの抜け出しから最後はクーニャが仕留めて3点目を手にする。

 以降はゆったりと時計の針を進めるブラジル。ネイマールに更なるゴールが生まれればというシーンにはなったが、豪華なおまけはついてこず。それでも試合は3点差をキープしたブラジルの完勝。グループCを首位で悠々と通過した。

ひとこと

 負けるにしてもこういう飲まれ方は辛いなというスコットランドだった。

試合結果

2026.6.24
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループC 第3節
スコットランド 0-3 ブラジル
マイアミ・スタジアム
【得点者】
BRA:7′ 45+3′ ヴィニシウス, 60′ クーニャ
主x審:セサル・ラモス

総括

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