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「選んだ道を正解にする」〜2026.6.6 J1百年構想リーグ プレーオフラウンド 第2戦 川崎フロンターレ×サンフレッチェ広島 レビュー

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目次

レビュー

右サイドの覚悟のバラつき

 第1戦はホームの広島が先勝。1点のアドバンテージをキープし、等々力での第2戦に挑むこととなる。

 まず、目についたのは川崎の高い位置からのプレッシングの姿勢。0-0でのスタートとはいえ、事実上はリードされている状況を踏まえて、前からのプレスを解禁。3バックで数的優位をキープする広島に対して、4-4-2から前方にスライドすることで、川崎は非保持から圧力をかけていく。

 持山、脇坂のプレス隊に加えて、もう1枚として加わることが多かったのは右SHの伊藤。第1戦では様子見をする機会も多かったが、この日は躊躇なく前に出ていく。

 当然、広島としてはこのアクションを利用したいところ。伊藤が出ていく動きに連動するように、背後に選手が顔を出す。素直に東が出ていくことが多かった。

 川崎は伊藤の背後をケアする山原が、伊藤のプレスに追従しきれなかった感があった。伊藤が出ていく時に佐々木に生まれる1つ目のパスルートを潰すことができず、プレスが空振りになることも。

 山原が出ていった背後を埋める松長根は、逆に覚悟が決まっていた感じがする。中村とのオープンスペースにおける対応はきっちりと。1つ飛ばしで長いボールをつけるアクションに対しては、バッチリと対抗することができていた。

 広い部分をカバーするのであれば松長根!というのは、この日のチームの方向性として決まっていた感じがする。なので、出ていくのは伊藤。カバーするのは松長根というところは一貫していた。それだけに山原が連動しきれないのは、ややもったいなさがある。

 ハイプレスに出ていく際の対応に関して、チームとしての決まりごとがわからないため、厳密には誰が悪いのか?というのはわからない。けれども、誰のアクションに違和感があるかといえば山原の方か。

 それでもフォローを入れるのであれば、逆サイドの三浦も含めて、上下動を強いられるSBに一番負荷がかかっていたのは間違いない。高い位置でWBを捕まえる動きと、逆サイドにボールがある際に低い位置でシャドーを捕まえる動きを繰り返す必要がある。

 助かったのは、この日の広島の組み立てにはやや雑さが先行していたこと。長いレンジのパスは不安定さが際立ち、なかなかピッチを広く使いながら前にボールを進めることができない。

 むしろ、手応えがありそうだったのは、川崎の攻撃が終わったところからのトランジッション。迷いなくサイドの裏につけていく広島のプランからも、この日の狙い目がはっきりと感じられた。

誘導を外せない故の苦しみ

 川崎の保持に対する広島のスタンスは第1戦と同じ。サイドにボールを追い込みながら、圧縮する形で川崎のビルドアップを阻害していく。

 立ち上がりの川崎はGKの山口を絡めながら、フリーの丸山までボールを横断。クリーンなキャリーからマルシーニョのスピードを生かすような場面もあった。

 広島はCHが川崎のCHを捕まえるアクションがプレスのトリガーになっていた感じ。CH同士のマッチアップで川崎のビルドアップにマイナスのパスを出させたところで、広島のシャドーが深追いを始めるイメージだった。

 逆に言えば、CHがプレスのスイッチを入れることができなければ、やや前線からの守備がぼやけていた広島。一つ低い位置で受ける体制にもかかわらず、シャドーがCHのケアをしないため、川崎は浮いたCHから自在にボールをサイドにつけることができる。惜しまれるのは、ここから展開した右サイドの連携で川崎が広島を出し抜くことができなかったことである。

 広島は15分を過ぎたところから少しずつプレスを強化。第1戦にもあったハイプレスモードに切り替えて、プレスのきっかけがなくてもCBまで出ていく姿勢を見せていく。オールコートマンツーの色が強い仕様である。

 ポイントとなるのはGKの山口にも二度追いを仕掛けていること。すなわち、フィールドには誰かしら空くことが多かった。具体的には山口の片足側からプレスをかけ、その際にはそのサイドのCBが浮くということになる。

 広島のGKへの二度追いプレスは、大体は山口にコントロールする余裕がある間合いだった。山口にはその際のコントロールで広島の片足側からの誘導を外し、浮いているCBからボールをキャリーする必要があった。

 しかしながら、山口にはそのプレーができず。広島の誘導通りにボールを動かされることに。おそらくはポゼッションも評価されてのスタメン起用だが、この日の広島のプレスの間合いであれば、相手を外すことはできたように思う。一番のピンチにつながった35分の広島の決定機を含めて、期待された働きはできなかった。

 サイドにボールをつける際のコントロールでも、この日の川崎のビルドアップは物足りなかった。SBとして大外でボールを受ける山原は、16分のようにインサイドにコントロールできれば面白いケースもあったが、なかなかそうした外し方ができず、裏への雑なパスに終始してしまったことはもったいなかった。

 中盤でパスミスをする河原もややブレーキになっていた印象。後方からのGK、サイドに追い込まれた際のSB、そして展開を前に進められないCH。なかなかビルドアップでは苦戦傾向となったのがこの日の川崎だった。

 ハメられて前に蹴ることが多くなった川崎は、マルシーニョのスピードを生かす形か、サイドに流れる持山に頼る展開に。CFにどっしり構える形であれば、持山の1トップはややハードであり、その点でも山口からの後方からのビルドアップが機能しなかったことは苦しいところだった。

 広島は危険な位置でのロストが増えた川崎に対して、少しずつクリティカルなショートカウンターを仕掛けていく。新井が雑なシュートを放つ場面も少なくはなかったが、鈴木の決定機などほんのりとゴールに迫っていく。

 非保持においても滑らかなハイプレスが機能しなかったことによって、徐々に構える形が増えてきた川崎。ややリトリート気味な状況になっても右サイドのマークがはっきりしなかったのは痛恨。広島は第1戦と同じく中村を軸とした崩しで先制。試合後に本人も認めていた通り、ここは松長根が中村についていくべき場面。2人が同じように釣られてしまい、一番重要な中村を浮かせてしまったのは、個人レベルでの重大なエラーと結論づけるしかないところ。覚悟が決まったプレーが目立っていただけに残念だった。

惜しい”風”の時間帯

 後半も広島はハイテンションのプレスからスタート。川崎のCHを捕まえるところから、ショートカウンターで川崎のゴールを脅かしていく。

 川崎もマルシーニョへのロングボールや脇坂のルーズボールチェイスなど、かなり泥臭い形から反撃。サイドから広島を押し下げていく。

 広島の後半のハイテンポな試合運びは、やや雑さが目立つ展開だった。プレスはすれ違われることが多く、奪った後のパスは一か八かでズレてしまうこととなった。

 ボールが行ったり来たり、オープンになる展開の中で流れに乗れた感じがしたのは河原。ダイレクトなプレーが強いられる形であれば、彼のテンポになる。トランジッションから脇坂へのパスで列を越えることに成功すると、ここから川崎は加速していく。

 惜しまれるのはサイドアタックが決まらないことだろう。交代選手も含めて川崎はWGが周りを使うケースが少なく、2人を引きつける場面でもフリーの味方を生かすことができない。「その道を進むのであれば2人剥がしてくれ!」と言いたくなるプレーの連続だった。

 たまにWGとつながることに成功しても、その先の攻撃のステップが決まらない川崎。伊藤からバッグドアでパスを受けた山原は非常にクリーンに抜け出すことができたが、インサイドでは人数がいたにもかかわらず、1人も山原の動きに連動しなかった。

 サイドで浮いた選手を使って相手を揺さぶることができない。たまにそれができたとしても、インサイドとつながることができない。川崎の押し込んだ攻撃時の苦戦が詰まったような終盤戦となった。

 広島はアタッカーを入れ替えることによって、リカバリーに成功。押し込みながらシンプルなクロスを主体としてゴールに迫っていく。

 押し込む局面は最後までキープすることができた川崎。しかしながら、惜しい風の展開から決定機を生み出すことができないままタイムアップ。7位を決める180分は広島に軍配が上がることとなった。

あとがき

 シーズン最終戦は、その年にやったことの集大成になればいいなと思っている。昨年の浦和戦は明確にその水準に達していなかったから不満だった。けど、まぁ今日の試合は今季の基準に通じるものだったから、これはこれでいいのかなという気持ちである。満足ではないけども、急にはうまくならないから、ある意味正しくはある。

 百年構想リーグで得た収穫は、今後立ち返った時に出てくるかもしれないけども、今の段階では思いつく要素がないというのが正直なところ。それでも選んだ道を結局のところ正解にするしかないので、この半年間の過ごし方を今後のリーグ戦で正当化していくしか道は残されていない。

試合結果

2026.6.6
J1百年構想リーグ
プレーオフラウンド 第2戦
川崎フロンターレ 0-1(AGG:1-3) サンフレッチェ広島
U-vanceとどろきスタジアム by Fujitsu
【得点者】
広島:44′ 中村草太
主審:笠原寛貴

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